第34回国際熱帯木材機関(ITTO)理事会等の結果について
 
              平成15年5月26日
                              林    野    庁
1.国際熱帯木材機関(ITTO)の第34回理事会は、5月12日(月)から5月17日(土)までの6日間、パナマのパナマシティ−において開催され、12件の決議を採択した。また、理事会に引き続き、5月19日(月)から5月21日(水)の3日間、熱帯木材協定(ITTA)の改定に向けた準備会合が開催された。
2.理事会には、インドネシア、マレイシア、ブラジル、ガボン等の熱帯木材生産国及び日本、米国、EU、スイス等の消費国(計43カ国と1地域)の政府代表のほか、オブザーバーとしてメキシコ等の非加盟国2カ国、FAO等の国際機関、木材業界団体、NGO等が参加した。また、我が国からは、林野庁、外務省からなる政府代表団が出席した。
3.開会式においては、ソブラルITTO事務局長から、ITTOの活動状況に関する報告とともに、持続可能な森林経営を達成するためには、NGOも含め地域の関係者が協力して取組むことが必要であり、アジア森林パートナーシップ、コンゴベイスンパートナーシップの活動に期待するとともに、ITTOとしての支援を強化したいとの発言があった。
 また、フリーザイラー理事会議長からは、設立当初からのITTOの成果が紹介がされるとともに、1994年熱帯木材協定(ITTA)改定の準備会合が本理事会に併せて開催され、熱帯木材・森林の抱えている問題の背景、課題、対処方法、ITTOの有利性と経験について分析を行うとともに、ITTOの有利性を活かした活動強化について議論を始める必要があるとの発言があった。
4.主な決議
(1)2002年8月に行われた持続可能な開発に関する世界サミットの際に発足したアジア森林パートナーシップ(AFP)において、市民社会、個人セクターを含む全ての関係者の参加を促進するため、幅広い関係者を集めた地域ワークショップ、アジア森林パートナーシップ参加者間の情報の共有のためネットワークを開発することを決議し、我が国から必要な経費について拠出することを表明した。
(2)プロジェクト、プレプロジェクトを効果的に実行するために、プロジェクト、プレプロジェクトの現在の進捗状況に関する情報を収集し、実行の遅れているプロジェクト等についてその原因を確認するとともに、実行の円滑化のための方法を検討するために専門家パネル会合を開催することを決議し、我が国から必要な経費について拠出することを表明した。
(3)熱帯木材生産国で実行されている森林認証の段階的アプローチがどのように開発されたかを調査し、アジア、アフリカ、南米の地域からそれぞれ1カ国づつ選定されたITTO生産国で認証の費用、利益を評価するための調査を行うとともに、森林認証の段階的アプローチの国際ワークショップを招集することを決議し、我が国から必要な経費について拠出することを表明した。
(4)CITES(COP12)において、オオバマホガニーが附属書Uに掲載されることになったことを受けてITTOは、CITESのマホガニーワーキンググループを技術的、科学的、資金的にサポートするとともに、CITES附属書Uの掲載の効果的な実行のために、マホガニーを産出するITTO加盟国に支援を行うこと等を決議し、我が国から必要な経費について拠出することを表明した。
(5)持続可能な森林経営を推進するために、ITTO生産国8カ国で森林管理者等に対し、基準・指標に関する国家レベルのワークショップを開催するとともに、FAOと共同して基準・指標に関する国際専門家会合を招集すること等を決議し、我が国から必要な経費を拠出することを表明した。
(6)合計25件のプロジェクト、プレプロジェクト等の承認・資金の拠出が行われ、我が国は、森林認証に関するプロジェクトとして「認証された木材と木材製品貿易を推進するためのプロジェクト(グアテマラ)」、マーケット戦略に関するプロジェクトとして「木材と木材製品貿易量のデータベースを開発するためのプロジェクト(フィリピン)」等への拠出を表明した。
 また、この他に熱帯木材の国際貿易の拡大及び多様化を推進する方法等の決議を行った。
5.理事会に引き続き行われた熱帯木材協定の改定に向けた準備会合では、主に新しい熱帯木材協定のスコープについての議論が行われ、各国から熱帯木材・森林に関連する新たな課題(環境サービス、非木材林産物、認証とラベリング、違法伐採等)について提案がなされた。第2回準備会合(横浜、11月10〜11月12日)において引き続き議論を行い、新協定案を作成することとなっている。また、国連貿易開発会議(UNCTAD)における改定交渉がジュネーブにおいて、7月26日〜7月30日に行われることとなった。
6. 次回以降の理事会の予定は次のとおり。
(1)第35回 2003年11月 3日〜 8日 横浜
(2)第36回 2004年 7月20日〜23日 スイス
木材貿易対策室 貿易第二班 
  担当:森田、野邊
  TEL: 03-3502-8111  内線 6186
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