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ホーム > 森林・林業白書 > 平成27年度 森林・林業白書(平成28年5月17日公表) > 平成27年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第I章 第1節 森林資源の充実と国産材需給の現況(2)


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第1部 第 I 章 第1節 森林資源の充実と国産材需給の現況(2)


(2)国産材需給の現況

最終消費者による木材製品のニーズの変化等に伴い、国産材の需要の構造は変化してきた。木材の利用を推進するためには、こうした需要の動向を把握し、これに応じて安定的かつ効率的に国産材を供給していく体制を構築することが重要である。

(木材製品に対する消費者ニーズの変化)

我が国では、従来から木造住宅への志向があり、かつては、和室の柱を中心に無節のいわゆる役物(やくもの)(*5)へのニーズがあった。その後、洋室が増えるなど生活様式が変化し、昭和50年代後半から大壁工法が本格的に普及していったことから、柱など構造部材は、壁面の内部など表に見えないところで主に利用されるようになっていった。このため、構造用の役物(やくもの)需要は減少し、かわりに並材(なみざい)(*6)の需要が増加してきている。

また、昭和60年代以降の木造住宅でのプレカット材(*7)の利用拡大や、住宅性能の向上、施主からのクレーム防止の観点から、建築用材として品質・性能が安定している乾燥材(*8)や集成材のニーズが中心になってきている。



(*5)和室等の室内で表に見える部分に使用される化粧性の高い製材品のこと。

(*6)役物以外の節があるなどの製材品のこと。

(*7)木造軸組住宅を現場で建築しやすいよう、住宅に用いる柱や梁、床材や壁材等の部材について、継手(2つの部材を継ぎ足して長くするために接合する場合の接合部分)や仕口(2つ以上の部材を角度をもたせて接合する場合の接合部分)といった部材同士の接合部分をあらかじめ一定の形状に加工したもの。

(*8)乾燥材には、乾燥施設によって人工的に温度・湿度を調整し乾燥処理した「人工乾燥材」と、製材品を外気に触れさせ、時間をかけて徐々に乾燥させた「天然乾燥材」がある。



(木材産業における国産材需要構造の変化)

木材産業においては、製材、合板、木材チップ等の各分野において製品需要が多様化しており、木材の需要構造が変化している状況にある。

かつて我が国の製材工場では、無垢の未乾燥材の生産が中心であったが、並材(なみざい)の人工乾燥材や集成材に需要が変化してきている。

合板製造業ではかつて東南アジアからの南洋材が中心だったが、南洋材丸太の輸入減少に伴って、ロシアからの北洋材丸太の輸入が増加した。その後、ロシアが針葉樹丸太の輸出税を引き上げたこと、国内の人工林資源が成熟してきたこと、原木から単板を製造するロータリーレース(*9)の改良により間伐材等の小径材や曲がり材を利用することが可能になったことなどにより、国産材の利用が平成14(2002)年頃から急速に広がっている。その一方で、集成材については、国産材の利用は増加傾向にあるものの、平成26(2014)年における集成材の国産材の使用比率は16%にとどまっており、集成材用材の国産材需要は大きく伸びてはいない。



(*9)丸太を回転させながら桂剥きのように切削して、単板を製造する機械。



(国産材の需給)

こうした中で、近年、製材業や合板製造業では、住宅メーカーや工務店、プレカット工場等の需要者のニーズに応じた製品の安定供給を図るため、新たに大型工場を建設する動きが活発化している。この中には、国内の豊富な人工林資源を利用することを想定して、内陸部に立地するケースが多くみられる(資料 I -2)。平成23(2011)年以降に新たに稼働したか又は稼働を予定している大型の製材工場、合板・LVL(*10)工場、集成材工場の年間の国産材利用量は、丸太に換算して約190万m3と見込まれており、国産材の原木を大ロットで利用する体制が整備されつつある状況となっている。

さらに、平成24(2012)年7月から、電気事業者に対して、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を一定の期間・価格で買い取ることを義務付ける再生可能エネルギーの固定価格買取制度(*11)が導入された。平成27(2015)年10月末現在において主に未利用間伐材等を活用した木質バイオマス発電施設20か所が同制度により売電を行っているほか、全国で約40か所程度の発電設備の新設計画が、同制度の認定を受けている。この動きに伴って、平成26(2014)年度に全国でエネルギー源として利用された間伐材等由来の木質バイオマス量は168万m3に達している。木質バイオマス発電施設の稼働に伴い、今後とも木質バイオマス等のチップ用材の需要が増加していくことが見込まれる。

このような需要に対応し、国産材供給量は、人工林の森林資源の充実等を背景に増加傾向にある。平成26(2014)年の国産材供給量は2,365万m3となっており、木材自給率は31.2%まで回復している。

一方で、未だ国内の木材需要量の約7割は、輸入材に占められている状況である。その要因としては、輸入材と比較して、国産材は品質にばらつきがあることや、ロットがまとまらず一定の数量を工場に供給することができないことが考えられている。

近年の主な大型工場の新設状況


(*10)「Laminated veneer lumber」の略で、木材を薄く剥いた単板を3枚以上、繊維方向が平行になるよう積層接着した製品のこと。

(*11)再生可能エネルギーの固定価格買取制度については、第 IV 章(163-165ページ)を参照。



(国産材の流通)

我が国の国産材の流通については、合理化が進められてきたが、依然として、各段階が小規模かつ分散的で多段階を経る構造となっている。このため、国産材の原木が、需要に応じた品質、納期、ロットで流通できていないなどの課題がある。

特に、平成25(2013)年の年末から平成26(2014)年の年初にかけて、消費税の税率が5%から8%に増税される前の期間において、住宅建築のいわゆる「駆け込み需要」等による製材品価格の高騰や製材業者によるいわゆる思惑買いにより、スギやヒノキの素材価格が急騰した(資料 I -3)。

原木の流通には、素材生産業者が伐採した後、木材市売市場(*12)や木材販売業者(*13)を経由して製材工場や合板工場等(いわゆる「川中」)へ流通していく場合と、素材生産業者等が、製材工場等の木材加工業者との間で、取引のための原木の数量、造材方法等に関する協定を締結した上で、伐採現場から工場へ直送する場合等がある。近年では、並材(なみざい)需要の増加に伴い、工場等へ直送する形態が増加しているが、木材市売市場を通した流通も依然として大きな割合を占めている。

全国規模でみると、平成23(2011)年においては、工場へ直送した国産材と木材市売市場を通じて流通した国産材の量は、それぞれ同水準となっている。また、木材販売業者を経由して流通した国産材の量は、国産材全体の約2割となっている(資料 I -4)。

一方で、大規模工場や木質バイオマス発電施設の有無、木材市売市場の有無、素材生産業者の規模や相互連携の状況等により、最も有利となる販売方法が変わってくることから、木材市売市場中心のセリ売りが主体となっている場合や、協定取引による工場等への直送が過半数となっている場合など様々な地域差がみられる。





(*12)生産者等から集荷した原木や製品を保管し、買方を集めてセリ等にかけ、最高値を提示した買方に対して販売を行う。販売後は商品の保管、買方への引渡し、代金決済等の一連の業務を行い、主として出荷者からの手数料により運営している。

(*13) 自ら木材(原木又は製品)を仕入れた上で、これを必要とする者(木材市売市場、木材加工業者、消費者・実需者)に対して販売を行う者のこと。



お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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