プレスリリース
平成13年8月3日
林 野 庁
林野庁としては、学識経験者等からなる「保安林の技術問題に関する研究会」を開催し、森林に対する国民のニーズの変化を踏まえつつ、保安林の機能を十分に保全する観点から、保安林の指定施業要件(伐採の方法・限度及び植栽についての規制内容)の見直しについて検討がなされてきたところです。
この度、同研究会において別添のとおり報告がとりまとめられましたのでお知らせします。
問い合わせ先
林野庁治山課
企画班担当課長補佐 五関一博(内線6277)
担当者 村上卓也(内線6278)
TEL 03−3502−8111(代表)
03−3502−8074(直通)
現在、林業をめぐる厳しい状況の下で間伐の遅れ等による保安林の機能の低下が懸念されており、コストの削減と効率的な森林整備が求められている。また、森林に対する国民の要請は、木材生産、国土保全、水資源かん養はもとより、良好な生活環境の保全、保健・文化・教育的利用、温暖化防止等の地球環境の保全、生物多様性の保全等多様化・高度化し、重視すべき公益的機能の別に応じた森林施業など多様な施業の実施が求められている。
このため、保安林における多様かつ効率的な森林施業が、保安林の公益的機能の維持に支障のない範囲で実施されるよう指定施業要件の問題点を検討し、次のとおり見直すことが適当である。
(1) 伐採の限度の見直し
@ 皆伐することができる1箇所当たりの面積の見直し
皆伐することができる1箇所当たりの面積:
20ヘクタール以下
⇒
皆伐することができる1箇所当たりの面積:
必要に応じて縮小
A 択伐の場合の択伐率の見直し
択伐率の限度:3/10
⇒
択伐率の限度:4/10
(ただし、伐採後に植栽しない場合:3/10)B 間伐率の見直し
間伐率の上限:2/10
⇒
間伐率の上限:35/100 (2) 植裁義務の見直し
(1)植栽本数:
全国一律3,000本/ha
(2)択伐等の場合の植栽本数:
(規定なし)
(3)天然更新木の扱い:
(規定なし)
(4)植栽樹種:
経済的利用に資する樹種
⇒
⇒
⇒
⇒
(1)植栽本数:
立地条件と樹種に応じた本数
(2)択伐等の場合の植栽本数:
伐採率で算定
(3)天然更新木の扱い:
植栽本数に算入可
(4)植栽樹種:
多様な樹種
(注)基準の見直しには政令等の改正が必要であり、更に1箇所ごとの保安林について個別に指定施業要件を見直し、改正後の基準に基づき変更手続きを行うものである。
資料1
第1 趣旨
林政改革大綱において、これまでの木材生産を主体とした政策を抜本的に見直し、国土保全、水資源かん養、環境の保全等森林の多様な機能の持続的な発揮を図るための政策へ再構築することとし、保安林制度については、森林に対する国民のニーズの変化を踏まえつつ、保安林の機能を十分に保全する観点から、保安林の指定施業要件の見直しを行うとされたところである。
この指定施業要件のあり方について技術的観点から検討を行うため、保安林の技術問題に関する研究会(以下「研究会」という。)を開催することとする。
第2 検討事項
1 保安林の指定施業要件の現状と課題
2 今後の指定施業要件のあり方
3 保安林における森林施業について
4 その他
第3 研究会の運営
1 構成
別紙のとおり
2 座長
研究会に座長を置き、委員の互選によりこれを定める。
3 庶務
研究会の庶務は、林野庁森林整備部治山課においてこれを処理する。
4 その他
この要領に定めるもののほか、研究会の運営に関し必要な事項は、座長が研究会に諮って別に定める。
資料2
(委員は五十音順敬称略)
委 員 太 田 猛 彦 東京大学教授(座長)
小 松 敏 行 静岡県農林水産部林地保全室長
竹 内 美 次 森林総合研究所水土保全研究領域長
谷 本 丈 夫 宇都宮大学教授
藤 森 隆 郎 (社)日本林業技術協会技術指導役
真 板 昭 夫 (財)自然環境研究センター理事
事務局 林野庁治山課
資料3
第1回(5月8日)
・ 太田猛彦委員(東京大学教授)を座長に選出
・ 保安林の指定施業要件の現状と課題等を検討
第2回(5月29日)
・ 指定施業要件の見直しの必要性を検討
第3回(6月12日)
・ 指定施業要件の見直し(案)等を検討
第4回(7月10日)
・ 研究会報告書(案)等を検討
・ 報告書の最終的な取りまとめを座長に一任