平成14年4月12日
林   野   庁

森林認証制度の比較可能性・同等性に関する国際ワークショップについて
国際熱帯木材機関(ITTO)主催

1. 平成14年4月3日、4日の2日間、マレイシアのクアラルンプールで、ITTO主催による「森林認証制度の比較可能性・同等性に関する国際ワークショップ」が開催され、ITTO加盟国政府、認証機関、購入者グループ、NGO等から約70名が参加した。ワークショップは、森林認証制度の原則、枠組、要件に関する議論、認証制度間の比較可能性・同等性の確立に向けた取組みの評価、認証に対する購入者グループの見解の聴取を主要課題として行われた。

2. 開会式では、アムハITTO次長(ITTOソブラル事務局長メッセージの代弁)、FAOのボーク氏(シニア・フォレスター)の挨拶に続き、マレイシア第一次産業省のアマン副大臣から、マレイシアは持続可能な森林経営に取り組んできたが認証された森林の92%はヨーロッパ・北米にあること、及び信用できる認証制度の相互承認のための国際フレームワークの設置に向けた活動を支持する旨の挨拶があった。

3. ワークショップでは、@IKEA等の購入者グループやIWPA(国際林産物協会)から森林認証のための市場要求について、AMTCC(マレイシア木材認証委員会)、LEI(インドネシアエコラベリング協会)、カメルーン国家ワーキンググループ等から森林認証の各国・地域制度の取組みについて、BFSC(森林管理協議会)やATO(アフリカ木材機関) 等から森林認証制度の比較性・同等性の改善について発表と質疑応答が行われた。

4. また、森林認証への取組みの中で熱帯木材生産国が直面している主な障壁、森林認証を取得するために必要な段階的なアプローチ、認証を促進するためのITTO の役割等について参加者により議論が行われた。

5. これらの議論を踏まえて、次の内容の議長ペーパーが作成された。

(1)熱帯木材生産国における森林認証は先進国から大きく遅れている。熱帯木材生産国は、持続可能な森林経営のための手段として認証の促進に合意している。
(2)熱帯国は持続可能な森林経営へ向けた取組みの中で社会経済状況や土地所有権等の問題に直面している。また、これらの根本的な問題への国際市場からの理解が不足している。
(3)森林認証は、熱帯木材の原産地の追跡、及び適法性の確認により違法伐採と違法貿易の抑制に役立つ。
(4)森林認証において生産者が、異なる市場や購入者からの多様な要求を満たすことが困難となっている。
(5)購入者と生産者間の混乱を減少させるため相互承認が参加者より支持された。
(6)パン・アフリカ森林認証のような地域イニシアティブは、国家の認証の開発や人材育成への支援に役立つ。

6. 森林認証の促進におけるITTOの役割を強化するために、次のことが提案された。

(1)ITTOは、森林認証に関係する機関の強化、監査システム、訓練等を含む能力向上のための加盟生産国への支援を行うべきである。
(2)ITTOは、森林認証制度の比較可能性・同等性の確立に対する取組みのモニタリングや、加盟国の森林認証基準の統一を促進するための研究を行うべきである。
(3)ITTOは、熱帯木材の違法伐採と違法貿易の抑制における森林認証の間接的な貢献を認めるべきである。
(4)ITTOは、加盟生産・消費国間の対話を促進するとともに、森林認証の原則等について森林関係者や一般大衆に向けて普及を行うべきである。
(5)ITTOは、相互承認のための国際フレームワークに関する活動について加盟国に対し情報提供を継続すべきである。
(6)ITTOは、熱帯地域における地域森林認証会議や関係機関への支援を行うべきである。

木材貿易対策室 貿易第二班
担当:森田、高濱
TEL:03-3502-7830
FAX:03-3502-0305


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