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ホーム > 森林・林業白書 > 平成27年度 森林・林業白書(平成28年5月17日公表) > 平成27年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第II章 第2節 森林整備の動向(3)


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第1部 第 II 章 第2節 森林整備の動向(3)

(3)研究・技術開発及び普及の推進

(研究・技術開発の新たな戦略)

林野庁は、平成23(2011)年7月の「森林・林業基本計画」の変更を受けて、平成24(2012)年9月に、これまでの「森林・林業・木材産業分野の研究・技術開発戦略」と「林木育種戦略」を統合して、新たな「森林・林業・木材産業分野の研究・技術開発戦略(*46)」を策定した。

同戦略では、東日本大震災の発生や「森林・林業基本計画」の見直し等の情勢の変化を受け、森林の有する多面的機能の発揮、林業の持続的かつ健全な発展、林産物の供給及び利用の確保、林木育種の推進、東日本大震災からの復旧・復興の実現を重点課題として取り組むこととしている。

同戦略を踏まえて、国や国立研究開発法人森林総合研究所、都道府県、大学、民間等が相互に連携しながら、森林・林業に係る政策ニーズに対応した研究や技術開発を実施している(事例 II -6)。

事例II-6 コンテナ苗生産の低コスト化につながる新しい選種技術の開発

国立研究開発法人森林総合研究所は、地方公共団体の研究機関、大学、民間企業等と連携し、コンテナ苗を活用した低コスト再造林技術の実証研究に取り組んでいる。

その一環として、九州大学、林業関連会社のS社及び同研究所は共同で、主要な造林樹種であるスギ・ヒノキについて、発芽率の高い種子を効率的に選別する新しい技術を開発した。これまでは外観や大きさ等を手がかりに種子の選別が行われてきたが、健全な充実種子と発芽に必要な構造や成分を欠く不稔種子(発芽しない種)との間でこれらの特性が似ているため、効率的な選別が困難だった。この新しい技術では、種子に赤外光を当て、種子内部の違いを検査することにより、両者を容易に見分けることが可能となった。

コンテナ苗生産に当たっては、苗畑で発芽した個体をコンテナに移植したり、コンテナに多めに播種して発芽した個体を間引く等の時間や労力がかかっていたが、充実種子を確実に選別できることで、播種は一粒だけで足りることとなり、効率的なコンテナ苗生産が期待できる。


スギの充実種子と不稔種子の外観と内部状態
スギの充実種子と不稔種子の外観と
内部状態
          1,730ナノメートル付近の赤外光の反射率の差を表す指標(充実種子指標:SQI)の可視化により、95%以上の確率で充実種子を選別(SQI値が低い暖色が多い種子ほど、充実種子であると判断)
1,730ナノメートル付近の赤外光の反射率の差を表す指標(充実種子指標:SQI)の可視化により、95%以上の確率で充実種子を選別(SQI値が低い暖色が多い種子ほど、充実種子であると判断)


(*46)林野庁「森林・林業・木材産業分野の研究・技術開発戦略」(平成24(2012)年9月策定)



(林業普及指導事業の実施)

林業普及指導事業は、都道府県が本庁や地方事務所等に「林業普及指導員」を配置して、関係機関等との連携の下、森林所有者等に対して森林施業技術の指導及び情報提供、林業経営者等の育成及び確保、地域全体での森林整備や木材利用の推進等を行う事業である。林業普及指導員は、林業に関する技術の普及と森林施業に関する指導等を行う都道府県の職員であり、全国の合計人数は、平成27(2015)年4月時点で1,304人となっている。

(森林総合監理士(フォレスター)を育成)

林野庁では、森林・林業に関する専門的かつ高度な知識及び技術並びに現場経験を有し、長期的・広域的な視点に立って地域の森林づくりの全体像を示すとともに、「市町村森林整備計画」の策定等の市町村行政を技術的に支援する人材として、「森林総合監理士(フォレスター)」の育成を進めている(*47)。

平成25(2013)年度には、「林業普及指導員資格試験」に新たに「地域森林総合監理」の試験区分を設け、平成26(2014)年度から、同試験区分に合格した者を「森林総合監理士」として登録・公開している。平成27(2015)年12月末現在では717名が森林総合監理士として登録され、市町村の森林・林業行政の支援等に取り組んでいる(事例 II -7)。また、民有林と国有林の森林総合監理士の連携も進められており、平成27(2015)年度には、新たに、四国4県と四国森林管理局が「四国フォレスター等連絡会」を設置し、森林総合監理士の育成とその活動の普及啓発に取り組んでいる。

また、森林総合監理士には、森林調査、育林、森林保護、路網、作業システム、木材販売及び流通、関係法令、諸制度等に対する知識等に基づき、地域の森林・林業の姿を描く能力や、地域の関係者の合意を形成していくための行動力、コミュニケーション能力が必要とされていることから、林野庁は、平成26(2014)年度から、森林総合監理士を目指す若手技術者の育成を図るための研修を行っている。今後、平成32(2020)年度末までに、森林総合監理士の登録数を2千~3千人とすることを目標としている。

事例II-7 森林総合監理士による「市町村森林整備計画」の実行管理支援の取組

北海道の北部に位置する北海道宗谷(そうや)総合振興局は、管内の5地区に「市町村森林整備計画実行管理推進チーム」を設置して、同計画の実行管理を行っており、森林総合監理士等がこれらの活動を支援している。

平成26(2014)年度には、効率的に施業の集約化を進めるため、間伐計画箇所とその周辺の林分、路網、地形の現況調査を実施して図示(「見える化」)し、集約化の可否を検討した。また、間伐等の森林整備の推進のため、現地調査結果を基に作成した「森林の健康診断書」を森林所有者に提示し、間伐等の必要性の説明と「森林経営計画」の作成を推進するなどの取組を実施した。

これらの取組の結果、「見える化」による路網線形等の検討により施業集約化の必要性等への理解が深まるとともに、「森林経営計画」の認定率が上昇するなどの成果が得られた。

平成27(2015)年度は、平成26(2014)年度からの課題に引き続き取り組むとともに、平成28(2016)年度からの新たな「市町村森林整備計画」の作成に向けて、現行計画の評価・検証を行い、地域の課題の洗い出しやゾーニング・路網整備等推進区域の見直し等を実施している。

市町村森林整備計画実行管理推進チームの仕組み
市町村森林整備計画実行管理推進チームの仕組み
          森林の健康診断書
森林の健康診断書


(*47)「森林総合監理士(フォレスター)」制度が始まるまでの間、その候補者の育成を進めるため、林野庁は、平成23(2011)年度から平成25(2013)年度まで、実務経験のある都道府県職員等を対象に、「准フォレスター研修」を実施し、合計1,409名(都道府県職員1,197名、市町村職員29名、国有林職員183名)が修了した。



お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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