ホーム > 生物の多様性の保全 > 森林の恵みと危機~九州の生物多様性~ > 我が国の自然が多様な理由
我が国には、変化に富む彩り豊かな森林が広がっていますが、これには日本列島の形成の経緯、急峻な山岳地や島嶼など変化に富んだ地形、複数の海流と季節風がもたらす温暖湿潤な気候等が大きく影響しています。
生物は、島のように外部から隔絶された地域では独自の進化を遂げるようになります。日本列島は、その形成の長い歴史の中で大陸から離れ、やがて現在のような形となり、島に残された生物が独自の進化を遂げてきました。
このため、日本には固有種(その地域にしか自生しない種)の割合が非常に高く、例えば、日本に自生している植物約5,500種のうち、約2,900種が日本にしか見られない固有種とされています。
生きた化石と言われるアマミノクロウサギ。奄美大島と徳之島のみに生息 |
ヤマフジ 我が国ではよく見られる種であるが、我が国の固有種 |
スギ 我が国ではよく見られる種であるが、我が国の固有種 |
我が国は、自然、森林と人との関わりが深く、「森の文化」、「木の文化」を有する国と呼ばれてきました。人と自然が関わりをもつ中で維持管理が繰り返されてきた森林地域や草原など人の手が加えられた自然環境を好む生物も多数生息しています。
草地など開放的な空間を好むノウサギ |
ウサギなどを補食する草原性猛禽類のイヌワシ |
草原を好む蝶ルリシジミ |
日当たりの良い環境を好むオミナエシ |
同じ緯度でも低地と高地では気温や湿度等が異なってきます。日本列島は、多くの島からなり、また、1,000m級以上の山々が連なります。これに加えて微地形・微気象も変化に富んでいることから、同じ面積でも他に比べ、生物の種類が格段に多くなります。 また、緩やかな気候の変化が生じても高標高や低標高の地域に移動できるため、氷河期と間氷期が繰り返されてきた中でも多くの生物が生き残ってきました。 例えば、世界遺産となっている屋久島は、小さな島に2,000m近い山地がそびえることから、ガジュマルのような亜熱帯性の植物から冷温帯や亜高山帯の植物までが垂直に分布する世界でも非常に珍しい島です。 |
我が国は、南北約3,000kmにわたり、暖流と寒流が流れています。九州は、南北約1,200kmの中・低緯度に位置し、加えて日本海流と対馬海流の2つの暖流で囲まれていることから温暖な気候となっています。
日本列島に生息する多くの生物種は、海峡が分布の境界になります。動物種、特にほ乳類では、本州と北海道の境界である津軽海峡、屋久島と奄美諸島の間にあるトカラ海峡(鹿児島県)が重要な境界線となっており、線を境に異なる生態系が見られます。 |
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