第4章 木材の供給と利用の確保

1 世界の木材貿易と日本

(世界の木材生産)
○ 世界の木材(丸太)消費量は、33億5千万で、薪炭用材が53%を占め、開発途上地域を中心に増加している。

(世界の木材貿易と日本)
○ 世界の木材輸入額では、米国、中国に次いで日本が第3位で、我が国は世界でも有数の木材輸入国である。

○ 平成13年11月に立ち上がったWTO新ラウンドの林産物分野の交渉において、我が国は、地球規模の環境問題や有限天然資源の持続的利用等の観点を踏まえた議論を行う方針である。

(我が国の木材需給と外材輸入)
○ 我が国の木材総需要量は1億100万で、その8割を外材に依存しており、そのシェアは拡大傾向にある。

○ 近年、我が国の木材輸入は、丸太輸入から製品輸入にシフトしており、平成12年の外材供給量の内訳は、丸太が対前年比4.1%減の1,802万、製品が対前年比4.9%増の6,322万となっている。

2 人と環境に優しい木材利用の促進

(木材利用の意義)
○ 木材の利用は、環境への負荷が小さい経済社会の構築と、我が国の森林を健全に維持していく上で重要である。

(森林・林業基本計画における林産物の供給と利用の目標)
○ 森林・林業基本計画に定める林産物の供給及び利用に関する目標に即して、国産材の利用を確保していくことが重要な課題となっている。  

図4−1 国産材及び外材の供給状況(平成12年=2000年)

   

資料:林野庁「木材需要表」、財務省「貿易統計」
注:1)丸太以外については、丸太換算したものである。
  2)内訳の計と総計が一致しないのは四捨五入によるものである。

                   

図4−2 主な外材の輸送消費エネルギー(試算)

(住宅における木材利用)
○国産材の6割が建築用に向けられており、住宅や事務所等の建築物への木材利用は、我が国の木材需要に大きな影響を与えている。

○新設住宅着工数の伸びが見込めない中、需要者のニーズにより一層応えた品質・性能の明確な製品や自然・健康志向に対応した製品等を供給していくことが必要である。

○ 拡大が予想されるリフォーム需要に対応し、改築時に簡単に施工できる製品や模様替えに対応できる意匠性の高い製品等を供給していくことが必要である。

○ 構造材や内装材、外装材においても木材が使用できる範囲が広がっており、今後とも木材の特性を活かした利用を進めていくことが必要である。

(公共部門等における木材利用)
○ 近年、学校施設、郵便局舎等公共施設において木造化を積極的に進めている。

○ 公共部門等における木材利用推進のため、木造施設の情報提供や、施工性の高い資材の開発等を進め、潜在需要の開拓と、木材を利用しやすい環境整備を行うことが必要である。

(木材の様々な用途での有効利用)
○ 製材工場残材、建設発生木材、林地残材等の5割が利用されておらず、このような未利用資源の有効利用や、化石燃料の代替による地球温暖化防止等の観点から、木質バイオマス(注)のエネルギー利用といった新たな対応も重要である。
注:バイオマスは、農業や林業の副産物、家畜のふん尿、生ゴミ等の動植物由来の資源で、木質バイオマスは、そのうち製材工場残材、建設発生木材等木材に由来するものである。

○ 木質プラスチック、生分解性の農業用マルチシート等、様々な用途への木材利用の可能性が広がっている。    

図4−3 木材の需要構造(平成12年)

                                 

図4−4 公立学校の木造学校施設整備の推移

                       

3 需要者ニーズに対応した木材の供給

(品質・性能の明確な木材の供給とロットの確保)
○ 国産材は、乾燥材等品質・性能の明確な製品の供給量が少ない上、多段階かつ多様な加工・流通構造等により、丸太や製品のロットが小さく、コストも割高となっており、外材との厳しい競争にさらされている。

○ 国産材需要を確保していくため、流通・加工コストの低減、品質・性能の明確な製品の供給、ロットの拡大等、需要構造の変化に対応した木材産業の構造改革を進めることが必要である。

(乾燥材生産)
○ 乾燥材生産において、技術開発されたシステム導入による割れの低減、製材工場残材の熱源利用による燃料費低減等、品質の向上、低コスト生産の取組が進められている。

(集成材生産)
○ 国産の集成材は、輸入したラミナを原料にして国内で集成加工したものが8割以上となっている中、間伐材や未利用材等地域材を利用した、低コストでの集成材生産の取組が進められている。

(合板生産)
○ 国産の合板の原木供給は、そのほとんどが外材によってまかなわれている中、地域内に多く賦存するスギやカラマツ等の針葉樹間伐材を利用した合板生産の取組が進められている。

(木材関連業者による団地的取組)
○ 加工、流通コスト低減のため、木材関連業者の団地的な取組が効果的。一定量の丸太や製品を継続的に供給することにより、大手住宅メーカー等の需要にも対応することが可能となる。

(森林所有者から住宅生産者に至る関係者の連携)
○ 近年、森林所有者、木材加工業者、大工・工務店等が連携して、地域の森林から生産された木材を利用した住宅づくりが各地で展開されており、今後、地域材を利用した公共施設の建築等の取組へと拡大していくことも重要である。  

表4−1 乾燥材生産の取組事例

 乾燥技術開発による低コスト生産の取組
 (木材乾燥低コスト化技術研究組合)


 木材乾燥低コスト化技術研究組合は、温度や湿度等をセンサーで自動制御するシステムを開発した。このシステムは、樹種、大きさ、含水率等に応じた、乾燥温度、湿度、風速がプログラムされており、取り付けられたセンサーが逐次乾燥室内の状態を測定し、適正な乾燥状態にコントロールされるものである。燃料費を20%削減させたり、乾燥後の割れの出現率を低減させるなど、乾燥材の低コスト生産を実現している。
表 開発されたシステムを導入した乾燥と従来の乾燥方式との比較(組合資料より)(スギ心持ち、含水率15%乾燥仕上げ)

 

表4−2 木材関連業者による団地的取組事例

 関係者連携による大規模な木材総合流通加工基地の運営
 (三重県・ウッドピア松阪(まつさか)協同組合)


 平成13年4月、三重県松阪市に原木販売、製材加工、販売までを行う木材総合流通加工基地「ウッドピア松阪」が開業した。松阪市を中心とする県内の木材市場や製材工場等44社が協同組合を設立し、運営に当たっている。原木集積力のアップ、高次加工の実施等により、一定した品質・性能の製品の供給、豊富な品揃えを実現した。大手住宅メーカーとの取引きも展開されている。


(「ウッドピア松阪」の木材加工・流通システム)


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