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合法伐採木材等に関する情報:マレーシア(サラワク島)

マレーシア【 サラワク州 】

(2022年4月1日全面更新)

注 国別情報については、平成29年度、令和3年度に実施した調査の成果等を、参考情報として掲載しています。

注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら

木材等の生産及び流通の状況

(1)森林と木材生産

サラワク州の面積は1,240万ha、2018年の森林面積は897万haで、州面積の72%に当たります。州内の森林植生は、完全保護地域(Totally Protected Areas)、永久森林区(Permanent Forest Estates: PFE)、州有地(Stateland)及び譲渡地(Alienated land)の4つの土地利用ゾーニングカテゴリーの中に存在しますが、そのほとんどは永久森林区(森林被覆398万ha)又は州有地(同325万ha)内にあり、主要な木材供給源となっています。また植林地の面積も2018年に60万haに達しています。
サラワク州の丸太生産量は2016年から2020年の期間に871万m3から410万m3と半減しています。特に天然林丸太の生産量の減少が大きく(741万m3→242万m3)、2020年には植林木丸太の生産量は総生産量の41%に達しています。
州内で生産される主な木材製品は合板(2020年生産量111万m3)、次いで製材品(34万m3)、単板(20万m3)ですが、その生産量も大きく減少しています。

(2)輸入

2020年のサラワク州の主な木材・木材製品輸入量は丸太が30万m3、単板が8万m3でした。丸太は2018年以降、主にオーストラリア(2020年は23万m3)、パプアニューギニア(同7万m3)から多く輸入されています。また単板については主にブラジル(同4万m3)、オーストラリア(3万m3)から輸入されています。

(3)輸出

2020年のサラワク州の主な木材・木材製品輸出量は合板104万m3(生産量のほぼすべて)、丸太93万m3、木質チップ46万m3、製材品26万m3でした。このうち合板。丸太、製材品の輸出量は2016年~2020年の間に減少しました。
合板の輸出先は2016年~2020年の間日本が一貫して一位であり、2020年の総輸出量の65%は日本向け(68万m3)でした。丸太は主にインド(40万m3)、インドネシア(41万m3)に輸出されていましたが、後者は主に紙パルプ用材と考えられます。日本への輸出量は2万m3でした。製材品はフィリピンや中東/イエメンが主な輸出先でした。

合法伐採木材に関連する法令等及びその運用

商業的な木材生産のためのライセンス

サラワク州における商業的な木材生産は、永久森林区、州有地、譲渡地の天然林の伐採は森林伐採ライセンス(Forest Timber Licence: FTL)、人工林の伐採は人工林ライセンス(Licence for Planted Forest: LPF)によって行われます。

サラワク木材合法性保証システム(STLVS)

サラワク州ではサラワク木材合法性保証システム(Sarawak Timber Legality Verification System: STLVS)が確立され、森林の管理や伐採段階はサラワク森林局(Forest Department Sarawak: FDS)、流通、貿易、加工段階はサラワク木材産業開発公社(Sarawak Timber Industry Development Corporation, STIDC またはPUSAKA)又はその子会社のハーウッド・ティンバー社(Harwood Timber Sdn. Bhd)によって主に担われています。なお以前はサラワク林業公社(Sarawak Forestry Corporation: SFC)も森林管理段階の一部を所管していましたが、2019年にそれらの権限はサラワク森林局に移管されました。

STLVSの基準間の関連と手続きの流れ

(出典)「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業報告書(平成30年3月報告)

図 STLVSの基準間の関連と手続きの流れ

サラワク木材合法性保証システムは第5版(2021年9月版)が最新で、6原則(Principle)18基準(Criteria)94指標(Indicator)から構成されますが、その詳細は現時点では公開されていません(サラワク森林局のHPでは現在、2019年に出された第2版が公開されています。)。

STLVS第5版の構成

原則 内容 基準と指標 所管政府機関
原則1 伐採の権利 3基準15指標 サラワク森林局(FDS)
原則2 林内作業 5基準38指標
原則3 徴税 1基準3指標
原則4 他者の権利 1基準3指標
原則5 工場の操業 3基準17指標 サラワク木材産業開発公社(STIDC)
原則6 貿易・関税 5基準18指標

サラワク州の個々の森林・木材産業事業者はSTLVSを遵守していることが求められますが、任意で第三者監査を受け遵守証明書を受けた事業者は、サラワク森林局(伐採ラインセンス所持事業者に対して)またはサラワク木材産業開発公社(木材加工事業者に対して)から認証を受けることができます。これまで8社合計89万haの森林が認証を受けています。これは日本の輸入事業者の合法性確認に活用できます。
またサラワク森林局とサラワク木材産業開発公社は、2016年からサラワク丸太追跡・森林徴税システム(REVLOG)を導入し、丸太のトレーサビリティを確保しています。そのデータは非公開ですが、日本の輸入事業者が合板などの製造事業者のサプライチェーンに関する情報をサラワク森林局に問い合わせることによって、合法性確認に活用することが可能です。

法令

その他木材等の適正な流通の確保に関する情報

(1) 民間の森林認証スキーム

サラワク州政府は、すべての長期森林木材ライセンス保持者に2022年までに森林認証を取得することを求めています。現在州内では11か所101万haの天然林の森林管理区と、6か所9万haの人工林管理区がMTCS/PEFC認証林を取得しています。州内にFSC認証林は存在しません。

(2)リスク情報

サラワク州政府は、衛星画像やドローンなどを使った継続的モニタリング監査(Continuous Monitoring Surveillance: COMOS)を導入するなどして、伐採ライセンスを得ていない事業者などによる違法伐採の取り締まりに努めています。
一方、政府から事業者に与えられた森林木材ライセンスエリアの中に地域住民のコミュニティが存在し、周辺の森林に対し先住民慣習権(Native Customary Rights: NCR)が主張され、伐採事業者と紛争が生じているケースがあります。これはMTCS/PEFC認証林の中でも存在します。
サラワク州政府は2020年以来NCR新イニシアティブ調査プログラム(NCR New Initiative Survey Program)を開始し、1958年以前に耕作地として使われていた場所に先住民の用益権を認める先住民領土(Native Territorial Domain)を確定、登録する取り組みを進めていますが、その範囲について地域住民と認識が一致していないケースも存在します。

合法性の確認に活用できる書類の事例

名称 輸出ライセンス(PDF : 702KB)
発行者 サラワク木材産業開発公社(STIDC)
内容
  • 税関への輸出申告書(K2フォーム)の裏面に記載される
名称 サラワク木材合法性保証システム(STLVS)認証(PDF : 650KB)
発行者 サラワク森林局またはサラワク木材産業開発公社(STIDC)
内容
  • 伐採ライセンス所持事業者または木材加工工場ライセンス所持事業者に対して発行される。
  • 第三者監査の結果に基づき認証
  • 事業者に対する認証であり、個々の商品の合法性証明ではない

関連する事業の成果

(1)平成29(2017)年度

「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国情報収集事業報告書(PDF : 16.6MB)

(2)令和3(2021)年度

「クリーンウッド」普及促進事業のうち違法伐採関連情報の提供報告書(PDF : 3.32MB)

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