English

このサイトの使い方

サイトマップ

ホーム > 森林・林業白書 > 平成24年度 森林・林業白書(平成25年6月7日公表) > 平成24年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第V章 第1節 林業の動向(2)


ここから本文です。

第1部 第V章 第1節 林業の動向(2)

(2)林業経営の動向  

(ア)森林保有の現状

「2010年世界農林業センサス(*4)」によると、全国の森林面積のうち、「私有林」が6割、「国有林」が3割、「公有林」が1割となっている(*5)。「私有林」は、人工林総蓄積の約7割を占めており、林業生産活動に主要な役割を果たしている。

同センサスでは、私有林における林業構造の実態を把握する基本単位として、「林家」と「林業経営体」の2つを設定している。このうち、「林家」とは、保有山林面積(*6)が1ha以上の世帯である。「2010年世界農林業センサス」によると、「林家」の数は約91万戸であり、保有山林面積は合計で521万haとなっている。

また、「林業経営体」とは、「保有山林面積が3ha以上かつ過去5年間に林業作業を行うか森林施業計画を作成している」、「委託を受けて育林を行っている」又は「委託や立木の購入により過去1年間に200m3以上の素材生産を行っている」のいずれかに該当する者である。「林業経営体」の数は約14万経営体であり、保有山林面積は合計で518万haとなっている。このうち、1世帯(雇用者の有無を問わない。)で事業を行う「家族林業経営体」の数は約12.6万経営体で、「林業経営体」の9割を占めている(資料V-5)。

我が国の私有林では、保有山林面積の小さい森林所有者が多数を占める一方、山林面積の大半は一定以上の規模を保有する者によって占められている。同センサスによると、保有山林面積が「10ha未満」の林家は、林家数の約9割を占めている。これに対して、保有山林面積が「10ha以上」の林家は、林家数の約1割を占めるにすぎないものの、林家による保有山林面積全体の約6割に当たる301万haを占めている。また、保有山林面積が「10ha未満」の林業経営体は、林業経営体数の約6割を占めている。これに対して、保有山林面積が「100ha以上」の林業経営体は、林業経営体の数の3%にすぎないものの、林業経営体による保有山林面積全体の約7割に当たる356万haを占めている(資料V-6)。

近年では、森林の所在地と異なる市町村に居住する者(不在村者)の保有する森林が増加している。「2005年農林業センサス」によると、不在村者の保有する森林面積は、私有林面積の24%を占めており、そのうちの約4割は当該都道府県外に居住する者の保有となっている。

また、森林所有者の高齢化も進んでいる。「2010年世界農林業センサス」によると、家族林業経営体の経営主の約7割が60歳以上となっている。

資料V-5

データ(エクセル:29KB)

 

資料V-6

データ(エクセル:135KB)


(*4)我が国農林業の生産構造、就業構造を明らかにするとともに、農山村の実態を総合的に把握し、農林行政の企画・立案・推進のための基礎資料を作成し、提供することを目的に、5年ごとに行う調査。10年に1度行われるのが「世界農林業センサス」、中間年に行われるのが「農林業センサス」。

(*5)「2010年世界農林業センサス」の定義では、以下のとおりとされている。 「私有林」:個人、会社、社寺、共同(共有)、各種団体・組合等が所有している林野 「国有林」:「林野庁(林野庁所管の国有林野及び官行造林地)」及び「林野庁以外の官庁」が所管している林野 「公有林」:都道府県、森林整備法人(林業・造林公社)・市区町村及び財産区が所有している林野 (農林水産省ホームページ「農林業センサスの概要」)

(*6)所有山林面積から貸付山林面積を差し引いた後、借入山林面積を加えたもの。


 

(イ)林業経営体の動向 

(a)全体の動向

(森林施業の主体は林家・森林組合・民間事業体)

我が国における私有林の森林施業は、主に「林家」、「森林組合」、「民間事業体」の3つによって行われている。このうち、森林組合と民間事業体(あわせて「林業事業体」という。)は、主に森林所有者等からの委託又は立木購入によって、造林・伐採等の作業を担っている。

「2010年世界農林業センサス」によると、森林組合は、「植林」、「下刈等」及び「間伐」については全国の受託面積の5割以上を占めており、森林整備の中心的な担い手となっている。また、民間事業体は、主伐の約7割を実施しており、素材生産の中心的な担い手となっている(資料V-7)。

間伐の受託面積に占める森林組合と民間事業体の割合の推移をみると、平成17(2005)年には、それぞれ66%と18%であったのに対して、平成22(2010)年には、それぞれ52%と33%となっており、依然として森林組合が5割以上を占めるものの、民間事業体の割合が上昇している。また、主伐の受託面積に占める森林組合と民間事業体の割合の推移をみると、平成17(2005)年には、それぞれ16%と58%であったのに対して、平成22(2010)年には、それぞれ10%と67%となっており、民間事業体の割合が約6割から約7割へ上昇する一方で、森林組合の割合は低下している。

資料V-7

データ(エクセル:41KB)

(素材生産量の多い林業経営体の割合が上昇) 

「2010年世界農林業センサス」によると、平成21(2009)年2月から平成22(2010)年1月までに素材生産を行った林業経営体は、全体の約9%に当たる12,917経営体となっている。林業経営体による素材生産量は約1,562万m3で、平成21(2009)年における我が国の素材生産量約1,662万m3の約9割に相当する。

このうち、受託又は立木買いにより素材生産を行った林業経営体は、3,399経営体で、合計1,092万m3の素材を生産している。受託又は立木買いによる素材生産量に占める組織形態別の割合をみると、森林組合は28%、民間事業体は49%となっている。

素材生産では、年間素材生産量の多い林業経営体の素材生産量全体に占める割合が上昇している。林業経営体による素材生産量のうち、年間素材生産量「5,000m3以上」の林業経営体による素材生産量の占める割合は、「2005年農林業センサス」では全体の64%であったが、「2010年世界農林業センサス」では75%に上昇している(資料V-8)。

さらに、素材生産の労働生産性は、規模が大きい林業経営体ほど高く、規模が小さい林業経営体ほど低い。これは、規模が小さい林業経営体は機械化が進んでいないことなどによるためと考えられる(資料V-9)。

資料V-8 資料V-9

データ(エクセル:131KB)                                                  データ(エクセル:49KB)

(b)林家の動向

(林業以外で生計を立てている林家が大半) 

現状では、林家の大半が林業以外で生計を立てている。

農林水産省の「林業経営統計調査(*7)」によると、山林を20ha以上保有し家族経営により一定程度以上の施業を行っている林業経営体の場合、平成20(2008)年度の年間林業粗収益(*8)は178万円で、林業粗収益から林業経営費を差し引いた林業所得は10万円であった(資料V-10)。

また、「2010年世界農林業センサス」によると、家族林業経営体(*9)約12.6万のうち、平成21(2009)年2月から平成22(2010)年1月までの1年間に何らかの林産物(*10)を販売した者の数は、全体の11%に当たる約1.3万であった。

さらに、平成22(2010)年に農林水産省が実施した「林業経営に関する意向調査」によると、毎年木材収入があり、家計の主な収入が木材販売収入であると回答した林家は、1,013人中51人で、全体の5%であった(資料V−11)。

資料V-10 資料V-11

データ(エクセル:29KB)                                                   データ(エクセル:45KB)


(*7)平成20(2008)年までは毎年、それ以降は5年ごとに調査を実施。

(*8)1年間の林業経営の結果得られた総収益額で、林産物販売収入のほか、家計に消費するために仕向けられた林産物の時価評価額及び未処分林産物在庫増加額の合計。

(*9)家族林業経営体125,592経営体のうち、3ha以上の森林を保有する経営体は124,041経営体で、家族林業経営体全体の99%を占めており、家族林業経営体のほとんどが林家に含まれる。

(*10)用材(立木又は素材)、ほだ木用原木、特用林産物(薪、炭、山菜等(栽培きのこ類、林業用苗木は除く))。


 

(林家の施業は間伐と保育が中心) 

林家による施業は間伐と保育が中心となっており、主伐を実施する意欲は低い。

「2010年世界農林業センサス」によると、家族林業経営体(*11)のうち、過去5年間に保有山林において植林、下刈、間伐、主伐等の何らかの林業作業を行った者は、全体の約8割であった。また、作業別の実施割合をみると、下刈又は間伐を実施した者は5割以上である一方、主伐を実施した者は4%、植林を実施した者は12%であった(資料V-12)。これは、森林吸収源対策の推進により間伐や保育の事業量が増加する一方で、木材価格の低迷や育林経費の高止まりのため、主伐が減少し、植林も少なかったためと考えられる。

平成22(2010)年に農林水産省が実施した「林業経営に関する意向調査」によると、林家を対象として、今後5年間における主伐の実施に関する意向を聞いたところ、「主伐を実施する予定がある」と回答した者は23%、「主伐を実施する予定はない」は60%、「主伐できる山林がない」は16%となっており、主伐の実施に対する意欲が低いことが分かる(資料V-13)。

資料V-12 資料V-13

データ(エクセル:37KB)                                                    データ(エクセル:49KB)


(*11)脚注9に同じ。


 

(小規模林家の施業・経営意向は低調) 

山林の保有規模が小さい林家は、施業に対する意欲が低い傾向にある。

前述の「林業経営に関する意向調査」によると、今後5年間における森林施業の実施に関する質問に対しては、保有山林面積規模が「1ha以上20ha未満」の林家の69%が「実施が必要な山林はあるが、実施する予定はない」と回答している(資料V-14)。また、今後の林業経営の意向に関する質問に対しては、同林家の77%が「山林は保有するが、林業経営は行うつもりはない」と回答している(資料V-15)。

このように、自ら施業・経営を行う林家は少なく、林業経営を行う場合でも、林業事業体に施業等を委託することが一般的となっている。

資料V-14 資料V-15

データ(エクセル:37KB)                                                            データ(エクセル:41KB)

 

(林家が自ら伐採・搬出する新たな取組が拡大) 

このような中、近年の新たな動きとして、地域の複数の林家等が協力して、NPOとも連携しながら間伐を行い、収集・運搬した間伐材を地域の実行委員会等が買い取り、チップ工場にチップ原料やバイオマス燃料等として販売する取組が広がっている。このような取組は、準備中のものを含めると、愛知県豊田市、岐阜県大垣市、高知県嶺北地方など、全国約30地区で始まっている(事例V-1)。

平成24(2012)年5月には、岐阜県恵那市において、同様の取組を行っている地域や検討中の地域が集まり、「木の駅サミットin恵那」を開催した(*12)。同サミットでは、間伐材の買取・販売の流れを体験するツアーや各地の事例紹介、講演等が行われた。このような取組により、小規模林家が少額でも自ら収入を得ることができるようになれば、林業経営への関心が高まる可能性もある。


(*12)木の駅プロジェクトプレスリリース「5月25日(金曜日)-27日(日曜日)木の駅サミット開催」(平成24(2012)年3月31日付け) 


 

事例V-1 間伐材と地域通貨の組合せによる山村再生の取組

事例V-1

鳥取県智頭町では、平成22(2010)年から、地域住民を中心に、NPO、大学、行政等からなる「智頭町木の宿場実行委員会」が「木の宿場プロジェクト」を実施している。同プロジェクトでは、「軽トラとチェーンソーで晩酌を!」を合い言葉に、林家等が自ら間伐を行い、軽トラック等で出荷した間伐材を「木の宿場」で地域通貨(杉小判)に交換している。
同委員会では、出荷された間伐材を6,000円/トン相当の杉小判で買い取り、チップ用等としてチップ工場等へ3,000円/トン程度で引き渡している。差額は、住民からの寄付や行政からの補助金などにより補填している。
平成22(2010)年10月から1か月間行われた社会実験では、出荷者29戸(このうち6割は市場出荷の経験なし)から197トンの間伐材が出荷され、864枚の杉小判(1枚当たり1,000円相当)が発行された。出荷者1戸当たりの収入は、杉小判約30枚(約30,000円相当)であった。各戸が得た杉小判は、地元の商店のみで使われた。同プロジェクトにより、疲弊した地域経済が活性化されるとともに、「ぬくもりある小さな経済」の循環の中で、「山の仲間づくり」や「山と商店の仲間づくり」が進んだ。

資料:「木の駅プロジェクト」ホームページ

 

(相続時における林業経営の継続が課題) 

近年、大規模な森林を所有する林家では、相続を契機として、所有する森林の細分化、経営規模の縮小、後継者による林業経営自体の放棄等の例がみられる。

平成22(2010)年に農林水産省が実施した「林業経営に関する意向調査」によると、林業経営を次世代にわたって継続するための支援・対策に関する質問(3つまで複数回答可)に対しては、森林の所有規模にかかわらず、多くの林家が「木材価格を安定させる施策」と回答したものの、500ha以上の林家では、「相続税、贈与税の税負担の軽減」と回答した林家が53%で最も多かった(資料V-16)。

比較的大規模な森林所有者は、全体的な傾向として、施業を実施する意欲が高いことから、今後、施業集約化の中心的な担い手となることが期待できる。このため、これらの意欲ある林家が後継者に経営を円滑に承継できるような環境を整備することが重要となっている。

資料V-16

データ(エクセル:78KB)

(山林に係る相続税の納税猶予制度の創設) 

山林に係る相続税については、これまで、納税負担の軽減のため、評価方法の適正化や課税価格の軽減等の措置が講じられてきた。

このような中、平成24(2012)年4月に、効率的かつ安定的な林業経営を実現し得る中心的な担い手への円滑な承継を税制面で支援するため、山林に係る相続税の納税を猶予する制度が創設された。

同制度は、森林の経営の規模の拡大及び当該目標を達成するために必要な作業路網の整備その他の措置を記載した「森林経営計画」(市町村長等の認定・農林水産大臣の確認を受けたものに限る。)の対象山林について、同計画に従って施業や路網整備を行ってきた被相続人から一括して取得した相続人が、引き続き同計画に従って施業を継続する場合には、その相続人が納付すべき相続税額のうち、施業及び路網整備を行う計画の対象とする山林(一定のものに限る。)の課税価格の80%に対応する相続税額について、相続人の死亡の日まで納税を猶予し、相続人が死亡した日に免除するものである。

同制度の要件は、①施業及び路網整備を行う所有山林の面積が100ha以上であること、②被相続人が単独で作成した「森林経営計画」(属人計画)の認定を連続して受けていること、③計画の認定後10年間で経営規模を30%以上(150haを上限)拡大し、一定水準以上の路網整備を実施すること、④後継者として農林水産大臣の確認を受けた相続人が、被相続人の所有山林を一括で相続すること、⑤立木は一定期間のうちに主伐可能な林齢に達しないものに限ること、及び⑥被相続人が計画に記載された森林施業の実施等一定の要件について農林水産大臣の確認を継続して受けていることとされている。

林野庁では、同制度の適用対象となる森林所有者を中心に制度の周知を図っている(*13)。


(*13)「山林についての相続税の納税猶予制度に係る森林経営計画に関する運営要領の制定について」(平成24(2012)年10月31日付け24林政企第56号林野庁長官通知)


 

(c)森林組合の動向と林業事業体の育成 

(森林組合の現状)

森林組合は、「森林組合法」に基づく森林所有者の協同組織で、組合員である森林所有者に対する経営指導、森林施業の受託、林産物の生産・販売・加工等を行っている(資料V−17)。平成22(2010)年度末現在、全国の組合員数は約157万人(法人含む。)、組合員が所有する森林の面積は約960万ha(*14)で、私有林面積の約3分の2を占めている(*15)。

林野庁では、森林組合の経営基盤を強化する観点から、森林組合の合併を積極的に推進してきた。森林組合の数は、最も多かった昭和29(1954)年度の5,289から、平成22(2010)年度末には679まで減少している。

森林組合が実施する事業のうち、新植・保育の事業量は、ほぼ横ばいで推移している。これに対して、素材生産の事業量は増加傾向にあり、平成22(2010)年度の素材生産量は、前年比12%増の361万m3となった(資料V-18)。このうち、主伐間伐の内訳をみると、主伐152万m3、間伐209万m3となっており、平成18(2006)年度の主伐146万m3、間伐154万m3と比べて、主伐の素材生産量が伸び悩む一方で、間伐の素材生産量が4割近く増加している(*16)。

新植や保育の依頼者は、半数が組合員を含む個人等であり、公社等と地方自治体はそれぞれ2割程度を占めている。素材生産の依頼者は、84%が組合員を含む個人となっている(資料V-19)。

森林組合の雇用労働者数は、長期的に減少傾向にある。雇用労働者数は、平成21(2009)年度に若干増加したものの、平成22(2010)年度には、前年より2%減少して約2.6万人(1組合当たり平均38人程度)となった(資料V-20)。

資料V-17 資料V-18

データ(エクセル:74KB)                                                     データ(エクセル:70KB)

 

資料V-19資料V-20

データ(エクセル:90KB)                                                  データ(エクセル:66KB)


(*14)組合員が所有する森林面積は、民有林全体では、市町村が所有する森林も含めて約1,140万haとなっている。

(*15)林野庁「平成22年度森林組合統計」(平成24(2012)年12月)

(*16)林野庁「森林組合統計」


 

(森林経営における森林組合の役割) 

近年、森林所有者の高齢化や経営意欲の減退等が進み、森林における個々の作業だけでなく、管理・経営までも委託したいとする森林所有者が多くなっている。平成22(2010)年に農林水産省が実施した「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」によると、森林組合等に期待する役割に関する質問に対して、林業者(*17)モニターの30%が「作業のみならず、森林に係る計画策定から管理経営までを引き受けること」、29%が「植付や間伐等の個々の作業を引き受けること」、22%が「長期にわたり、各種の作業を一括して引き受けること」と回答している(資料V-21)。

このような中、森林組合には、地域の森林管理の主体として、造林・保育等の作業の受託から「森林経営計画」等の策定に至るまで、幅広い役割を担うことが期待されている。

森林組合では、これまでも、主に組合員の委託を受けて、「森林施業計画(*18)」の作成を推進してきた。森林組合の認定請求により樹立された「森林施業計画」の面積は、平成18(2006)年には215万haであったが、平成22(2010)年には287万haまで増加している。また、これらの計画等に基づき、森林組合が依頼を受けて行った素材生産量は、平成18(2006)年の297万m3から平成22(2010)年の360万m3まで増加している(*19)。

さらに、森林組合系統は、平成22(2010)年10月に開催された「全国森林組合大会」において、森林組合系統の運動方針「森林組合活動21世紀ビジョン・3rdステージ 国産材の利用拡大と森林・林業再生運動」の中に、提案型集約化施業を最優先業務とし、全ての組合員所有森林の集約化を目指すことを明確に位置付けた(*20)。

これを踏まえて、森林組合系統では、職員による「森林施業プランナー育成研修」への参加促進、提案型集約化施業を実施するための基本的な体制を外部機関が審査する「実践体制基礎評価」の取得、集約化への協力を呼びかける座談会の開催等を通じて、施業集約化や「森林経営計画」の作成に向けた取組を進めている。

資料V-21

データ(エクセル:33KB)


(*17)この調査での「林業者」とは、原則として、「2005年農林業センサス」で把握された林業経営体のうち、保有山林面積が20ha以上で、かつ保有山林からの林産物の販売活動を行っている者をいう。

(*18) 平成24(2012)年4月から「森林経営計画」に見直された。「森林経営計画」については、146ページ参照。

(*19) 林野庁「平成22年森林組合統計」(平成24(2012)年12月)

(*20) 全国森林組合連合会「森林組合活動21世紀ビジョン・3rdステージ 国産材の利用拡大と森林・林業再生運動」(平成22(2010)年10月): 7.


 

(森林組合の業務運営を改善) 

林野庁では、平成24(2012)年2月に、都道府県等に対して、森林組合が組合員を対象とする活動に重点を置いて業務運営を行うように、国や地方公共団体等の公的機関による森林組合の利用に係る指導通知を発出した(*21)。同通知では、森林組合法において、公的機関による森林組合の利用は「組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度」において行うことができるとされていることを徹底するため、森林組合に必要な指導を行うよう通知した。同通知は、平成25(2013)年1月以降の森林組合の事業年度からの指導に適用されている。

また、林野庁は、平成23(2011)年8月に、森林組合において、組合員に対する透明性の高い経営を確保する観点から、都道府県と森林組合系統に対して、森林組合の決算書類等の様式を改正する通知を発出した(*22)。森林組合系統では、各地で、新たな様式の周知に努めている。


(*21) 「森林組合法第9条第9項に係る森林組合の指導について」(平成24(2012)年2月29日付け23林政経第329号林野庁長官通知)

(*22) 「「森林組合、森林組合連合会及び生産森林組合の決算関係書類様式等の制定について」の一部改正について」(平成23(2011)年8月24日付け23林政経第80号林野庁長官通知)


 

(2012年は「国際協同組合年」) 

「協同組合」とは、農林漁業者、中小商工業者又は消費者等が、その事業や生活の改善を図るために、協同して経済活動等を行う組織である。森林組合は、森林・林業分野の協同組合である。

国連は、2009年12月に、2012年を「国際協同組合年(International Year of Co-operatives: IYC)」とすることを宣言した(*23)。「国際協同組合年」の目的は、①協同組合についての社会的認知度を高めること、②協同組合の設立や発展を促進すること、③協同組合の設立や発展に繋がる政策を定めるよう政府や関係機関に働きかけること等とされた。「国際協同組合年」のスローガンは、「協同組合がよりよい社会を築きます(Co-operative enterprises build a better world)」とされた。

我が国では、平成22(2010)年8月に、森林組合を始めとする国内の各種協同組合やNPO等の非営利・協同の団体等が幅広く連帯して、協同組合を更に発展させる取組を行うべく、「2012国際協同組合年全国実行委員会」が設立された。同委員会には、全国森林組合連合会が参加した。

全国森林組合連合会は、平成24(2012)年10月に「JForest国際協同組合年記念大会」を開催して、森林組合が地域経済・山村社会のリーダーとして協同組合の役割を担っていく旨の大会宣言を採択した(*24)。


(*23)United Nations General Assembly:A/RES/64/136

(*24)森林組合, 2012年11月号: 2-10.


 

(林業事業体育成のための環境整備) 

森林組合や民間事業体等の林業事業体に対して、森林整備の仕事の質を確保しつつ低コスト化を促すためには、林業事業体間の適切な競争を確保できるような事業環境を整える必要がある。

このような中、平成23(2011)年4月の「森林法」の改正では、市町村は森林経営の受委託に必要な情報の提供等を行うよう努めることとされた(*25)。これを踏まえて、林野庁は、平成24(2012)年3月に、意欲と能力を有する者への森林経営の委託が進むよう、都道府県に対して、森林関連情報の提供等に関する通知を発出した。同通知では、都道府県や市町村が保有する森林簿、林地所有者台帳、森林計画図等、施業集約化に向けた合意形成・計画づくりの段階で必要となる森林に関する情報を、森林所有者、森林組合、林業事業体等に提供できるような仕組みを整備するよう要請した(*26)。

各都道府県では、同通知に基づき、施業の集約化や経営の受委託に取り組む林業事業体等に対して、森林簿、森林基本図、森林計画図等の閲覧・交付・使用を認めるように、当該情報の取扱いに関する要領等の見直しを進めている。

また、事業実行段階で、事業発注者等が明確かつ客観的な基準で事業実行者を選択できるような仕組みを構築するため、林野庁では、平成24(2012)年2月から3月にかけて、都道府県に対して、関連通知を発出した(*27)。これらの通知では、地域の実情に合った仕組みを導入するに当たって参考となるよう、都道府県が、各事業体に関する技術者・技能者の数、林業機械の種類・保有台数、都道府県による事業実施の成績評定の結果等の情報を登録・公表するとともに、公表された情報を評価する基準を作成・公表して、事業発注者が事業実行者を評価・選択できるようにする仕組みの例を示した。

平成25(2013)年3月現在、北海道、宮城県、福岡県が林業事業体の情報を登録・公表するとともに、広島県と鹿児島県が登録申請の受付を開始している。同4月からは、山形県、岐阜県、愛媛県も取組を開始する予定である。

こうした中、林業事業体の中には、意欲をもって効率的かつ安定的な林業経営を目指す動きもみられる(事例V-2)。

事例V-2 経営の受託を契機に積極的な経営に転換 

事例V-2

広島県廿日市市の民間事業体であるY社は、森林経営の受託により、地域全体にわたる山づくりに取り組むとともに、将来の林業経営者の育成に取り組んでいる。
同社は、平成4(1992)年の設立以降、社長1名で自社所有林約180haの経営を行ってきた。平成19(2007)年には、同市内の森林所有者から約3,000haの森林の経営を受託することとなったことから、委託元の作業員6名を引き継ぐとともに、「緑の雇用」による研修生2名を含む3名を新たに雇用して、自社有林のみならず、広範な地域にわたり山づくりに取り組むこととした。
現在では、20代から40代の社員6名により、受託森林を含む約4,000haの森林で、年間2,500m3程度の素材生産等を行っている。素材生産に当たっては、経営する森林の資源状況を詳細に把握して、市場からの注文に柔軟に対応できる体制を構築している。また、販売する木材の差別化を図るため、周辺の事業体と連携して、一般社団法人 緑の循環認証会議(SGEC(エスジェック))の森林認証を取得している。
同社では、社員全員を将来の林業経営者に育てるため、日々の作業コストを簡単に計算できるシステムを導入して、社員のコスト意識を高めるとともに、毎週行うミーティングで1週間の実績検証と次週の目標設定を行わせ、目標管理によるマネジメント能力を養成している。

資料:安田孝 (2012) 林経協季報 杣径, 2012年6月号: 1-8.



(*25)「森林法」(昭和26年法律第249号)第191条第2項

(*26)「森林の経営の受委託、森林施業の集約化等の促進に関する森林関連情報の提供及び整備について」(平成24(2012)年3月30日付け23林整計第339号林野庁長官通知)

(*27)「林業事業体に関する情報の登録・公表について」(平成24(2012)年2月28日付け23林政経第312号林野庁長官通知)、「林業事業体に関する登録情報の活用ガイドラインについて」(同2月28日付け23林整整第844号林野庁長官通知)、「森林整備事業に係る林業事業体の成績評定要領例について」(同3月30日付け23林整整第974号林野庁長官通知)



お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

ページトップへ


アクセス・地図