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ホーム > 森林・林業白書 > 平成27年度 森林・林業白書(平成28年5月17日公表) > 平成27年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第 IV 章 第3節 木材利用の動向(4)


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第1部 第 IV 章 第3節 木材利用の動向(4)

(4)木質バイオマスのエネルギー利用

(木材チップや木質ペレット等による木材のエネルギー利用)

木材は、昭和30年代後半の「エネルギー革命」以前は、木炭や薪の形態で日常的なエネルギー源として多用されていたが、近年では、再生可能エネルギーの一つとして再び注目されている。現在、木質バイオマスのエネルギー利用は、木材を小片に切削又は破砕した「木材チップ」、おが粉等を圧縮成形した「木質ペレット」等の形態で進められているほか、薪ストーブ等による薪の利用も注目されている(*112)。

平成23(2011)年7月に変更された「森林・林業基本計画」では、平成32(2020)年における燃料用等のパルプ・チップ用材の利用目標を600万m3と見込んでいる(*113)。その上で、木質バイオマスのエネルギー利用に向けて、「カスケード利用(*114)」を前提としつつ、石炭火力発電施設や木質バイオマス発電施設における未利用間伐材等の利用、地域における熱電併給システムの構築等を推進していくこととしている。

平成26(2014)年度に、全国でエネルギー源として利用された間伐材等由来の木質バイオマス量は前年比約5割増の約168万m3であった(資料 IV -45)。



(*112)「薪の利用」については、第 III 章(110-111ページ)を参照。

(*113)木質バイオマス発電等エネルギー源としての利用に加え、パーティクルボード等木質系材料としての利用も含む。

(*114)木材を建材等の資材として利用した後、ボードや紙等の利用を経て、最終段階では燃料として利用すること。



(未利用間伐材等の活用が重要)

エネルギー源として利用される木質バイオマスには、製材工場等で発生する端材(工場残材)、建築物の解体等で発生する解体材・廃材(建設発生木材)、間伐材等がある。

このうち工場残材については、その大部分が、自工場内における木材乾燥用ボイラー等の燃料や、製紙等の原料として利用されている。工場残材の出荷先別出荷割合についてみると、「自工場で消費等」が31.8%、「チップ等集荷業者・木材流通業者等」が26.8%、「火力発電施設等」が1.7%となっている(資料 IV -46)。

また、建設発生木材については、平成12(2000)年の「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」により再利用が義務付けられたことから利用が進み、木質ボードの原料やボイラー等の燃料として再利用されているほか、近年では木質バイオマス発電用の燃料としての需要が増えている。

一方、現在、間伐材等由来の木質バイオマスについても利用量が増えてきているが、依然として伐採されながら収集・運搬コストが掛かるため林内に放置される未利用間伐材等が発生している。これらは、資源としての潜在的な利用可能性を有することから、収集・運搬の効率化等を推進し、エネルギーとしての利用も進めていくことが重要である。


(木質ペレットの生産は増加傾向)

木質ペレットは、木材加工時に発生するおが粉等を圧縮成形した燃料であり、形状が一定で取り扱いやすい、エネルギー密度が高い、含水率が低く燃焼しやすい、運搬や貯蔵も容易であるなどの利点がある。

木質ペレットは、石油価格の高騰を受けた代替エネルギー開発の一環として、昭和57(1982)年に国内での生産が始まったが、当時は十分に普及しなかった(*115)。その後、地球温暖化等の環境問題への関心の高まり等もあり、木質ペレットの国内生産量は増加傾向で推移し、平成26(2014)年には約12.6万トンとなっている(資料 IV -47)。これに対して、平成26(2014)年の木質ペレットの輸入量は、9.7万トンであった(*116)。

木質ペレット生産工場の生産規模をみると、我が国では、年間100~1,000トン程度の工場が約6割を占めており(*117)、年間数万トン程度の工場が中心の欧州諸国と比べて相当小規模となっている。国内で生産される木質ペレットの競争力を高めるためには、木質ペレット生産工場の規模拡大を進める必要がある。



(*115)小林裕昇 (2009) 木材工業, Vol.64(4): 154-159.

(*116)財務省「貿易統計」における「木質ペレット」(統計番号:4401.31-000)の輸入量。

(*117)公益財団法人日本住宅・木材技術センター (2010) 木質ペレットのすすめ.



(木質バイオマスの熱利用)

近年、公共施設や一般家庭等において、木質バイオマスを燃料とするボイラーやストーブの導入が進んでいる。特に、ボイラーは、近年、温泉施設や施設園芸等においても利用が進んでおり、全体の導入数は増加傾向にある(資料 IV -48)。

また、欧州諸国では、燃焼プラントから複数の建物に配管を通し、蒸気や温水を送って暖房等を行う「地域熱供給」に、木質バイオマスが多用されている(*118)。例えば、スウェーデンにおける2011年の地域熱供給部門のエネルギー消費量は47TWh(*119)で、エネルギー消費量全体(379TWh)の約12%を占める。また、地域熱供給のために消費されたエネルギー全体のうち38%が木質燃料となっている(*120)。

これに対して我が国では、木質バイオマスを利用した地域熱供給はほとんど進んでいなかったが、一部の地域では木質バイオマスによる地域熱供給を行っている(事例 IV -11)(*121)。今後は、小規模分散型の熱供給システムとして、木質バイオマスによる地域熱供給の取組も推進していくことが重要である。

事例IV-11 公共施設全体の熱需要量の約6割を木質バイオマスエネルギーで供給

一の橋地区木質バイオマスボイラー
一の橋地区木質バイオマスボイラー
役場周辺地域熱供給システム
役場周辺地域熱供給システム

北海道上川郡(かみかわぐん)下川町(しもかわちょう)では、公共の温泉施設に木質バイオマスを燃料とするボイラーを導入した平成17(2005)年以降、熱需要の大きい公共施設を中心に木質バイオマスによる熱利用を拡大してきた。その中でも一か所のボイラー棟から複数の施設に熱を供給する地域熱供給システムを平成22(2010)年から導入し、定格熱出力1,200kWのボイラーにより、役場庁舎、消防署、公民館、総合福祉センター等の暖房用に熱供給を行うほか、定格熱出力700kWのボイラーにより、小学校・病院への暖房用として、さらには、町の中心部から約12km離れた高齢化率の高い一(いち)の橋(はし)地区においても、集住化施設や障害者支援施設、特用林産物栽培研究所等の集落エリアに暖房・給湯用として熱供給を行うなど、民間の木材加工工場も含め町全体で木質バイオマスによる熱利用を進めている。

これらの取組により、現在、公共施設全体の熱需要量の約6割が木質バイオマスで賄われている。化石燃料から木質バイオマスへの転換が進められたことにより、燃料費や二酸化炭素排出量が削減されており、燃料費の削減分は新たな子育て支援の財源等に充てられている。



(*118)欧州での地域熱供給については、「平成23年度森林及び林業の動向」の37ページを参照。

(*119)「TWh(テラワット時)」は、3.6PJ相当。1PJ=1015J。

(*120)Swedish Energy Agency (2014) Energy in Sweden 2013: 7,56.

(*121)「平成25年度森林及び林業の動向」の181ページも参照。



(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)

平成24(2012)年7月から、電気事業者に対して、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を一定の期間・価格で買い取ることを義務付ける再生可能エネルギーの固定価格買取制度(*122)が導入され、太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気を対象として、電気事業者が買取りに必要な接続や契約の締結に応じる義務を負うこととされた。

木質バイオマスにより発電された電気の平成27(2015)年度の買取価格(税抜き)は、「間伐材等由来の木質バイオマス」を用いる場合は40円/kWh(出力2,000kW未満)、32円/kWh(出力2,000kW以上)、「一般木質バイオマス」は24円/kWh、「建設資材廃棄物」は13円/kWh、買取期間は20年間とされている。

林野庁は、平成24(2012)年6月に、木質バイオマスが発電用燃料として適切に供給されるよう、発電利用に供する木質バイオマスの証明に当たって留意すべき事項を「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」として取りまとめており、伐採又は加工・流通を行う者が、次の流通過程の関係事業者に対して、納入する木質バイオマスが間伐材由来の木質バイオマス又は一般木質バイオマスであることを証明することとしている(*123)。また、木質バイオマスを供給する事業者の団体等は、間伐材等由来の木質バイオマスと一般木質バイオマスの分別管理や書類管理の方針に関する「自主行動規範」を策定した上で、団体の構成員等に対して、適切な取組が行われている旨の認定等を行うこととしている。



(*122)平成23(2011)年8月に成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成23年法律第108号)に基づき導入されたもの。

(*123)林野庁「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」(平成24(2012)年6月)



(木質バイオマスによる発電の動き)

再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入を受けて、各地で木質バイオマスによる発電施設が新たに整備されている。主に未利用間伐材等を活用した発電施設については、平成27(2015)年10月末現在、出力2,000kW以上の施設17か所、出力2,000kW未満の施設3か所が同制度により売電を行っている。さらに、全国で合計約40か所程度の発電設備の新設計画が、同制度の認定を受けており、順次稼動していくことが見込まれている(資料 IV -49)。

木質バイオマス発電施設の導入による地域への経済波及効果を試算すると、送電出力5,000kWの発電施設の場合、未利用材の燃料として年間約10万m3の間伐材等が使用され、約12~13億円の売電収入(燃料代は約7~9億円)が得られるほか、燃料の収集等を含めて50人以上の雇用が見込まれる(*124)。また、今後は、地域で発生する木質バイオマスを小規模な発電施設の燃料として有効に活用し、地域の活性化につなげる地域密着型の取組の広がりも期待される。



(*124)林野庁「固定価格買取制度地方説明会」資料



(木質バイオマスの安定供給と有効活用が課題)

木質バイオマス発電施設の導入に当たっては、原料の安定供給を確保するため、地域の資源量及び供給可能量の把握、木質バイオマスの収集方法等といった点について、事前によく検討を行う必要がある(事例 IV -12)。各地では、発電施設等が地元の森林組合等と協定を結び、未利用間伐材等の原料の安定的な確保を図っているほか、林家等が搬出するものを定額で買い取るなどの取組も行われている。また、未利用間伐材等の安定供給に向けて、施業の集約化、路網の整備、高性能林業機械の導入等により、収集・搬出コストの低減を進める必要もある。

さらに、未利用間伐材等だけを搬出すると、販売価格に対して搬出コストが高くなることから、素材生産において全木集材等の方法により、製材・合板等の他の用材と併せて搬出することが合理的である。このため、製材・合板等の需要と供給の拡大に向けて取り組むことにより、併せて未利用間伐材等の木質バイオマスの安定供給を確保することが重要である。

一方、木質バイオマスの活用に当たっては、発電のみを行う場合はエネルギー変換効率が低位となることもあることから、熱利用も含めて適切かつ有効に活用することが重要である。

林野庁では、未利用間伐材等を含む木材の安定供給に向け、施業の集約化、低コストで効率的な作業システムの普及等に取り組むとともに、木質バイオマスのエネルギー利用が円滑に進むよう、未利用間伐材等の活用に資する木質バイオマス関連施設の整備、木質バイオマスの利用等に関する相談・サポート体制の構築や技術開発への支援を行っている。平成25(2013)年度からは、木質バイオマスの有効活用を推進するため、環境省と連携して「木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業」を実施しており、9か所で未利用材の低コスト搬出・運搬システムの構築やボイラーの導入等による木質バイオマス利用システムの実証に取り組んでいる。

事例IV-12 木質バイオマス発電の事業採算性評価ツールの開発

評価ツールの概要
評価ツールの概要

木質バイオマス発電施設を継続的に稼動していくためには、未利用間伐材に由来するチップ等の燃料の安定的な調達に加えて、事業採算性について事前に検討することが必要である。国立研究開発法人森林総合研究所は、平成27(2015)年10月に木質バイオマス発電導入の意思決定に資する「木質バイオマス発電の事業採算性評価ツール」を開発し、希望者に対して無償でこのツールを提供している。

このツールは、全国で既に稼動している木質バイオマス発電施設へのヒアリングや文献調査から収集したデータに基づいて構築されており、発電規模、燃料構成比、燃料購入価格及び燃料含水率の4項目の入力で、燃料消費量や燃料の発熱量等の基本データ、売電単価や経済性、発電コスト内訳、キャッシュフロー等の経済性データが出力される。また、発電施設の年間稼働日数等の条件を変更することも可能となっている。

資料:国立研究開発法人森林総合研究所「木質バイオマス発電事業採算性評価ツール」


お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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