「地域材利用の推進方向及び木材産業体制整備の基本方針」
(検討委員会報告書)の概要

基本方針全文(PDF)             

T はじめに

  ・ 森林・林業基本計画に示された課題に関係者がいかに取り組むべきかを詳細に示すために林野庁が策定する基本方針への意見を聴く場として本委員会を設置

U 地域材利用の推進方向

1 基本的な考え方

  ・ 地域材の利用推進は、地域の林業・木材産業の活性化により適切な森林整備が推進されることで、森林の多面的機能の持続的発揮にも貢献
 ・ 特に地球温暖化防止の面で、木材の利用及び木質バイオマスエネルギーの利用を推進することが必要

2 国民への普及啓発

  ・ 循環を基調とする社会経済システムの実現や森林の多面的機能の持続的発揮といった木材利用推進の意義や理念の普及及びこれを推進するための消費者へ提供する情報及び提供手段の充実を促進

3 住宅への地域材利用の推進

  ・ 森林所有者から住宅生産者までの関係者が連携した「顔の見える木材での家づくり」を推進
  ・ 地域材を利用したリフォーム資材やその利用技術の開発等を通じて新たな需要を開拓

4 公共部門等における地域材利用の推進

 ・ モデル的な公共施設の整備等による公共部門における地域材利用の推進、地域材利用に関するノウハウの蓄積等を通じた民間部門への波及を促進

5 木質資源の多角的利用の推進

 ・ 端材等を燃料とした木くず焚きボイラーや発電施設等の整備を促進し、木質資源のバイオマスエネルギー源としての利用を拡大
  ・ 木質新素材の開発や多様な業種との連携による木材の新たな需要の開拓を促進

V 木材産業体制整備の基本方針

1 基本的な考え方

  ・ 地域の特性に応じて、@徹底的な低コスト化、ロットの確保及び品質・性能の明確化により、大消費地においてグローバルな競争の下で製品を供給する「大量消費の市場に向けた取組」と、A関係者が連携し、顔の見える木材での家づくりを通じて最終消費者の多様なニーズに対応した製品を供給する「関係者の連携に向けた取組」の2方向について取組方針を選択し、今後の有るべき姿を明確化

2 素材生産部門

  ・ 生産性向上に向けた生産量の確保、高性能林業機械や適切な作業方法の導入を推進
  ・ 合併・協業化、広域化等による事業規模の確保、施業の団地化等に向けた安定供給体制の整備を推進
  ・ 年間素材生産量が5,000m3以上の事業体における生産性を、現行(平成12年)4.1m3/人日から、平成22年に5.0m3/人日まで向上

3 加工部門

(1)製材

  ・ 加工部門の中でも量的に最大であり、大量消費の市場に向けた取組を中心に重点的な取組が必要
  ・ 新たな施設の整備、旧生産体制の再編成による低コスト化
、 ・ 乾燥施設、グレーディングマシン等の機械・施設の整備による品質・性能の明確な製品の供給、規模拡大や共同出荷体制による供給ロットの拡大を推進
  ・ 乾燥のコスト低減等に向けて加工機械の効率化や低価格化、加工技術や製品の開発等を推進
  ・ 特色ある地域材の供給が可能な場合には、住宅生産者や消費者との連携強化により差別化された製品の供給を推進
  ・ 製材工場の生産性を現行(平成11年)360m3/人年から平成22年に550m3/人年まで向上

(2)集成材製造

  ・ 低価格な原木の確保や団地的取組等による、ラミナ原価、流通、加工コストの低減等を通じて、集成材への国産材利用を推進し、現行(平成11年)の年間30万m3から平成22年に190万m3まで向上

(3)合板製造

  ・ 低価格な原木の確保や団地的取組等による、単板原価、流通、加工コストの低減、歩止まりや生産性向上のための機械開発等通じて合板への国産材利用を推進し、現行(平成11年)の年間14万m3から平成22年に110万m3まで向上

(4)チップ製造

 ・ 団地的取組と一体となった工場残材からのチップ製造、素材生産も含めた低コスト化等の安定供給体制の整備を推進 ・ 消費者等と連携して国産材を利用した紙製品の製造や普及についての取組を推進

4 流通部門

  ・ 国産材の多段階で複雑な流通過程を合理化し、情報化や短絡化等による機能強化を促進

(1)原木流通

  ・ 地域の特性に応じて、直送化又は既存の原木市場の整理・合理化による大規模化等による原木市場の機能の向上を推進

(2)製品流通

  ・ プレカット工場を製品流通の重要な拠点と位置づけ、情報提供機能等の高度活用を推進
  ・ 製品市場はストック機能、与信管理機能を活かした総合的な住宅資材の供給基地としての方向を目指し、卸売及び小売は情報の発信・提供能力を活かした物流と分離した形で商流を分担する方向を一層推進

5 部門間を通じた取組

  ・ 木材関連業者による大規模な団地的取組の推進
  ・ 連携システム構築促進のための情報提供等の推進、連携システムの活動の強化、消費者の普及啓発活動等を推進
  ・ 価格や流通過程の透明性を確保するとともに、情報化の手法や進め方についての関係者間の合意形成及びこれに対応した加工、流通段階での取組を推進
  ・ 規格、認証等の導入、見直し等についての検討、加工、流通部門における一体的な取組を推進

W おわりに  (略)

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