プレスリリース
 

平成13年4月12日
(社)国土緑化推進機構

第12回「みどりの文化賞」受賞者の決定について

1.テーマ

上下流の協力による森林づくりの推進

2.受賞団体

財団法人矢作川水源基金(理事長 愛知県 岡崎市長)

3.受賞理由

(財)矢作川水源基金は、矢作川流域のこれまでの「水」利用をめぐる歴史の上に立って、地域住民の自主的な動きを受けて昭和53年に設立されました。今日迄の その事業活動は、上下流が一体となって森林づくりに取り組む全国のモデルとして 評価されます。

4.選考基準等

社団法人国土緑化推進機構は、「緑と水の森林基金」による事業として、平成2年 に緑や水・森林に関し顕著な功績のあった者を顕彰する「みどりの文化賞」を創設しました。毎年、「緑と水の森林基金」運営審議会でテーマを設定し、そのテーマ に関して最も貢献された個人又は団体を選考しております。

5.表彰

(1)「みどりの文化賞」の表彰は、来る4月29日、日比谷公園小音楽堂前広場で開催する第12回森と花の祭典「みどりの感謝祭」の式典において行います。

(2)みどりの文化賞受賞者には、

ア みどりの感謝祭名誉総裁秋篠宮文仁殿下の表彰状

イ 社団法人国土緑化推進機構から賞牌及び賞金100万円 が授与されます。


問い合わせ先
(社)国土緑化推進機構
担当 : 茂田
 電話 3262−8451

 


<参考−1>

1 「みどりの文化賞」の経過

(1)第1回 (テーマ)戦後の森林造成と国土緑化

(受賞者)徳川宗敬 氏   (故人)

(2)第2回 (テーマ)木の文化の継承、発展に貢献した者

(受賞者)西岡 常一 氏

(3)第3回 (テーマ)森林と水との関わりを社会にひろめる

(受賞者)財団法人 水利科学研究所

(4)第4回 (テーマ)森林と水の守り手,山村を支える(個人)

(受賞者)黒澤 丈夫 氏(群馬県上野村村長)

(5)第5回 (テーマ)森林と水の守り手,山村を支える(団体)

(受賞者)宮崎県諸塚村

(6)第6回 (テーマ)ボランティア活動による森林づくり

(受賞者)草刈り十字軍

(7)第7回 (テーマ)持続的森林経営をめざす森林づくり

(受賞者)高橋 延清 氏

(8)第8回 (テーマ)大都会のなかでの自然豊かな森林づくり

(受賞者)明治神宮の森

(9)第9回 (テーマ)海を蘇らせた森林づくり

(受賞者)えりも岬の緑を守る会

(10)第10回(テーマ)「森林文化」の新たな展開

(受賞者)筒井 迪夫 氏

(12)第11回(テーマ)民間公益団体による緑化活動支援

(受賞者)ゴルファーの緑化促進協力会(GGG)

2 みどりの文化賞選考委員(五十音順)

梅原 猛  (国際日本文化研究センター顧問)

片山 正英 ((社)日本林業協会名誉会長)

加藤 芳郎 (漫画家)

木村 尚三郎(東京大学名誉教授)

高木 文雄 ((財)森とむらの会会長)

<参考−2>

(財団法人)矢作川水源基金の概要

1.設立目的

矢作川水系における水資源の安定的確保を図り、関係地域の振興と流域の一体的な発展に資する。

2.所在地

愛知県 岡崎市

3.設立年月日

昭和53年2月(知事認可)、同56年1月(内閣総理大臣認可)

4.代表者

理事長  柴田 紘一(岡崎市長)

5.構成員

愛知県矢作川流域の20市町村

6.基本財産

586,936千円

7.出資金の内訳

愛知県 260,000千円、市町村  250,000千円

国    25,000千円、賛助(中電)50,000千円

寄付金   1,936千円

8.事業運営経費

事業運営の経費は、上記基本財産の運用益と県(2/3)、市町村の負担金(1/3)によっている。

9.事業内容

@ 水源林対策事業、A一般振興対策事業、B調査研究事業、C水源地体験事業、Dシンポジウムの開催

10.12年度予算・主要事業量

(予算)    58,935千円

(事業量) 人工造林    52ha.

下刈り    143ha.

間伐     123ha.

作業路開設 2,350m.                     

(以上)

<参考−3>

(財)矢作川水源基金の業績

(1) 愛知県西三河の矢作川流域では、明治13年に、明治用水が建設され地域の農業振興に寄与する等、古くから地域を挙げて水問題や上流域の森林整備に取り組んできた歴史がある。昭和40年代の半ばには、折からの水需要の高まりに応えるため、流域に位置する市町村を会員とする「矢作川流域開発研究会」が設立され、水系を一貫した治山治水対策、水源地帯における森林資源の保全、そのための資金の下流域負担のあり方等について討議が重ねられた。
かかる地域住民や自治体の動きを受けて、愛知県の総合的な指導の下に、上下流の市町村が協力して水源地の森林を保全することを目的に、昭和53年、本基金が設立された。

(2) 本基金には、構成員である愛知県内の矢作川流域20市町村に加え、愛知県、国等が出捐しており、出資金の総額は5億9千万円となっている。 毎年の事業は、この基本財産の運用益と愛知県及び市町村の負担金により実施されており、平成12年度の事業予算は約6千万円となっている。

(3)本基金の助成対象となる水源林整備事業は、この20市町村のうち上流の水源地域に位置する9市町村において実施されている。構成員の市町村は、受益する市町村をも含め、人口比率に応じて毎年の事業費負担を行っており、地域を挙げて水源林の保全に努めている。また、矢作川の最上流部に位置する長野県の2村、岐阜県の3町村でも本基金により間伐等への事業助成が行われている。

(4)本基金では、国や県の補助事業との整合性を保ちつつ、きめ細かに事業を実施することに重点をおいており、簡易な設計による作業路によるきめ細かな路網開設、新植についての苗木代の一部助成等により、水源林の整備を行っている。また、作業路の開設や植栽などのハード事業に加え、上・下流の親子参加による森林整備作業体  験会の開催、シンポジウム、各種研究会の開催等ソフト事業を併せ実施し文字通り地域を挙げて森林整備活動に取り組んでいる。

(5)以上のように、本基金は当流域のこれまでの「水」利用をめぐる歴史の上にたって地域の自治体の自主的な取り組みの中から設立されたものであり、その活動は上下流の自治体が一体となって森林整備に取り組む全国のモデルとして高く評価されるものである。