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ホーム > 森林・林業白書 > 平成24年度 森林・林業白書(平成25年6月7日公表) > 平成24年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第IV章 第1節 森林の整備の推進(4)


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第1部 第IV章 第1節 森林の整備の推進(4) 


(4)社会全体に広がる森林づくり活動

(幅広い分野の関係者が森林・林業に積極的に関与)

近年、環境問題への関心の高まりから、ボランティアや企業による森林の整備・保全活動が広がるのみならず、経済・産業的な観点や文化的な観点からも、幅広い分野の関係者が森林・林業に積極的に関わろうとする動きがみられる。

経済・産業面では、森林・林業に積極的な提言を行う動きや他産業から林業に参入する動きがある。例えば、電気、建設、自動車、造船、鉄鋼、不動産等の100以上の企業・団体から構成される一般社団法人日本プロジェクト産業協議会(JAPIC(ジャピック))では、平成21(2009)年から、産官学民の連携により、従来の枠組みを超えた新たな林業システムや産業化の実現について研究を進めてきた。平成25(2013)年2月には、農林水産大臣等に、「林業復活」を日本経済再生策の一つとして位置付けるよう提言を行った(*24)。また、建設投資の減少や景気の悪化等により、建設事業に代わる地域での雇用機会の創出が求められる中、建設業者と連携して、路網整備や間伐等の森林整備を実施する動き(林建協働)もみられる。

文化面では、伝統的木造建築物の木造での再建・修復に向けて、社寺関係者や宮大工、学識経験者、建設業者が森林所有者等と連携する動きがある。例えば、「文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議」では、森林所有者が自らの森林を、将来、文化財の修復用材を提供できるような森林に維持・育成することを登録する仕組みを運用することにより、幅広い関係者間の連携を図っている(*25)。

このように、森林・林業に対しては、他分野からの関心も高まっている。


(*24)日本創生委員会・一般社団法人日本プロジェクト産業協議会「日本経済再生に資する「林業復活」についての提言」(平成25(2013)年2月25日)

(*25)飛山龍一 (2013) 森林技術, No.851: 8-12.


 

(「美しい森林づくり推進国民運動」を展開) 

森林・林業分野では、幅広い関係者の参画による活動として、「美しい森林づくり推進国民運動」が進められている。

「美しい森林づくり推進国民運動」は、「京都議定書目標達成計画」に定められた森林吸収量の目標達成や生物多様性保全等の国民のニーズに応えた森林の形成を目指して、政府と国民が協力しながら、森林の整備・保全、国産材利用、担い手・地域づくり等に総合的に取り組む運動である。同運動は、平成19(2007)年に始まり、平成24(2012)年に6年目を迎えた。

経済団体、教育団体、環境団体、NPO等97団体により構成される「美しい森林づくり全国推進会議」では、同運動の拡大に向けて、里山整備、森林環境教育、生物多様性の保全等の取組の推進等に取り組んでいる。

同運動の一環として、平成20(2008)年12月に「フォレスト・サポーターズ」制度が開始された。「フォレスト・サポーターズ」は、森林整備や木材利用等に取り組む個人や企業等が、フォレスト・サポーターズ運営事務局に登録を行う仕組みであり、登録数は平成24(2012)年12月末時点で約3万9千件となっている。登録されたサポーターは、日常の業務や生活の中で、自発的に森林の整備や木材の利用に取り組んでいる。

(ボランティアや企業による森林づくり活動が拡大) 

近年、環境問題への関心の高まりから、各地で、ボランティアや企業による森林の整備・保全活動が拡大している。

平成23(2011)年12月に内閣府が実施した「森林と生活に関する世論調査」の結果によると、森林の手入れを行うボランティア活動に参加したいと回答した者の割合は51%となっている(*26)(資料IV-17)。森林の整備・保全活動を実施しているボランティア団体の数は、平成9(1997)年度の277団体から平成23(2011)年度には3,152団体へと増加している(資料IV-18)。各団体の活動目的としては、「里山林等身近な森林の整備・保全」や「環境教育」を挙げる団体が多い(*27)(事例IV-2)。

また、地球温暖化対策や生物多様性保全への関心が高まる中、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、企業による森林の整備・保全活動が広がっている。企業による森林づくり活動の実施箇所数は、平成16(2004)年度の493か所から平成23(2011)年度の1,352か所へと大幅に増加している(資料IV-19)。具体的な活動としては、顧客、地域住民、NPO(民間非営利組織)等との協働による森林整備・保全活動、基金や財団を通じた森林再生活動の支援、企業の所有森林を活用した地域貢献等が行われている(事例IV-3、4)。さらに、東日本大震災により被災した海岸防災林を再生する取組においても、企業の参加が広がっている(*28)。

林野庁では、企業やNPO等の多様な主体による森林整備・保全活動を促進するため、森林整備・保全活動への参加を企業に呼びかける「企業の森づくりフェア」の開催や、企業やNPO等に対する活動フィールドの紹介等の支援を行っている。

資料IV-17

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資料IV-18

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資料IV-19

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事例IV-2 漁業者による森林づくり活動 

事例IV-2

青森県東津軽郡平内町は、陸奥湾における養殖ホタテの主要産地である。同町では、ホタテ養殖には、森林から供給される栄養豊かな水が不可欠であるとの考えの下で、森林所有者の協力により、ホタテ養殖における森林の重要性に対する理解を深める取組を行っている。
同町茂浦集落では、17haの森林を所有する森林所有者(青森市在住)と協力して、「森林と漁業振興を考える座談会」を開催している。平成24(2012)年5月に開催された第3回の座談会では、林業事業体と研究機関から、林業の現状や研究の状況について説明が行われた。
また、平成23(2011)年5月には、集落の漁業者により「遙林山を守る会」が発足した。同会では、遙林山の利活用と保全に取り組むとともに、自然観察会や集落共有林に関する勉強会、チェーンソー技術講習会などを開催している。

資料:社団法人青森県林業会議「林業会報」平成24(2012)年12月号: 3.

事例IV-3 企業の支援による共有林の管理体制の構築 

事例IV-3

農林中央金庫は、創立80周年を迎えた平成17(2005)年に、国内の荒廃した民有林の再生により、森林の公益性を発揮させることを目指す事業・活動に対して助成を行うため、「公益信託農林中金80周年森林再生基金(FRONT80)」(信託財産10億円)を設立した。
特定非営利活動法人「杣の杜学舎」(岐阜県美濃市)は、平成23(2011)年度に、同基金の支援を受けて、同市片知区の共有林を対象に、施業方針の策定や作業路の開設、間伐を行い、地域住民による管理体制の再構築に取り組んだ。また、地元住民を対象にした森林管理の技術に関する研修会等を開催した。
この結果、平成24(2012)年3月には、研修で参加した地区住民を中心とする林業グループ「山の駅ふくべ」が発足し、同グループが共有林での炭焼き、ほだ木づくり、薪づくりなどに取り組んでいる。

資料:森林組合, 平成24(2012)年8月号: 6-7.

事例IV-4 企業とNPO等の協働による森づくり活動 

事例IV-4

ガス会社のT社は、平成5(1993)年から、NPOや行政と協働しながら、コナラやクヌギ等の広葉樹の植栽・保育等を通じて、環境を守ることの大切さを学ぶ「どんぐりプロジェクト」を進めている。
同プロジェクトでは、年に4回程度、長野県北佐久郡御代田町にある自社有林194haにおいて、体験型の環境スクールを開催している。同スクールでは、植樹や間伐等の「森づくり体験プログラム」や環境の専門家と共に森を散策して動物の痕跡を探すなどの多様な「自然体験プログラム」を組み合わせて実施している。平成24(2012)年にも、一般参加者や社員の家族など多数が同プロジェクトに参加した。
同社では、今後も社会貢献活動の一環として、プログラムの充実を図りながら、森林保全活動と次世代への環境教育に継続的に取り組むこととしている。



(*26)「参加したい」と「どちらかといえば参加したい」の合計。

(*27)林野庁「森林づくり活動についてのアンケート集計結果」(平成22(2010)年3月調査)

(*28)海岸防災林の再生については、第II章(47−50ページ)参照。


 

(「緑の募金」により森林づくり活動を支援) 

「緑の募金」は、「緑の募金による森林整備等の推進に関する法律(緑の募金法)」に基づき、森林整備等の推進に用いることを目的に行う寄附金の募集である。「緑の募金」は、昭和25(1950)年に、戦後の荒廃した国土を緑化することを目的に「緑の羽根募金」として始まった。現在では、公益社団法人国土緑化推進機構と各都道府県の緑化推進委員会を実施主体として、春・秋の年2回、各家庭に募金を呼びかける「家庭募金」、各職場の代表者等を通じた「職場募金」、企業が直接募金を行う「企業募金」、街頭で募金を呼びかける「街頭募金」等が行われている。平成23(2011)年には、総額約23億円の寄附金が寄せられた。

寄附金は、①水源林の植林や里山の手入れ等、市民生活にとって重要な森林の整備・保全、②苗木配布や植樹祭開催、森林ボランティアの指導者育成等の緑化推進、③熱帯林の再生や砂漠化防止等の国際協力に活用されている。

また、東日本大震災からの復興支援のため、被災地において森林ボランティア等が行う植樹活動等を支援している(*29)。


(*29)緑の募金ホームページ「東日本大震災復興事業」


(「全国植樹祭」・「全国育樹祭」を開催) 

「全国植樹祭」は、国土緑化運動の中心的な行事であり、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、両陛下によるお手植えや参加者による記念植樹等を通じて、国民の森林に対する愛情を培うことを目的として毎年開催されている。第1回の全国植樹祭は、昭和25(1950)年に山梨県で開催され、平成24(2012)年5月には、山口県で「第63回全国植樹祭」が開催された。同植樹祭では、天皇皇后両陛下がクスノキやナツミカン等をお手植えされ、イチイガシやイロハモミジ等をお手播きされた。また、植樹祭会場では、植樹祭当日を含む4日間の「自由植樹の期間」に、多くの市民等が約23,000本の苗木を植樹した。平成25(2013)年には、鳥取県で「第64回全国植樹祭」が開催される。

「全国育樹祭」は、皇太子同妃両殿下によるお手入れや参加者による育樹活動等を通じて、国民の森林に対する愛情を培うことを目的として毎年開催されている。第1回の全国育樹祭は、昭和52(1977)年9月に大分県で開催され、平成24(2012)年11月には、静岡県で「第36回全国育樹祭」が開催された。同育樹祭では、皇太子殿下が、「第50回全国植樹祭」(平成11(1999)年5月開催)で天皇皇后両陛下がお手植えされたヒメシャラ等をお手入れされ、参加者が会場で施肥等の育樹活動を行った。平成25(2013)年には、埼玉県で「第37回全国育樹祭」が開催される。

(地方公共団体による独自課税が拡大)

各地の都道府県では、森林の整備を主な目的として、独自の課税制度を導入する取組が増加している。平成15(2003)年度に高知県が全国で初めて「森林環境税」を導入して以来、平成24(2012)年度までに33県が同様の制度を導入している。平成24(2012)年度には、新たに、山梨県と岐阜県が独自の課税制度を導入した(資料IV-20)。

独自課税を導入した県の多くは、5年間の時限措置としている。平成23(2011)年度までに23の県が第1期を終えたが、全ての県が独自課税を継続している。独自課税の課税方式は、県民税への上乗せとなっており、大部分の県で、個人の場合は500〜1,000円の定額を、法人の場合は5〜11%の定率を上乗せしている。独自課税を導入している33県における平成24(2012)年の税収見込みは、合計で約260億円となっている(*30)。

課税収入の使途をみると、導入している33県全てが森林整備に活用しており、28県が普及啓発に、25県が森林環境学習に、23県がボランティア支援にも活用している。また、16県では、公募により、地域住民やボランティア団体等が自ら企画・実践する森林づくり活動を支援している(資料IV-21、事例IV-5)。

平成23(2011)年度に、独自課税を継続した県で実施した各県民へのアンケート結果によると、独自課税の継続に賛意を示す者の割合は高いものの、独自課税の認知度は低い状況にある。各県では、独自課税に対する県民の理解を更に深めるため、独自課税の導入又は継続の際、説明会等を開催している(*31)。

資料IV-20

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資料IV-21

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事例IV-5 独自課税を活用した県産材モデル施設の整備 

事例IV-5

鹿児島県では、平成17(2005)年度から「森林環境税」を導入しており、税収を財源として、モデル的な木製品の設置や木造施設の整備等に助成する「木のあふれる街づくり事業」を行っている。
同県枕崎市では、日本最南端の始発・終着駅である枕崎駅に駅舎がない状態が続いていたため、駅舎の復活を望む声が多くあった。このため、平成24(2012)年度に、市、商工会会議所、市民等からなる「枕崎駅舎建設期成会」が、「木のあふれる街づくり事業」の資金500万円と一般市民等からの寄附金897万円を活用して、県産材のスギ15m3を使用した床面積52m2の駅舎を復活させる取組を行っている。
今後、駅舎周辺の整備も進める予定であり、観光の拠点となることが期待されている。

資料:鹿児島県枕崎市ホームページ「枕崎駅舎建設情報」



(*30)林野庁企画課調べ。

(*31)山形県「平成22年度新世紀やまがた課題調査」(平成22(2010)年7月調査)、富山県「水と緑の森づくりに関する県民等意識調査」(平成22(2010)年11〜12月調査)、和歌山県「紀の国森づくり基金県民意識調査」(平成22(2010)年10〜11月調査)


(森林の癒し効果を活用) 

近年、高齢化の進行や健康志向の高まりに伴い、森林が人の心身にもたらすリフレッシュ効果に対する期待や関心が高まるとともに、森林浴等による森林の利用が進んでいる。

平成23(2011)年12月に内閣府が実施した「森林と生活に関する世論調査」によると、森林に「心身の癒しや安らぎの場を提供する働き」を期待すると回答した者の割合は、28%となっている。また、森林へ行った目的については、「すぐれた景観や風景を楽しむため」、「森林浴により心身の気分転換をするため」などと回答した者の割合が高かった(資料IV-22)。

従来、森林の様々な要素が心身に癒し効果をもたらすことは経験的に知られてきたが、近年では、森林浴が人にもたらす生理的効果についての研究が進められている。その結果、森林は都市よりもリラックス効果をもたらすことや、森林浴により人の免疫機能が活性化することが科学的に解明されている(*32)。

これらの科学的データを基に、各地では、森林の癒し効果を客観的に評価して、健康増進に活用するプログラムやツアーが提供されている(事例IV-6)。

資料IV-22

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事例IV-6 森林を活用した癒やしの取組 

事例IV-6

平成18(2006)年に、北海道枝幸郡中頓別町において、森林の有する機能を科学的に検証して健康の維持・増進につなげるため、医師を中心とする「特定非営利活動法人中頓別森林療法研究会」が設立された(「特定非営利活動法人北海道森林療法研究会」に名称を変更手続き中)。
同会では、中頓別町や美瑛町の森林を中心に、高血圧や生活習慣病予防対策、ストレス解消(癒やし)、認知症予防効果のための森林療法モニターツアーや森林ウォーキング等を行っている。これらの活動により、森林の散策は、血圧の低下やストレス解消、認知機能低下の予防に効果があることを確認してきた。平成24(2012)年には、計9回のイベントを開催して、市民など延べ100人が森林の健康増進効果を実感した。

資料:特定非営利活動法人北海道森林療法研究会ホームページ



(*32)林野庁プレスリリース「我が国初の「森林セラピー基地」等の認定について−生理実験による森林の癒し効果を踏まえた地域振興をめざして−」(平成18(2006)年4月18日付け)


(森林環境教育を推進) 

現代社会では、人々が日常生活の中で森林や林業に接する機会が少なくなっている。このため、子どもたちを始めとする一般の人々が、植林、間伐、炭焼き、自然観察等の幅広い体験活動等を通じて、森林・林業について学習する「森林環境教育」の取組が進められている(事例IV-7)。

森林環境教育としては、これまでも、学校林の活用などによる活動が行われてきた。

学校林は、学校が保有する森林であり、児童・生徒の教育や学校の基本財産造成等を目的に設置されている。学校林を保有する小中高等学校は、全国の7.8%に相当する約3千校で、学校林の合計面積は全国で約2万haとなっている。各地の学校林は、「総合的な学習の時間」等で利用されており、下刈や枝打等の林業に関する作業や、植林・植樹や動物観察等の環境教育に関連する活動が行われている(*33)(事例IV-8)。

学校林以外の森林環境教育の取組としては、「森の子くらぶ」や「緑の少年団」による活動等が挙げられる。

「森の子くらぶ」は、地方公共団体やNPO等が、森林公園等の森林総合利用施設、青少年教育施設、国有林野等を活動場所として、主に小中学生とその保護者を対象に、森林と地域の生活や文化との関わりについて課外学習等を行う活動である。平成23(2011)年度には年間延べ30万2千人が体験学習等に参加した(*34)。

「緑の少年団」は、森林における学習やボランティア活動等を通じて青少年を育成する活動である。「緑の少年団」は、昭和35(1960)年に、国土緑化推進委員会が「グリーン・スカウト」の名称で緑化を実践する少年団の結成を呼びかけ、全国各地で少年団が誕生したことに始まる。平成24(2012)年1月現在、全国で3,683団体、約33万6千人が加入して森林整備活動等を行っている(*35)。

また、平成14(2002)年度から、林野庁、文部科学省及び公益社団法人国土緑化推進機構の連携により、「森の聞き書き甲子園」が開始され、平成24(2012)年度で11年目を迎えた(*36)。「森の聞き書き甲子園」は、全国の高校生が、森の名手・名人を訪ね、一対一の対話を通じて、名手・名人の知恵や技術、考え方や生き方を「聞き書き」し、記録する活動である。これまでの11年間で1,000人を超える高校生が活動に参加しており、「森の聞き書き甲子園」の卒業生は、「聞き書き甲子園実行委員会事務局」で、事業の運営や参加高校生の支援に協力している。

このほか、平成23(2011)年6月には、「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」が改正され、同法に基づき策定された「環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針」では、森林に関連する事項として、地域の木材を活用した学校施設の整備等により学校での環境教育を一層推進することや、森林等の自然体験活動の場を都道府県知事が認定する制度を導入することが追加された。

事例IV-7 「森の健康診断」による森林環境教育の実施 

事例IV-7

「矢作川水系森林ボランティア協議会」(名古屋市)は、平成17(2005)年から、愛知県豊田市の矢作川流域を拠点として、市民が専門家と一緒に科学的な調査を行う「森の健康診断」を行っている。同調査では、巻き尺やスコップなどの調査道具のほとんどを100円ショップで揃えることができ、誰でも容易に行える調査方法で立木密度や土壌等の調査を行っている。
平成24(2012)年10月には、西広瀬小学校(愛知県豊田市)の児童21名が、「子ども森の健康診断」として、学校の裏山で植生調査と林分調査を行った。調査の結果、学校の裏山は「過密状態(不健康)」と診断された。児童たちからは、「普通の山だと思ったが、不健康と診断されたことに驚いた」といった感想が寄せられた。

資料:ホームページ「森の健康診断ポータルサイト」

事例IV-8 学校林を活用した森林環境教育の実施 

事例IV-8

山形県南部の米沢市立三沢東部小学校では、明治44(1911)年に、基本財産形成のため、小学校近くに学校林を取得してから、3か所の学校林を植林や間伐等により大切に守り育ててきた。
平成22(2010)年度には、学校林を活用して、新しい体育館に使われるスギの伐採現場の見学やなめこの菌打ち体験などを行った。平成23(2011)年度には、歩道整備のためのチップ敷きや下刈作業を行った。
同校では、今後も、引き続き、学校林の整備を進めるとともに、間伐材を利用した道具づくりやなめこの収穫作業等も行う予定である。

資料:「「学校林・遊々の森」全国子どもサミットin信州報告書」(「学校林・遊々の森」全国子どもサミットin信州実行委員会(平成23(2011)年8月)資料)



(*33)国土緑化推進機構プレスリリース「学校林の現況調査結果について」(平成19(2007)年4月6日付け)

(*34)こども森林館ホームページ「森の子くらぶとは?」

(*35)公益社団法人国土緑化推進機構ホームページ「緑の少年団」

(*36)平成23(2011)年度より「森の聞き書き甲子園」と「海・川の聞き書き甲子園」を統合し、「聞き書き甲子園」として実施。平成24(2012)年度からは新たに環境省とも連携。


(里山林の再生) 

里山林(*37)は、国民にとって最も身近な自然環境である。かつて、里山林では、薪炭材の生産や肥料の採取等により循環利用を通じた整備が行われ、シイ、カシ、クヌギ、ナラ等の広葉樹を主体とした森林が維持されてきた。今日では、かつてのような利用が行われなくなった結果、多くの里山林が放置され、藪化の進行や竹の繁茂等の問題が発生している。

このような中、各地では、ボランティアによる里山林整備の活動が広がっている。林野庁が実施した「森林づくり活動についてのアンケート(*38)」によると、回答したボランティア団体の7割以上が「里山林等身近な森林の整備・保全」を主な活動目的としており、このような団体の割合は、前回調査よりも上昇している(資料IV-23)。

また、平成23(2011)年12月に内閣府が実施した「森林と生活に関する世論調査」では、里山林や都市近郊林等の居住地近くに広がる森林について、今後、どのような役割を期待するか聞いたところ、「子どもたちが自然を体験する場としての役割」や「地域住民が活用できる身近な自然としての役割」と回答した者の割合が高かった(資料IV-24、事例IV-9)。

里山林の保全・再生のためには、地域住民が持続的に里山林と関わる新たな仕組みをつくることが必要である。このため、林野庁は、地域住民が主体となって、里山林を薪炭やチップ、山菜、きのこ等を生産する場や森林環境教育・自然体験の場として利活用するための実践的なマニュアルを作成した(*39)。

近年では、再生可能エネルギーの重要性が国民に広く認識され、里山林の資源を木質バイオマス燃料の供給源とすることも期待されている。このような中、薪ストーブの導入を支援する地方公共団体が増加するとともに、その燃料として里山林から薪を生産する取組もみられる。

資料IV-23 資料IV-24

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事例IV-9 幼児教育の場として里山林の活用 

事例IV-9

長野県上水内郡飯綱町の「特定非営利活動法人大地」は、里山林をかつての植生に再生・整備した上で、幼児教育の場となる「森のようちえん」として活用している。「森のようちえん」では、里山林を使った遊び、山菜・きのこ等の採集、虫取り、薪を使った調理などのプログラムにより、子どもたちが自ら発見して遊びをつくる「創発型」の幼児教育を実施している。
この結果、「森のようちえん」に子どもを通わせるため、若い夫婦が新たに町内に定住するなど、里山林の活用による地域づくりの効果が生まれている。

資料:特定非営利活動法人大地ホームページ



(*37)居住地域近くに広がり、薪炭用材の伐採、落葉の採取等を通じて地域住民に継続的に利用されることにより、維持・管理されてきた森林。

(*38)林野庁「森林づくり活動についてのアンケート集計結果」(平成22(2010)年3月調査)

(*39)林野庁「里山林を活かした生業づくりの手引き」


(「国際森林デー」を制定) 

国際連合は、2011年の「国際森林年」の取組を踏まえて、森林の重要性に対する意識を一層向上させるため、2012年12月に、毎年3月21日を「国際森林デー(International Day of Forests)」とすることを決議した(*40)。

林野庁では、「国際森林デー」に併せて、環境問題に取り組む企業やNPO等とも協力しながら、森林の大切さや国産材利用の意義を広く国民に呼びかけている。



(*40)United Nations General Assembly A/RES/67/200



お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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