プレスリリース
ICTを活用したシカわな捕獲通知システムの開発・実証の成果について
- 四国でも東部・西南部を中心にニホンジカによるスギ・ヒノキの苗木や成木樹皮の食害などの被害が深刻化しています。平成26年度の環境省調査では、四国のニホンジカの生息頭数は約15万頭と推計されており、適正生息頭数を大きく上回っています。
- 四国森林管理局では、地元自治体や猟友会等と連携し、1)独自に開発した安価で使いやすい小型囲いわな(「こじゃんと1号」)の開発・普及、2)猟友会・市町村・森林管理署等の協定締結による民有林と国有林が一体となったシカ被害対策の推進等に取り組んでいますが、携帯電話網が届かない山間部に設置したわなの巡回作業(1~2日に1回程度)の軽減が重要な課題となっています。
- このため、平成30年度の重点課題として、関係機関と連携し、
ア)ドローンを活用したシカわな捕獲通知システム(安芸市)
イ)簡易無線通信を活用したシカわな捕獲通知システム(梼原町)
の2種類の異なるICTを活用したシカわなの捕獲通知システムの開発・実証を行い、いずれも現地で利用可能であり、わなの巡回作業を大幅に軽減できることがわかりました。 - ア)のドローンを活用したシカわな捕獲通知システムは、高知県工業技術センターが開発したシステムで、「Made in KOCHIの技術」を使用しています。ドローンを保有又はドローン保有機関と連携することが必要ですが、ドローンを飛行させれば、多数のわなの捕獲作動状態を一括して狩猟者の受信機(タブレット)に表示させることができます。また、携帯電話網や無線通信を使用しないので通信経費がかからないというメリットがあります。
- イ)の簡易無線通信を活用したシカわな捕獲通知システムは、無線通信会社((株)フォレストシー(東京都江東区))が開発した簡易無線通信システムを使用しています。簡易無線通信経費がかかりますが、個々のわなにシカが捕獲され子機がわなの作動状態を感知した瞬間に中継機や親機を経由して狩猟者の携帯端末に表示させることができるので、捕獲から解体処理までの工程をできるだけ短時間に迅速に行う必要があるジビエ肉の活用に適しています。
- これらのICTを活用したシカわな捕獲通知システムは、それぞれ特徴がありますので、現地の状況やニーズを踏まえて適切なシステムを選択することによって、わなの巡回作業の軽減と捕獲から解体処理の工程の迅速化を図ることができます。
- 四国森林管理局は、関係機関と連携し、ICTを活用したシカわな遠隔捕獲通知システの実証を継続し、現場でより使い安いものとなるよう改良を加えてまいります。
「ドローンを活用したシカわな捕獲通知システム」 | 「簡易無線通信を活用したシカわな捕獲通知システム」 | |
1 概要 | ・受信機を搭載したドローンを飛行させて多数のわなの捕獲作動状態を受信して狩猟者の受信機(タブレット)に一括表示 | ・簡易無線通信を活用し、子機がわなの捕獲作動を感知した瞬間に中継機や親機を経由して狩猟者の携帯端末に表示 |
2 実証概要 (1)実証地区 (2)わな設置数 (3)シカ捕獲頭数 (H30年11月末) (4)必要経費(試算) ・設備機器費 ・運用経費 |
・安芸森林管理署猿押山国有林2林班(安芸市) ・くくりわな10基 ・8頭 ・未定(県工業技術センターの試作機のため今後試算) ・特になし(ドローンが必要) |
・四万十森林管理署管内国有林4051林班(梼原町) ・くくりわな5基、小型囲いわな3基 ・4頭、うち2頭ジビエ活用 ・約90万円(親機・子機・タブレット等) ・約3千円/月(電波・wi-fi・クラウド利用料) |
3 特徴 | 1)基盤技術は高知県工業技術センターが開発 (「Made in KOCHIの技術」) 2)ドローンを飛ばせば、多数のわなの捕獲作動状態を狩猟者の受信機(タブレット)に一括表示させることができる。 3)運営経費はほとんどかからないので、少ない経費でわなの巡回作業の軽減が可能。 |
1)基盤技術は無線通信会社(株)フォレストシー(東京都江東区)が開発 2)子機がわなの捕獲作動を感知した瞬間に狩猟者の携帯端末に表示させることができるので、捕獲から解体処理工程の迅速化が可能(ジビエ活用に適している)。 3)設備機器費のほか、電波・wi-fi・クラウド利用料がかかる。 |
資料1 ドローンを活用したシカわな捕獲通知システムの開発・実証(概要)
資料2 簡易無線通信を活用したシカわな捕獲通知システムの開発・実証(概要)
資料3 シカ被害対策の取組
資料4 ICTを活用したシカ捕獲通知システムの開発・実証(説明資料)
お問合せ先
四国森林管理局
担当者:濵本、安藤
ダイヤルイン:088-821-2010