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九州森林管理局

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    九州森林管理局のシカ被害対策の取組状況


      九州の中南部を中心に、シカの生息数の増大や生息域の拡大が進み、農林業被害に加え、森林の下層植生や希少種の消失・絶滅等が進行しています。

      九州森林管理局では、これまで植栽木や植生保護のためのシカ侵入防止ネットの設置を行ってきましたが、シカによる生物多様性や農林業への被害の大きさに鑑み、様々な対策に取り組んでいます。 

    九州のシカ被害と対応の現状

     

    シカの生息應況等について

    ○ 九州における生息域は1978年から2003年の25年で1.5倍以上に拡大

    (全国的には1.7倍以上に拡大)
     
    ○ 生息頭数は、九州全域で27万頭以上(県数値の計)で、適正頭数(同、3.6万頭程度)の7倍以上。
     
    ○ 一方、捕獲は6.6万頭程度(H21)
     

    シカ分布凡例

    シカの生息分布状況(柿色の部分が生息拡大域)

     

     

     


     

    被害状況

     

    ○希少種を含む野生動植物の生育地の著しい減少・劣化・消滅が進行し、生物多様性は危機的な状況
     
    ○ほぼ九州全域において農林作物への深刻な被害が継続。シカの圧力は高コスト林業や資源価値の逸失による林業再生、山村の基盤を毀損
     

    白髪岳

    人工林の被害

    シカによる森林の破壊

    ヒノキが倒伏し、人工林とは思えない状況

    今後の対応方向

     

    対応方向

    現在のシカの森林に対する過剰な圧力を大幅に軽減しなければ、「生物多様性の保全」と「林業の再生」は不可能との考えの下、22年度から新たにシカの個体数調整方策も含んだ総合的なシカ対策の構築に貢献することとしています。

     

    取組の柱

    従来から行っている森林植生・造林地の保護のための柵の設置に加え、以下を重点的に実施。

    (1)シカへの対応方策検討のための調査・実証事業

    霧島地域、屋久島地域等をモデル地域として、以下を検討、実証。(H21~25)

    (ア)被害実態の把握
    (イ)シカの生息・分布状況、行動パターン等の調査
    (ウ)保護すべき箇所の特定と対応策(植生保護柵の設置等)
    (エ)効果的・効率的な個体数調整方策 等

    (2)シカの効果的・効率的捕獲技術の開発

    宮崎県霧島等において、生息状況や行動パターン等を把握しつつ、くくり罠、捕獲柵、広域誘導捕獲柵等を用いた効果的・効率的な捕獲方法の開発・実証を実施。  
    (H22~26 森林技術センター(宮崎市))
     

    (3)シカの捕獲

    シカによる森林への圧力の軽減を行う観点から、署等においてシカの捕獲を積極的に実施。(H22~)
     

    (4)地域との連携

    シカ被害対策の推進に当たっては、シカの保護管理の権限を所掌する環境省、県、市町村及びシカの生態等に関するノウハウを有する森林総合研究所等研究機関、捕獲を実施している猟友会等と連携。
    また、地域全体での取組を促進する観点から、情報・知見の交換や国有林のフィールドとしての提供等を推進。
     

    平成22年度の取組状況

    シカ被害の分析能力の向上

    天然林や人工林の生物多様性の低下・毀損度については、十分に把握されていないのが現状。
    このため、シカの森林への圧力がどの程度かかっているのかを把握する有効なツールとして、シカが好む、あるいは好まない草本類、木本類等に関する植物図鑑を作成。
    これを用いることにより、天然林や人工林への食圧や生息数の多寡の状況を把握。

    シカ好き嫌い図鑑


    シカの行動パターンなどの把握

      平成22年度は、シカの効果的、効率的捕獲方法の構築に不可欠な情報であるシカの行動パターン、生態等を重点的に把握。

    (ア) シカ道の入り込み状況の調査
    (イ) GPSテレメトリー(首輪)によりシカの移動状況を分、時間、日、月、年単位で把握
    (ウ) 餌や罠等へのシカの反応をカメラ等で調査

    給餌

    入込状況調査

    給餌試験の実施(左下は給水器)

    シカ道を歩き、入込状況を調査

    カラスザンショウ餌

    GPS装置

    給餌試験に用いるカラスザンショウ(左)、人工飼料と岩塩(右)

    シカへのGPS装置の装着状況

     


     

    シカの捕獲マニュアルの作成

    シカの効果的、効率的な捕獲を推進するためには、まずは、これまで蓄積された詳細な技術、情報等を取りまとめ、これを活用する必要があることから、くくり罠に関する技術を有する職員及び外部の技術者にヒアリング等を行い、「くくり罠による捕獲マニュアル(暫定版)」を作成。
    今後、より科学的分析を加え、平成23年度中を目途に第一次マニュアルを作成の予定。

    シカ捕獲マニュアル

    シカ捕獲マニュアル(くくり罠編)
    (記載項目)
    1 シカの生態、食性と行動パターン
    2 シカによる森林被害の態様
    ・食圧の状況と生息数の多寡
    3 くくり罠による捕獲
    ・捕獲の基本的考え方と心構え
    ・有効なくくり罠
    ・捕獲効率を上げる工夫等
    4 その他
     

     

    職員によるシカの捕獲 

    くくり罠の捕獲マニュアル(暫定版)等を活用しつつ、シカの捕獲を推進。昨年度から狩猟期においても捕獲を実施。
    また、その結果については、局署等で情報を交換・共有。

    cop1

    くくり罠研修会

    シカ捕獲業務検討会(COP1)

    くくり罠の研修会

     


     

     

    シカの生息域の拡大防止

    シカの非生息地域等への侵入による森林の生物多様性や農林業への被害を防止するため、シカの広域移動を規制する柵(シカ・ウオール)を設置。
    平成22年度は、シカ生息密度が高くなってきた宮崎市青井岳地域から宮崎県南部の飫肥、鰐塚山地域への侵入路を遮断するため、宮崎県と連携を図りつつ、広域移動規制策柵(シカ・ウオール)を2.5km程度設置。

    シカウォール

    シカの広域移動規制柵(右図の赤線部分)の設置

     


     

     

    捕獲技術の開発に向けた取組

    平成23年度からの本格的な試験に向け、本年度は各種の罠へのシカの反応、罠の併用方法と効果、捕獲柵へのシカの誘導方法、ドアの仕様等について把握、検討。
     

    モデル図

     

    (検討する捕獲手法等)

    ・くくり罠
     
    ・箱罠
     
    ・捕獲柵
     
    ・広域誘導捕獲柵
     
    ・広域行動規制柵
     
    ・その他

     

     


    屋久島世界遺産地域等における取組

    屋久島世界遺産地域科学委員会の下にヤクシカ対策のワーキンググループを設置し、科学的知見に基づく被害対策を検討・推進。
    また、世界遺産のクライテリアに該当する屋久島西部の垂直分布地域の植生を保護するため、垂直方向(間断的)に植生の保護柵を設置。

    屋久島世界遺産地域科学委員会

    屋久島世界遺産地域科学委員会

     


     

     

    地域との連携と発信

    ・被害の酷い地域(霧島、熊本南部、宮崎北部)においては、県、市町村、猟友会等の参画を得て、局主催のシカ対策検討会議を開催。
    ・シカ被害の現状と対策に関するシンポジウムを熊本市(平成22年2月)、小林市(平成23年2月)、屋久島町(平成23年2月)で開催。平成23年度は大分県で開催予定。
    ・森林環境教育の一環として、「シカと森林のカード」を作成し、シカによる生態系への影響を普及。
    ・九州の生物多様性に関するパンフレットを作成・配布。シカが生物多様性に及ぼす影響について説明。
    ・取組状況等については、マスコミや様々な媒体を通じて発信。

    シンポジウム

    検討会議

    シカに関するシンポジウム(熊本、霧島、屋久島)

    局主催のシカ対策検討会議(人吉市、高千穂町、湧水町)

     

    シカと森林のカード

    生物多様性資料

    「シカと森林のカード」を使った教職員を対象とした森林環境教育

    生物多様性のパンフレット

    お問合せ先

    計画保全部保全課
    ダイヤルイン:096-328-3542
    FAX:096-353-1965