区  分:都市住民と山村の交流
タイトル:天竜の豊かな森林資源を活用した地域の活性化と林業振興
=「空と緑のロードパーク計画」の推進=    
都道府県名:静岡県 市町村名:北遠地域(天竜市、春野町、竜山村、佐久間町、水窪町)
1 地域の概要

(1)当地域は静岡県の西部に位置し、天竜市、春野町、竜山村、佐久間町、水窪町の1 市3町1村からなる。
(2)面積は94,386haで91.4%が森林で占められている。
(3)人口は40,930人で、65才以上の人口比率が25%を超えており、過疎化、高齢化が進んでいる。
(4)地形は急峻で、中北部の山岳地帯には、日本列島を東西に分断する中央構造線が走っている。
(5)河川は、天竜川が地域の中央を縦断し、多くの支流を集め、遠州灘に注いでいる。
(6)県西部の中核都市、浜松市から北へ20〜50kmの位置にある。国道152号線、362号線をはじめとする道路網が整備されており、交通の便は概ね良好である。
(7)林業や木材産業は地域の基幹産業で、昨今の林業不振は地域経済全体に大きな影響を及ぼしている。
2 事業(取組)の背景と経緯

(1)事業(取組)の背景
  ア 北遠5市町村を結ぶスーパー林道天竜線の完成。
イ 豊富な森林資源と自然の豊かな環境。
ウ 歴史、民俗伝承文化に恵まれている。
エ 県西部の中核都市、浜松市から車で1〜2時間の距離にあり、観光産業による地域活性化が期待できる。
(2)事業(取組)の経緯
 日本3大人工美林と言われる天竜地域の豊かな森林資源を活用して、地域の活性化と林業振興を図るため、平成9年6月、空と緑のロードパーク計画推進協議会が設立された。スーパー林道天竜線沿線を「空と緑のロードパーク」と位置付け、沿線の森林を中心に基本計画の策定に取り組み、平成11年2月、空と緑のロードパーク計画「天竜美林・森の回廊」が策定された。平成11年度からは、計画に基づき、「森づくり、健康づくり、地域づくり」をテーマに、ソフト面の施策を中心とした事業を展開している。

3 事業(取組)の概要

 国、県、市町村が連携した組織「空と緑のロードパーク計画推進協議会」が中心となって次の事業を実施している。
(1)山里経営塾を開講し、山間での起業の推進を図り、地域を担う人材の育成に努めた。
(2)未来を担う子供達のふるさと教育として、林業体験、自然体験、チャレンジ!子ども樹木博士等のイベントを開催した。
(3)優れた技術や知識の持ち主を「ふるさと名人」として登録する「技の持ち主登録制度」を平成13年度に発足させた。
(4)北遠地域の情報発信の手段として、協議会でホームページを作成した。
   ( http://www.inakax.com/hokuen/ )
(5)今人気のウォーキング大会など各種イベントやセミナーを開催した。(ウォーキング大会、樹木観察会、探鳥会、山村活性化セミナー等)
(6)21世紀の循環型社会を目標に、オーガニックライフをテーマとした「民の暮しクロスロード市 INAKAX2002」を、平成14年4月に開催した。このイベントは北遠地域の木材、木製品、山里の知恵を活かした製品、地域の特産品を一堂に集めた見本市である。

4 事業(取組)の成果(効果)

(1)各種イベントやセミナーの開催を通して、北遠地域の知名度が高まり、地域の魅力をPRすることが出来た。また、下流域の人々に自然や森林の働きに対する理解を深めることが出来た。
(2)この計画を推進することで、北遠地域の結束が強まった。市町村の枠を越えた取組や行政と民間の連携による取組を通して、共通の目的を持ち、「北遠は一つ」という団結心が生まれた。
(3) 北遠地域の恵まれた自然環境と人材を活用したニュービジネスへの挑戦が始まった。「民の暮しクロスロード市INAKAX2002」はオーガニックライフをテーマに物産の販売や観光資源を活用し、交流人口の増大を目指す取組であり、大きな可能性を秘めている。

天竜の森のつどい:樹木観察

空と緑のロードウォークにて
5 今後の課題

 北遠地域が住む人にも、訪れる人にも魅力ある山村として発展していくためには、豊かな森林資源をはじめ、自然、歴史、文化等を活用した地域づくりと、下流域の人々との交流が重要である。今後の課題は次の通りである。
(1)地域を担う人材の育成。
(2)地域の人々の自主的な活動による推進組識の設立(NPO等)
(3)下流域の人々との連携の推進


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