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林野庁

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第1部 第1章 第1節 森林・林業・木材産業のイノベーションの必要性


(我が国の人工林資源の充実)

我が国は2,505万haの森林を有しており、このうち、約4割に相当する1,020万haが人工林となっている。これらの人工林は、戦中に荒廃した森林の復旧造林や、戦後復興や高度経済成長期を支える木材を供給するための拡大造林、その後の下刈り、間伐などの保育といった、先人達による膨大な人手と時間をかけて造成されてきた。

現在、人工林はその半数が一般的な主伐期である50年生を超え本格的な利用期を迎えているとともに、蓄積量も約33億m3と森林全体の約6割を占めている(*1)など、森林資源はかつてないほどに充実している。しかし、平成28(2016)年の木材の国内生産量は2,714万m3(*2)であり、人工林の年間蓄積増加量約5,300万m3と比較すると十分に活用されているとは言い難い状況となっている。

我が国の森林は、国土の保全、水源の涵(かん)養、生物多様性の保全、地球温暖化防止、木材等の物質生産といった多面的機能の発揮を通じて、国民生活に様々な恩恵をもたらしている。こうした多面的機能を将来にわたって発揮させていくためには、適切な森林の経営管理により、豊かな人工林資源を「伐(き)って、使って、植える」という形で循環利用していかなくてはならない。このためには、林業及び木材産業を安定的に成長発展させ、山村等における就業機会の創出と所得水準の上昇をもたらす産業へと転換すること、すなわち、「成長産業化」を早期に実現させることが極めて重要となっている(資料1-1)。

資料1-1 林業の成長産業化と森林の適切な管理に向けて

(*1)林野庁「森林資源の現況」(平成29(2017)年3月31日現在)

(*2)このうち間伐材の利用量は823万m3と推計されているほか、天然林由来の木材も含まれている。詳しくは、林野庁「木材需給表」及び林野庁「森林・林業統計要覧」を参照。



(林業改革の推進)

林野庁では、平成30(2018)年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」に基づき、林業の成長産業化と森林の適切な経営管理の実現のため、現場における事業が円滑に進むための制度改正、先端技術の導入等による生産性の向上や流通全体の効率化といった林業改革に取り組むこととしている。この中では、取組の過程が適切に伸長しているかを計測する重要業績評価指標(KPI)を設定しており、令和10(2028)年までに、私有人工林に由来する林業・木材産業の付加価値額を倍増させる(2015年:2,500億円)こととしている。

現場における事業が円滑に進むための制度改正については、「森林経営管理制度(*3)」等により、森林の経営管理の集積・集約化を進め、原木生産の集積・拡大を図ることとしている。

また、生産性の向上や流通全体の効率化に関しては、情報通信技術(以下「ICT」という。)や無人航空機(以下「ドローン」という。)による映像の活用などスマート林業の推進や、木材流通の在り方を山側からの視点で行うのではなく需要側からの視点で行うマーケットインへと発想を転換する生産流通構造の改革を進めることも重要な取組となってくる。さらに、木材需要の拡大、研究開発の推進といった取組も必要である。


(*3)「森林経営管理制度」の詳細については第2章(62-65ページ)を参照。



(森林・林業・木材産業のイノベーションの必要性)

このように、林業の成長産業化と森林の適切な経営管理を実現するためには、これまでの取組を単に継続するのではなく、生産・流通・利用・経営管理の様々な面で生産性の向上や流通全体の効率化につながる、既存の関係者の常識が変わるような技術革新や、新たな概念を導入していく、イノベーションに取り組むことが必要となってくる。また、こうした取組により、魅力ある林業の実現を目指す者を育成していくことも重要である。

本章では、林業の成長産業化と森林の適切な経営管理に不可欠な林業経営体や、林業従事者の動向、林業への就業が期待される学生等の意識調査に加え、魅力ある林業の実現につながるイノベーションに向けた取組事例等について紹介していく。


お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-3502-8036

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