English

このサイトの使い方

サイトマップ

ホーム > 森林・林業白書 > 平成24年度 森林・林業白書(平成25年6月7日公表) > 平成24年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第IV章 第3節 国際的な取組の推進(2)


ここから本文です。

第1部 第IV章 第3節 国際的な取組の推進(2) 


我が国の林業は、小規模零細な森林所有構造の下、施業の実施は低位にあり、林業労働者も減少傾向にある。

以下では、林業経営の現状、森林組合を始めとする林業事業体の状況、林業労働力の確保・育成、労働災害等について記述する。

(2)持続可能な森林経営の推進 

(国連における「持続可能な森林経営」に関する議論)

持続可能な森林経営の実現は、1992年の「国連環境開発会議(UNCED)」(地球サミット)以降、地球規模の課題として認識され、国連を中心に国際的な議論が進められている(資料IV-39)。

「地球サミット」では、持続可能な森林経営の理念を示す「森林原則声明(*94)」が採択された。「森林原則声明」は、世界の全ての森林における持続可能な経営のための原則を示したものであり、森林に関する初めての世界的な合意である。

以後、国連では、持続可能な森林経営に関する対話の場として、「森林に関する政府間パネル(IPF(*95))」や「森林に関する政府間フォーラム(IFF(*96))」等の会合が継続的に開催されてきた。2001年以降は、経済社会理事会の下に設置された「国連森林フォーラム(UNFF(*97))」において、各国政府、国際機関、NGOの代表者により、森林問題の解決策について議論が行われている。

2007年に開催された「UNFF第7回会合(UNFF7)」では、「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書(NLBI)(*98)」とその実効性を確保するための2015年までの作業計画が採択された。

2011年1月から2月にかけて開催された「UNFF第9回会合(UNFF9)」では、NLBIの実施状況の評価と課題や、持続可能な森林経営の実施に向けた資金・技術協力等の在り方について検討が行われ、閣僚宣言が採択された。同宣言では、持続可能な森林経営とNLBIの重要性や、NLBI実施のための国際協力等の今後の取組を明らかにした(*99)。

IV-39

データ(エクセル:29KB)


(*94)正式名称:「Non-legally binding authoritative statement of principles for a global consensus on the management, conservation and sustainable development of all types of forests(全ての種類の森林の経営、保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明)」

(*95)「Intergovernmental Panel on Forests」の略。

(*96)「Intergovernmental Forum on Forests」の略。

(*97)「United Nations Forum on Forests」の略。

(*98)森林に関する4つの世界的な目標((ア)森林の減少傾向の反転、(イ)森林由来の経済的・社会的・環境的便益の強化、(ウ)保護された森林及び持続可能な森林経営がなされた森林面積の大幅な増加と同森林からの生産物の増加、(エ)持続可能な森林経営のためのODAの減少傾向の反転)を掲げた上で、持続可能な森林経営の推進のために各国が講ずるべき国内政策や措置、国際協力等を包括的に記述した文書(NLBIは、「Non-legally binding instrument on all types of forests」 の略)。

(*99)林野庁プレスリリース「「第9回 国連森林フォーラム(UNFF9)」の結果について」(平成23(2011)年2月8日付け)


 

(「リオ+20」の開催) 

「地球サミット」から20年目となる2012年6月に、ブラジルのリオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催された。同会議では、環境や貧困、災害等のテーマについて議論が行われ、成果文書「我々の求める未来(The Future We Want)」が採択された。同文書では、持続可能な開発を達成する上で、環境保全と経済成長を両立する「グリーン経済」が重要なツールであることを認識することや、「持続可能な開発目標(SDGs(*100))」の策定に向けて、政府間交渉のプロセスを立ち上げることなどが合意された。

森林関係については、同文書の中で、「NLBI」とUNFF9の閣僚宣言の早急な実施を促すことや、持続可能な森林経営の目的と実践を経済政策と政策決定の主流に盛り込むことの重要性が強調された(資料IV-40)。

また、「リオ+20」の開催期間中、会場には、各国や国際機関、NGO等のパビリオンが設置され、多くのサイドイベントが開催された。我が国のパビリオンでは、東日本大震災からの復興に向けた取組や、我が国の有する先進的な環境技術・省エネ技術等について展示を行った。森林関連では、「平成23年度森林及び林業の動向」のトピックスのポスターを掲示した。

(アジア太平洋地域における「持続可能な森林経営」に関する議論)

アジア太平洋地域では、2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD(*101))」において、我が国とインドネシアの提唱により、地域レベルの対話の場として、「アジア森林パートナーシップ(AFP(*102))」が発足した。AFPには、各国政府、国際機関、研究機関、市民社会等(*103)が参加して、森林減少・劣化の抑制、森林面積の増加、違法伐採対策を主要テーマとして継続的に意見交換が行われている。

2011年9月には、中国の北京市において、アジア太平洋経済協力(APEC)の21か国・地域による「APEC林業担当大臣会合」が初めて開催され、「森林と林業に関する北京声明」が採択された。同声明では、地域の森林をグリーン成長(*104)と持続可能な発展に活かしていくため、持続可能な森林経営の維持・強化、APECでの経済連携強化、グリーン成長に資する地域社会の所得向上等15の活動に取り組むこととされた(*105)。

日中韓の3か国では、2012年5月に、中国の北京で開催された「第5回日中韓サミット」において、「三国間の包括的な協力パートナーシップの強化に関する共同宣言」とともに、その付属文書の一つとして「持続可能な森林経営、砂漠化対処、野生生物保全に関する協力についての共同声明」が発出された。これらの共同宣言と共同声明では、3か国が持続可能な森林経営に関する協力を強化・推進することとされた(*106)。

また、韓国との間では、同7月に韓国の抱川市において、林野庁長官と韓国山林庁長が「第1回森林・林業分野におけるハイレベル定期対話」を行い、「日韓林業分野におけるハイレベル定期対話に関する覚書(*107)」に署名した。同覚書では、日本と韓国において隔年で交互に会合を開くこと、ハイレベル定期対話の議題は、持続可能な森林経営の推進、木材と特用林産物の利用、木材貿易等の広範囲な内容とすることなどとされた(*108)。

IV-40

データ(エクセル:16KB)


(*100)「Sustainable Development Goals」の略。

(*101)「World Summit on Sustainable Development」の略。

(*102)「The Asia Forest Partnership」の略。

(*103)政府:オーストラリア、カンボジア、中国、フィンランド、フランス、インド、インドネシア、日本、韓国、ネパール、マレーシア、オランダ、フィリピン、スイス、タイ、英国、米国、ベトナム、欧州連合(EU)、南スマトラ森林局(インドネシア)(20か国)、国際機関:国際連合食糧農業機関(FAO)、国際熱帯木材機関(ITTO)ほか(8機関)、研究機関、市民社会等:地球環境戦略研究機関(IGES)ほか(20機関)。

(*104)自然資産が今後も我々の健全で幸福な生活のよりどころとなる資源と環境サービスを提供し続けるようにしつつ、経済成長及び開発を促進していくこと(経済協力開発機構(OECD)による)。

(*105)林野庁プレスリリース「「APEC林業担当大臣会合」の結果について」(平成23(2011)年9月12日付け)

(*106) 外務省ホームページ「第5回日中韓サミット(概要)」

(*107)Memorandum of Intent on a High-Level Dialogue in the field of forestry between the Forestry Agency of Japan and the Korea Forest Service of the Republic of Korea

(*108) 林野庁プレスリリース「日韓林業分野におけるハイレベル定期対話に関する覚書締結について」(平成24(2012)年7月30日付け)


 

(持続可能な森林経営の「基準・指標」) 

世界における持続可能な森林経営を推進するため、持続可能な森林経営に関する国際的な「基準・指標(*109)」の作成が進められている。現在、熱帯木材生産国による「国際熱帯木材機関(ITTO(*110))基準・指標」、欧州諸国による「汎欧州プロセス(FF)」、環太平洋地域の諸国による「モントリオール・プロセス」等の取組が進められている。我が国はこのうち、「モントリオール・プロセス」に参加している。

「モントリオール・プロセス」では、カナダ、米国、ロシア、我が国等の12か国(*111)が、欧州以外の温帯林等を対象とする「基準・指標」づくりに取り組んでいる。2007年1月からは、我が国が同プロセスの事務局を務めている。

「モントリオール・プロセス」の「基準・指標」は、1995年に7基準・67指標が策定されたが、2008年には、より計測可能で具体的かつ分かりやすいものとするため、指標の数が54指標に簡素化された(資料IV-41)。2012年7月と12月にロシアと東京で開催された「モントリオール・プロセス技術諮問委員会」では、指標の改訂に向けた検討が行われた(*112)。

また、「モントリオール・プロセス」では、FAO、ITTO、FF等と連携して、森林分野の報告事項・様式の共通化を図るため、「森林資源共同調査票(CFRQ(*113))」の作成を進めている。我が国は、この取組を推進するため、2012年12月に東京で開催した「モントリオール・プロセス技術諮問委員会」に併せて、「CFRQパートナー会合」を開催するとともに、森林に関する国際報告の調和と合理化に向けた取組を紹介する国際セミナー「森林を測り、知る〜森林に関する国際的報告の現状と課題〜」を開催した(*114)。

IV-41

データ(エクセル:29KB)


(*109) 「基準」とは、森林経営が持続可能であるかどうかをみるに当たり森林や森林経営について着目すべき点を示したもの。「指標」とは、森林や森林経営の状態を明らかにするため、基準に沿ってデータやその他の情報収集を行う項目のこと。

(*110) 「The International Tropical Timber Organization」の略。

(*111)アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、中国、日本、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ロシア、米国、ウルグアイ。

(*112) The Montreal Process ホームページ

(*113) 「The Collaborative Forest Resources Questionnaire」の略。

(*114) 林野庁ホームページ「国際セミナー「森林を測り、知る〜森林に関する国際的報告の現状と課題〜」」


 

(違法伐採対策) 

森林の違法な伐採は、地球規模の環境保全や持続可能な森林経営を著しく阻害する要因の一つである。違法伐採が問題となっている木材生産国では、国内における法執行体制が弱いこと、低コストで生産された違法伐採木材を持ち出すことにより大きな利潤が見込まれることなどから、違法伐採が起きやすい状況にある。

我が国は、「違法に伐採された木材は使用しない」という基本的考え方に基づき、二国間・地域間・多国間での協力を進めるとともに、政府調達における取組等を進めている。

二国間協力としては、我が国は、2003年にインドネシアとの間で、違法伐採対策のための協力に関する「共同発表(*115)」と「アクションプラン(*116)」を策定・公表した。両国は、同プラン等に基づき、2010年に、木材生産国に導入可能な木材トレーサビリティ技術等を開発した(*117)。

また、我が国は、2011年8月に、中国との間で「違法伐採及び関連する貿易への対処と持続可能な森林経営の支持についての協力に関する覚書」を締結した。同覚書では、(ア)自国で伐採、加工、流通及び輸出入される木材・木材製品の合法性証明の仕組みを構築し、合法木材・木材製品の貿易と利用を促進すること、(イ)木材生産国の違法伐採対策を支援すること、(ウ)国内関係法令・制度や国際的な取組等について情報交流と能力向上を行うことなどについて、両政府が共同して取り組むこととした(*118)。

地域間協力としては、我が国は、AFPにおいて、木材の合法性を検証・確認するためのガイドラインの作成や消費者に信頼される合法性確認システムの構築等の取組に協力している。

多国間協力としては、我が国は、ITTOに対して、違法伐採対策として、熱帯木材生産国における伐採業者等への技術普及、政府の林業担当職員の能力向上と住民の森林経営への参加のための技術支援等に資金拠出を行っている。

このほか、我が国では、平成18(2006)年4月から、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(以下「グリーン購入法」という。)」に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針(以下「グリーン購入法基本方針」という。)」に基づき、政府調達における合法性・持続可能性が証明された木材の利用に関する考え方を追記している(*119)。


(*115)違法伐採及び違法に伐採された木材・木製品の貿易に取り組むための両国間の協力を促進することを確認した文書。

(*116) インドネシアにおける違法伐採問題の解決のための合法伐採木材の確認・追跡システムの開発等を定めた文書。

(*117) 一般社団法人全国木材検査・研究協会「平成21年度木材追跡システム実証事業報告書」(平成22(2010)年3月)

(*118) 林野庁プレスリリース「違法伐採対策に関する日中覚書の署名について」(平成23(2011)年8月25日付け)

(*119) 適正に生産された木材を利用する取組については、第VI章(177−178ページ)を参照。


 

(森林認証の取組) 

森林認証制度は、第三者機関が、森林経営の持続性や環境保全への配慮等に関する一定の基準に基づいて森林を認証するとともに、認証された森林から産出される木材・木材製品(認証材)を分別・表示管理することにより、消費者の選択的な購入を促す仕組みである。

国際的な森林認証制度としては、「世界自然保護基金(WWF(*120))」を中心に発足した「森林管理協議会(FSC(*121))」と、ヨーロッパ11か国の認証組織により発足した「PEFC(*122)」の2つがあり、平成24(2012)年11月現在、それぞれ1億6,932万ha、2億3,409万haの森林を認証している。PEFCは、世界31か国の森林認証制度との相互認証の取組を進めており、認証面積は世界最大となっている。

我が国独自の森林認証制度としては、一般社団法人緑の循環認証会議(SGEC(エスジェック)(*123))が行っている認証がある。我が国における森林認証は、主にFSCとSGECによって行われている。両者による認証面積は年々増加しているものの、伸び幅は小さくなっている。平成24(2012)年の国内における認証面積は、それぞれ、約40万ha、約90万haとなっている(資料IV-42)。

我が国では、森林面積に占める認証森林の割合は、数%程度にとどまっており、欧州や北米の国々に比べて低位にある(資料IV-43)。これは、森林所有者にとって、認証を取得する際のコストが負担になることや、消費者の森林認証制度に対する認知度が比較的低く、認証材の選択的な消費につながってこなかったことによると考えられる。

また、認証材は、外見は非認証材と区別がつかないことから、両者が混合しないよう、加工・流通過程において、その他の木材と分別して管理する必要がある。このため、各工場における木材・木材製品の分別管理体制を審査・承認する制度(「CoC(*124)認証」)

が導入されている。現在、世界で延べ2万以上、我が国で延べ約1,800の事業体が、FSC、SGEC、PEFC等のCoC認証を取得している。

IV-42           IV-43

データ(エクセル:51KB                               データ(エクセル:29KB)     


(*120) 「World Wide Fund for Nature」の略。

(*121) 「Forest Stewardship Council」の略。

(*122)「Programme for the Endorsement of Forest Certification」の略。

(*123)「Sustainable Green Ecosystem Council」の略。

(*124)「Chain of Custody(管理の連鎖)」の略。


 

(途上国の森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+)への対応) 

途上国の森林減少・劣化に由来する温室効果ガスの排出量は、世界の総排出量の2割を占めるとされており(*125)、地球温暖化対策を進める上で森林減少・劣化からの排出を削減することが重要な課題となっている。途上国の森林減少・劣化に由来する温室効果ガスの排出削減に向けた取組に、森林保全、持続可能な森林経営等の取組を加えたものは、「REDD+(レッドプラス)(*126)」と呼ばれている。

我が国では、REDD+の取組として、国際交渉への参画や、ODA等を通じた協力、総合的な技術拠点の開設、国内技術者の育成、技術開発等に取り組んでいる(*127)。


(*125)IPCC(2007)IPCC Fourth Assessment Report: Climate Change 2007: Synthesis Report: 36.

(*126)「Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation in Developing Countries; and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries」の略。

(*127)REDD+については、第III章(80ページ)を参照。


 


お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

ページトップへ


アクセス・地図