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合法伐採木材等に関する情報:パプアニューギニア

パプアニューギニア

注 国別情報については、令和元年度調査の成果等を、参考情報として掲載しています。

合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら

木材等の生産及び流通の状況

パプアニューギニアの国土のおよそ97%が氏族(Clan)と呼ばれる血縁的・地縁的な諸集団によって伝統的に彼らの慣習法に基づき所有されています。一般的に森林伐採を含む土地利用に関する事業は、パプアニューギニア政府がその土地の利用権を慣習的土地所有から取得したうえで、政府が当該投資家に貸し付けるという制度になっています。

2013年においてパプアニューギニアの森林面積は35.9万km2あり、国土面積の約77.8%に相当します。熱帯林面積は、アジア太平洋諸島地域でインドネシアに次いで広く、世界の生物多様性の約5%を有するといわれます。こうしたパプアニューギニアの森林資源は地域住民の暮らしを支えています。人口7.3百万の約85%が地方に住み、森林資源に依存した暮らしを営んでいると推定されます。

パプアニューギニアでは、主に外国企業による輸出を目的とした丸太生産が林業の基盤となっており、生産された丸太の89%が輸出されます。2018年の丸太の輸出量は404万m3、FOB価格(本船渡し値)は、3.93億米ドルに達しました。

パプアニューギニアの木材樹種は、熱帯のアジア諸国と異なりメランチ類などのフタバガキ科の樹種が少ないですが、比較的多くの樹種構成となっています。2018年に輸出された丸太は、5樹種によって輸出量の42%が占められ、ムクロジ科のTaunの占める割合が17.9%と最も多く、次いでマメ科のKwila(7.2%)という順序でした。

1990年後半まで日本が最大の輸出先でしたが、2000年以降は中国が最大の輸出国となっています。2017年の中国への輸出は全体の88%を占め、次いでインド(6%)、ベトナム(3%)、韓国(2%)、日本(1%)でした。また、中国にとってパプアニューギニアは、最大の熱帯産丸太供給国となっています。製材の輸出額は丸太の輸出額の1%ほどと少額ですが、パプアニューギニア政府は木材加工製品の輸出量増加を目標に挙げています。しかしながら、そのために必要な社会資本、投資条件、法制度等に課題があるといわれています。製材の輸出に関しては、2008年まではオーストラリアが主要な輸出先でしたが、それ以降は減少し、中国への輸出が増加しています。また2016年以降はインドへの輸出が急激に増加しました。2017年において製材の輸出先の順位はインド(50%)、中国(22%)、マレーシア(10%)、フィリピン(10%)、オーストラリア(8%)となっています。

合法伐採木材に関連する法令等及びその運用

丸太と製材の輸出プロセス

図 丸太と製材の輸出プロセス

パプアニューギニアでは、森林管理・伐採施行を行うために、事業者は林業参加事業者(Forest Industry Participant:FIP)として登録を行う必要があります。

林業法(1991年)によって、パプアニューギニアにおける木材生産は以下の3つの伐採制度に分類されます:

 1) 森林管理合意(Forest Management Agreements:FMA):天然林択伐
 2) 木材権(Timber Authorities: TA):小規模の天然林択伐、皆伐、植林地伐採
 3) 皆伐権(Forest Clearing Authority: FCA):天然林皆伐

また、林業法(1991年)によって現行制度としては森林管理合意(FMA)にとって代わられ新たに承認されることはないですが、現在も期限が有効な以下の旧制度からの伐採が認められています:

 4) 木材権利購入(Timber Rights Purchase:TRP):天然林択伐
 5) 地域森林範囲(Local Forest Areas:LFA):天然林択伐

図は、2018年における伐採制度毎の丸太輸出量の割合を示します。現行法における主要な天然林択伐コンセッション制度である森林管理合意(FMA)からの丸太は、全丸太輸出量の17%であり、皆伐許可(FCA)に由来する丸太が21%を占めました。木材権(TA)に由来する丸太が全体の3%ですが、これはほとんどが植林木になります。また、旧制度である木材購入権(TRP)と地域森林エリア(LFA)から生産される丸太は全体の41%を占めました。

伐採制度毎の丸太輸出量の内訳(2018年)

図 伐採制度毎の丸太輸出量の内訳(2018年)
出典:SGS (2019)「Log Export Monthly Report December 2018」から作成

伐採制度によって必要な許可、森林管理計画等は異なります。天然林択伐制度である森林管理合意(FMA)、木材購入権(TRP)、地域森林エリア(LFA)については、「木材許可における天然林伐採の計画策定・モニタリング・管理手順(PMC)」が適用され、事業者は5年間計画、年間伐採計画、伐採区画計画の作成が必要となります。これら制度のもと伐採を行うには木材許可(Timber Permit: TP)の取得が条件となっています。

また、「伐採施行規則(LOCP)」は、天然林択伐制度である森林管理合意(FMA)、木材購入権(TRP)、地域森林エリア(LFA)及び伐採権(TA)の天然林択伐(TA-01)に適用されます。「伐採施行規則(LOCP)」は林業法(1991年)だけでなく、伐採が環境計画法(Environmental Planning Act)、水資源法(Water Resource Act)、環境汚染物質法(Environmental Contaminants Act)、保全地域法(Conservation Areas Act)、公衆衛生法(Public Health Act)、産業における安全・健康・福祉法(Industrial Safety, Health and Welfare Act 1973)、土地所有者グループ法人化法(Land Groups Incorporation Act)等を遵守するようにデザインされ、伐採を禁止する地形と場所、林道の設計、伐採区画計画の詳細、伐採方法、廃棄物処理方法、労働者の安全、伐採キャンプの衛生等について基準を定めています。

パプアニューギニアでは、慣習地における林業が前提なので、慣習的土地所有者との合意形成のプロセスが適切に実施されたかどうか、そして彼らの権利が適切に考慮されているのかが伐採の合法性を考慮する上で重要な要素として挙げられます。林業法(1991年)によって、森林管理合意(FMA)については、慣習的土地所有者との合意形成の要件が明確に規定されています。

伐採された丸太を林内の貯木場から移動するために輸送許可証といった文書は必要ありませんが、丸太は丸太識別タグが付けられ、丸太の情報(樹種、サイズ、丸太識別タグ等)が所定の記録シート(丸太計測記録シート:Log Scaling Record Sheet)に記入されることなしに輸送することはできません。

丸太識別タグ

丸太識別タグは、政府と契約した民間組織であるSGSによって提供されます。各丸太につき、タグ(3枚のバーコード)が丸太につけられて輸送されます。最初の5桁の内、1番目の桁は伐採許可のタイプ、2番目と3番目の桁は州のコード、4番目と5番目の桁は許可番号を表します。最後の5桁はSGSシステムにおいて付けられたそれぞれの丸太のシリアル番号を表します。伐採許可毎に定められた番号は以下になります:

1= 木材購入権(Timber Rights Purchase: TRP)
2= 地域森林エリア(Local Forest Area: LFA)
3= 木材権(Timber Authority)
4= Timber License (現在は使われていない)
6= 森林管理合(Forest Management Agreement:FMA)
7= 皆伐権(Forest Clearance Authorities:FCA)

丸太の輸出については、「丸太輸出手続き(Procedures for Exporting Logs)」によって22のステップが規定されています。1994年から、パプアニューギニア政府は、SGS社と契約し、第3者による丸太輸出のモニタリングを実施しています。丸太識別タグの提供の他、SGSは、出荷前に検査を実施し、丸太樹種と量を検証します。製材の輸出のための手順は丸太の手順と比べると簡易であり、SGSによる検査は含まれません。

法令

合法的な伐採権関連

  • パプアニューギニア独立国憲法(1975年制定、2002年に改正)
  • 林業法(Forestry Act 1991)(2000年、2006年、2010年に改正)
  • 土地法(Land Act 1996)
  • 土地グループ法人化法(Land Group Incorporation Act 1974)(2009年に改正)
  • 環境法(Environment Act 2000)(2010年改正)
  • 木材許可における天然林伐採の計画策定・モニタリング・管理手順(Planning, monitoring and control procedures for natural forest logging operations under Timber Permit: PMC)(1995年制定)

納税と使用料支払関連

  • 林業法(Forestry Act 1991)(2000年、2006年、2010年に改正)
  • 土地グループ法人化法(Land Group Incorporation Act 1974)(2009年に改正)

伐採施業関連

  • 林業法(Forestry Act 1991)(2000年、2006年、2010年に改正)
  • 環境計画法(Environmental Planning Act)
  • 水資源法(Water Resource Act)
  • 環境汚染物質法(Environmental Contaminants Act)
  • 保全地域法(Conservation Areas Act)
  • 公衆衛生法(Public Health Act)
  • 産業における安全・健康・福祉法(Industrial Safety, Health and Welfare Act 1973)
  • 労働と雇用法(Labour and Employment Act 1987)
  • 雇用法(Employment Act 1978)
  • 非市民雇用法(Employment of Non-citizens Act)
  • 労働者補償法(Workers Compensation Act 1978)
  • 土地所有者グループ法人化法(Land Groups Incorporation Act)
  • パプアニューギニアにおける択伐基準(Key Standards for Selective Logging in Papua New Guinea)(1995年制定)
  • 伐採施行規則(Logging Code of Practice:LOCP)(1996年制定)
  • 天然林から伐採した樹種の特定・スケーリング・報告に関する手順(Procedures for the Identification, Scaling and Reporting on Logs Harvested from Natural Forest Logging Operations)

貿易と輸送関連

  • 林業法(Forestry Act 1991)(2000年、2006年、2010年に改正)
  • 関税法(Customs Tariff Act 1990)
  • 天然林伐採施行によって収穫された丸太の識別・計測と報告手続き(Procedures for the Identification, Scaling and Reporting on Logs Harvested from Natural Forest Logging Operations)
  • 丸太輸出手続き(Procedures for Exporting Logs)(1996年制定)

関係行政機関一覧

名 称 主な業務
PNG森林公社(Papua New Guinea Forest Authority: PNGFA) 森林資源の管理、利用、保全を管轄する政府機関
CITESの科学当局
PNG環境保護・保全公社(Conservation and Environment Protection Authority:CEPA) 環境全般を管轄する政府機関
CITESの所轄官庁
伐採や農業開発に関する環境計画を承認する
農業畜産省(Department of Agriculture and Livestock: DAL) 農業、畜産業を管轄する政府機関
農業開発のための土地利用許可を発行する
国土計画省(Department of Lands and Physical Planning: DLPP) 国土開発を管轄する政府機関
インフラストラクチャーの開発許可を発行

その他木材等の適正な流通の確保に関する情報

民間の森林認証スキーム

2019年12月時点において、Forest Stewardship Council(FSC)の森林管理認証2件、管理木材3件、Chain of Custody(CoC)認証が4件となっています。別の森林認証制度であるProgramme for the Endorsement of Forest Certification(PEFC)は、パプアニューギニアでは2019年12月時点では活用されていません。

合法性の確認に活用できる書類の事例

林業参加事業者登録証(PDF : 665KB)
発行対象 林業活動を実施する事業者
発行者 PNG森林公社
木材許可(PDF : 77KB)
発行対象 森林管理合意(FMA)、木材購入権(TRP)、地域森林エリア(LFA)における伐採施業
発行者 PNG森林公社
木材権(PDF : 90KB)
発行対象 木材権(Timber Authority)における伐採施業
発行者 PNG森林公社
皆伐権(PDF : 458KB)
発行対象 天然林皆伐における伐採施行
発行者 PNG森林公社
丸太計測記録シート(PDF : 157KB)
発行対象 全ての伐採施行
発行者 PNG森林公社
慣習的土地所有者グループの代表者による署名(PDF : 126KB)
発行対象 全ての伐採施行
発行者 PNG森林公社

委託・補助事業の成果

(1) 令和元年度
「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国の現地情報収集事業(大洋州地域等)

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