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ホーム > 森林・林業白書 > 平成24年度 森林・林業白書(平成25年6月7日公表) > 平成24年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第V章 第1節 林業の動向(3)


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第1部 第V章 第1節 林業の動向(3)

(3)林業労働力の動向 

(林業就業者数は長期的には減少傾向)

森林の施業は、主に、山村で林業に就業して森林内の現場作業等に従事する林業労働者が担っている。林業労働者の確保は、山村の活性化や雇用の拡大のためにも重要である。

林業労働力の動向を国勢調査における林業就業者数(*28)によってみると、長期的に減少傾向で推移しており、平成22(2010)年には約6万9千人となった(資料V-22)(林業労働力の動向に関する詳細な分析については、コラムを参照)。

また、林業就業者の高齢化率(65歳以上の就業者の割合)は、平成22(2010)年時点で18%となっており、全産業の高齢化率10%と比べて高い水準にある。

35歳未満の若年者の割合をみると、全産業で低下傾向にあるのに対して、林業では平成2(1990)年以降上昇傾向で推移しており、平成22(2010)年の若年者率は18%となっている(資料V-23)。一部の地域では、林業に就業する者が増加するとともに、若者の新規就業の増加等により平均年齢が低下している(事例V-3)。

資料V-22

データ(エクセル:111KB)

資料V-23

データ(エクセル:74KB)

事例V-3 高知県では平成19(2007)年度から林業就業者数が増加 

高知県の林業就業者数は、平成18(2006)年度の1,508人を底として増加傾向にある。平成23(2011)年度には、5年前から10%増加して1,661人となった。
林業就業者数のうち、39歳以下の若年者の割合は、平成15(2003)年度の15%から平成23(2011)年度には30%まで上昇し、平均年齢も同期間に55.8歳から50.1歳(推定)まで若返っている。
高知県は、若年者増加の要因として、林業労働力確保支援センターによる新規就業希望者への広報活動、「緑の雇用」事業の実施、間伐等の積極的な推進による事業量の増加等を挙げている。

注:ここでの林業就業者数は、高知県が独自に調査した数値であり、国勢調査による数値とは一致しない。
資料:高知県林業振興・環境部森づくり推進課調べ。

コラム 林業労働力の動向に関する分析 

林業労働力の動向をとらえる指標としては、国勢調査における、「林業就業者」と「林業従事者」の数がある。
このうち、「林業就業者」は、「日本標準産業分類(注)」に基づき「林業」に分類される林業事業体等に就業している者である。この中には、森林内の現場作業に従事している者のほか、管理職や事務職等が含まれる。これに対して、「林業従事者」は、就業している事業体の産業分類を問わず、森林内の現場作業に従事している者である。この中には、「林業」以外の産業(例えば「木材・木製品製造業(家具を除く)」)に就業している者が含まれる一方、林業事業体等の管理職等は含まれない。
「林業就業者数」の動向をみると、長期的に減少傾向で推移した後、平成17(2005)年は46,618 人、平成22(2010)年には68,553 人となっている(資料E.−22)。平成22(2010)年の国勢調査では、平成17(2005)年よりも増加しているように見えるが、これは主として、平成19(2007)年の「日本標準産業分類」の改定により、平成17(2005)年まで産業分類上は「林業」以外に分類されていた者の一部が、平成22(2010)年の調査から新たに「林業」に分類されるようになったことによるものと考えられる。
一方、「林業従事者数」の動向をみると、「林業就業者数」と同様に長期的に減少傾向で推移した後、平成17(2005)年は52,173 人、平成22(2010)年には50,500人(速報値)となっている(図1)。「林業従事者数」は、「日本標準産業分類」の改定による影響がないことから、その傾向から、林業労働者数全体の動向を推測できるものと考えられる。
「林業従事者」の産業分類別内訳をみると、平成17(2005)年には「林業」に分類される者が33,858 人、「林業」以外に分類される者が18,315 人であったのに対して、平成22(2010)年には、定義の変更によりそれぞれ、46,000 人、4,500 人へと変化しており、「日本標準産業分類」の改定により、これまで「林業」以外に分類されていた者の一部が「林業」に分類されるようになったことが分かる(図2)。
以上から、林業労働者の数は、長期的に減少傾向にあったものが、最近は減少のペースが緩み、下げ止まりの兆しがうかがえるものの、増加に転ずるまでには至っていないと考えられる。

注:統計調査の結果を産業別に表示する場合の統計基準として、事業所において社会的な分業として行われる財及びサービスの生産又は提供に係る全ての経済活動の分類。


(*28)国勢調査における「林業就業者」とは、山林用苗木の育成・植栽、木材の保育・保護、木材からの素材生産、薪及び木炭の製造、樹脂、樹皮、その他の林産物の収集及び林業に直接関係するサービス業務並びに野生動物の狩猟等を行う事業所に就業する者で、調査年の9月24日から30日までの一週間に収入になる仕事を少しでもした者等をいう。


 

(「緑の雇用」により新規就業者が増加) 

林業就業者の高齢化の進行を受けて、若者を中心とする新規就業者の確保・育成が喫緊の課題となっている。林野庁では、平成15(2003)年度から、林業への就業に意欲を有する若者を対象に、林業に必要な基本的技術の習得を支援する「緑の雇用」事業を実施している。同事業では、林業事業体に新規採用された者を対象として、各事業体による実地(OJT)研修や研修実施機関による集合研修の実施を支援している。同事業により、平成23(2011)年度までの9年間で、約1万3千人が新たに林業に就業した(事例V-4)。

林業事業体に新規採用された就業者数は、「緑の雇用」事業の開始前は年間平均約2千人であったが、事業の開始後は同約3,400人程度に増加している。この新規就業者の増加は、「緑の雇用」事業による効果と考えることができる。これらの新規就業者の大半は、他産業からの転職者が占めている(*29)。平成23(2011)年度における新規就業者数は、前年から約2割減の3,181人であった(資料V-24)。

資料V-24

データ(エクセル:66KB)

事例V-4 「緑の雇用」により就業した若者が林業事業体を起業 

事例V-4

東京都西多摩郡檜原村の林業事業体T社は、22歳から49歳の若手社員6名により、造林・保育等の作業や森林の管理・調査、森林に関するイベントの運営等に取り組んでいる。
同社の社長は、平成13(2001)年に、東京都の緊急雇用対策事業により、森林組合に採用され、翌々年、「緑の雇用」事業により、技術習得の支援を受けた。平成18(2006)年には、同じ志を有する仲間とともに、同組合を退職して、T社を設立した。同社は、以後、檜原村や東京都の事業への入札参加資格を得て、森林整備の業務に取り組み、平成23(2011)年には、株式会社化した。
T社では、月給制の採用、社会保険への加入、定休日の設定により、安定した雇用条件を確保している。また、見た目の鮮やかなオレンジ色のヘルメットと作業服を採用して、森林内での視認性の良さによる安全の確保等に努めている。さらに、専用の器具を用いた木登りの体験会を年10回程度開催して、子どもたちに林業の魅力を伝えている。

資料:青木亮輔+徳間書店取材班(2011)今日も森にいます。東京チェンソーズ, 徳間書店、平成23(2011)年12月21日付け日本経済新聞(東京版)35面、平成24(2012)年1月8日付け読売新聞35面。


(*29)興梠克久ほか (2006) 林業経済, 59(7):1-15.(「緑の雇用担い手育成対策事業」による調査結果。)


 

(専業的な雇用労働者の割合が上昇) 

近年、森林組合では、通年で働く専業的な雇用労働者の占める割合が上昇している。

森林組合の雇用労働者について、年間就業日数別割合の推移をみると、年間「210日以上」の者の割合は、昭和60(1985)年には全体の1割に満たなかったが、平成22(2010)年には4割を超えている(資料V-25)。これに伴い、社会保険が適用される者の割合も上昇している(資料V-26)。

この傾向は、森林の施業のうち、季節性があるため特定の季節に多くの労働者を必要とする植栽・下刈等の造林の事業量が減少する一方で、通年で作業可能な素材生産の事業量が増加していることによるものと考えられる。

一方、森林組合の雇用労働者の賃金支払形態割合をみると、月給制の割合が増えているものの、林業は悪天候の場合に作業を中止せざるを得ず、事業日数が天候に大きく影響を受けることから、依然として日給制が大勢を占めている(資料V-27)。

資料V-25資料V-26資料V-27

データ(エクセル:45KB)                                                   データ(エクセル:70KB)                                                 データ(エクセル:41KB)

(安全な労働環境を整備) 

林業労働の負荷は、高性能林業機械の導入や作業道等の路網整備が進展したことにより、かつてに比べて軽減している。特に、ハーベスタ、プロセッサ、フォワーダ等の高性能林業機械(*30)の普及により、造材・集運材作業において、安全な労働環境が整備されつつある。

しかしながら、依然として伐木作業中の死傷災害が多く発生しており、林業における労働災害は、平成23(2011)年の死傷年千人率をみると27.7で、全産業平均の13.2倍という高い水準となっている(資料V-28)。

平成23(2011)年には、林業労働者の死亡災害が38件発生しており、年齢別では50歳以上が76%、作業別では伐木作業中の災害が55%となっている(資料V-29)。

このような労働災害を防止し、健康で安全な職場づくりを進めることは、林業労働力を継続的に確保するためにも不可欠である。このため、林野庁では、厚生労働省や関係団体等との連携により、林業事業体に対する安全指導の徹底、作業現場への巡回指導、伐木作業技術などの実践的な現地研修の強化、チェーンソー作業用防護衣を始めとする安全に作業を行う器具等の開発・改良等の労働安全衛生対策に取り組んでいる。

資料V-28

データ(エクセル:49KB)

資料V-29

データ(エクセル:127KB)


(*30)高性能林業機械については、150ページ参照。


 

(高度な知識と技術・技能を有する林業労働者を育成) 

近年、路網と高性能林業機械を組み合わせた低コスト作業システムの導入が進んできたことにより、高度な知識と技術・技能を有する林業労働者が必要となっている。

このため、林野庁では、平成22(2010)年に、林業労働者を林業に定着させるための方策を取りまとめた「林業労働力の確保の促進に関する基本方針」を見直した。新たな「基本方針」では、事業主によるOJT(*31)やOFF-JT(*32)の計画的な実施、研修カリキュラムの作成、能力に応じた労働者の昇進・昇格モデルの提示、段階的かつ体系的な研修等により、林業労働者のキャリア形成を支援することとしている(*33)。

平成23(2011)年度からは、段階的かつ体系的な研修カリキュラムに基づき、新規就業者に対する研修として、3年間にわたり林業作業に必要な基本的な知識、技術・技能の習得に向けた講義や実習を行う「林業作業士研修(フォレストワーカー研修)」を開始するとともに、キャリアアップ研修として、「現場管理責任者研修(フォレストリーダー研修)」及び「統括現場管理責任者研修(フォレストマネージャー研修)」を開始した。

「林業作業士(フォレストワーカー)」は、作業班員として、林業作業に必要な基本的な知識、技術・技能を習得して安全に作業を行うことができる人材である。「林業作業士研修」では、都道府県ごとに、新規就業者等を対象として、3年間、林業作業に必要な基本的な知識、技術・技能の習得に向けた講義・実習等を行っている。

「現場管理責任者(フォレストリーダー)」は、作業班に属する現場作業員(作業班員)を指導して、間伐等の作業の工程管理等ができる人材である。「現場管理責任者研修」では、全国10ブロックで、判断力・指導力の向上と低コスト作業システム実践のための知識や技術・技能の習得に向けた講義・実習等を行っている。

「統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)」は、複数の作業班を統括する立場から、関係者と連携して経営にも参画することができる人材である。「統括現場管理責任者研修」では、現場を統括管理する立場から経営に参画できる営業・販売能力や、森林施業プランナー等の関係者と連携しつつ複数の作業班を統括管理できる判断力・コミュニケーション能力を備えるための講義・現地研修を行っている。

平成23(2011)年度までに、「林業作業士研修」は2,702名、「現場管理責任者研修」は317名、「統括現場管理責任者研修」は119名が研修を修了している。

平成23(2011)年4月には、これらの人材がキャリアアップにより意欲と誇りを持って仕事に取り組めるよう、研修修了者の習得した知識、技術・技能のレベルに応じて、農林水産省が備える研修修了者名簿に登録する制度の運用を開始した(*34)。平成24(2012)年10月現在、同制度に基づき、統括現場管理責任者109名、現場管理責任者315名、林業作業士4,303名を登録している。

このほか、林野庁では、働きやすい職場づくりを進めるとともに、これらの研修により高い能力を身に付けた者が雇用先で公平・公正に処遇されるよう、平成23(2011)年3月に、事業主が使いやすい人事管理マニュアルや都道府県等が事業主を指導する際のチェックリストとして、「人事管理とキャリア形成の手引き」を作成した。同手引きには、能力評価を導入する際の基準や評価シートの例を記載するとともに、雇用管理改善に向けたポイントとチェックリスト等を記載している。林野庁では、林業事業体等への配布やホームページへの掲載等により、同手引きの普及に取り組んでいる(*35)。


(*31)日常の業務を通じて必要な知識・技能又は技術を身に付けさせる教育訓練。

(*32)日常の業務から離れて講義を受けるなどにより必要な知識・技能又は技術を身に付けさせる教育訓練。

(*33)林野庁「林業労働力の確保の促進に関する基本方針」(平成22(2010)年4月)

(*34)林野庁プレスリリース「フォレストマネージャー等の研修修了者の名簿への登録について」(平成23(2011)年10月28日付け)、「林業労働力の確保の促進に関する法律に基づく資金の貸付け等に関する省令」(平成8年農林水産省令第25号)第1条

(*35)林野庁ホームページ「林業事業体のための「人事管理とキャリア形成の手引き」について」


 

(女性による林業への参画が拡大) 

近年、女性も男性も全ての個人が、個性や能力を発揮できる「男女共同参画社会」の実現に向けた普及啓発の取組が進められている。平成24(2012)年6月には、政府が「「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画〜働く「なでしこ」大作戦〜」を取りまとめた。同行動計画では、(ア)男性の意識改革、(イ)思い切ったポジティブ・アクション(積極的な改善措置)、(ウ)公務員による率先した取組の3つを柱としており、女性の活躍状況の「見える化」に関する企業のトップの方針や女性の活躍状況が分かる指標の情報開示、女性の起業・創業を促す補助制度の創設等に取り組むこととしている(*36)。

このような中、森林・林業分野においても、重機を用いた森林作業道の開設、チェーンソーによる伐木作業、シカ等の狩猟等において、女性が進出する例がみられる(事例V-5)。また、リースやつる細工等木工品の制作・販売など、女性ならではのアイデアや視点を活かした活動もみられる。

平成9(1997)年には、森林づくりの技術や経営改善等の活動を自主的に行う「全国林業研究グループ連絡協議会」の下に、「女性会議」が設置された。同会議では、定期的な交流会の開催により、森林・林業に興味を持つ女性のネットワークづくり等に取り組んでいる。平成24(2012)年時点で、同会議の会員数は3,391人となっている。

また、女性が中心となって林業に関する情報発信や林業体験に取り組む「林業女子会」が、各地で結成されている。平成24(2012)年現在、京都府、静岡県、岐阜県、東京都、栃木県、愛媛県の6都府県で「林業女子会」が結成されており、広報誌の発行や女性向け林業体験イベントの開催等に取り組んでいる。

さらに、都道府県の女性林業技術職員によるネットワークづくりも進められている。平成5(1993)年に、豊かな森林づくりと皆が明るく楽しく暮らせる農山村の実現のための情報発信を行う「豊かな森林づくりのためのレディースネットワーク・21」が設立された。同ネットワークでは、「女性森林フォーラム」の開催や女性用作業衣の開発等に取り組んでいる。平成24(2012)年時点で、同ネットワーク会員数は363名となっている。

このような中、林野庁では、女性の林業への参画や定着を促進するため、全国レベルの交流会の開催による女性林業者や女性林業グループ等のネットワーク化を支援している。

事例V-5 狩猟の世界を変える!女性だけの組織誕生!! 

事例V-5

北海道では、シカによる農林業被害が深刻で、平成23(2011)年の被害額は約62億円に上る。しかしながら、北海道内の狩猟登録者数は、昭和53(1978)年の20,043人をピークに、平成21(2009)年度には6,275人まで減少している。また、狩猟者の高齢化が進行しており、狩猟免許所持者の48.3%が60歳以上となっている。
このような中、平成24(2012)年9月に、北海道釧路市で、狩猟に関わる女性31名により、野生動物を「撃つこと(shoot)」と「食べること(eat)」の2つを活動の柱として、女性が狩猟に親しみやすい環境づくりに取り組む「The Women in Nature(TWIN)」が設立された。
同会では、捕獲した動物を活用した料理の試食会などにより、「食」の観点からも狩猟の魅力を伝え、生活の中に野生動物との関わりを取り戻すことを目指している。

資料:北海道庁ホームページ「平成22年度新人狩猟者捕獲技術研修会のアンケートの結果について」、平成24(2012)年10月28日付け日本農業新聞


(*36) 女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議「「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画〜働く「なでしこ」大作戦〜」(平成24(2012)年6月22日)


 


お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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