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ホーム > 森林・林業白書 > 平成26年度 森林・林業白書(平成27年5月29日公表) > 平成26年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第III章 第1節 林業の動向(4)


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第1部 第III章 第1節 林業の動向(4)

(4)林業労働力の動向

(林業従事者数は近年下げ止まりの兆し)

森林の施業は、主に、山村で林業に就業して森林内の現場作業等に従事する林業労働者が担っている。林業労働者の確保は、山村の活性化や雇用の拡大のためにも重要である。

林業労働力の動向を、現場業務に従事する者である「林業従事者(*56)」の数でみると、長期的に減少傾向で推移した後、平成17(2005)年は52,173人、平成22(2010)年には51,200人となっており、近年は減少のペースが緩み、下げ止まりの兆しがうかがえるものの、増加に転ずるまでには至っていない。

林業従事者の高齢化率(65歳以上の従事者の割合)は、平成12(2000)年まで増加傾向で推移した後、平成17(2005)年以降は減少し、平成22(2010)年の時点で21%となっているが、全産業の平均10%と比べると高い水準にある。一方、若年者率(35歳未満の若年者の割合)は、平成2(1990)年以降上昇傾向で推移し、平成22(2010)年の時点で18%となっているが、全産業平均27%と比べると低い水準にある(資料 III -31)。林業従事者の平均年齢をみると、平成12(2000)年には56.0歳であったものが、若者の新規就業の増加等により、平成22(2010)年には52.1歳と若返り傾向にあるが、全産業の平均年齢45.8歳よりは高い水準にある。

一方、日本標準産業分類(*57)に基づき「林業」に分類される事業所に就業している「林業就業者(*58)」には、造林や素材生産など現場での業務に従事する者のほか、事務的な業務に従事する者、管理的な業務に従事している者等が含まれており、平成22(2010)年には、全体で68,553人となっている。



(*56)国勢調査における「林業従事者」とは、就業している事業体の日本標準産業分類を問わず、林木、苗木、種子の育成、伐採、搬出、処分等の仕事及び製炭や製薪の仕事に従事する者で、調査年の9月24日から30日までの一週間に収入になる仕事を少しでもした者等をいう。

(*57)統計調査の結果を産業別に表示する場合の統計基準として、事業所において社会的な分業として行われる財及びサービスの生産又は提供に係る全ての経済活動の分類。

(*58)国勢調査における「林業就業者」とは、山林用苗木の育成・植栽、木材の保育・保護、木材からの素材生産、薪及び木炭の製造、樹脂、樹皮、その他の林産物の収集及び林業に直接関係するサービス業務並びに野生動物の狩猟等を行う事業所に就業する者で、調査年の9月24日から30日までの一週間に収入になる仕事を少しでもした者等をいう。なお、平成19(2007)年の「日本標準産業分類」の改定により、平成22(2010)年のデータは、平成17(2005)年までのデータと必ずしも連続していない。詳しくは、「平成24年度森林及び林業の動向」137-138ページ参照。



(「緑の雇用」により新規就業者が増加)

森林資源が充実し、間伐や主伐・再造林等の事業量の増大が見込まれる中、若者を中心とする新規就業者の確保及び育成が喫緊の課題となっている。このため林野庁では、平成15(2003)年度から、林業への就業に意欲を有する若者を対象に、林業に必要な基本的技術の習得を支援する「「緑の雇用」事業」を実施している。同事業では、林業事業体に新規採用された者を対象として、各事業体による実地研修や研修実施機関による集合研修の実施を支援している。平成25(2013)年度までに、同事業を活用して新たに林業に就業した者は約1万4千人となっている。

林業事業体に採用された新規就業者数は、「「緑の雇用」事業」の開始前は年間約2,000人程度であったが、同事業の開始後は平均で年間約3,300人程度に増加している。この新規就業者の増加は、「「緑の雇用」事業」による効果と考えることができる。これらの新規就業者の大半は、他産業からの転職者が占めており、なかでも建設業からが多くなっている(*59)。

平成25(2013)年度における新規就業者数は、前年度から1割程度減少し、2,827人であった(資料 III -32)。これは、特に東日本大震災復興対策や景気動向に伴う雇用情勢等により、建設業等の他産業に就業する者が増えていることの影響によるものと考えられる。

また、新規就業者の定着状況については、「「緑の雇用」事業」における新規就業者に対する研修修了者のうち、3年後も就業している者は7割を超えている(*60)。

平成25(2013)年度からは、林業への就業希望者の裾野を広げ、将来的には林業経営も担い得る有望な人材を支援するため、林業大学校等に通う者を対象に、最大で年間150万円(最長2年間)の給付金を給付する「緑の青年就業準備給付金事業」も実施している。

コラム 「林業大学校」の開設

「秋田林業大学校」のパンフレット
「秋田林業大学校」のパンフレット

若い林業技術者の育成・確保が急務となっている中、近年では、就業前の若手林業技術者の教育・研修機関を新たに整備する動きもある。

平成24(2012)年4月に西日本初の林業専門の大学校として開校した「京都府立林業大学校」では、高校新卒者等を対象に、2年間で林業の知識・技術修得を目指す「森林林業科」を設けており、一・二期目の卒業生は森林組合や民間事業体等に就職している。同校では、このほかにも新規就業者、林業事業体職員等を対象とした研修も開催している。

平成26(2014)年度には、秋田県が若手林業技術者を育成するため、「秋田林業大学校(注)」を開設し、研修生の募集・選考を行った。同校は、北海道・東北地方では初めての就業前研修機関として、平成27(2015)年度から研修を開始し、2年間の研修の中で、森林・林業・木材産業の基礎や経営に関する知識のほか、路網開設や林業機械の操作など現場実践技術まで幅広く教えることとしている。秋田県では、講師の派遣やフィールドの提供等を受け持つ研修サポートチームも設置し、民間と行政が一体となったサポート体制で臨むこととしている。

注:秋田県の試験研究機関である「森林技術センター」を「林業研究研修センター」に改組し、新しい研修制度(秋田県林業トップランナー養成研修)を開始するもの。



(*59)興梠克久ほか(2006)林業経済, 59(7):1-15.(「緑の雇用担い手育成対策事業」による調査結果。)

(*60)厚生労働省の「職業安定業務統計」によれば、平成23(2011)年3月卒業者の3年後の離職率は、大学卒で32.4%、高校卒で39.6%となっている。



(高度な知識と技術・技能を有する林業労働者の育成)

林業作業における高い生産性と安全性を確保し、路網と林業機械を組み合わせた低コスト作業システムを現場で実践するため、専門的かつ高度な知識と技術・技能を有する林業労働者が必要となっている。また、これらの林業技術者の能力が適切に評価され、待遇の改善等が図られることが重要である。

このため、林野庁は、平成22(2010)年4月に「林業労働力の確保の促進に関する基本方針」を見直し、事業主によるOJT(*61)やOFF-JT(*62)の計画的な実施、研修カリキュラムの作成、能力に応じた労働者の昇進及び昇格モデルの提示を支援するほか、段階的かつ体系的な研修等を促進することにより、林業労働者のキャリア形成を支援している(資料 III -33)。

平成23(2011)年度からは、段階的かつ体系的な研修カリキュラムに基づき、新規就業者に対する研修として「林業作業士(フォレストワーカー)研修」を、キャリアアップ研修として「現場管理責任者(フォレストリーダー)研修」及び「統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)研修」を実施している。

さらに、平成23(2011)年4月には、これらの人材がキャリアアップにより意欲と誇りを持って仕事に取り組めるよう、研修修了者の習得した知識、技術・技能のレベルに応じて、農林水産省が備える研修修了者名簿に登録する制度の運用を開始しており(*63)、平成26(2014)年11月現在、統括現場管理責任者273名、現場管理責任者746名、林業作業士6,858名が登録されている。

このほか、事業主が、働きやすい職場づくりを進めるとともに、これらの研修により高い能力を身に付けた者を公平かつ公正に処遇できるよう、林野庁では、平成23(2011)年3月に、雇用管理改善に向けたポイントとチェックリスト、事業主が能力評価を導入する際の基準や評価シートの例等を記載した「人事管理とキャリア形成の手引き」を作成し、普及に取り組んでいる(*64)平成25(2013)年度からは、能力評価制度を導入する林業事業体に対して、専門家の派遣等を通じた支援を行っており、60の事業体が取組を行った(平成26(2014)年度末時点)。

林業労働力の育成・確保について


(*61)日常の業務を通じて必要な知識・技能又は技術を身に付けさせる教育訓練。

(*62)日常の業務から離れて講義を受けるなどにより必要な知識・技能又は技術を身に付けさせる教育訓練。

(*63)林野庁プレスリリース「フォレストマネージャー等の研修修了者の名簿への登録について」(平成23(2011)年10月28日付け)、「林業労働力の確保の促進に関する法律に基づく資金の貸付け等に関する省令」(平成8年農林水産省令第25号)第1条

(*64)林野庁ホームページ「林業事業体の雇用管理改善と経営力向上の取組について」



(林業における雇用の現状)

林業労働者の雇用は、林業作業の季節性や事業主の経営基盤の脆(ぜい)弱性等により、必ずしも安定していないことが多い。また、雇用が臨時的、間断的であることなどから、社会保険等が適用にならない場合もある。

しかしながら、近年は、全国的に把握が可能な森林組合についてみると、通年で働く専業的な雇用労働者の占める割合が上昇傾向にある。森林組合の雇用労働者の年間就業日数をみると、年間210日以上の者の割合は、昭和60(1985)年度には全体の1割に満たなかったが、平成24(2012)年度には約5割を占めている(資料 III -34)。これに伴い、社会保険が適用される者の割合も上昇している(資料 III -35)。この傾向は、森林施業のうち、特定の季節に多くの労働者を必要とする植栽や下刈り等の保育の事業量が減少する一方で、通年で作業可能な素材生産の事業量が増加していることによるものと考えられる。

また、林業は悪天候の場合に作業を中止せざるを得ないことが多く、事業日数が天候に大きく影響を受けることから、依然として日給制が大勢を占めているが、近年は、月給制の割合も増えている(資料 III -36)。なお、森林組合の雇用労働者の標準的賃金(日額)をみると、平成24(2012)年度では9,000円~10,999円が25%、7,000円~8,999円が22%、11,000円~12,999円が21%となっている(資料 III -37)。


森林組合の雇用労働者の年間就業日数別割合の推移
データ(エクセル:44KB)
          森林組合の雇用労働者の社会保険等への加入割合
データ(エクセル:68KB)

森林組合の雇用労働者の賃金支払形態割合の推移
データ(エクセル:41KB)
          森林組合の雇用労働者の標準的賃金(日額)
データ(エクセル:36KB)

(労働災害発生率は依然として高水準)

林業労働における死傷者数は、長期的に減少傾向にあり、平成25(2013)年の死傷者数は1,723人となっており、10年前の平成15(2002)年の2,874人と比べて4割以上減少している(資料 III -38)。その要因としては、ハーベスタ、プロセッサ、フォワーダ等の高性能林業機械の導入や作業道等の路網整備が進展したことにより、かつてに比べて林業労働の負荷が軽減していることや、チェーンソー防護衣の普及等の効果が考えられる。

しかしながら、林業における労働災害発生率は、平成25(2013)年の死傷年千人率(*65)でみると28.7となっており、全産業平均の2.3と比較すると12.5倍という高い水準となっている。

平成23(2011)年から平成25(2013)年までの林業労働者の死亡災害についてみると、発生した114件のうち、年齢別では50歳以上が85%となっており、作業別では伐木作業中の災害が54%となっている(資料 III -39)。


林業における労働災害発生の推移
データ(エクセル:43KB)
          林業における死亡災害の発生状況(平成23(2011)年から平成25(2013)年まで)
データ(エクセル:80KB)


(*65)労働者1,000人当たり1年間に発生する労働災害による死傷者数(休業4日以上)を示すもの。



(安全な労働環境の整備)

このような労働災害を防止し、健康で安全な職場づくりを進めることは、林業労働力を継続的に確保するためにも不可欠である。このため、林野庁では、厚生労働省や関係団体等との連携により、林業事業体に対して安全巡回指導、労働安全衛生改善対策セミナー等を実施するとともに、「「緑の雇用」事業」において、新規就業者を対象とした伐木作業技術等の研修の強化、安全に作業を行う器具等の開発や改良、最新鋭のチェーンソー防護衣等の導入等を支援している。また、車両系林業機械の安全対策(*66)を作業現場に浸透させ、実効性のあるものとするため、運転者席の防護柵等の整備や特別教育の受講に対して支援している。

また、林業と木材製造業の事業主及び団体等を構成員とする林業・木材製造業労働災害防止協会では、今後の取り組むべき方向と対策を示した「林材業労働災害防止計画」(平成25(2013)年度~平成29(2017)年度)を策定している。同計画では、林業・木材製造業における労働災害による死亡者数については平成29(2017)年に36人(林業31人、木材製造業5人)を下回ること、死傷者数については平成29(2017)年に平成24(2012)年比で15%以上減少させることを目標としている。

このほか、民間の取組として、伐木作業に必要な技術及び安全意識の向上に向けた競技大会も開催されている(事例III-5)。

事例III−5 第1回日本伐木チャンピオンシップ(JLC)の開催

枝払い
枝払い
丸太合わせ輪切り
丸太合せ輪切り

平成26(2014)年5月に青森県青森市で、我が国では初めての伐木チャンピオンシップ(日本伐木チャンピオンシップ(JLC))が開催された(事務局:全国森林組合連合会)。同大会は、チェーンソーによる伐木技術を競うもので、世界伐木チャンピオンシップ(WLC)に出場する日本代表選手を選出するとともに、林業技術及び安全作業意識の向上、林業の社会的地位向上等を図ることを目的とし、全国各地から20名の選手が参加した。

参加者は、①伐倒、②ソーチェーン着脱、③丸太合せ輪切り、④接地丸太輪切り、⑤枝払いの5種類の競技の合計得点を競い合い、4名(24歳以上のプロフェッショナルクラス上位3名と24歳未満のジュニアクラス上位1名)が日本代表選手として選出された。

同9月にはスイスで第31回WLCが開催され、競技結果は、団体で1位ドイツ、2位スイス、3位イタリア、日本は26か国中23位であった。また、プロフェッショナルクラス78名のうち、日本チームの個人の最高位は61位であった。



(*66)車両系林業機械による労働災害を防止するため、平成25(2013)年11月に「労働安全衛生規則」の一部が改正され、木材伐出機械等の危険防止対策が義務付けられたほか、特別教育を必要とする業務が拡大された。



(林業活性化に向けた女性の取組)

戦後の伐採と造林の時代には、林家の女性たちの多くが造林や保育作業を担っていたが、これらの作業の減少とともに女性の林業従事者は減少した。平成22(2010)年の林業従事者51,200人のうち、女性は3,020人と6%にすぎず、平成17(2005)年の4,488人と比べても減少している(資料 III -31)。

一方、1970年代から、女性の森林所有者や林業従事者等を会員とする「女性林業研究グループ」が各地で設立されるようになり、平成9(1997)年には「全国林業研究グループ連絡協議会女性会議」が設置され、森林づくりの技術や経営改善等の研究活動を実施してきた。また、平成5(1993)年には、都道府県の女性林業技術職員による「豊かな森林づくりのためのレディースネットワーク・21」が設立され、女性フォーラムの開催、女性用作業着の開発等の活動を実施してきた。

これらの林業を職業とする女性に加えて、近年では、学生や様々な職業の女性たちが林業に関する様々な活動や情報発信を行う「林業女子会」の活動が広がっている(資料 III -40)。「林業女子会」は平成22(2010)年に京都府で結成されて以降、各地に広がっており、平成27(2015)年3月現在、16都府県で結成されている(*67)。また、女性による狩猟者の組織設立の動きもみられる(*68)。

「林業女子会」の活動


(*67)平成26(2014)年度には、三重県、山口県、宮城県、岩手県、長野県、佐賀県、福岡県、福井県で設立。

(*68)女性の取組については、「平成25年度森林及び林業の動向」のトピックス(4ページ)参照。



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