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ホーム > 森林・林業白書 > 平成24年度 森林・林業白書(平成25年6月7日公表) > 平成24年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第IV章 第2節 森林の保全の確保(2)


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第1部 第IV章 第2節 森林の保全の確保(2)

(2)治山対策の展開 

(山地災害の発生)

我が国の国土は、地形が急峻で、地質がぜい弱であることから、山地災害が発生しやすい条件下にあり、毎年、台風や集中豪雨等により、各地で多くの林野関係被害が発生している。最近5年間の被害額は合わせて約7,217億円に及び、そのうち平成24(2012)年の被害額は約814億円であった。

平成24(2012)年には、6月8日から7月23日にかけて、梅雨前線と「台風第4号」による豪雨等により、九州地方を中心に、全国各地で甚大な林野関係被害が発生した。特に、同7月11日から14日までの「平成24年7月九州北部豪雨」では、福岡県、大分県及び熊本県を中心に、大規模な山腹崩壊など激甚な山地災害となった。同豪雨による林野関係被害は、熊本県では1,407か所(被害額276億円)、福岡県では1,109か所(被害額85億円)、大分県では405か所(被害額26億円)であった(*52)。降水量については、熊本県阿蘇市で、最大1時間降水量が108.0mm、最大24時間降水量が507.5mmとなった(*53)(事例IV-11)。

事例IV-11 「平成24年7月九州北部豪雨」における治山施設の効果 

事例IV-11事例IV-11

平成24(2012)年7月11日から14日にかけて、本州付近に停滞した梅雨前線に向かって、南から非常に湿った空気が流れ込み、九州北部を中心に大雨となった。特に、福岡県八女市、大分県日田市、熊本県阿蘇市等では、記録的な豪雨にみまわれた。この豪雨は「平成24年7月九州北部豪雨」と命名された。
同豪雨により、林野関係では特に、熊本県で、林地荒廃552か所、治山施設被害60か所、林道施設被害786か所など甚大な被害が発生した。
九州森林管理局では、被害発生直後から熊本県北東部の民有林の被害状況調査を行った。その結果、これまで階段状に整備してきた治山施設群が渓床や山脚を固定していたことにより、崩壊や渓岸浸食の拡大を抑制したこと等が確認された。


(*52)林野庁治山課調べ(平成24(2012)年3月現在)。

(*53)気象庁プレスリリース「平成24年7月11日から14日に九州北部地方で発生した豪雨の命名について」参考資料(平成24(2012)年7月15日付け)


 

(山地災害への迅速な対応) 

山地災害が発生した場合には、迅速な対応が重要である。林野庁では、初動時の対応として、被害状況の調査や緊急的な復旧対策、関係者による対策検討会等を行っている。

例えば、「平成24年7月九州北部豪雨」では、九州森林管理局が、災害発生直後から、関係県と協力してヘリコプターによる被害状況調査を行うとともに、熊本県からの要請を受けて、同局から技術を有する職員等を現地に派遣し、県職員とも連携しながら民有林における被害箇所の調査に当たるなどの初動対応を行った。また、災害復旧事業等により、荒廃した渓流や山腹崩壊地を安定させるための事業を緊急的に行った。

(治山事業の実施) 

林野庁では、森林の山地災害防止機能を発揮させるため、「森林整備保全事業計画(*54)」に基づき、「治山事業」を実施している。同事業では、斜面の安定化や荒廃した渓流の復旧、地すべりの抑制又は抑止等のため、施設の設置や森林の整備を行っている。

例えば、平成21(2009)年7月に発生した「平成21年7月中国・九州北部豪雨」により甚大な被害を受けた山口県や、平成23(2011)年9月の「台風第12号」により甚大な被害を受けた奈良県においては、治山事業により、治山堰堤の設置により荒廃した渓流を復旧する「渓間工」や、崩壊した斜面の安定を図り森林を再生する「山腹工」等を実施している(事例IV-12)。

また、林野庁では、火山地域においても治山事業を実施している。例えば、鹿児島県の桜島では、火山活動の影響により渓流の荒廃や山腹崩壊地の拡大がみられたことから、昭和51(1976)年から鹿児島森林管理署(鹿児島市)が、国の直轄事業として「桜島地区治山事業」を実施している。同事業では、荒廃渓流を整備して崩壊や侵食を抑制させる取組や、山腹崩壊地を緑化して植生を回復させる取組を実施している(*55)。

さらに、林野庁では、飛砂、潮害、風害の防備等を目的として、治山事業により、海岸防災林の整備を進めてきた。平成23(2011)年3月に発生した東日本大震災では、海岸防災林が、津波に対して、津波エネルギーの減衰、漂流物の捕捉、津波到達時間の遅延等の効果を有することが確認された。このため、林野庁では、飛砂、潮害、風害の防備等の災害防止機能に加えて、津波に対する被害軽減効果も考慮しつつ、治山事業による海岸防災林の整備を進めている(*56)。

事例IV-12 治山事業による「台風第12号」からの復旧 

事例IV-12

平成23(2011)年9月の「台風第12号」では、同8月30日から9月5日の間に奈良県吉野郡上北山村で1,814.5mmの総降水量を観測するなど、紀伊半島を中心に記録的な豪雨にみまわれ、大規模な山腹崩壊等が多数発生した。同台風により、全国で6,147か所、被害額993億円の激甚な林野関係被害が発生した。
同台風による山腹崩壊地や荒廃渓流被害を復旧するため、近畿中国森林管理局は、平成24(2012)年度から、特に被害の大きかった奈良県において、災害前より実施していた「十津川地区民有林直轄治山事業」の区域を拡大して、「民有林直轄災害関連緊急治山事業」により、渓流に治山堰堤を設置する渓間工と斜面を安定させるための山腹工等を行っている。
同局では、同様に被害の大きかった和歌山県でも、平成24(2012)年度補正予算により、国の直轄による「紀伊田辺地区民有林直轄治山事業」に新規着手して、復旧・整備を行うこととしている。

 


(*54)「森林整備保全事業計画」(平成21(2009)年4月24日閣議決定)

(*55)九州森林管理局鹿児島森林管理署ホームページ「桜島地区民有林直轄事業(平成24年版)」

(*56)海岸防災林の再生については、第II章(47−50ページ)参照。


 


お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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