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ホーム > 森林・林業白書 > 平成27年度 森林・林業白書(平成28年5月17日公表) > 平成27年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第 IV 章 第3節 木材利用の動向(2)


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第1部 第 IV 章 第3節 木材利用の動向(2)

(2)住宅分野における木材利用

(住宅分野は木材需要に大きく寄与)

我が国では、木材需要の約4割、国産材需要の過半が建築用材であるが(*95)、建築物の木造率は住宅分野で高く、新設住宅着工戸数の約半分が木造となっている。また、平成27(2015)年に農林水産省が実施した「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」で消費者モニター(*96)に対して今後住宅を建てたり、買ったりする場合に選びたい住宅について聞いたところ、「木造住宅(在来工法又はツーバイフォー工法など)」と答えた者が74.7%となり、「非木造住宅(鉄筋、鉄骨、コンクリート造りのもの)」と答えた者の11.1%を大きく上回った(資料 IV -40)。このように、住宅の建築用材の需要が、木材の需要、特に国産材の需要にとって重要となっている。

我が国における木造住宅の主要な工法としては、「在来工法(木造軸組構法)」、「ツーバイフォー工法(枠組壁工法)」及び「木質プレハブ工法」の3つが挙げられる(*97)。平成27(2015)年における工法別のシェアは、在来工法が74%、ツーバイフォー工法が23%、木質プレハブ工法が3%となっている(*98)。在来工法による木造戸建て注文住宅については、半数以上が年間供給戸数50戸未満の中小の大工・工務店により供給されたものであり(*99)、住宅メーカーだけではなく、中小の大工・工務店も木造住宅の建築に大きな役割を果たしている。

林野庁では、安定的な原木供給、生産、流通及び加工の各段階でのコストダウンや、住宅メーカー等のニーズに応じた最適な加工・流通体制の構築等の取組を進めてきた。また、平成25(2013)年からは地域材を活用した木造住宅の新築、増築、購入や内装・外装の木質化工事、木材製品・薪ストーブの購入等に対し、「木材利用ポイント」を付与する「木材利用ポイント事業」を実施した。このような中で、住宅メーカーでは、国産材を積極的に利用する取組が拡大しており、最近では、ツーバイフォー工法など、木造軸組構法以外の工法を中心とする住宅メーカーでも、国産材の利用が進んでいる。なお、平成27(2015)年3月には、ツーバイフォー工法部材のJASが改正(*100)され、国産材(スギ、ヒノキ、カラマツ)のツーバイフォー工法部材強度が適正に評価されるようになり、今後、同工法への国産材利用が更に進むことが期待される。

しかしながら、木造軸組構法による住宅建築では梁(はり)・桁等の横架材での国産材割合が低い状況にあるなど、こうした部材における新たな国産材製品や技術の開発も重要となっている(資料 IV -41)。

木造軸組構法における木材使用割合(部材別)

コラム 家具等への国産早生樹の活用

芽かきを行ったセンダン
芽かきを行ったセンダン

センダンを使用した家具
センダンを使用した家具

近年、我が国では、スギ、ヒノキ、カラマツ等の戦後造林された針葉樹人工林を中心に国産材供給量が増加傾向にあるが、成長の早い早生樹の活用に向けた取組も行われている。

早生樹の中でも、センダンはこれまで緑化木として活用されてきたほか、材はケヤキ等の代替材として扱われ、近年も長崎県産のセンダンを使用した家具の製品化が行われている。また、家具産地として知られる福岡県大川市(おおかわし)で開催された家具の展示会においても、センダンを使用した椅子が出展されている。センダンは20年生程度でも利用可能な径級にまで成長し、今後の植栽樹種としても期待されるが、枝分かれが激しく、幹曲がりが生じやすいため、いかに通直な材を取るかが課題となる。熊本県では、幹曲がりを抑制するための育成方法の研究に取り組んできており、「芽かき(注1)」により樹形を通直にする方法が実践されている。このようなノウハウをまとめた「センダンの育成方法(H27改訂版)」が熊本県林業研究指導所により公表されており、国産早生樹の活用に向けた環境が整いつつある(注2)。

注1:頂芽以外の腋芽を全て取り除く作業で、栄養を樹木の最上部に集中させることで樹形が通直になる。

2:国有林野における早生樹種の試験植栽の取組については、第 V 章(179ページ)を参照。



(*95)林野庁試算による。

(*96)この調査での「消費者」は、農林水産行政に関心がある20歳以上の者で、原則としてパソコンでインターネットを利用できる環境にある者。

(*97)「在来工法」は、単純梁形式の梁・桁で床組みや小屋梁組を構成し、それを柱で支える柱梁形式による建築工法。「ツーバイフォー工法」は、木造の枠組材に構造用合板等の面材を緊結して壁と床を作る建築工法。「木質プレハブ工法」は、木材を使用した枠組の片面又は両面に構造用合板等をあらかじめ工場で接着した木質接着複合パネルにより、壁、床、屋根を構成する建築工法。

(*98)国土交通省「住宅着工統計」(平成26(2014)年)。在来工法については、木造住宅全体からツーバイフォー工法、木質プレハブ工法を差し引いて算出。

(*99)請負契約による供給戸数についてのみ調べたもの。国土交通省調べ。

(*100)平成27年3月9日農林水産省告示第512号



(地域で流通する木材を利用した家づくりも普及)

平成の初めごろ(1990年代)から、木材生産者や製材業者、木材販売業者、大工・工務店、建築士等の関係者がネットワークを組み、地域で生産された木材や自然素材を多用して、健康的に長く住み続けられる家づくりを行う取組がみられるようになった(*101)。

林野庁では、平成13(2001)年度から、森林所有者から大工・工務店等の住宅生産者までの関係者が一体となって、消費者の納得する家づくりに取り組む「顔の見える木材での家づくり」を推進している。平成26(2014)年度には、関係者の連携による家づくりに取り組む団体数は398、供給戸数は9,511戸となった(資料 IV -42)。平成27(2015)年度には、工務店等と川中・川上の関係者が協力して実施する地域材の安定調達や木づかいの普及啓発等により地域材の利用拡大を図るモデル的な取組に対して支援している。

また、国土交通省では、平成24(2012)年度から、「地域型住宅ブランド化事業」により、資材供給から設計・施工に至る関連事業者から成るグループが、グループごとのルールに基づき地域で流通する木材を活用した木造の長期優良住宅(*102)及び低炭素建築物等の認定を取得した木造建築物(非住宅)を建設する場合に、建設工事費の一部を支援してきた。平成27(2015)年度には「地域型住宅グリーン化事業」として、省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅等を整備する地域工務店等に対して支援しており、平成28(2016)年3月現在、718のグループが選定され、約8,900戸の木造住宅等を整備する予定となっている。

総務省では、平成12(2000)年度から、都道府県による地域で流通する木材の利用促進の取組に対して地方財政措置を講じており、地域で流通する木材を利用した住宅の普及に向けて、都道府県や市町村が独自に支援策を講ずる取組が広がっている。平成27(2015)年7月現在、39府県と247市町村が、地域で流通する木材を利用した住宅の普及に取り組んでいる(*103)。



(*101)嶋瀬拓也 (2002) 林業経済, 54(14): 1-16.

(*102)構造の腐食、腐朽及び摩損の防止や地震に対する安全性の確保、住宅の利用状況の変化に対応した構造及び設備の変更を容易にするための措置、維持保全を容易にするための措置、高齢者の利用上の利便性及び安全性やエネルギーの使用の効率性等が一定の基準を満たしている住宅。

(*103)林野庁木材産業課調べ。都道府県や市町村による取組の事例については、ホームページ「日本の木のいえ情報ナビ」を参照。



(木材利用に向けた人材の育成)

戸建て住宅のみならず様々な建築物について、幅広く木材利用を推進していくためには、木造建築物の設計を行う技術者等の育成も重要である。このため、林野庁では、国土交通省と連携し、平成22(2010)年度から、「木のまち・木のいえづくり担い手育成拠点事業」として、木材や建築を学ぶ学生等を対象とした木材・木造技術の知識習得や、住宅・建築分野の設計者等のレベルアップに向けた活動に対して支援してきた(*104)。平成26(2014)年度からは、中高層建築物等への木材利用を促進するため、このような建設物の木造化・木質化に必要な知見を有する設計者等の育成に対して支援している。また、都道府県独自の取組としても、木造建築に携わる設計者等の育成が行われている。



(*104)一般社団法人木を活かす建築推進協議会「平成25年度木のまち・木のいえ担い手育成拠点事業成果報告書」(平成26(2014)年3月)



お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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