区  分:都市と山村の交流
タイトル:〜大きな自然と友達になろう!〜
   自然を観光資源とした新たな温泉観光地「塩原」の創造
都道府県:栃木県 市町村名:塩原町
1 地域の概要

 塩原町は栃木県の北部、首都圏から150kmの圏内に位置し、総面積190.07kuを有し、栃木県総面積の3%にあたる。本町は、町域の大部分が山岳地帯であり、北西部は日光国立公園に属し、1,000m級の山々に囲まれた紅葉と渓谷の美を特色とする温泉郷である。また、東南部は那須野ヶ原の一隅で、農用地及び山間平地である。
 交通網は、町中央部を国道400号、隣接する西那須野町・黒磯市を東北自動車道(西那 須野塩原インター)、国道4号、東北新幹線(那須塩原駅)、JR東北本線(西那須野駅)が走っており、交通の便は比較的良い。
 人口は、昭和30年の12,034人をピークに年々減少しており、平成12年においては、8,857人となっており、小子化・高齢化が進んでいる。
2 事業(取組)の背景と経緯

(1) 事業(取組)の背景
 本町は、美しい自然景観と豊かな温泉資源に恵まれ、古くから温泉観光地として発展してきたが、昭和50年代において観光客の入り込み数及び宿泊者数が減少してきたことから、本町の基幹産業である観光産業が低迷し、地域の衰退が危惧され、その打開策を模索していた。
(2) 事業(取組)の経緯
 観光産業が低迷する中で、栃木県が昭和58年3月に「塩原観光レクリエーション地区整備計画」を策定し、この整備計画に基づき塩原温泉家族旅行村「箱の森プレイパーク」の整備が図られることになった。

3 事業(取組)の概要

 「箱の森プレイパーク」の整備にあたっては、恵まれた自然環境を利用し快適で健全な観光レクリエーション活動の場を提供することにより、都市部の若年層や家族等団体の旅行意欲を誘発させ、地域振興と塩原温泉のイメージアップを図ることを目的として「創」「遊」「寛」「学」を基本テーマとした滞在型・参加型の施設として整備を行った。

○「創」…つくる :旧来の見る観光から脱却し、自らが参加し何かを創造(つくりだす)する場を提供する。
○「遊」…あそぶ :あらゆる年齢層のニーズに対応できる遊び場、運動の場、自然観察の場を提供する。
○「寛」…くつろぐ :良好な自然環境の中で食事など家族だんらんができる場を提供する。
○「学」…まなぶ :恵まれた自然環境の中で植物や野鳥などの自然観賞の場を提供する。

  
 施設の整備については、町が事業主体となり、昭和58年度から各種補助事業等を取り組れ、昭和62年7月オープンした。オープン後も施設の充実を図るため、各種施設の整備を行ってきた。

〔主な整備施設〕
  管理棟・プロムナード広場・多目的広場・自転車広場・野外ステージ・駐車場・湿性園・サイクリングロード・屋内レストラン・屋外バーベキュー施設・サイクル列車・遊歩道・体験施設「ホビーの里」・オートキャンプ場・ケビンハウス・徒歩池・交流促進センター「遊湯センター」・その他施設(休憩舎・トイレ・給排水施設・トリム施設・巨大遊具等)

箱の森プレイパークのシンボル
「カリヨンの塔」
「ホビーの里」で
陶芸教室
人気の自転車広場

4 事業(取組)の成果(効果)

 「箱の森プレイパーク」の整備により観光客の入り込み数が増加したとは一概に言えないものの、施設整備による臨時職員等地域住民の雇用拡大、温泉観光地の中心的誘客施設としての地位の確立など、地域の活性化に大きく寄与しているところであり、観光客等都市住民はもとより地域住民の「自然とのふれあいの場」となっている。
 また、施設の管理運営については、町の出資団体である「財団法人塩原町観光振興公社」に委託しており、季節ごとの各種イベント等(春:こどもまつり、山つつじまつり 夏:サマーフェスティバル、カブト虫・クワガタ虫飼育観察教室 秋:もみじまつり、木工・陶芸まつり)を開催し、施設利用者から好評を得ている。
 平成9年にオープンした「遊湯センター」は、本町最大の観光資源である温泉を豊富に利用した入浴施設であり、オートキャンプ場やケビンハウス利用者はもとより、観光客から地域住民まで広く利用されており、温泉観光地「塩原」のPRに一役買っている。

《箱の森プレイパーク入村者年度別状況》         (単位:人)

S62

S63

H元

H2

H3

H4

H5

H6

H7

68,723

62,917

65,653

84,282

73,061

72,365

69,761

65,870

59,355


H8

H9

H10

H11

H12

61,204

81,454

68,884

73,332

72,060

《塩原温泉観光客入り込み数年度別状況》         (単位:千人)

S62

S63

H元

H2

H3

H4

H5

H6

H7

2,020

2,032

2,614

3,275

3,553

3,604

3,582

3,621

3,608


H8

H9

H10

H11

H12

3,368

3,200

3,122

3,309

3,176

5 今後の課題

 当該施設のオープンから14年が経過し、各施設の老朽化、時代のニーズの変化に伴う施設利用の低下といった問題が表面化してきていることから、今後約10年間の実施を想定した再整備計画(案)を策定し、計画に基づき魅力ある拠点施設としての機能充実を図る必要性がある。なお、再整備計画(案)の策定にあったては、ハード面(施設整備)はもとよりソフト面(管理運営体制・サービス等)も視野に入れた計画として検討する。


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