プレスリリース

「森林の健康と癒し効果に関する科学的実証調査」の結果について

平成16年3月10日
林    野    庁
 このことについて、林野庁が(社)全国森林レクリエーション協会に委託して調査を行った結果がまとまりましたのでお知らせします。
1 調査の趣旨
 近年、急速な高齢化の進展、国民の健康に対する関心の高まり等に伴って、森林の有する保健休養機能に対するニーズが高まっており、森林の持つ健康と癒し効果を活用した健康づくりのための森林空間の利用を推進していくことが期待されている。
 一方、森林浴の効果については、最近行われた医学的な実験においても、血圧を下げる効果やストレスホルモンの分泌を抑制する効果があることが示唆されるなど次第に明らかになりつつあるものの、限られたデータや知見しか得られていないのが現状である。
 このため、森林を活用した健康増進の取組[PDF]を推進するため、当庁において、初めて実証調査を行ったものである。
2 調査報告書の概要(資料1参照[PDF])
(1) 調査の概要
 健康な男女20人を被験者として、都市環境(岐阜市中心部)と森林環境(岐阜県馬瀬村内)の下で、測定条件(被験者、測定時間、運動量)が同一になるように設定し、運動の前後に血液採取及び気分プロフィール検査(POMS)を行い、データの分析を行った。
(2) 血液検査の結果
@免疫機能を有するナチュラル・キラー(NK)細胞の活性が有意に上昇
 リンパ球の一つで血液中を巡回し、癌細胞やウイルス感染細胞を排除すると言われているNK細胞の活性度が、都市環境下では運動の前後で変化が認められなかったが、森林環境下では運動を行うことにより、有意に高まることが認められた。
Aストレスホルモンであるコルチゾールが有意に減少
 都市環境下と森林環境下における運動前の血中のコルチゾールの量を比較したところ、森林環境下においては、都市環境下に比べ、有意に少ないことが認められた。
(3) 気分プロフィール検査の結果
 森林環境下に居るだけで都市環境に比べてリラックスした状態(「緊張−不安」、「抑うつ−落ち込み」、「怒り−敵意」、「活気」、「疲労」及び「混乱」の全ての項目で気分が有意に向上)となり、さらに森林環境下で運動を行うことにより、一層リラックスした状態になることが認められた。
3 今後の活用について
 本調査結果については、現在立上げ準備中である「森林セラピー研究会」による森林療法のもたらす生理的、心理的効果の医学的な解明に向けた取組において活用するとともに、都道府県等にも配布し、今後、当該分野の研究が一層推進することを期待する。
 なお、平成16年3月30日(火)に開催される「森林セラピー研究会」の設立記念公開シンポジウム“健康・医療・教育と森林セラピー”(資料2参照[PDF])においても今回の結果を発表する予定。
(問い合わせ先)
林野庁計画課森林総合利用推進班 岡本、橋本
  代表 03-3502-8111 内線 6205、6206
  直通 03-3502-0048

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