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ホーム > 森林・林業白書 > 平成25年度 森林・林業白書(平成26年5月30日公表) > 平成25年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第IV章 第2節 特用林産物の動向(1)


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第1部 第IV章 第2節 特用林産物の動向(1)


「特用林産物」とは、一般に用いられる木材を除き、森林原野を起源とする生産物の総称であり、食用のきのこ類、樹実(じゅじつ)類や山菜類等、うるしや木ろう等の伝統工芸品の原材料、竹材、桐材、木炭等が含まれる。特用林産物は、林業産出額の約5割を占めており、木材とともに、地域の経済振興や雇用の確保に大きな役割を果たしている(*61)。

以下では、きのこ類をはじめとする特用林産物の動向について記述する。



(*61)栽培きのこ類の産出額については、98月99日ページ参照。



(1)きのこ類の動向

(きのこ類は特用林産物の生産額の8割以上)

平成24(2012)年の特用林産物の生産額は、前年比4%減の2,508億円であった。このうち、きのこ類は前年比5%減の2,129億円となったものの、全体の8割を超えている。このほか、樹実(じゅじつ)類や山菜類等のその他食用が前年比3%増の294億円、木炭やうるし等の非食用が前年比ほぼ横ばいの84億円となっている。

きのこ類の生産額は、平成12(2000)年以降増加傾向で推移したものの、平成20(2008)年の2,640億円をピークに減少傾向で推移してきている。生産額の内訳をみると、生しいたけが前年比8%減の616億円(6.6万トン)で最も多く、次いでぶなしめじが同1%増の498億円(12.2万トン)、えのきたけが同1%減の322億円(13.1万トン)の順となっている。

また、きのこ類の生産量についてみると、平成12(2000)年以降増加してきたものの、平成24(2012)年は前年比3%減の45.6万トンとなった。内訳をみると、生しいたけ、ぶなしめじ、えのきたけで生産量全体の7割程度を占めている。

生産額の最も大きい生しいたけの生産量は、近年は増加傾向にあったが、平成23(2011)年以降は減少している。乾しいたけの生産量については、長期的には減少傾向にあるものの、近年はほぼ横ばいで推移してきている(資料IV−39)。

きのこ生産者戸数は、近年、減少傾向で推移しており、平成12(2000)年の8.6万戸から平成24(2012)年の3.4万戸へと約4割に減少している。特に、きのこ生産者戸数の多くを占める原木しいたけ生産者戸数が大きく減少している(資料IV−40)。

資料IV−39 資料IV−40
データ(エクセル:57KB)                                                  データ(エクセル:57KB)

(きのこ類の輸入額は横ばい)

きのこ類の輸入額は、平成24(2012)年には、前年比ほぼ横ばいの93億円であった。このうち、乾しいたけが前年比4%減の57億円(5,940トン)、生しいたけがほぼ横ばいの14億円(5,015トン)、乾きくらげは同11%増の19億円(2,462トン)となっている。生しいたけの輸入は、ピーク時の平成12(2000)年には4万トンを超えていたものの、その後は大幅に減少し、平成21(2009)年からは約5,000トン前後で推移している(資料IV−41)。国別では、輸入額の96%を中国が占め、その多くは乾しいたけとなっているほか、近年では韓国からのえのきたけ等の輸入も増加している(*62)。

きのこ類の輸出額は、平成24(2012)年には乾しいたけの1億円(23トン)のみとなっている。乾しいたけの輸出については、戦後、香港やシンガポールを中心に輸出され、昭和59(1984)年には216億円(輸出量は4,087トンで当時の国内生産量の約2割に相当)に上った。しかし、昭和60年代以降、中国産の安価な乾しいたけが安定的に供給されるようになったことから、日本の輸出額は長期的に減少してきている。

資料IV−41

データ(エクセル:45KB)


(*62)林野庁「特用林産基礎資料」



(乾しいたけの消費量・価格が下落)

きのこ類の消費の動向をきのこ類の年間世帯購入数量の推移でみると、他のきのこが増加傾向であるのに対し、生しいたけは横ばい、乾しいたけは下落傾向で推移している(資料IV−42)。

きのこ類の価格は、平成24(2012)年は、生産量の減少したえのきたけを除き、下落している(資料IV−43)。特に乾しいたけの価格については、平成20(2008)年の5,022円/kgをピークに下落しており、平成24(2012)年は前年比7%減の3,454円/kgとなった(資料IV−44)。また、平成25(2013)年の月別の価格の動向をみると、従来の消費量の減少傾向に加え、原発事故に伴ういわゆる風評被害の影響等により、全国的に市場価格が大幅に下落している(資料IV−45)。さらに、原発事故に伴い、買い控えや取引停止のほか、一部の自治体において学校給食での使用自粛等の動きもみられる。

資料IV−42 資料IV−43
データ(エクセル:123KB)                                                       データ(エクセル:53KB)

資料IV−44 資料IV−45
データ(エクセル:49KB)                                                    データ(エクセル:45KB)

(きのこの消費拡大・安定供給等に向けた取組)

林野庁では、きのこ類の消費拡大のため、関係団体とも連携して、消費者に向けてきのこ類のおいしさや機能性(低カロリーで食物繊維が多い、カルシウム等の代謝調節に役立つビタミンDが含まれているなど)のPR(事例IV−4)や、調理工程を簡略化する加工技術の検証等を進めている。また、平成25(2013)年9月には乾しいたけの生産と流通に関係する団体と消費拡大に関する意見交換会を行ったほか、同11月には菌床栽培きのこの生産企業や関係団体と、食用きのこの普及を促進する方策等について意見交換を行った。きのこの安定供給に向けては、原木林や林間ほだ場等の整備やきのこの生産資材の安定供給体制の構築、原木栽培から施設栽培への転換に対して支援している。きのこの中でも原発事故による影響が大きかった原木しいたけについては、消費拡大に向けて外食産業等への販路開拓や新商品開発等による新たな需要創出への取組に対して支援するとともに、生産回復に向けて生産者への安定的な経営のための生産実証、生産コストの縮減や生産性及び品質の向上に向けた省エネ型施設等の整備に対して支援している。また、独立行政法人森林総合研究所では、生産量を増やす栽培技術として、LED照明を活用したきのこ栽培技術を開発した(事例IV−5)。


事例IV−4 乾しいたけ等の消費拡大に向けた取組

事例IV−4
きのこが入った学校給食を食べる様子

乾しいたけは、古来、日本食文化の形成と山村社会の振興に貢献してきた食材である。しかしながら、乾しいたけの生産量は、昭和59(1984)年の116,795トンをピークに、家庭における年間購入量の減少、安価な外国産の輸入や市場価格の下落により、平成24(2012)年には25,938トンと約2割程度にまで減少している。

このような中、乾しいたけの生産及び流通関係者を中心とする民間団体は、7月7日を「乾しいたけの日」に制定し、そのおいしさや栄養豊富であることなどを広く消費者にPRし、消費拡大につなげようと取り組んでいる。

東京都葛飾区立北野小学校では、7月7日の「乾しいたけの日」や10月15日の「きのこの日」に合せて、学校給食できのこの提供等を行い、食べた生徒からは「おいしかった」といった感想が多く聞かれた。


事例IV−5 LED照明によるきのこ栽培方法の開発

事例IV−5
青色LEDによるきのこ栽培の様子

独立行政法人森林総合研究所では、LED照明装置を用いた省エネルギー型の新たなきのこ栽培法の研究開発を進めている。同研究所では、これまでに、きのこ類が認識する光の波長が約450ナノメートルの青色光であることを明らかにするとともに、国内で栽培される各種きのこに対しこの青色光を効果的に照射できるLED装置を開発した。

開発した青色LED装置での栽培の結果、しいたけやまいたけでは、収量が増え市場価値が高まることが明らかとなり、なめこやぶなしめじ等では、栽培時の省エネルギー化を図りつつ従来の蛍光灯照明と同等の生産が行えるようになった。また、えのきたけでは、栽培時に問題とされる菌床剥離を劇的に回避することも可能となった。

同研究所では、今後こうした技術を生産者等に普及するための実用マニュアルを作成し、配布することとしている。


 

お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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