English

このサイトの使い方

サイトマップ

ホーム > 森林・林業白書 > 平成24年度 森林・林業白書(平成25年6月7日公表) > 平成24年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第IV章 第2節 森林の保全の確保(5)


ここから本文です。

第1部 第IV章 第2節 森林の保全の確保(5)

(5)森林病害虫対策の実施 

(「松くい虫」は我が国最大の森林病害虫被害)

「松くい虫被害」は、体長約1mmの「マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus)」がマツノマダラカミキリに運ばれてマツ類の樹体内に侵入することにより、マツ類を枯死させる現象(マツ材線虫病)である(*79)。

我が国の松くい虫被害は、明治38(1905)年ごろに長崎県で初めて発生し(*80)、全国の松くい虫被害量(材積)は、ピーク時の昭和54(1979)年度に243万m3となった。その後、被害量は減少傾向にあり、平成23(2011)年度はピーク時の4分の1程度の約65万m3となったが、依然として我が国最大の森林病害虫被害となっている。平成23(2011)年度には、青森県での被害発生が2年ぶりに確認され、被害発生地域は、北海道を除く46都府県となった(*81)(資料IV-32)。

青森県では、平成22(2010)年1月に、初めて松くい虫被害が確認され、28年ぶりの新たな都府県での発生となった。平成23(2011)年9月には、同県深浦町に設けられている「特別予防監視区域」内で松くい虫被害木2本が発見された(*82)。被害木は早急に駆除したものの、青森県での被害の拡大が危惧されている。

林野庁では、松くい虫被害の拡大を防止するため、都府県と連携しながら、公益的機能の高いマツ林等を対象として、薬剤散布や樹幹注入等の「予防対策」や被害木の伐倒くん蒸等の「駆除対策」を実施している。それ以外のマツ林等では、広葉樹等への樹種転換による保護樹林帯の造成等を実施している。被害拡大の先端地域である東北地方では、林野庁、秋田県及び青森県の3者が協力して、防除帯の設置や監視活動の強化等に取り組んでいる(*83)。

また、全国にマツ枯れ被害が広がる中、マツノザイセンチュウに対して抵抗性を有する品種の開発が進められてきた。独立行政法人森林総合研究所林木育種センターは、昭和53(1978)年度から、マツ枯れの激害地で生き残ったマツの中から抵抗性候補木を選木して抵抗性を検定することにより、抵抗性品種を開発してきた。これにより、平成23(2011)年度までに、318種の抵抗性品種が開発された。

各府県では、これらの品種を用いた採種園が造成されており、平成22(2010)年度には、これら採種園から採取された種子から約86万本の抵抗性マツの苗木が生産された(*84)。

資料IV-32

データ(エクセル:131KB)


(*79)「松くい虫」は、「森林病害虫等防除法」(昭和25年法律第53号)により、「森林病害虫等」に指定されている。

(*80)矢野宗幹 (1913) 長崎県下松樹枯死原因調査. 山林公報, (4): 付録1-14.

(*81)林野庁プレスリリース「「平成23年度森林病害虫被害量実績」について」(平成24(2012)年8月31日付け)

(*82)青森県プレスリリース「深浦町における松くい虫被害について」(平成23(2011)年9月20日付け)

(*83)林野庁ホームページ「松くい虫被害」

(*84)林野庁研究・保全課調べ


 

(「ナラ枯れ」被害の動き) 

「ナラ枯れ」は、体長5mm程度の甲虫である「カシノナガキクイムシ(Platypus quercivorus)」がナラ・カシ類等の幹にせん入して、「ナラ菌(Raffaelea quercivorus)」を樹体内に持ち込むことにより、ナラ・カシ類の樹木を集団的に枯死させる現象(ブナ科樹木萎凋病)である(*85)(資料IV-33)。

文献で確認できる最古のナラ枯れ被害は、昭和初期(1930年代)に発生した宮崎県と鹿児島県での被害である(*86)。ナラ枯れの被害量は、平成14(2002)年度以降増加し、平成22(2010)年度の被害量は、前年度から約10万m3増加して過去最高の約33万m3となった。

平成23(2011)年度には、被害量は前年度から半減して、約16万m3となった。被害地域は、前年度に初めて被害が確認された青森県で被害が発生しなかったことから、本州と九州のうち29都府県となった(資料IV-34)。

ナラ枯れの対策に当たっては、被害の発生を迅速に把握して、初期段階でカシノナガキクイムシの防除を行うことが重要である。林野庁では、被害の拡大を防止するため、被害木のくん蒸・焼却によるカシノナガキクイムシの駆除、健全木への粘着剤の塗布やビニールシート被覆によるカシノナガキクイムシの侵入予防等の対策を推進している。平成22(2010)年度からは、新たに、殺菌剤の樹幹注入による予防対策を導入した(*87)。

また、平成24(2012)年3月には、一般社団法人日本森林技術協会が、林野庁の補助事業により、ナラ枯れ被害の仕組みや被害の現状、防除方法等をまとめた「ナラ枯れ被害対策マニュアル」を作成した(*88)。

資料IV-33 資料IV-34

                                                                                                        データ(エクセル:123KB)


(*85)カシノナガキクイムシを含むせん孔虫類は、「森林病害虫等防除法」により、「森林病害虫等」に指定されている。

(*86)伊藤進一郎・山田利博 (1998) ナラ類集団枯損被害の分布と拡大(表−1). 日本林学会誌, Vol.80:229-232.

(*87)林野庁ホームページ「ナラ枯れ被害」

(*88)一般社団法人日本森林技術協会「ナラ枯れ被害対策マニュアル」(平成24(2012)年3月)


 

(林野火災は減少傾向) 

林野火災の発生件数は、短期的な増減はあるものの、長期的には減少傾向で推移している。平成23(2011)年における林野火災の発生件数は2,093件で、焼損面積は2,071haであった(資料IV-35)。

一般に、林野火災は、冬から春までに集中して発生しており、ほとんどは不注意な火の取扱い等の人為的な原因によるものである。林野庁は、昭和44(1969)年度から、入山者が増加する春を中心に、消防庁と連携して「全国山火事予防運動」を行っている。同運動では、関係行政機関等により、入山者や森林所有者等を対象として、防火意識を高める啓発活動が行われている(*89)。

資料IV-35

データ(エクセル:61KB)


(*89)林野庁プレスリリース「全国山火事予防運動の実施について」(平成24(2012)年2月23日)



お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

ページトップへ


アクセス・地図