プレスリリース

平成13年8月23日
林   野   庁

第103回林政審議会の概要について

第103回林政審議会が下記のとおり開催されましたので、お知らせいたします。

今回は、森林・林業基本計画の策定について審議を行いました。

1 日 時:平成13年8月22日(水) 午後1時30分〜4時30分

2 場 所:グランドアーク半蔵門「光の間」

3 議 題:森林・林業基本計画の策定について

4 主な発言内容

(1)森林・林業基本計画策定に係る主要検討事項関係

○複層林は木の組み合わせが出来る。アカマツは深根性で、ヒノキは浅い。機能により前向きな組み合わせが可能。

○複層林については、マニュアルや事例を整理すべき。複層林は単木択伐だけでなく、帯状伐採等ある。

○林道のオープン化についてはマナーなどの問題もあるが、例えば森林と人との共生林ではオープンにせざるを得なく、環境教育など付随する施策が必要。

○山菜を取りに来る都会の人は、地元の人よりも詳しいくらい。山の現状としては、林道は事実上オープン。

○エコツーリズムの観点から、車道と併せて歩道の整備も必要。

○生産コストについてだが、一方で複層林施業をするということでコストアップになると思うが、一方ではコストダウンをする必要があるとしており、その点の整合性が必要

○複層林になると、一本当たりの伐採量が上がるので、素材生産の効率は上がる。
 高性能林業機械を導入しても、稼働日数や稼働能力が重要であり、オペレーターの養成が必要。

○外国と国内の製材コストの比較は、集成材同士で行うなど同質のもので行うべき。エネルギーコストの違いなどもはっきりするはず。

○林地残材には伐り捨て間伐を含んでおり、バイオマスエネルギーとしての活用が重要。ただし、枝条を全て持ち出すことが果たして本当に良いのかという疑問もあるので注意すべき。

○温暖化との関連でバイオマスエネルギーを含めた自然エネルギー利用は大きなテーマ。間伐を進めていく上でも、間伐材の大量需要に結びつく。

○バイオマスエネルギーは農山村での活用に期待したいが、電力会社に買ってもらえば需要は莫大。結局、電力会社の買い取り制度のあり方が重要であり、電気料金の中に組み込むことで、コストは吸収できるはず。

○バイオマスエネルギー利用の普及は、要は経済的に成り立つかということになり、社会情勢の変化を待つしかない面もある。  

○建設発生木材、いわゆる住宅廃材の量が、今後非常に多くなるが、どう集めるかが問題。化学物質の問題もある。

○バイオマスエネルギーの普及は、実験的に導入することも必要。情報を広く、柔軟に収集すべき。能動的なPRが必要。

○IPCCにCOを削減する方策を検討するワーキンググループがあり、バイオマスを使うのが最も良いという結論であったと聴いている。

(2)「林業経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化に関する事項についての基本方針」の見直しについて

○林野庁の施策をみると、融資と税制。林業が成り立つには、生産された木材が安定的に販売されなくてはいけなく、最大の課題。

○金融の現場では、一般に担保物件が必要となるが、森林は担保にならない。無担保融資とはいかないと思うが、金融制度のあり方も含め検討して欲しい。

○経営という観点に加え、必要な森林整備からも木材を使っていくことが必要。木材を使う枠組みをある程度考えることが必要。  

(3)森林・林業基本計画骨子(案)について

○人材の育成や技術開発など多方面に関連する施策の位置付けに工夫が必要。

○IT社会にどのように対応していくかという視点が必要。

○施策を推進していく上で、国民のニーズの把握に努めることについて触れるべき。

○森林の望ましい姿を示し、森林がその方向に誘導されているかを客観的に示す上でデータの整備について触れることは重要。  

○データの継続も重要であり、これを確保するために調査のシステム化、制度化を期待する。また、その成果は常に公開されることが望ましい。

○森林を国民に開かれたものにしていくことは望ましい姿勢。国民の要請を的確に把握し施策に活かせるよう、地域の合意を常に念頭に置いておくべき。

○森林は社会全体で支えていくべきとの基本認識であるが、これには林業の技術も必要不可欠である。林業技術の発展・向上についても、まさに行政の役割として意を用いていただきたい。

○森林に対する国民の関心は大変高まっている。国民の側から吹いてくる追い風を林野庁は十分に活かすべき。そのためにはマスコミを活用した国民への情報提供戦略を十分に考えるべき。

○「都市と山村の交流」で共生、健康づくり、山村の活性化等に触れているが、これらはソフトが大事でありこれについても細かく書いてあり、非常によい。他省庁とも連携をして推進していただきたい。

○基本計画は国民にわかりやすい記述とすることを十分に留意してほしい。テクニカルタームはともかくわからない言葉は使うべきではない。

○森林に要求されていることとして二酸化炭素の吸収源としての期待が高まっている。森林の望ましい姿について二酸化炭素の吸収についての記述もあっていいのではないか。

○水土保全林における路網の考え方には推進と抑制の両面があり、これらを調整する仕組みが大切。

○適正な輸入の確保の項に関連して、ITTOでの持続的森林経営から産出される木材を貿易の対象とするとのルールの具体化を主張していくことを期待したい。

○森林と都市との関係について冒頭で整理してはどうか。都市と森林との交流の促進において民間の参入も期待される。  

  問い合わせ先  
林野庁基本計画検討室  益田、村上
 電話(代)03-3502-8111 (内6097、6098)
   (直)03-3591-1680