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ホーム > 森林・林業白書 > 平成24年度 森林・林業白書(平成25年6月7日公表) > 平成24年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第VI章 第3節 木材利用の推進(3)


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第1部 第VI章 第3節 木材利用の推進(3)

(3)木質バイオマスのエネルギー利用 

(木材チップや木質ペレットによる木材のエネルギー利用)

かつて、木材は、木炭や薪の形態で日常的なエネルギー源として多用されていたが、昭和30年代後半(1960年代)の「エネルギー革命」を経て、主要なエネルギー源ではなくなった。しかしながら、近年では、再生可能エネルギーの一つとして、再び注目されている。

木材は、森林の適切な管理により再生産できることから、エネルギー源として持続的に利用することができる。また、木材を化石燃料の代わりに利用することは、化石燃料に由来する二酸化炭素の排出を抑制することにつながる。

最近では、主に、木材を小片に切削・破砕した「木材チップ」や、おが粉等を圧縮成形した「木質ペレット」の形態で、木材のエネルギー利用が進められている。

平成23(2011)年7月に策定した「森林・林業基本計画」では、平成32(2020)年における燃料用等のパルプ・チップ用材の利用目標を600万m3と見込んでいる(*108)。その上で、木質バイオマスのエネルギー利用に向けて、「カスケード利用(*109)」を前提としつつ、石炭火力発電所や木質バイオマス発電所における未利用間伐材等の利用、地域における熱電併給システムの構築、効率的な発電・熱供給システムの開発等を推進していくこととしている。

平成23(2011)年度に、全国でエネルギー源として利用された間伐材由来の木質バイオマス量は62.7万m3であった(*110)。

 


(*108)木質バイオマス発電等エネルギー源としての利用に加え、パーティクルボード等木質系材料としての利用も含む。

(*109)木材を建材等の資材として利用した後、ボードや紙等の利用を経て、最終段階では燃料として利用すること。

(*110)林野庁木材利用課調べ。


 

 

(木材チップは未利用間伐材等の活用が課題) 

木材チップについては、平成12(2000)年の「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」で、建築物の解体等から発生する廃棄物の再資源化が義務付けられたことから、建設発生木材に由来するチップの利用が進められてきた。その後、平成14(2002)年の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)(*111)」により、電気事業者に対して新エネルギー等から発電された電気を一定量以上利用することが義務付けられたことや、平成16(2004)年から原油価格が高騰したことなどから、大規模施設を中心に、木材チップのエネルギー利用が広がってきた。

木材チップの原料となる木質バイオマスのうち、「工場残材」は、その大部分が、自工場内における木材乾燥用ボイラー等の燃料や製紙等の原料として利用されている。農林水産省の「平成23年木材流通構造調査」によると、工場残材の出荷先別出荷割合は、「自工場で消費等」が32%、「チップ等集荷業者・木材流通業者等」が27%、「火力発電所施設等」が2%となっている(資料VI−33)。

また、「建設発生木材」(解体材・廃材)は、「建設リサイクル法」により再利用が義務付けられたことから利用が進み、木質バイオマス発電用の燃料として需要が増えている。

一方、「未利用間伐材等(*112)」は、間伐等の森林施業に伴い生産されるもので、資源としての潜在的な利用可能性を有するものの、収集・運搬コストが掛かるため林内に放置されている。未利用間伐材等は、毎年約2,000万m3発生しているものと推計されている(資料VI−34)。

今後、工場残材や建設発生木材の発生量が大幅に増加することは見込まれないことから、木質バイオマスのエネルギー利用を進めるためには、未利用間伐材等の活用が不可欠である。このため、林野庁では、収集・搬出コストの低減により未利用間伐材等を低コストで安定供給できる体制を確立することを目指して、施業の集約化、路網の計画的な整備、林業機械による作業システムの整備等に取り組んでいる。


資料VI-33

データ(エクセル:53KB)

資料VI-34

データ(エクセル:53KB)


(*111)新エネルギーの普及のため、電気事業者に対して、太陽光、風力、バイオマス、中小水力、地熱等の新エネルギー等から発電される電気を一定量以上利用することを義務付ける法律。「RPS」は、「Renewable Portfolio Standard」の略。

(*112)187ページの木材チップの原料のうち「林地残材」は、立木伐採後の林地において、玉切り、造材後により生じた根株、枝条等をいうが、「未利用間伐材等」は、林地残材に加え、伐倒後に造材等を行わずそのまま林地に存置されるものも含む。


 

 

(木質ペレットの利用は増加傾向) 

木質ペレットは、木材加工時に発生するおが粉等を圧縮成形した燃料であり、形状が一定で取り扱いやすい、エネルギー密度が高い、含水率が低く燃焼しやすい、運搬・貯蔵も容易であるなどの利点がある。

木質ペレットは、石油価格の高騰を受けた代替エネルギー開発の一環として、昭和57(1982)年に国内での生産が始まったが、当時は十分に普及しなかった(*113)。その後、平成14(2002)年の「バイオマス・ニッポン総合戦略」の策定等による木質バイオマスへの関心の高まりを受けて、近年、公共施設や一般家庭において、木質ペレットボイラーや木質ペレットストーブの導入が進み、木質ペレットの生産量も増加している。

木質ペレットの国内生産量は、平成23(2011)年には約7.8万トンとなっている(資料VI−35)。これに対して、平成24(2012)年の木質ペレットの輸入量は、7.2万トンであった(*114)。

木質ペレット生産工場の生産規模をみると、我が国では、年間100〜1千トン程度の工場が約6割を占めており(*115)、年間数万トン程度の工場が中心の欧州諸国と比べて相当小規模となっている。輸入木質ペレットに対する競争力を高めるためには、国内における木質ペレット生産工場の規模拡大を進める必要がある。

一般社団法人日本木質ペレット協会では、木質ペレットを使用するストーブやボイラーの安全性と高い燃焼効率を確保するため、平成23(2011)年3月に、木質ペレットの品質規格を作成した。同規格は、2010年に欧州28か国で策定された非産業用木質ペレットの規格にも準拠している(*116)。


資料VI-35

データ(エクセル:37KB)


(*113)小林裕昇 (2009) 木材工業, Vol.64(4): 154-159.

(*114)財務省「貿易統計」における「木質ペレット」(統計番号:4401.31-000)の輸入量。

(*115)財団法人日本住宅・木材技術センター (2010) 木質ペレットのすすめ.

(*116)一般社団法人日本木質ペレット協会 (2011) 木質ペレット品質規格.


 

 

(薪の利用も近年増加) 

薪は、主に山間部の家庭で、薪ストーブ等の燃料として利用されている。全国の薪の販売量は、平成19(2007)年まで減少傾向が続いていたが、薪ストーブの販売台数の増加(*117)等を背景に、平成20(2008)年以降は増加傾向に転じ、平成23(2011)年には5.4万m3(丸太換算(*118))となっている(資料VI−36)。薪の販売量を県別にみると、多い順に宮城県(9,742m3)、鹿児島県(9,228m3)、福島県(7,989m3)となっている。このほかにも、自家で生産・消費されるものが相当量あると考えられる。

長野県が平成21(2009)年度に行った調査では、県内の約4%の世帯が薪ストーブや薪風呂を利用していた(*119)。薪ストーブ利用世帯における年間薪使用量は平均9.0m3で、使用樹種は広葉樹が76%、針葉樹が24%であった。使用全量を購入せずに自家調達している世帯が約半数を占めていた(*120)。

最近では、森林整備の促進や地域産業の活性化のため、自治体等が一般家庭や団体等による薪ストーブの購入を支援する動きもみられる。また、薪ストーブ販売業者が薪の宅配サービスを行う事例もみられる(事例VI−4)。

平成24(2012)年12月には、薪の需要拡大に向けた取組を行う「一般社団法人日本薪協会」が発足した。同協会では、薪の規格や品質に関する基準の作成に取り組むこととしている(*121)。


資料VI-36

データ(エクセル:37KB)

事例VI-4 薪の宅配サービスによる薪ストーブ利便性の向上 

事例VI-4

薪ストーブ販売会社のD社(長野県伊那市)は、長野県と山梨県の全域と宮城県の一部で、薪ストーブ利用者に薪を安定的に供給する「薪の宅配サービス」を行っている。
同社は、冬期の薪ストーブ利用期間中、契約家庭に専用ラックを設置して、消費された分の薪を定期的に補充している。同社では、間伐材の利用促進のため、地元の人が持ち込むカラマツ・アカマツ等の針葉樹を6,000円/m3で買い取り、薪に加工して1束(乾燥重量約7kg)250円で販売している。
平成24(2012)年度には、長野県と山梨県における契約家庭が700軒に達し、年間販売量は15万束(原木で2,000m3相当)を見込んでいる。

 


(*117)一般社団法人日本暖炉ストーブ協会調べ。

(*118)1層積m3を丸太0.625m3に換算。

(*119)長野県環境保全研究所「家庭のエネルギー消費に関するアンケート結果の概要」(平成22(2010)年6月)

(*120)長野県環境保全研究所ほか「薪ストーブ利用実態調査結果」(平成23(2011)年6月)

(*121)平成25(2013)年1月16日付け林政ニュース: 5.


 

(木質バイオマスによる発電の動き) 

電力会社では、平成14(2002)年の「RPS法」により、新エネルギーから発電された電気の一定量以上の利用が義務付けられたことを受けて、石炭火力発電所で、木質バイオマスと石炭を混合利用する取組を進めてきた。石炭火力発電所における木質バイオマスの混合率は1〜数%程度で、年間の木質バイオマス消費量は発電所当たり数万トン程度の規模となる場合が多い。木質バイオマスの調達に当たっては、未利用間伐材等を活用する動きもみられる。

「RPS法」に基づく認定を受けた木質バイオマスによる発電施設は、平成24(2012)年3月末時点で全国に56か所あり、そのうち出力規模が1,000kW以上の施設は43か所となっている(*122)(資料VI−37)。このほか、「RPS法」の認定を受けずに、自家発電等により木質バイオマスを利用する動きもみられる。


資料VI-37

 


(*122)「RPS法」は、平成23(2011)年の「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」附則第11条により廃止されたが、主要な部分は、経過措置として当分の間、効力を有することとされている。


 

 

(再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始) 

平成23(2011)年8月に、電気事業者に対して、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を一定の期間・価格で買い取ることを義務付ける「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が成立した。同法に基づき、平成24(2012)年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が導入され、太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気を対象として、電気事業者が買取りに必要な接続や契約の締結に応じる義務を負うこととされた。

発電された電気の買取価格と買取期間は、再生可能エネルギー源の種別、設置形態、規模等に応じて、国会の同意を得た上で任命される委員から構成される「調達価格等算定委員会」の意見を尊重し、決定される。平成24(2012)年度の木質バイオマスから発電された電気の買取価格(消費税相当額を含む)は、「間伐材等由来の木質バイオマス」を用いる場合は「33.6円/kWh」、「一般木質バイオマス」は「25.2円/kWh」、「建設資材廃棄物」は「13.65円/kWh」とされ、買取期間は20年間とされた(*123)。平成25(2013)年度は、新規運転開始実績がほとんどないため、価格算定の前提となっているコストを見直す根拠に乏しく、平成24(2012)年度調達価格を据え置くこととされた(*124)。

林野庁は、平成24(2012)年6月に、木質バイオマスが発電の燃料として円滑かつ秩序をもって供給されるよう、間伐材等由来の木質バイオマスや一般木質バイオマスに由来することを証明する際に留意すべき事項等を「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」として取りまとめた(*125)(資料VI−38)。同ガイドラインでは、バイオマスの伐採又は加工・流通を行う者が、次の流通過程の関係事業者に対して、納入する木質バイオマスが間伐材由来の木質バイオマス又は一般木質バイオマスであることを証明することとしている。また、木質バイオマスを供給する事業者の団体等は、間伐材等由来の木質バイオマスと一般木質バイオマスの分別管理や書類管理の方針に関する「自主行動規範」を策定した上で、団体の構成員に対して、適切な取組が行われている旨の認定等を行うこととしている。なお、個別の企業等が独自に自主行動規範を定めて証明を行うことも認めている。


資料VI-38

 


(*123)これらの買取価格の算定に当たっては、発電事業者からヒアリングを行い、発電の燃料となる木質バイオマスの価格は、未利用木質バイオマスで12,000円/トン、一般バイオマスで7,500円/トン、リサイクルバイオマスで2,000円/トンという試算等が参考にされた(資料:「全量買取制度における木質バイオマス資源別電力単価シミュレーション総括」第5回調達価格等算定委員会資料(平成24(2012)年4月11日))。なお、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」についてはトピックス(4ページ)も参照。

(*124)「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令」(平成25年経済産業省告示第139号)

(*125)林野庁「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」(平成24(2012)年6月)


 

 

(木質バイオマス発電施設の建設) 

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」の導入を受けて、各地で木質バイオマスによる発電施設が建設・整備され、同制度の認定を受けている。

平成24(2012)年7月には、福島県会津若松市で未利用間伐材を使用する木質バイオマス発電施設が操業を始め、同8月に、木質バイオマス発電施設として初めて固定価格買取制度の認定を受けた。平成24(2012)年10月には、山口県岩国市の発電所が、「RPS法」から切り替えることにより、既存の木質バイオマス発電所で初めて固定価格買取制度の認定を取得した。平成24(2012)年12月現在、全国で4か所の未利用間伐材等を利用する木質バイオマス発電施設が同制度の認定を受けている。

木質バイオマス発電施設の導入による地域への経済波及効果としては、標準的な送電出力5,000kWの発電所の場合、年間約10万m3の間伐材等の未利用材の燃料としての使用、約12〜13億円の発電収入(うち燃料代は約7〜9億円)、50人程度の雇用が見込まれると試算されており、今後、地域経済の発展に貢献することが期待される(資料VI−39)。

林野庁では、木質バイオマスのエネルギー利用の拡大に向けて、木質バイオマス利活用施設の整備等に係る資金の融通や、燃料を安定的に供給するための地域協議会への支援、施設導入予定者に対する技術的な支援等を行っている。


資料VI-39

 

お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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