学びのコツは楽しむこと!津山市立北陵中学校職場体験学習「チャレンジワーク14」
11月20日(火曜日)から22日(木曜日)までの3日間、津山市立北陵中学校2年生の職場体験学習として、山や木々が大好きな元気いっぱいの中学生2名が岡山森林管理署に来てくれました。
1日目午前中は、マツボックリ等木の実の採集を体験してもらいました。岡山森林管理署では木工クラフト(自然材料を組み合わせたクラフト作品)教室を行うことが多く、その材料集めも岡山森林管理署の重要な仕事の一つです。
中学生たちは多種多様な樹種に興味津々で、様々な木の実を見つけては、「これは何の樹種だろう?」「どの木から落ちてきた木の実かな?」と、どんどん自身の知的好奇心を刺激しながら活発に職員へ質問をしている様子が見られました。
さまざまな木々が植栽されています | 木の実を割ると何かが出てくる・・・? |
1日目午後には大師谷国有林へ移動し、防鹿柵(シカによる食害を防ぐために設置される柵)の巡視を体験してもらいました。大師谷国有林には4年目になる苗木の植栽地があり、その植栽地を囲う防鹿柵について、破損の有無等について確認しながらパトロールをしてもらいました。パトロールの結果、防鹿柵の外側に、シカにより樹皮剥ぎされた木々を発見することができました。樹皮剥ぎにより木部がむき出しになってしまった幹を触りながら、中学生たちは職員による林業と獣害に関する説明を真剣なまなざしで聞いてくれました。
また、山のなかへ足を踏み入れた中学生たちは口ぐちに「紅葉がきれい。」「小川の水に手を浸してみたら、とても冷たかった!」「たくさんドングリが落ちているね。」と自由な感想を言い合い、自然味溢れる山の秋景色を五感全体で感じながら、とても嬉しそうな表情を見せてくれました。
防鹿柵を遠望で解説中 | シカに樹皮を剥がされた木々に触れて |
2日目は、津川山国有林の生産事業の現場で、間伐作業の見学を行いました。間伐を行っている林内では、たくさんの高性能林業機械(集材された材の枝払い、測尺、玉切りを連続して行うプロセッサなど)が、効率的かつ適切に木々を集積している様子が見られました。
中学生たちは、大きな体躯を動かしながらも細かな仕事ぶりを見せるプロセッサに感心しつつ、目を輝かせながらじっくり見学していました。
プロセッサに興味津々! | 休憩中のグラップルに接近! |
見学の後は、木工クラフトの材料に用いるため、間伐作業現場の端に自生していた細い広葉樹の伐倒体験もしてもらいました。「立木ではないけれど、板なら切ったことがある。技術の授業でノコギリの使い方を習った。」という中学生たちは手馴れた様子で木々をスムーズに切り倒しており、彼らの応用力の高さに、職員一同、思わず目を丸くしてしまいました。
伐倒した木々の玉切り(一定の長さに切りそろえる作業)まで終えると、中学生たちには丸太を肩に担いで山を下りてもらいました。中学生たちはしっかりした足取りで重たい丸太を運んで行き、その風格たるや、職員顔負けの山の職人のようでした。
広葉樹を伐採してもらいました | みんなで丸太を担ぎます! |
3日目は、立木津谷国有林にて、収穫調査を体験してもらいました。収穫調査では、間伐や皆伐等で立木を伐採する場所について林分の材積等を調査するために、立木の高さや太さを計測していきます。
目視による樹高計測や樹種判定など難しい作業もありましたが、「スギは水をたくさん好むので、谷に植えると良い」「スギとヒノキの葉の形はこんなに違う」「遠目に見ると、スギはトゲトゲ、ヒノキはもこもこ」等、中学生たちは今までの2日間で習得した沢山の知識を総動員しながら、一生懸命考え、積極的に動いてくれました。
遠望でも樹種は判るのです! | 樹高は何メートルかな? |
収穫調査体験の後は、収穫調査で得られた情報を整理し、森林管理の計画策定に関わる計算作業を行いました。中学生たちは、職員からの説明を聞きながらたくさんの資料を見比べ電卓をはじき、間伐や森林管理に関する考え方について、しっかり理解を深めたようでした。
また、計算後には岡山森林管理署の敷地内でコンパスによる測量体験をしてもらい、中学生たちは細かな測量作業に四苦八苦しながらも、山中と街中、それぞれ異なる環境での測量の違いについて学びました。
体を使った調査の後は、頭を使った計算作業・・・ | 測量にはチームワークが不可欠! |
一連の体験学習の後、収穫調査体験の合間に採取したクロモジの枝を用いて、爪楊枝製作を行いました。クロモジは、その樹皮に特有の良い香りがあることから、樹皮を残した形状の和菓子用爪楊枝の材料として、日本国内では古くから利用されています。
爪楊枝製作の下準備として職員がナタを使った作業をしていると、その様子を見つめる中学生たちはいつの間にか前傾姿勢になっており、ワクワクした気持ちがあふれ出しているかのようでした。いよいよ製作作業が始まると、中学生たちは一生懸命に作業に取り組み、持ち手が短い子ども用爪楊枝や、柔らかな形状の優しい爪楊枝など、それぞれ個性あふれるクロモジ爪楊枝を製作してくれました。中学生たちは完成品を手にしながら、誇らしげな顔で「家族へのお土産にする」と語ってくれました。
職員のナタ使いに思わず前のめり! | これで美味しい和菓子が食べられます♪ |
今回の職場体験学習に来た二人の中学生は、山や森林への関心が高く、また、自ら考え楽しみながら学ぶことが上手で、職員へ積極的に質問をしてくれたことから、一つ一つの体験内容を掘り下げながら実施することができました。また、作業や安全管理についての説明も真面目に受け止め、とてもしっかりとした態度で臨まれ、無事に怪我無く3日間の体験学習を終えることができました。
この3日間を通じて、生徒たちには国有林や林業に関する様々な仕事を体験してもらいました。今回の体験が彼らの心の片隅に少しでも留まり、大人になってからも林業や木材、木々や森林を愛する気持ちを持ち続けてもらえるよう、岡山森林管理署職員一同、今後とも国有林野事業の普及啓発活動に全力を尽くして参ります。
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