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ホーム > 森林・林業白書 > 平成27年度 森林・林業白書(平成28年5月17日公表) > 平成27年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第II章 第4節 国際的な取組の推進(1)


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第1部 第 II 章 第4節 国際的な取組の推進(1)


世界の森林面積は減少傾向にあり、持続可能な森林経営の推進に向けた国際的な取組が展開されている。また、世界の気候は温暖化傾向にあり、国際的な地球温暖化対策が森林関連分野でも進められている。

以下では、持続可能な森林経営の推進、地球温暖化対策と森林、生物多様性に関する国際的な議論、我が国による森林分野での国際協力について記述する。

(1)持続可能な森林経営の推進

(世界の森林の減少傾向が鈍化)

2015年9月に「第14回世界林業会議(*88)」が国際連合食糧農業機関(FAO(*89))及び南アフリカ共和国の主催で開催され、「森林と人々:持続可能な未来への投資」をテーマとする全体討議等が行われたほか、「世界森林資源評価2015(*90)」が公表された。

「世界森林資源評価2015」によると、2015年の世界の森林面積は40億haであり、世界の陸地面積の約31%を占めている。

世界の森林面積は、2010年から2015年までの5年間に、植林等による増加分を差し引いても、年平均で331万ha減少しており、地域別にみると、アフリカと南米でそれぞれ年平均200万ha以上減少している。森林面積の減少傾向は依然として続いているものの、減少率(*91)をみると、1990-2000年期は年平均0.18%であったものが、2010-2015年期には年平均0.08%となり半減している(資料 II -25)。減少率の低下は、森林の他の土地利用への転用速度が減少したことや、アジア地域等で森林面積が拡大したことによるものと推定されている。2005年以降の10年間の森林面積の年間減少率が0.08%と安定的に推移している事実は、1990年と比較して2011年には年間の素材生産量が2億m3増加し、かつ人口も37%増加している現状を踏まえると、この間の持続可能な森林経営の推進がもたらした重要な進展であるとFAOは評価している。



(*88)国際連合食糧農業機関及びホスト国の主催で、6年に1回、世界の森林・林業関係者が一堂に会して開催される、森林・林業分野では世界最大規模の国際会議。

(*89)「Food and Agriculture Organization of the United Nations」の略。同機関の概要については、82ページを参照。

(*90)FAO (2015) Global Forest Resources Assessment 2015

(*91)森林面積に対する減少面積の割合。



(国連における「持続可能な森林経営」に関する議論)

持続可能な森林経営の推進は、1992年の「国連環境開発会議(UNCED(*92))」(以下「地球サミット」という。)以降、地球規模の課題として認識され、国連を中心に国際的な議論が進められている(資料 II -26)。

「地球サミット」で採択された「森林原則声明(*93)」は、世界の全ての森林における持続可能な経営のための原則を示したものであり、森林に関する初めての世界的な合意である。

以後、国連では、持続可能な森林経営に関する対話の場として、「森林に関する政府間パネル(IPF(*94))」や「森林に関する政府間フォーラム(IFF(*95))」等の会合が継続的に開催されてきた。2001年以降は、経済社会理事会の下に設置された「国連森林フォーラム(UNFF(*96))」において、各国政府、国際機関、NGO(非政府組織)等の代表者により、森林問題の解決策について議論が行われている。

2015年5月にニューヨークで開催された「UNFF第11回会合(UNFF11)」では、「森林に関する国際的な枠組(*97)(IAF(*98))」を強化した上でこれを2030年まで延長するとともに、2007年に開催された「UNFF第7回会合(UNFF7)」で採択された「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書(NLBI)(*99)」を「国連森林措置」に改称して2030年まで延長すること等が決定された。また、2017年から2030年を期間とするIAFの戦略計画等の策定に取り組んでいくこととなった。2年に一度開催されているUNFFの会合については、2017年度に予定されている「UNFF第12回会合(UNFF12)」以降、政策対話・協調等のセッションと実施・技術助言のセッションを毎年交互に開催することとされた(*100)。

2015年9月には、「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」を採択する国連サミットが開催された。この2030アジェンダは、2001年に策定された「ミレニアム開発目標(MDGs(*101))」の後継として定められた2016年から2030年までの開発目標であり、持続可能な環境や社会を実現するために先進国、開発途上国を含む全ての国が取り組む点が特徴となっている。2030アジェンダにおいて策定された「持続可能な開発目標(SDGs(*102))」は、合計17ゴール・169ターゲットから成り、持続可能な森林経営の実施の促進や世界全体での新規植林や再植林の大幅な増加等も位置付けられている(資料 II -27)。

また、2030アジェンダの採択に先立ち2015年7月には、エチオピアのアディスアベバにおいて、開発途上国の開発資金確保とその効果的な活用のための課題と方策を議論する「第3回開発資金国際会議」が国連によって開催された。この会議の成果文書「アディスアベバ行動目標」においては、持続可能な森林経営を含む生物多様性や生態系の保全及び持続的な利用のための資金源として、あらゆるレベル・供給源から動員することが奨励されている。




(*92)「United Nations Conference on Environment and Development」の略。

(*93)正式名称:「Non-legally binding authoritative statement of principles for a global consensus on the management, conservation and sustainable development of all types of forests(全ての種類の森林の経営、保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明)」

(*94)「Intergovernmental Panel on Forests」の略。

(*95)「Intergovernmental Forum on Forests」の略。

(*96)「United Nations Forum on Forests」の略。

(*97)UNFF及びそのメンバー国、「森林に関する協調パートナーシップ」、森林の資金動員戦略の策定を支援する「世界森林資金促進ネットワーク」及びUNFF信託基金から構成される。

(*98)「International Arrangement on Forests」の略。

(*99)森林に関する4つの世界的な目標((ア)森林の減少傾向の反転、(イ)森林由来の経済的・社会的・環境的便益の強化、(ウ)保護された森林及び持続可能な森林経営がなされた森林面積の大幅な増加と同森林からの生産物の増加、(エ)持続可能な森林経営のためのODAの減少傾向の反転)を掲げた上で、持続可能な森林経営の推進のために各国が講ずるべき国内政策や措置、国際協力等を包括的に記述した文書(NLBIは、「Non-legally binding instrument on all types of forests」 の略)。

(*100)林野庁ホームページ「「第11回 国連森林フォーラム(UNFF11)」の結果」

(*101)「Millennium Development Goals」の略。

(*102)「Sustainable Development Goals」の略。



(アジア太平洋地域における「持続可能な森林経営」に関する議論)

「アジア太平洋経済協力(APEC)林業担当大臣会合」は、2011年9月に中国の北京市において第1回会合が、2013年8月にペルーのクスコにおいて第2回会合が開催された。2015年10月にはパプアニューギニアのポートモレストビーにおいて第3回会合が開催され、2007年のシドニーAPEC首脳宣言で定められた2020年までに域内で森林面積を少なくとも2千万ha増加させるという目標への貢献など、各エコノミー(*103)が取り組むべき12の活動を掲げた「エダ声明」が採択された(*104)。



(*103)APECに参加する国・地域をエコノミー(economy)という。

(*104)APECホームページ「2015 APEC Meeting of Ministers Responsible for Forestry」



(持続可能な森林経営の「基準・指標」)

持続可能な森林経営の進展を評価するため、国際的な「基準・指標(*105)」の作成及び評価が進められている。現在、熱帯木材生産国を対象とした「国際熱帯木材機関(ITTO(*106))基準・指標」、欧州諸国による「フォレスト・ヨーロッパ(FE)」、我が国を含む環太平洋地域の諸国による「モントリオール・プロセス」など、世界で9つの取組が進められている。

「モントリオール・プロセス」では、カナダ、米国、ロシア、我が国等の12か国(*107)が、欧州以外の温帯林等を対象とする「基準・指標」の改訂や各国の評価に取り組んでいる。2007年1月からは、我が国が同プロセスの事務局を務めている。

「モントリオール・プロセス」の「基準・指標」は、1995年に7基準67指標が策定されたが、2008年には、より計測可能で具体的かつ分かりやすいものとするため、指標の数が54指標に簡素化された(資料 II -28)。2015年7月にチリのサンティアゴとバルディビアにおいて開催されたモントリオール・プロセス第25回総会では、1995年の「サンティアゴ宣言」で基準・指標に合意して以降、20年間に及ぶ取組内容やその成果を取りまとめた概観レポートを作成し、2015年9月の「第14回世界林業会議」にこれを提出することとしたほか、今後の「モントリオール・プロセス」の取組方針について検討が行われた。



(*105)「基準」とは、森林経営が持続可能であるかどうかをみるに当たり森林や森林経営について着目すべき点を示したもの。「指標」とは、森林や森林経営の状態を明らかにするため、基準に沿ってデータやその他の情報収集を行う項目のこと。

(*106) 「The International Tropical Timber Organization」の略。同機関の概要については、82ページを参照。

(*107) アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、中国、日本、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ロシア、米国、ウルグアイ。



(違法伐採対策に関する国際的取組)

森林の違法な伐採は、地球規模の環境保全や持続可能な森林経営を著しく阻害する要因の一つである。違法伐採が問題となっている木材生産国では、国内における法執行体制が弱いこと、低コストで生産された違法伐採木材を持ち出すことにより大きな利潤が見込まれることなどから、違法伐採が起きやすい状況にある。

我が国は、「違法に伐採された木材は使用しない」という基本的な考え方に基づき、関係各国との協力、政府調達における取組等を進めている(*108)。

違法伐採対策に関する二国間協力としては、我が国は、2003年に我が国とインドネシアとの間で策定した違法伐採対策のための協力に関する「共同発表」と「アクションプラン」に基づき、2次元バーコードを活用した木材トレーサビリティ技術の開発支援を行い、同技術は2013年1月から運用が開始された。

また、2011年に中国との間で締結した「違法伐採及び関連する貿易への対処と持続可能な森林経営の支持についての協力に関する覚書」に基づき、両政府が共同して、自国で伐採、加工、流通及び輸出入される木材及び木材製品の合法性証明の仕組みの構築による合法木材・木材製品の貿易と利用の促進、木材生産国の違法伐採対策に対する支援、国内関係法令及び制度や国際的な取組等についての情報交流と能力向上等の取組を進めている(*109)。2014年8月には、中国において我が国の合法木材制度を普及するセミナーを開催した。

多国間協力としては、ITTOに対して、熱帯木材生産国における伐採業者等への技術普及、政府の林業担当職員の能力向上、住民の森林経営への参加のための技術支援等に必要な資金の拠出を行っている。

このほか、2012年からAPECの「違法伐採及び関連する貿易専門家グループ(EGILAT(*110))」において、21のエコノミーとともに、違法伐採対策に取り組むための検討を行っている。



(*108)違法伐採対策のうち政府調達における取組等については、第 IV 章(131-132ページ)を参照。

(*109)農林水産省プレスリリース「違法伐採対策に関する日中覚書の署名について」(平成23(2011)年8月25日付け)

(*110)「Experts Group on Illegal Logging and Associated Trade」の略。



(森林認証の取組)

森林認証制度は、第三者機関が、森林経営の持続性や環境保全への配慮等に関する一定の基準に基づいて森林を認証するとともに、認証された森林から産出される木材及び木材製品(認証材)を分別し、表示管理することにより、消費者の選択的な購入を促す仕組みである。

国際的な森林認証制度としては、「世界自然保護基金(WWF(*111))」を中心に発足した「森林管理協議会(FSC(*112))」と、ヨーロッパ11か国の認証組織により発足した「PEFC(*113)」の2つがあり、平成27(2015)年11月現在、それぞれ1億8,492万ha(*114)、2億6,705万ha(*115)の森林を認証している。このうちPEFCは、世界37か国の森林認証制度との相互承認の取組を進めており、認証面積は世界最大となっている。2009年にはマレーシア、2014年には中国やインドネシアが相互承認されるなど、アジア諸国でも広がりつつある。

我が国独自の森林認証制度としては、「一般社団法人緑の循環認証会議(SGEC(*116)(エスジェック))」が行っている認証があるが、国際制度としての発展を目指すため、平成26(2014)年7月にPEFCに加盟し、平成27(2015)年3月には、PEFCとの相互承認に必要な申請を行った。平成28(2016)年3月末現在、PEFCにより相互承認についての審査が行われている。

我が国における森林認証は、主にFSCとSGECによって行われている。平成27(2015)年12月現在の国内における認証面積は、FSCが約39万ha、SGECは約126万haとなっている(資料 II -29)。森林面積に占める認証森林の割合は数%にとどまっており、欧州や北米の国々に比べて低位にある(資料 II -30)。

平成27(2015)年に農林水産省が実施した「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」で、林業者モニター(*117)に対して森林認証の取得に当たり最も障害と思われることについて聞いたところ、「森林認証材が十分に評価されていないこと」、「森林の所有規模が小さく、取得しても十分に活用できないこと」、「取得時及びその後の維持に費用がかかること」という回答が多かった(資料 II -31)。また、消費者モニターに対して森林認証という言葉の意味やロゴマークの認知度について聞いたところ、「「森林認証」の言葉を知らないし、ロゴマークも見たことがない」との回答が66.9%で最も多かった。これらの結果から、認証森林の割合が低位にとどまってきた要因として、消費者の森林認証の制度に対する認知度が低く理解が進んでいないことから、認証材の選択的な消費につながってこなかったことが考えられる。このため、林野庁では、森林認証制度や森林認証材の普及促進や、森林認証材の供給体制の構築に向けた取組に対して支援している。

また、認証材は、外見は非認証材と区別がつかないことから、両者が混合しないよう、加工及び流通過程において、その他の木材と分別して管理する必要がある。このため、各工場における木材及び木材製品の分別管理体制を審査し、承認する制度(「CoC(*118)認証」)が導入されている。平成27(2015)年11月現在、世界で延べ4万以上、我が国で延べ約1,600の事業体が、FSC、SGEC、PEFCのCoC認証を取得している(*119)。



(*111)「World Wide Fund for Nature」の略。

(*112)「Forest Stewardship Council」の略。

(*113)「Programme for the Endorsement of Forest Certification」の略。

(*114)FSC「Facts & Figures」

(*115)PEFC Asia Promotionsホームページ「国別現状認証実績」

(*116)「Sustainable Green Ecosystem Council」の略。

(*117)この調査での「林業者」は、「2010年世界農林業センサス」で把握された林業経営体の経営者。

(*118)「Chain of Custody(管理の連鎖)」の略。

(*119) FSC「Facts & Figures」、PEFC Asia Promotionsホームページ「国別現状認証実績」、SGECホームページ「CoC管理事業体一覧表」



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林政部企画課年次報告班
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