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関東森林管理局

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    イヌワシの生育環境を保全するための森林施業

    希少猛禽類のイヌワシは、林地開発やうっ閉した林分の増加による餌場の減少等により環境が変化し、近年その繁殖率が著しく低下しており絶滅が危惧されています。
    このため、研究者等からイヌワシの生息環境を維持するために、営巣環境の保全・餌場の確保など、生物多様性に配慮した森林の整備が求められています。
    当署管内の一部でも、1997年にイヌワシの生息や営巣が確認されましたが繁殖に至っておらず、失敗原因のひとつとして育雛期の餌不足が挙げられます。

    そのため、営巣地付近の39~40年生スギ人工林内で、15箇所の伐採空間(プロット)を設け、間伐による光環境の改善によって侵入植物、昆虫、動物などの森林環境がどのように変化し、人工林において一般的に乏しいと言われている生物多様性がどのように確保できるか。そのためにどのような人工林間伐が有効となるか等について、新潟県イヌワシ保全研究会柳川雅文氏と関東森林管理局が連携して調査・研究・評価を試みました。


    施業箇所林分全景写真


    間伐後においては、施業地内に定点を設け動物の足跡や糞により動物の数を割り出したり、区域全体が見える地点からイヌワシの採餌行動を観察しています。
    伐採空間の確保により動物の生息環境を改善する試みは、森林の多面的機能推進の一環として人工林地内を狩りの可能な森林に生まれ変わらせる施業の検証となり、公益的機能の発揮や多様な森林整備の開発に必要なものと考えます。
    これからも、こうした取り組みについて多くの方々に発信していきたいと思います。
    (なお、この取り組みについて、平成16年5月に開催された「第50回林業技術コンテスト」(主催:日本森林技術協会)で当署職員が発表を行い、林野庁長官賞を受賞しました。(発表要旨については、日本森林技術協会デジタル図書館内の月刊誌「森林技術」2004年8月号、No.749を御覧ください。)


    ボランティアによる伐採跡地の整備