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ソバナ

ソバナ

 

ソバナ

ソバナ
(キキョウ科・ツリガネニンジン属)蕎麦菜

Adenophora remotiflora(Sieb. et Zucc.) Miq. 属名(アデノフォラ)adenos(腺)+phoreo(有する)。植物体全体に乳液を出す腺細胞があるため。本州、四国、九州、朝鮮半島、中国、ウスリーまで分布し、山地の草原や林のふちなどに生える1mほどの多年草。

茎は上方で枝分かれすることもある。葉は互生し、卵形または楕円状卵形でふちにはあらい鋸歯がある。下部の葉には葉柄がある。8月頃まばらな円錐花序をつくって青紫色の鐘形のやさしい花をつくる。茎の上部は斜めになることが多く、そこから花が垂れ下がる姿はなかなか風情がある。花冠は長さ2~3cmで先は5裂し、裂片の先はとがる。花柱は花冠より突きでず、柱頭は3裂する。
ソバナの語源を岨菜の意味に解する人が多い。つまり「そば(岨)」すなわち山の傾斜地に生える菜(食用とする草の意味)というわけである。ソバナは、落葉樹のまばらに生えた、土の柔らかい傾斜地などに好んで生育しているので、着想としては納得できるが、岨菜説にはどうも賛成しかねる。なぜならば、この植物にヤマソバという方言がある。よく知られているように、山村の住民は、昔からこの植物の若菜を茹でてお菜や汁の実にしたり、飯に混ぜたりしたりして食べるが、歯切れがよく、美味である。『宣禁本草』という、寛永6年(1629)にわが国で板行された編者不明(曲直瀬道三の編者という説もある)の本の中に、この植物について「人家収為ニ果菜一、蒸切作二羹粥一」とある。これによってみると、昔はこの菜を蒸してから、これを切り、かゆ(羹粥)につくったというから、まさにソバ(蕎麦)の食べ方と同じである。だからソバナの名は蕎麦菜と解すべきであろう。ソバナは一ヶ所で大量に採取できるという利点があり、単に副食としての用途だけでなく、飢饉のときなど、蕎麦の代用品として主食同様に用いられたものと思われる。ソバナの漢名薺_(せいでい)といい、その名の由来を『本草綱目』は、「薺一多レ汁、有二済一之状一、故名レ之」と説明している。つまり、この植物は汁を多く含み、(煮ると)どろどろになるので、このような名前がついたのだという。

参考及び引用文献:日本の野草(山と渓谷社)、植物和名の語源(八坂書房)

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