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ホーム > 森林・林業白書 > 平成27年度 森林・林業白書(平成28年5月17日公表) > 平成27年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第 V 章 第2節 国有林野事業の具体的取組(3)


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第1部 第 V 章 第2節 国有林野事業の具体的取組(3)

(3) 「国民の森林(もり)」としての管理経営等

国有林野事業では、国有林野を「国民の森林(もり)」として位置付け、国民に対する情報の公開、フィールドの提供、森林・林業に関する普及啓発等により、国民に開かれた管理経営に努めている。

また、国有林野が、国民共通の財産であるとともに、それぞれの地域における資源でもあることを踏まえ、地域振興へ寄与する国有林野の活用にも取り組んでいる。

さらに、東日本大震災からの復旧及び復興へ貢献するため、国有林野等における被害の復旧に取り組むとともに、被災地のニーズに応じて、海岸防災林の再生や原子力災害からの復旧等に取り組んでいる。

(ア)「国民の森林(もり)」としての管理経営

(双方向の情報受発信)

国有林野事業では、「国民の森林(もり)」としての管理経営の透明性を確保するため、ホームページや広報誌を通じた情報発信、現地見学会の開催等により、国有林野事業の実施に関する情報の提供に取り組んでいる。

また、国有林野における活動全般について国民の意見を聴取するため、一般公募により「国有林モニター」を選定して、「国有林モニター会議」や現地見学会、アンケート調査等を行っている。国有林モニターには、平成27(2015)年4月現在、全国で350名が登録している(事例 V -13)。

さらに、各森林管理局の「地域管理経営計画」等の策定に当たっては、地域懇談会等を通じて、それまでの計画に基づく取組、実績及び現状を評価した結果を提示した上で、計画案の作成前の段階から国民や市町村等の意見を積極的に反映するとともに、民有林と国有林の計画が一層調和したものとなるよう取り組んでいる。

事例V-13 国有林モニターを対象に現地見学会を開催

現地見学会の様子
現地見学会の様子

東北森林管理局では、平成27(2015)年7月に、岩手南部森林管理署遠野(とおの)支署(岩手県遠野市)管内の国有林において、国有林モニターを対象とした現地見学会を開催した。見学会では、カラマツの低密度植栽の試験地や、チューブを用いたシカ被害対策を行っている森林を見学し、同支署職員から説明が行われた後、モニターとの質疑応答が行われた。

このような取組をパンフレット等を用いた情報提供と併せて行うことで、国有林野事業についての理解が促進されることが期待される。


(森林環境教育の推進)

国有林野事業では、森林環境教育の場としての国有林野の利用を進めるため、森林環境教育のプログラムの整備やフィールドの提供等に取り組んでいる。

この一環として、学校等と森林管理署等が協定を結び、国有林の豊かな森林環境を子供たちに提供する「遊々(ゆうゆう)の森」の設定を進めている。平成26(2014)年度末現在、168か所で学校等と協定が締結されており、地域の地方公共団体やNPO等の主催により、森林教室や自然観察、体験林業等の活動が行われている。

このほか、国有林野事業では、森林環境教育に取り組む教育関係者の活動に対して支援するため、森林環境教育の推奨事例集の作成や、小中学校の教員を対象とする森林環境教育に関するセミナーの開催等に取り組んでいる(事例 V -14)。

事例V-14 教員を対象とした森林環境教育セミナーの実施

間伐体験を行う教員
間伐体験を行う教員

箕面(みのお)森林ふれあい推進センター(大阪府箕面市)では、森林環境教育の推進を図るため、教職員への普及啓発や林業体験の指導、森林環境教育のプログラムや教材の提供等に積極的に取り組んでいる。平成27(2015)年7月には、箕面国有林内の「勝尾寺(かつおうじ)園地」において、箕面市教育委員会、大学教授、ボランティアと連携して、市内の小中学校の採用2年目の教員を対象とした森林環境教育セミナーを実施し、森林環境教育についての講義や間伐体験を行った。


(地域やNPO等との連携)

地域の森林の特色を活かした効果的な森林管理が期待される地域においては、各森林管理局が、地方公共団体、NPO、自然保護団体等と連携して森林整備・保全活動を行う「モデルプロジェクト」を実施している。

例えば、群馬県利根郡(とねぐん)みなかみ町(まち)に広がる国有林野約1万haを対象にした「赤谷(あかや)プロジェクト」は、平成15(2003)年度から、関東森林管理局、地域住民で組織する「赤谷プロジェクト地域協議会」及び公益財団法人日本自然保護協会の3者の協働により、生物多様性の保全と持続可能な地域社会づくりを目指した森林管理を実施している。平成23(2011)年に同森林管理局と関係者の協働により策定された「赤谷の森管理経営計画」では、将来の目標とする森林の姿や今後の方針等として、人工林を天然林へ誘導することなどにより、希少な野生生物の生育・生息可能な環境を創出するとともに、木材資源の持続的な利用も図ることとしている。

このほか、宮崎県東諸県郡(ひがしもろかたぐん)綾町(あやちょう)に広がる国有林野約9千haを核にした「綾の照葉樹林プロジェクト」は、平成16(2004)年度から、九州森林管理局、綾町、宮崎県、公益財団法人日本自然保護協会、地元の複数のNPO等によって設立された「一般社団法人てるはの森の会」の5者の協働により、照葉樹林の保護及び復元を目指した森林管理を実施している。

また、国有林野事業では、自ら森林(もり)づくりを行いたいという国民からの要望に応えるため、NPO等と協定を締結して森林(もり)づくりのフィールドを提供する「ふれあいの森」を設定している。「ふれあいの森」では、NPO等が、植栽、下刈りのほか、森林浴、自然観察会、森林教室等の活動を行うことができる。平成26(2014)年度末現在、全国で140か所の「ふれあいの森」が設定されており、同年度には、年間延べ約1.9万人が国有林野における森林(もり)づくり活動に参加した(事例 V -15)。

なお、森林管理署等では、NPO等に継続的に森林(もり)づくり活動に参加してもらえるよう、技術的な助言や講師の派遣等の支援も行っている。

さらに、国有林野事業では、歴史的に重要な木造建造物や各地の祭礼行事、伝統工芸等の次代に引き継ぐべき木の文化を守るため、「木の文化を支える森」を設定している。「木の文化を支える森」には、歴史的木造建造物の修復等に必要となる木材を安定的に供給することを目的とする「古事の森」、木造建築物の屋根に用いる檜皮(ひわだ)の供給を目的とする「檜皮(ひわだ)の森」、神社の祭礼で用いる資材の供給を目的とする「御柱(おんばしら)の森」等がある。

「木の文化を支える森」を設定した箇所では、地元の地方公共団体等から成る協議会が、作業見学会の開催や下刈り作業の実施等に継続的に取り組むなど、国民参加による森林(もり)づくり活動が進められており、平成26(2014)年度末現在、全国で合計24か所が設定されている。

事例V-15 「ふれあいの森」でどんぐりの苗木を植栽

苗木の植栽の様子
苗木の植栽の様子

福島森林管理署(福島県福島市)は、平成27(2015)年4月に公益財団法人日本環境協会と森林(もり)づくり活動の協定を締結して、福島県郡山市(こおりやまし)内に「プロジェクトD・福島ふれあいの森」を設定した。同協会は岩手・宮城・福島の3県で採取したどんぐりを全国で育て、成長した苗木を同3県で植樹する活動を行っている。

同6月には、この「ふれあいの森」で、全国の里親が育てた苗木が植栽された。


(分収林制度による森林(もり)づくり)

国有林野事業では、将来の木材販売による収益を分け合うことを前提に、契約者が苗木を植えて育てる「分収造林」や、契約者が生育途中の森林の保育や管理等に必要な費用の一部を負担して国が育てる「分収育林」による分収林制度を通じて、国民参加の森林(もり)づくりを進めている。平成26(2014)年度末現在の設定面積は、分収造林で約12万ha、分収育林で約2万haとなっている(*12)。

分収育林の契約者である「緑のオーナー」に対しては、契約対象森林への案内や植樹祭等のイベントへの招待等を行うことにより、森林と触れ合う機会の提供等に努めるとともに、契約者からの多様な意向に応えるため、契約期間をおおむね10年から20年延長することも可能としている。

また、分収林制度を活用し、企業等が契約者となって社会貢献、社員教育及び顧客との触れ合いの場として森林(もり)づくりを行う「法人の森林(もり)」も設定している。平成26(2014)年度末時点で、「法人の森林(もり)」の設定箇所数は493か所、設定面積は約2千haとなっている。



(*12)個人等を対象とした分収育林の一般公募は、平成11(1999)年度から休止している。



(イ)地域振興への寄与

(国有林野の貸付け・売払い)

国有林野事業では、農林業をはじめとする地域産業の振興や住民の福祉の向上等に貢献するため、地方公共団体や地元住民等に対して、国有林野の貸付けを行っている。平成26(2014)年度末現在の貸付面積は約7.4万haで、道路、電気、通信、ダム等の公用、公共用又は公益事業用の施設用地が46%、農地や採草放牧地が14%を占めている。

このうち、公益事業用の施設用地については、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づき経済産業省から発電設備の認定を受けた事業者も貸付対象としており、平成26(2014)年度末現在で66haの貸付けを行っている。これは、平成24(2012)年4月に閣議決定された「エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針」に沿って措置したものである。

また、国有林野の一部に、地元住民を対象として、薪炭材等の自家用林産物採取等を目的とした共同利用を認める「共用林野」を設定している。共用林野は、自家用の落葉や落枝の採取や地域住民の共同のエネルギー源としての立木の伐採、山菜やきのこ類の採取等を行う「普通共用林野」、自家用薪炭のための原木採取を行う「薪炭共用林野」及び家畜の放牧を行う「放牧共用林野」の3つに区分される。共用林野の設定面積は、平成26(2014)年度末現在で、115万haとなっている(事例 V -16)。

さらに、国有林野のうち、地域産業の振興や住民福祉の向上等に必要な森林や苗畑及び貯木場の跡地等については、地方公共団体等への売払いを行っている。平成26(2014)年度には、ダム用地や道路用地等として、計309haの売払いを行った。

事例V-16 共用林野を活用した地域振興に向けた取組

共用林野に設定された林分
共用林野に設定された林分

平成24(2012)年度の「国有林野の管理経営に関する法律」の改正により、従来は設定の目的が山菜やきのこ類、自家用の薪の採取等に限られていた共用林野について、バイオマスエネルギー源としての共同利用のための林産物の採取を目的として設定することが可能となった。

山形森林管理署最上(もがみ)支署(山形県最上郡真室川町(まむろがわまち))では、平成27(2015)年3月に、最上町(もがみまち)と地域の関係者による「最上町木質バイオマスエネルギー利用協議会」と、木質バイオマスエネルギーの供給を目的とした共用林野契約(151.21ha)を全国で初めて締結した。今後、協議会では、共用林内の広葉樹を活用して、町内の保健福祉施設等への熱源供給に取り組むこととしている。


(公衆の保健のための活用)

国有林野事業では、優れた自然景観を有し、森林浴、自然観察、野外スポーツ等に適した国有林野を「レクリエーションの森」に設定して、国民に提供している。「レクリエーションの森」には、「自然休養林」、「自然観察教育林」、「風景林」、「森林スポーツ林」、「野外スポーツ地域」及び「風致探勝林」の6種類がある。平成27(2015)年4月現在、全国で1,075か所、約39万haの国有林野を「レクリエーションの森」に設定している(資料 V -12)。平成26(2014)年度には、延べ約1.2億人が「レクリエーションの森」を利用した。

「レクリエーションの森」では、地元の地方公共団体を核とする「「レクリエーションの森」管理運営協議会」をはじめとした地域の関係者と森林管理署等が連携しながら、利用者のニーズに即した管理運営を行っている(事例 V -17)。管理運営に当たっては、利用者からの「森林環境整備推進協力金」による収入や、「サポーター制度」に基づく企業等からの資金も活用している。このうち、サポーター制度は、企業等がCSR活動の一環として、「「レクリエーションの森」管理運営協議会」との協定に基づき、「レクリエーションの森」の整備に必要な資金や労務を提供する制度であり、平成26(2014)年度末現在、全国9か所の「レクリエーションの森」において、延べ12の企業等がサポーターとなっている。

事例V-17 木曽御岳(きそおんたけ)自然休養林における遊歩道の整備

老朽化した木道の撤去の様子
老朽化した木道の撤去の様子

登山、観光、野鳥観察等を目的に多くの人々に利用されている木曽御岳自然休養林(長野県木曽郡(きそぐん)王滝村(おうたきむら)ほか)は、平成26(2014)年9月に発生した御嶽山(おんたけさん)の噴火に伴う入山規制により一部入林ができない状況となっていたが、平成27(2015)年6月に入山規制が緩和されたことから、民間団体、王滝村、木曽森林管理署(長野県木曽郡上松町(あげまつまち))が協力して林内の遊歩道を2年間かけて整備することとした。

同7月には、ボランティアによって老朽化した木道の撤去作業が行われた。今後は、木道の新設工事を行い、来訪者のための環境を整えることとしている。


(ウ)東日本大震災からの復旧・復興

(応急復旧と海岸防災林の再生)

平成23(2011)年3月に発生した東日本大震災では、国有林野においても、山腹崩壊や地すべり等の林地荒廃、防潮堤や海岸防災林等の治山施設の被害、法(のり)面・路肩の崩壊等の林道施設の被害、林野火災等の森林被害が発生した。

東北森林管理局等では、震災発生の翌日から、ヘリコプターによる現地調査を実施するとともに、現地に担当官を派遣することにより、被害状況を把握して、今後の対応について検討を行った。また、海岸地域において治山施設が流失した箇所のうち、浸水被害が危惧される箇所では、緊急対策工事として大型土嚢(のう)の設置を行った。さらに、森林管理局及び森林管理署の職員による被災地への食料など支援物資の搬送や、応急仮設住宅用の杭丸太向けの原木の供給にも取り組んだ。

海岸防災林の再生については、国有林野における海岸防災林の復旧工事を行うとともに、民有林においても宮城県知事からの要請を受けて、仙台湾沿岸地区では「民有林直轄治山事業」、気仙沼(けせんぬま)地区では「特定民有林直轄治山施設災害復旧等事業」により、海岸防災林の復旧に取り組んでいる。また、海岸防災林の復旧工事に必要な資材として使用される木材について、国有林からの供給も行っている(事例 V -18)。

事例V-18 海岸防災林復旧資材用原木の供給

国有林材を使用して作設された防風柵と防風垣
国有林材を使用して作設された
防風柵と防風垣

東北森林管理局では、東日本大震災で被災した宮城県沿岸(仙台市から亘理郡(わたりぐん)山元町(やまもとちょう)にかけての地域)の海岸防災林に植栽された苗木を保護するために必要な防風柵や防風垣に使用するための原木を、システム販売協定に基づき供給した。

協定相手である木材加工業者T社に対して岩手県内の複数の森林管理署から供給され防風柵等に使用された間伐材等は、平成27(2015)年度には原木約3,750m3、平成24(2012)年度からの4年間の合計では約8,820m3となった。


(原子力災害からの復旧への貢献)

東京電力福島第一原子力発電所の事故による原子力災害への対応については、森林野外活動等の入込者が増加する夏期を迎えるに当たり、福島県に所在する「レクリエーションの森」等を対象とし、昨年度に引き続き森林の環境放射線モニタリングを実施した。また、関係機関と連携しつつ生活圏周辺の国有林野の除染に取り組んでおり、平成28(2016)年3月末現在、福島県、茨城県及び群馬県の3県で約20haの除染を実施している。あわせて、福島県内の国有林野をフィールドとして、森林除染に関する知見の集積や技術開発のための実証事業に取り組んでいる。

また、放射性物質の影響により供給不足となっているきのこ原木については、国有林野から安全な原木を供給することにより支援を行った。

さらに、地方公共団体等から、汚染土壌等の仮置場用地として国有林野を使用したいとの要請があった場合には、国有林野の無償貸付け等により積極的に協力している。平成27(2015)年12月末現在、福島県、茨城県、群馬県及び宮城県の4県22か所で計約68haの国有林野を仮置場用地として、市町村や環境省等に無償貸付け等を行っている。


お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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