機能類型ごとの森林の取扱
森林の取扱いに当たっては、重点的に発揮させるべき機能によって三つの類型に区分し、それぞれの特性に応じたきめ細かな管理経営を行っていきます。
原生的な森林生態系等貴重な自然環境の保全、国民と自然とのふれあいの場としての利用を重視した森林の整備を行います。
森林生態系保護地域や森林生物遺伝資源保存林等の保護林や、世界遺産である白神山地、屋久島が含まれており、また、自然休養林、風致探勝林等のレクリエーションの森も含まれます。
土砂流出・崩壊の防備、水源かん養等安全で快適な国民生活を確保することを重視した森林の整備を行います。
土砂流出防備保安林、土砂崩壊防備保安林や水源かん養保安林が含まれています。
国民生活に必要であり、環境に対する負荷の少ない素材である木材等林産物の計画的・安定的生産を重視した森林の整備を行います。
(注)「森林と人との共生林」は「自然維持タイプ」および「森林空間利用タイプ」に、また「水土保全林」は「国土保全タイプ」および「水源かん養タイプ」にそれぞれ区分しています。
国有林野の機能型別森林面積

(平成12年4月1日)
森林と人との共生林
自然維持タイプ
目指す森林の姿
- 原生的な森林生態系の維持等自然環境の保全を第一とし、良好な自然環境を保持する森林、学術的に貴重な動植物の生息に適している森林。
森林施業の特徴
- 学術研究のためなど特別な場合を除いて伐採を行わず、自然の推移にゆだねた 天然生林施業を行います。
森林空間利用タイプ
目指す森林の姿
- 湖沼、渓谷等と一体となって優れた自然美を構成する森林、街並み、史跡、名勝等によって潤いのある自然環境や歴史的風致を構成する森林等であって、必要に応じて保健・文化・教育的活動に適した施設が整備されている森林。
森林施業の特徴
- 天然林においては、利用形態、森林の現況等に応じた多様な森林を維持・造成するための天然生林施業を、人工林においては、人工林の持つ美的景観の確保に留意しつつ育成複層林施業を行い、また、必要に応じて落葉広葉樹等の導入を図り 針広混交林に誘導します。
- 伐採は、快適な利用のための環境または美的景観の維持・形成を確保する目的で行います。
- 植栽に当たっては、必要に応じ、花木を導入します。
- 必要に応じ、保健・文化・教育的活動に適した施設を整備します。
水土保全林
国土保全タイプ
目指す森林の姿
- 山地災害の防止機能の発揮を第一として、樹木の根が土壌に張り巡らされ、落葉層を保持し、下層植生の発達が良好な森林。
森林施業の特徴
- 表土の保全や根系および下層植生の発達を促すため、天然林においては必要に応じ育成複層林施業を推進するとともに、人工林においては、複層林化や、可能な箇所においては自然に育った広葉樹等を活用し針広混交林に誘導します。
- 伐採は、山地災害の防止機能の維持・増進に必要なものに限り 択伐等で行います。
- 植栽は、伐採跡地のほか、必要に応じて立木が生えていない荒廃地等に行います。
- 保育にあたっては、植栽木以外の植生も積極的に保残し、間伐は下層植生が衰退しないようやや疎仕立ての密度管理で行い、樹種の多様化に努めます。
- 必要に応じて、土砂の流出、崩壊を防止する治山施設を整備します。
水源かん養タイプ
目指す森林の姿
- 水源かん養機能の発揮を第一として、土壌中の生物の活動孔や植物の根系の発達跡等による空隙が多い土壌を有し、多様な樹種で構成された下層植生の発達が良好な森林。なお、機能が維持できる範囲内で森林資源の有効利用に配慮します。
森林施業の特徴
- 根系の発達や特定の水源の渇水緩和等のため、天然林においては必要に応じ育成複層林施業を、人工林においては、複層林化、伐期の長期化、針広混交林化を推進します。
- 傾斜が緩く、 地位が良好で、下層植生も豊かな人工林では、「皆伐」を行うこともあります。皆伐を行う場合には、流域ごとに上限伐採面積を規制するとともに、 小面積伐区とし、モザイク的な配置に努めます。この場合、特に渓流沿いを中心に、尾根筋、斜面中腹、道路沿いの必要な個所に 保護樹帯を設定します。また、伐区内にある中・小径の天然木は保残に努めます。
- 更新にあたっては、前生の植栽木や林内の天然木の成長状況、周辺の樹木の賦存状況、稚幼樹の発生状況等を考慮し、植栽のほか、 天然下種更新等きめ細かく更新方法を選びます。
- 保育にあたっては植栽木以外の植生も積極的に保残し、間伐は下層植生が衰退しないようやや疎仕立ての密度管理で行い、樹種の多様化に努めます。
資源の循環利用林
目指す森林の姿
- 地域ごとに定めた目的樹種、生産目標(一般中径材、高品質大径材等)に応じた形質の良好な木材を、公益的機能の発揮に留意しつつ、安定的かつ効率的に生産することを第一とする森林。
森林施業の特徴
- 豊かな森林生産力が期待される林分であって、投資の効率性が確保されると見込まれるものは、一般中径材の供給を目的とした通常伐期の 育成単層林施業を行います。また、大径材の供給を目的とした長伐期施業も行います。
- 年間伐採量は、樹木の年間の成長量の範囲内で計画します。
- 皆伐に際しては、保護樹帯を積極的に設けます。
- 急傾斜地や岩石地が含まれる場合にこのような個所、および沢筋等においては伐採を避けます。また、土場、搬出路の設定にあたっては渓流沿いを避けるよう配慮します。
- 保育、間伐にあたっては、植栽木の成長に支障のない有用な樹木や下層植生は保残し、その多様化を図ります。
機能類型と公益的機能の相関図(イメージ)

森林関連専門用語の注釈
- :主として天然力を活用することによって森林を維持造成する施業。【戻る】
- :針葉樹と広葉樹が混じりあった森林。【戻る】
- :林分内の成熟木等を抜き切りにより伐採すること。【戻る】
- :気候、地勢、土壌条件等の地況因子を総合化して、林地の材積生産力を示す指数。【戻る】
- :皆伐を行う場合の1伐採箇所の面積は、おおむね5ヘクタール以下(法令等による伐採面積の上限が5ha未満の場合には当該制限の範囲内)。【戻る】
- :皆伐を行う場合に新生林分の保護、公益的機能の確保のために保残される樹林帯。【戻る】
- :森林を伐採利用して、自然に散布される種子が発芽して生育することを主体としつつ、必要に応じて種子が地面に着床しやすくする地表掻き起こしなどの人手も補助的に加えて後継の森林を成立させること。【戻る】
- :森林を構成する林木の一定のまとまりを一度に全部、または大部分伐採し、人工植栽等によって同年齢の森林を造成する施業。【戻る】
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