X 「国民の森林(もり)」を目指した国有林野の取組 

1 国有林野に期待される役割 

○ 森林面積の約3割を占める国有林野は、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全
   等森林のもつ公益的機能の発揮に大きな役割を果たしており、国民生活に欠かすことが
   できない国民共通の財産である。

○ 広く国民の意見を聴いた上、「国有林野の管理経営に関する基本計画」を策定し、これ
   により、開かれた「国民の森林」に向け、公益的機能の維持増進を旨とした管理経営を
   はじめ、地球温暖化防止、森林環境教育や国民参加の森林づくり等の取組を推進して
   いる。



2 「国民の森林」を実現するための様々な取組

○ 国有林野においては、約9割が保安林であり、安全で安心できる暮らしを実現するため、
   治山事業により、災害に強い安全な国土づくり等を推進している。

○ 平成17年7月に「知床」が世界自然遺産として登録された。既に登録されている屋久島の
   大部分、白神山地の全域も国有林野であり、その貴重な森林を保護林として管理・保全
   を行っている。さらに、種の多様性の保全のため、保護林を連結して「緑の回廊」の設定
   を推進している。

○ また、「地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策」等を踏まえ、二酸化炭素を吸収・貯蔵
   する健全な森林の整備・保全や木材利用等に率先して取り組んでいる。

○ 国有林野において、山火事防止、高山植物の保護、廃棄物の不法投棄防止に取り組ん
   でおり、平成17年から、7月期を「『国民の森林』クリーン月間」として活動を展開した。

○ 国有林野内では、学校、自治体、企業、ボランティア、NPO等多様な主体と連携しつつ、
   森林環境教育を推進している。平成16年度には、子供たちが国有林野内で体験学習を
   行える場として提供する「遊々の森」が新たに22か所設定された。



図X−1 国有林野の占める割合
国有林野の占める割合
資料:林野庁業務資料



図X−2 国有林野が有する公益的機能
国有林野が有する公益的機能
資料:林野庁業務資料


○ 各森林管理局では、平成17年度から市民団体や地域住民等と連携しながら、森林の整
   備・保全活動を行う「モデルプロジェクト」を本格的に開始している。

○ 分収林制度を活用して、企業が社会貢献活動の一環として森林整備を行う「法人の森
   林」は、平成16年度末までに399か所、1,864ha設定されている。また、国有林野をボラン
   ティア団体等の森林づくり活動の場として提供する「ふれあいの森」は、同じく平成16年度
   末までに145か所、4,667ha設定されている。

○ 地域の歴史的木造建造物や伝統文化の継承等に貢献する「木の文化を支える森づくり」
   の取組を推進している。

○ 平成16年度からは、国民から広く募集した「国有林モニター」に幅広く情報を提供すると
   ともに、「国有林モニター会議」等、国民との双方向の情報受発信の取組を展開してい
   る。

表X−1 「遊々の森・カムイコタン歴舟(れきふね)の森」の設定(事例)
 十勝西部森林管理署と北海道大樹町は、平成17年2月に「遊々の森・カムイコタン歴舟の森」に関する協定を締結した。対象地は、大樹町内にある222haにも及ぶトドマツ主体の国有林で、町内の学校に通う児童・生徒により森林浴や樹木の観察など自然体験学習の場として活用されている。 「遊々の森・カムイコタン歴舟の森」の設定(事例)

図X−3 「法人の森林」設定状況
「法人の森林」設定状況
資料:林野庁業務資料

戻る