プレスリリース
平成17年10月7日
林     野    庁


無人ヘリによる松くい虫防除に関する運用基準作成のための検討会(第1回)の概要


1 日  時 : 平成17年10月4日(火) 10:00〜12:00
2 場  所 : 農林水産省7階 林野庁林政部会議室
3 議  事 : 「無人ヘリによる松くい虫防除の現状と課題」
4 議事の概要
(1)事務局及び各委員より資料の説明
ア 「無人ヘリコプターによる松くい虫防除について(資料4)」【PDF】及び「松くい虫被害対策について(参考)」【PDF】(事務局)
イ 「静岡県新居町における無人ヘリコプターによるスミパイン乳剤散布に伴う薬剤飛散状況並びに健康影響調査結果(概要)」【PDF】(本山委員)
ウ 「ヘリコプターによるDownwashとDrift」【PDF】(井上委員)
(2)質疑・意見交換
○ 委員からの主な意見
・ 環境省が示している気中濃度の評価値は、主として実験動物(ラット)の経口毒性のデータに基づいて算定したものであるが、人の健康を保護する観点から十分な安全率が考慮されたものである。
・ 静岡県下で実施した調査結果によると、無人ヘリにより散布された薬剤の有効成分であるフェニトロチオンの大気中の濃度は、調査した散布区域内を含むいずれの場所、いずれの時間帯においても評価値を超える濃度は検出されなかったことから、周辺住民の健康に影響を及ぼすことはないと推察される。
 また、無人ヘリのオペレーターやナビゲーターなど10人を被験者として薬剤散布の前と後に健康 影響調査を行ったところ、散布薬剤による影響は認められなかった。
・ 無人ヘリによる薬剤散布については、飛行の高度やダウンウォッシュ(下に吹き付ける風)が有人ヘリと異なるため、ドリフト(飛散現象)に違いがみられる。同じ気象条件で得られたパラメータがなく、厳密な比較検討はできないが、ある前提条件によって試算したところ、無人ヘリの飛散の範囲は有人ヘリの約3分の1という結果となった。
・ 有人ヘリによる散布と無人ヘリによる散布では薬液の希釈倍率が違うため、散布される農薬粒子の大きさが異なる可能性が考えられるので、より正確な飛散距離の比較にはそのことも考慮して計算する必要があるのではないか。
・ 使えるブームの種類によっても粒径分布は違ってくるので、それをどう取り扱うかも大切なことである。
・ 林内の気中濃度が林外よりも低いというデータがあるが、散布された薬剤が樹冠に吸着されるため、林床に落下する量が少なくなることはあり得ることである。
・ 散布から時間が経過した方が気中濃度の値が大きくなった場合がみられたが、一度付着したものが揮発したことによる影響が考えられるのでは。
・ 地上から薬剤を吹き付けた場合には、薬剤の多くが梢端部に到達する前に落下してしまって無駄が多いが、無人ヘリによる散布は上空から目標となるマツの樹冠梢端部に薬剤を吹き付けるので非常に効率的である。
・ 静岡県下で行った調査の健康影響調査では、有機リン系農薬の暴露の影響指標の一つとして血中のコリンエステラーゼ活性を測定しているが、フェニトロチオンの暴露量のより正確な指標としては尿中に排泄される代謝産物の3−メチル−4−ニトロフェノール濃度を測定するという方法もある。
・ 無人ヘリによる薬剤散布が生物群集の個体数に与える影響について調査した結果によると、その影響は一時的なものと考えられる。
・ 無人ヘリの性能は向上し、オペレーターは高所飛行技術認定者でなければならないことから、無人ヘリによる薬剤散布は高い安全性により実施されている。


○ 配付資料一覧
 
問合せ先
林野庁 研究・保全課 森林保護対策室
担当:木下・小出
TEL 03-3502-8111(代表)(内線6342、6343)
   03-3502-8241(直通)

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