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ホーム > 森林・林業白書 > 平成27年度 森林・林業白書(平成28年5月17日公表) > 平成27年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第 III 章 第3節 山村の動向(2)


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第1部 第 III 章 第3節 山村の動向(2)

(2)山村の活性化

(地域の林業・木材産業の振興と新たな事業の創出)

山村が活力を維持していくためには、地域固有の自然や資源を守るとともにこれらを活用して、若者やUJIターン(*64)者の定住を可能とするような多様で魅力ある就業の場を確保し、創出することが必要である。

平成27(2015)年12月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015改訂版)」等においては、林業の成長産業化が地方創生の基本目標達成のための施策の一つとして位置付けられており、木材需要の拡大や国産材の安定供給体制の構築等の取組を推進するとされている。

平成27(2015)年3月には、「山村振興法」の有効期限を10年間(平成37(2025)年3月31日まで)延長するとともに、基本理念に関する規定を設けるなど山村振興の方向性をより明確化し、山村振興対策の充実を図るための改正が行われた。このことを受け、農林水産省では、振興山村を対象に、薪炭・山菜など地域資源の活用等を通じた山村の雇用・所得の増大に向けた取組を支援する「山村活性化支援交付金」を創設した。

また、農林水産省では、地域の第1次産業と第2次・第3次産業(加工や販売等)に係る事業の融合等により、地域ビジネスの展開と新たな業態の創出を行う「6次産業化」の取組を進めており、林産物関係で96件(*65)の計画が認定されている(平成27(2015)年11月時点)。さらに、「農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)(*66)」は、農林漁業・食品産業に関心のある地方金融機関等との共同出資によってサブファンド(支援対象事業活動支援団体)を設立し、地域に根ざした6次産業化の取組を支援している。

さらに、農林水産省及び経済産業省では、農林漁業者と中小企業者が有機的に連携し、それぞれの経営資源を有効に活用して新商品開発や販路開拓等を行う「農商工等連携」の取組を推進しており、林産物関係では37件の計画(*67)が認定されている(平成27(2015)年10月時点)。

このほか、内閣官房及び農林水産省は、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」として、埋もれていた地域資源の活用等により農林水産業・地域の活力創造につながる事例を選定し、全国へ発信している(事例 III -6)。

事例III-6 地域資源を活かした地域活性化の取組

中学生によるカエデ類の植栽
中学生によるカエデ類の植栽
カエデ樹液の採取
カエデ樹液の採取

埼玉県秩父市(ちちぶし)の菓子製造業者により構成される「お菓子な郷(くに)推進協議会」は、秩父の山々に自生している20種以上の豊富なカエデ類の資源としての価値に着目し、これを活用した国産メープルシロップ事業に取り組んでいる。樹液の採取やこれを煮詰めたシロップの製造のほか、カエデ樹液に含まれる酵母菌を使用したパンの開発やカエデの茶葉を使用したラムネの販売等の6次産業化、「林商工連携」によるお菓子づくりを推進している。

また、同協議会は、「森を育てて、お菓子を創る」をスローガンとして掲げて、スギ・ヒノキの間伐跡地にカエデ類を植栽する取組も行っており、平成17(2005)年からこれまでに、9,000本以上植栽している。

これらの取組は、持続可能な森林資源の活用、お菓子製造による雇用創出等を通じ、地域活性化に貢献しており、他の地域の参考となるような優れた地域活性化の取組であるとして、「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」(第2回選定)の優良事例に選定された。



(*64)「UJIターン」とは、大都市圏の居住者が地方に移住する動きの総称。「Uターン」は出身地に戻る形態、「Jターン」は出身地の近くの地方都市に移住する形態、「Iターン」は出身地以外の地方へ移住する形態を指す。

(*65)「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」(平成22年法律第67号)に基づき、農林漁業者等が作成する「総合化事業計画」。

(*66)「株式会社農林漁業成長産業化支援機構法」(平成24年法律第83号)に基づき、平成25(2013)年2月に設立されたもの。

(*67)「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律」(平成20年法律第38号)に基づき、農林漁業者と中小企業者が作成する「農商工等連携事業計画」。



(里山林等の保全と管理)

山村の過疎化及び高齢化等が進む中で、里山林の保全及び再生を進めるためには、地域住民が森林資源を活用しながら持続的に里山林と関わる仕組みをつくることが必要である。このため、林野庁では、「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」により、里山林の景観維持、侵入竹の伐採及び除去等の保全管理、広葉樹の薪への利用、路網や歩道の補修・機能強化等、自伐林家を含む地域の住民が協力して行う取組に対して支援している(資料 III -43、事例 III -7)。また、森林整備事業により、間伐等の森林施業を支援するとともに、除伐等の一部として行う侵入竹の伐採及び除去に対しても支援している。

森林・山村多面的機能発揮対策交付金の概要

事例III-7 地域の歴史・文化を活かした里山再生の取組

山道の整備
山道の整備

里山林の整備
里山林の整備

秋田県仙北郡(せんぼくぐん)美郷町(みさとちょう)の金沢(かねざわ)地区の里山林は、以前は手入れが行き届いていたが、近年ではかつて利用されていた山道がわからないほど荒廃が進んでいた。

このような中、地域の住民から成る「金沢諏訪堂(すわどう)の会」は、林野庁の「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」を活用しながら、里山林の再生に取り組んでいる。これまでに、里山林の間伐、携帯GPS機器を活用した山道の位置の特定やその修繕を行ってきた。

同地区は、周辺の里山に歴史に関わる史跡が残っているなど、歴史と里山の関わりが深い地区であり、同会では、同交付金を活用した活動の他に、歴史を振り返るシンポジウム等も開催している。地域の歴史と里山の自然という2つの地域資源を活用した活動を一体として行うことで、地域住民の関心が高まり、賛同者の増加につながっている。

資料:「活動事例集(平成26年度作成)」(林野庁ホームページ「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」)

(自ら伐採等の施業を行う「自伐林家」の取組)

主に所有する森林において、自ら伐採等の施業を行う、いわゆる「自伐林家」が、近年、地域の林業の担い手として、特に地域活性化の観点から注目されている。こうした林家では、主に自家労働により伐採等を行うことから、労働に見合う費用分が収入として残るという特徴がある。

このような林家等の取組で、全国各地で実施されている例として「木の駅プロジェクト」がある。林家等が自ら間伐を行って、軽トラック等で間伐材を搬出し、地域住民やNPO等から成る実行委員会が地域通貨で買い取って、チップ原料やバイオマス燃料等として販売する取組であり、地域経済を活性化する点でも注目されている(資料 III -44)。平成27(2015)年2月には、和歌山県日高郡(ひだかぐん)みなべ町(ちょう)において「木の駅サミット」が開催され、同様の取組を行っている地域等が集まり、事例発表等が行われた。


(都市との交流により山村を活性化)

近年、都市住民が休暇等を利用して山村に滞在し、農林漁業や木工体験、森林浴、山村地域の伝統文化の体験等を行う「山村と都市との交流」が各地で進められている。

都市住民のニーズに応えて、都市と山村が交流を図ることは、都市住民にとっては、健康でゆとりある生活の実現や、山村や森林・林業に対する理解の深化に役立っている。また、山村住民にとっては、特用林産物や農産物の販売による収入機会の増大や、宿泊施設や販売施設等への雇用による就業機会の増大につながるのみならず、自らが生活する地域を再認識する機会ともなり得る。

このため、各市町村では、地域住民と都市住民が参画して、森林環境教育、アウトドアスポーツ、地元の特産品を使った商品開発や販売等を通じた体験・交流活動が進められている。

また、「子ども農山漁村交流プロジェクト」によって、子どもの農山漁村での宿泊による農林漁業体験や自然体験活動等を推進できるよう、農林水産省では山村側の宿泊・体験施設の整備等に対して支援している。林野庁でも、都市住民を対象とした森林環境教育の活動等に対して支援している。

平成26(2014)年1月には、農林水産省と観光庁が「農山漁村の活性化と観光立国実現のための連携推進協定(農観連携の推進協定)」を締結し、農林漁業体験等のグリーン・ツーリズムと他の観光の組合せによる新たな観光需要の開拓、森林浴やアウトドアスポーツ等、森林を活用した観光の振興等の取組を推進している。


お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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