第32回国際熱帯木材機関(ITTO)理事会の結果について

平成14年5月20日

林 野 庁

1.国際熱帯木材機関(ITTO)の第32回理事会は、5月13日(月)から5月18日(土)までの6日間、インドネシアのバリにおいて開催され、11件の決議を採択した。

2.理事会には、インドネシア、マレイシア、ブラジル、ガボン等の熱帯木材生産国及び日本、米国、EU、スイス等の消費国(計40カ国と1地域)の政府代表のほか、オブザーバーとしてベトナム等の非加盟国2カ国、FAO等の国際機関、木材業界団体、NGOが参加した。また、我が国からは、林野庁、外務省からなる政府代表団が出席した。

3.開会式では、メガワティ・インドネシア共和国大統領、ソブラルITTO事務局長、ユルゲン・ブラザー理事会議長(スイス)等がステートメントを行った。メガワティ大統領からは、インドネシアは優先度の高い活動として(1)違法伐採・不法貿易対策、(2)林産業の再構築、(3)森林火災対策、(4)森林管理の地方分権化、(5)産業造林の開発の5項目をあげて取り組んでいるが、違法伐採対策に関してはインドネシア自身で解決することが困難であり、国際的支援をお願いしたい旨発言があった。我が国からは水野賢一外務大臣政務官が、持続可能な森林経営を阻害する違法伐採への対策は緊急の課題である旨発言し、インドネシアと共に「アジア森林パートナーシップ」と名付けた違法伐採対策、荒廃地復旧等、対象国の優先的森林問題に取り組む地域協力プログラムへ他のアジア諸国、ドナー国・機関も参加するよう呼びかけた。

4.森林認証制度の比較可能性・同等性に関する国際ワークショップの結果を受けて、「持続可能な森林経営達成に向けた手段としての熱帯木材生産国における森林認証への段階的アプローチの潜在的役割」に関しては、認証制度は森林に関する違法行為や関連貿易への対処を含む持続可能な森林経営に資すること等が合意され、その実施を支援することとされた。ITTOは、森林認証への段階的アプローチの可能性について調査し、アジア、アフリカ、南米の3地域でワークショップを開催するとともに、段階的アプローチへの理解、情報提供、生産国・消費国双方の関係者の間での対話を促進することとし、これに対して、我が国は必要な経費を拠出することを表明した。また、ITTOは、体制強化、監査制度、訓練等を含む森林認証制度の確立に取り組む生産国の人材育成等のプロジェクトに対する加盟国の支援を促進することとした。

5.劣化・二次林化した熱帯林が拡大していることを踏まえ、「劣化熱帯林・二次熱帯林の再生・管理・復旧のためのガイドライン」を採択した。ITTOは、ガイドラインを広く加盟国や関係者へ配布するとともに、ガイドラインに対する理解を促進するため、6地域でワークショップを開催することとした。

6.「ITTOマングローブ作業計画」をマングローブの保全・復旧・管理のためのプロジェクト策定のガイダンスとして推奨することを決議した。作業計画は、(1)保全と持続可能な管理、(2)マングローブ情報、(3)社会経済面、(4)マングローブの生態系機能と健全性、(5)人材育成、(6)政策と規則の6分野からなり、今後、通常のプロジェクト実施を通じて、これらの活動を支援していくこととした。

7.持続可能な開発に関する世界サミット(WSSD)において事務局長がITTOを代表して、持続可能な森林経営に対するITTOの貢献等を紹介するためのサイドイベントを開催することとした。また、WSSDへの貢献として、コンゴ川流域の持続可能な森林経営促進のためのワークショップの開催等を行うこととした。

8.合計33件のプロジェクト・事前プロジェクトその他活動への承認・拠出が行われ、我が国は、違法伐採撲滅に資するプロジェクトとして「ブラジル熱帯林のための持続可能な森林経営の基準・指標の開発プロジェクト(ブラジル)」「森林統計情報システム整備に関するパイロット・プロジェクト(フィリピン)」等への拠出を表明した。

9.次回以降の理事会の予定は次のとおり。

(1)第33回 2002年11月 4日〜 9日 横浜

(2)第34回 2003年 5月12日〜17日 パナマ

木材貿易対策室 貿易第二班

担当:森田、高濱

TEL:03-3502-8111 内線 6186

  03-3502-7830 直通


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