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林野庁

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第2部 III 林産物の供給及び利用の確保に関する施策

1 効率的な加工・流通体制の整備

(1)国産材の安定供給体制の整備

需要に応じた低コストで効率的な木材の生産・供給、木材利用の拡大を実現するため、間伐・路網整備や、CLT等を製造する木材加工流通施設、木質バイオマス関連施設、苗木生産施設等の整備等を総合的に支援した。また、川上と川中・川下が連携し、需給情報の共有化を徹底するとともに、民有林と国有林との連携による地域材の安定供給体制を構築した。

加えて、国際的な木材取引においては森林認証材が標準となってきていることから、将来的な木材製品等の輸出拡大に向けた国際基準での森林認証制度の普及を図った。


(2)加工・流通体制の整備

品質及び性能の確かな製品を低コストで安定供給するため、

(ア) 製品の安定供給や地域材の競争力強化に資する木材加工流通施設等に対する支援

(イ) 「総合的なTPP関連政策大綱」に即した、生産性向上等の体質強化を図るための木材加工流通施設整備、間伐材の生産、路網整備等の一体的な支援

(ウ) 製材業、合板製造業等を営む企業が実施する設備導入に対する利子の一部助成

等により、木材加工流通施設等の整備を推進した。

また、平成28(2016)年4月に発生した熊本地震により被災した木材加工流通施設の撤去、復旧及び整備を緊急的に支援した。


2 木材利用の拡大

(1)公共建築物等

平成22(2010)年10月1日に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」第7条第2項第4号に規定する各省各庁の長が定める「公共建築物における木材の利用の促進のための計画」に基づいた各省各庁の木材利用の取組を進め、国自らが率先して木材利用を推進した。

また、同法第9条第1項に規定する市町村方針の作成に対して支援した。

さらに、地域で流通する木材の利用の一層の拡大に向けて、設計上の工夫や効率的な木材調達を通じた、低コストでの木造公共建築物等の整備に対して支援した。

このほか、木造公共建築物の整備に係る設計段階からの技術支援及び木造公共建築物を整備した者に対する利子助成等を実施した。


(2)住宅、土木用資材等

CLT強度データ等の収集や耐火部材の開発を推進するとともに、CLT等を活用した建築技術の実用化に向けた実証及び国産材CLTの生産体制の整備を推進した。

このほか、中高層建築物等への木材利用を促進するため、木材を利用した建築に携わる設計者等を育成する取組に対して支援した。

地域で流通する木材を活かして住宅を建設する「顔の見える木材での家づくり」など、工務店等と林業・木材加工業の連携による地域材の利用拡大に向けた取組に対して支援した。また、木造住宅等の健康効果・環境貢献等の評価・普及の取組に対して支援した。

製品の供給に当たっては、品質管理を徹底し、乾燥材等の品質及び性能の明確な製品の安定供給を推進するとともに、JASマーク等による品質及び性能の表示を促進した。

大径化したスギ等の製材需要創出・高付加価値化に向けた新たな製品・技術の開発や、店舗等低層非住宅建築物の木質化に向けた取組に対して支援した。

さらに、土木分野等における木材の利用について、関係業界への働きかけやワークショップ等を通じて促進した。


(3)木質バイオマスの利用

未利用間伐材等の木質バイオマスの利用を促進するため、木質燃料製造施設、木質バイオマスボイラー等の整備を推進した。

また、木質バイオマスを利用した発電、熱供給又は熱電併給の推進のために必要な調査を行うとともに、全国各地の木質バイオマス関連施設の円滑な導入に向けた相談窓口の設置、小規模発電の取組への助言等のサポートを行う体制の確立、燃料の安定供給体制の強化を支援した。

このほか、発電効率の高い木質バイオマス発電システム等の開発及び改良や、林地残材等の未利用材を原料とするCNF等の高付加価値製品の製造技術や利用技術等の開発を支援した。


(4)木材等の輸出促進

「総合的なTPP関連政策大綱」を踏まえ、地域材を利用した付加価値の高い木材製品の輸出を中国や韓国等に拡大していくため、

(ア) 日本産木材を用いた木造軸組構法モデル住宅の海外における建築及び展示

(イ) 輸出向け木材製品のブランド化の取組

(ウ) 展示会出展、PR活動、市場調査等輸出先国における販売促進活動

(エ) 国内検討会やセミナーの開催等による輸出情報の共有と輸出促進体制の強化

等、木材輸出拡大に向けた取組を支援した。


3 東日本大震災からの復興に向けた木材等の活用

被災者の住宅再建及び被災地域の林業・木材産業の復興を図るため、地域で流通する木材を活用した木造復興住宅の普及を推進した。

また、復興に向け、被災地域における木質バイオマス関連施設の整備を引き続き推進した。


4 消費者等の理解の醸成

木を使うことが森林の整備や林業、山村の振興に結びつくことへの理解の醸成を一層効果的かつ効率的に行い、森林整備の推進及び地域で流通する木材等の森林資源の利用の拡大を図るため、シンポジウムの開催や展示会への出展等による「木づかい運動」の推進、森林(もり)づくり活動等と一体となった広報、イベント開催等の普及啓発活動を実施した。

特に、木の良さや価値を再発見させる木製品や建築物、木材を利用し地域の活性化につなげている取組など、木材を活用した様々な取組を幅広く表彰する活動(ウッドデザイン賞等)を支援した。

また、木への親しみや木の文化への理解を深め、木材の良さや利用の意義を学ぶ「木育(もくいく)」の取組を広げるため、これまで開発した木育(もくいく)プログラムの活用による木育(もくいく)指導者の養成など、効果的な木育(もくいく)の推進を図った。


5 林産物の輸入に関する措置

WTO交渉や、EU等との間におけるEPA(経済連携協定)及びFTA(自由貿易協定)交渉に当たっては、世界有数の林産物の輸入国として、各国の森林の有する多面的機能の発揮を損なうことのない適正な貿易の確保や、国内の林業・木材産業への影響にも配慮して対処した。また、持続可能な森林経営、違法伐採対策、輸出入に関する規制等の情報収集、交換及び分析を行い、国際的な連携を図った。

お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219