多様で健全な森林の整備・保全等を通じた地球温暖化防止
 森林の有する地球温暖化防止等の多面的機能の確保を図るため、新たに「森林整備保全事業計画」を策定するとともに、「地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策」に即して、森林法の見直し(機能の低下した保安林の施業確保や、NPO等による森林施業の助長等)に併せた管理不十分な森林の整備、土石流等の災害を未然に防止するための治山施設の整備、間伐、複層林化や針広混交林化等の推進、国民参加の森林づくり、緑の雇用の創出等を図りつつ、多様で健全な森林の整備・保全を重点的に実施。
平成16年度概算決定額(平成15年度予算額)
(単位:百万円)
1.多様で健全な森林の整備
 多様で健全な森林の整備を図るため、森林整備事業及び治山事業を効果的かつ着実に推進。
林野一般公共事業        317,194(327,156)
(1)長期育成循環施業の推進(公共)
49,091(49,400)の内数
 抜き伐りを繰り返しつつ徐々に更新を行う長期育成循環施業の積極的な推進により、複層林への誘導・造成を促進。
(2)特定保安林整備総合対策(公共・非公共)
94,517(99,376)の内数
 間伐等が不十分で機能が低下した保安林を特定保安林に指定するための調査を行うとともに、新たに特定保安林を対象として治山施設の整備と本数調整伐を一体的に行うほか、要整備森林における間伐の推進を図るなど、重点的な森林の整備・保全を推進。
(3)NPO等の多様な主体の参加による森林の整備の推進(公共)
105,803(113,357)の内数
 森林整備事業の事業主体として新たな協定制度の認定を受けた者(NPO等)を追加するとともに、経験豊かなボランティア団体や上下流の住民等多様な主体の参加による里山林、水源林等の整備を推進。
(4)森林整備法人による多様な森林整備の推進(公共・非公共)
6,488(6,219)の内数
 地域に根ざした公的主体である森林整備法人による多様な整備を推進。
(5)森林整備活性化資金の貸付けによる健全な森林の育成
貸付枠 3,200(3,200)
 無利子資金である森林整備活性化資金の貸付けにより、林業経営の改善と多様で健全な森林の育成を推進。
(6)緑の雇用担い手育成対策
7,000(0)
 森林整備を担う林業就業者の確保・育成を図るため、緊急雇用対策で森林作業に従事した者を対象に専門的技能・技術を付与するための実地研修等を実施。
(7)緊急間伐総合対策(公共・非公共)
45,808(45,841)
 計画的な間伐の実施と路網整備の一体的な推進や間伐材利用の促進を図るなど「緊急間伐5カ年対策」を着実に推進。
(8)効率的な林内路網の形成(公共)
50,182(50,492)の内数
 既設作業道の局部改良による既存ストックの活用や、森林管理道と森林施業道を効果的に組み合わせる「組合せ型路網」の推進により、効率的に林内路網を整備。
(9)奥地水源林における多様な森林の整備(公共)
30,919(20,734)
 国有林の奥地水源林において、生物多様性が確保された多様な森林環境を整備するため、郷土樹種(広葉樹)を主体とした保護樹帯を設定することにより地域固有の森林を再生する等、天然力を活用しつつ効果的・効率的な森林の整備を推進。
(10)花粉抑制森林対策
113(119)
 雄花着花量に着目した効果的な抜き伐り、花粉の少ない品種の普及等を着実に推進。
2.保安林等における森林の保全
 土石流、山崩れ、地すべり等の災害の防止や良質な水の安定的な供給等、国土の保全を図るため、重点化・効率化を図りつつ、治山事業等を着実に実施。
(1)土石流・流木災害等防止強化対策(公共)
104,753(112,470)の内数
 土石流・流木等による災害を未然に防止するための治山施設の整備や災害に強い森林づくり、災害に対する監視・観測体制の整備等から成る総合的な防災対策を重点的に実施。
(2)奥地水源地域荒廃地等の保全(公共)
51,717(54,685)の内数
 流域全体に影響を及ぼす奥地水源地域の荒廃地等において、木材等現地で採取可能な資材を活用した工法等により、復旧整備を重点的に実施。
(3)松くい虫被害対策の推進
2,475(2,376)
 生活環境の保全に重要な役割を果たしている松林の保全のため、松くい虫被害に対して、松林保全対策を重点的に実施。
3.国民参加の森林づくり等の推進
○ 国民参加の緑づくり活動の推進
382(483)
 幅広い国民の参加による森林ボランティア活動の定着を図るため、森林ボランティア活動情報の発信、NPOによる活動の支援、活動フィールドの拡大等を促進。
○ 豊かな海と森林を育む総合対策
36,704(36,591)の内数
 森林・林業関係者と漁業関係者等の参画の下、豊かな海を育む森林の整備・保全と漁場環境の改善に係る施策を一体的かつ総合的に実施。
4.木材・木質バイオマス利用の推進
○ 木材・木質バイオマスの利活用の促進
3,394(1,906)
 大手住宅メーカー等のニーズに対応した地域材の新しい流通・加工システムの構築や、木質バイオマス利活用施設の整備、合板や新たな木質資材への地域材利用を促進するための技術開発等を実施。
5.森林吸収量の報告・検証体制の整備
○ 森林吸収量報告・検証体制緊急整備対策
2,450(1,279)
 森林のCO2吸収量報告に不可欠な森林資源データの精度の検証・向上、保安林の森林経営に関する管理情報の整備及びデータの効率的な収集手法の開発等を実施するとともに、国レベルでデータを一元化するためのシステム開発等を実施。

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