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林野庁

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平成29年度 森林及び林業施策 概要

概説

森林の有する多面的機能の発揮及び林業の持続的かつ健全な発展を図ることの重要性等を踏まえ、森林・林業基本計画等に基づき、所要の財政措置等を講じながら、各種施策に取り組む。


I 森林の有する多面的機能の発揮に関する施策

(面的まとまりをもった森林経営の確立)

施業の集約化の促進を図るため、森林情報の収集、境界の明確化、既存路網の簡易な改良等に対して支援するとともに、森林経営計画に基づき面的まとまりをもって森林施業を行う者に対して、間伐等やこれと一体となった丈夫で簡易な路網の開設等を支援する。

市町村において、森林の土地の所有者等に関する情報を一元的に取りまとめる林地台帳の整備を推進する。


(再造林等による適切な更新の確保)

低コスト造林に資する成長に優れた品種の開発を進めるほか、苗木生産施設等の整備への支援、再造林作業を省力化する林業機械の開発に取り組む。

野生鳥獣による被害対策として、市町村森林整備計画等における鳥獣害防止森林区域の設定を通じて、防除対策等を推進する。


(適切な間伐等の実施)

「森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法」等に基づき、間伐等の森林の適切な整備を推進する。


(路網整備の推進)

トラック等の走行する林道等と、主として林業機械が走行する森林作業道がそれぞれの役割等に応じ て適切に組み合わされた路網の整備を推進する。


(多様で健全な森林への誘導)

育成複層林等の多様で健全な森林への誘導を進めるとともに、原生的な森林生態系等の保護・管理及び連続性の確保、シカによる植生被害対策等の推進により、森林における生物多様性の保全を図る。

自然条件や社会的条件が悪く、自助努力によっては適切な整備が見込めない森林等について、水源林造成事業や治山事業等の公的主体による整備を推進する。

花粉症対策苗木の生産体制の整備や花粉の少ない森林への転換など花粉発生源対策を推進する。


(地球温暖化防止策及び適応策の推進)

温室効果ガス削減目標の達成に向け、間伐や造林等を通じた健全な森林整備、保安林等の適切な管理・保全、木材及び木質バイオマスの利用等の森林吸収源対策を推進する。

森林吸収量を算定し報告するため、土地利用変化量や伐採木材製品の炭素蓄積変化量等、必要な基礎データの収集等を行う。あわせて、平成32(2020)年以降の算定ルールの開発及び各国との戦略的対話を行う。

集中豪雨等に起因する山地災害への対応、人工林等における影響把握等の研究・技術開発等の地球温暖化の影響に対する適応策を推進する。

気候変動に関する国際的なルールづくりに参画、貢献し、開発途上国の劣化した森林等における森林の再生技術の普及等に対して支援する。


(国土の保全等の推進)

保安林の適切な管理の推進を図るとともに、近年、頻発する集中豪雨や地震等による大規模な山地災害の発生するおそれが高まっていることを踏まえ、効果的かつ効率的な治山対策を推進する。

松くい虫等の森林病害虫防除対策等を総合的かつ効率的に実施するとともに、野生鳥獣による森林被害について、鳥獣保護管理施策や農業被害対策等との連携を図りつつ効果的かつ効率的な技術開発等を行う。


(研究・技術開発及びその普及)

森林・林業・木材産業分野の研究・技術開発戦略等を踏まえ、産学官連携を図りつつ、研究・技術開発を戦略的かつ計画的に推進する。

国と都道府県が共同して効率的かつ効果的な林業普及指導事業を推進する。


(山村の振興及び地方創生への寄与)

きのこ生産に必要な資材の安定供給、新たな需要の創出を通じた竹材の利用拡大等を図るとともに、東日本大震災の被災地等において、特用林産物の生産効率の向上を図るため、生産、加工及び流通施設の整備等に対して支援する。

山村に豊富に存在する森林資源を活用し、山村の活性化を図るため、地域の森林の適切な保全管理や林家等への安全指導等に対する支援を実施する。


(社会的コスト負担の理解の促進)

森林環境税(仮称)を含め、国全体としての財源確保等を検討する。


(国民参加の森林(もり)づくりと森林の多様な利用の推進)

多様な主体による森林(もり)づくり活動を促進するとともに、森林環境教育や木育(もくいく)を推進する。


(国際的な協調及び貢献)

国際対話に積極的に参画するほか、開発途上国の森林保全等のための調査及び技術開発や、独立行政法人国際協力機構(JICA)等を通じた開発途上国等に対する協力を実施する。

「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(平成28年法律第48号)が施行されることを踏まえ、合法伐採木材等の円滑な供給及び普及拡大に対する取組を推進する。


II 林業の持続的かつ健全な発展に関する施策

(望ましい林業構造の確立)

効率的かつ安定的な林業経営の育成、スケールメリットを活かした林業経営、効率的な作業システムによる生産性の向上、経営感覚に優れた林業事業体の育成を推進する。


(人材の育成及び確保等)

「緑の雇用」事業等を通じた現場技能者の育成を進めるとともに、森林施業プランナーや森林総合監理士(フォレスター)の育成のための研修等を行う。


(林業災害による損失の補塡)

国立研究開発法人森林研究・整備機構が行う森林保険の普及に努める。


III 林産物の供給及び利用の確保に関する施策

(原木の安定供給体制の構築)

施業の集約化に加え、面的にまとまった共有林での施業促進等の取組を通じて、作業ロットの拡大を図る。また、中間仕分け等の工夫を通じて行う安定供給の確保や間伐材の供給力を強化するための路網整備や間伐材生産を推進する。

原木の工場直送・協定取引や原木市場による集荷等に必要な施設整備を実施・支援する。

川上から川下までの関係者、国有林及び都道府県が連携し、都道府県の境界を越えた需要見通し、伐採計画等に関する情報の共有化を図る。


(木材産業の競争力強化)

木材加工流通施設等の整備や木材加工設備のリースによる導入等を支援するとともに、品質及び性能の確かな製品の供給のため、乾燥施設の整備や大径材から得られる製材品の強度予測技術等の開発等を支援する。また、工務店等と林業・木材加工業の連携による地域材の利用拡大に向けた取組を支援する。


(新たな木材需要の創出)

「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づき、国自らが率先して木材利用を推進するとともに、低コストでの木造公共建築物の整備に対する支援等を行う。

CLT 強度データ等の収集や耐火部材の開発、CLT 等を活用した建築技術の実用化に向けた実証、国産材CLT の生産体制の整備の推進等とともに、土木分野等における木材利用を促進する。また、未利用間伐材等の木質バイオマスの利用を促進するための取組や木材輸出拡大に向けた取組への支援等を推進する。


(消費者等の理解の醸成)

「木づかい運動」等の普及啓発活動の実施や、木材を活用した様々な取組を幅広く表彰する活動(ウッドデザイン賞等)の支援を行うとともに、木育(もくいく)指導者の養成など効果的な木育(もくいく)の推進を図る。


IV 東日本大震災からの復旧・復興に関する施策

東日本大震災により被災した治山施設、林道施設の着実な復旧を図るとともに、被災した海岸防災林の復旧及び再生を推進する。

放射性物質の影響がある被災地の森林・林業の再生を図るとともに、放射性物質の影響に対応した安全な特用林産物の供給確保を支援する。

地域で流通する木材を活用した木造復興住宅等を普及するとともに、被災地域における木質バイオマス関連施設の整備を推進する。


V 国有林野の管理及び経営に関する施策

(公益重視の管理経営の一層の推進)

森林・林業施策全体の推進に貢献するよう「森林・林業基本計画」等に基づき、多様な森林整備、治山事業、生物多様性の保全を推進する。


(林業の成長産業化への貢献)

森林施業の低コスト化の推進と技術の普及、森林共同施業団地の設定等による民有林との連携、木材の安定供給体制の構築を推進する。


(「国民の森林(もり)」としての管理経営と国有林野の活用)

国民の要請の適確な把握とそれを反映した管理経営の推進に努めるとともに、貸付け、売払い等による国有林野の活用を積極的に推進する。


VI 団体の再編整備に関する施策

森林組合の経営基盤や業務執行体制の強化等に向けた指導を行うとともに、施業集約化の促進や生産性向上等による効率的な事業基盤の整備等を内容とする森林組合系統運動方針の実行性の確保に向けた指導を行う。

お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219