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ホーム > 森林・林業白書 > 平成24年度 森林・林業白書(平成25年6月7日公表) > 平成24年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第III章 第2節 「京都議定書」第1約束期間の目標達成に向けた森林関連分野の取組(3)


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第1部 第III章 第2節 「京都議定書」第1約束期間の目標達成に向けた森林関連分野の取組(3)

(3)森林関連分野のクレジット化の取組 

(国内クレジット制度での取組)

近年、我が国においても、二酸化炭素の排出削減量や吸収量をクレジット化する取組が広がっている。「クレジット化」とは、再生可能エネルギー利用施設の導入や森林整備等による二酸化炭素の排出削減量又は吸収量について、第三者機関が貨幣価値のあるものとして認証を与えることである。

政府は、平成20(2008)年度から平成24(2012)年度まで、「京都議定書目標達成計画」に基づき、「国内クレジット制度」を実施した。同制度は、大企業等が技術・資金を提供して中小企業等が行った温室効果ガス排出抑制の取組による排出削減量を、「国内クレジット認証委員会」がクレジットとして認証し、大企業が自主的に策定する「自主行動計画(*16)」等の目標達成のために活用する制度である。

平成24(2012)年12月現在、「国内クレジット制度」により、1,119件のプロジェクトについて約63万CO2トンのクレジットが認証されている。

このうち、森林分野の対象事業としては、化石燃料から間伐材等バイオマスへのボイラー燃料の転換、バイオマスを燃料とするボイラーやストーブの導入など、217件のプロジェクトについて約16.2万CO2トンのクレジットが認証されている(事例III−1)。

これらのプロジェクトの内訳を方法論別にみると、「ボイラーの更新」が133件、「ボイラーの新設」が65件、「空調設備の更新」が17件等となっている(資料III−6)。また、排出削減の実施主体としては、「木材加工工場」が、認証されたクレジット量の約6割を占め、主に、木材乾燥に用いるボイラー燃料を化石燃料から工場残材等の木質バイオマスに転換するプロジェクトに取り組んでいる。

事例III-1 木質チップボイラーの導入によるクレジットの取得 

事例III-1

兵庫県多可郡多可町は、一般社団法人低炭素投資促進機構からの助成を受けて、木質チップボイラーの導入による「国内クレジット」の取得に取り組んでいる。
同町は、平成24(2012)年4月に、町営施設「なごみの里山都」に町内の山林から産出される間伐材を燃料とする木質チップボイラーを導入した。このボイラーの導入は、年間69トンの二酸化炭素排出削減に効果があると認められ、同5月に「国内クレジット認証委員会」から、「国内クレジット制度」の対象事業として承認を受けた。
同町には、国内クレジットの集約を行う一般社団法人低炭素投資促進機構から、取得するクレジット1トン当たり1,500円の助成金が交付され、取得したクレジットは同機構に提供される予定である。

資料:多可町「排出削減事業計画:灯油ボイラからバイオマスボイラへの更新プロジェクト」(平成24(2012)年1月)

 

資料III-6

データ(エクセル:29KB)


(*16)「自主行動計画」については、69ページの注9参照。


 

(オフセット・クレジット(J-VER)制度での取組) 

クレジット化の取組の一つに、「カーボン・オフセット」がある。「カーボン・オフセット」とは、温室効果ガスを排出する事業者等が、自らの排出量を認識して主体的に削減努力を行うとともに、削減が困難な排出量について、他の事業者等によって実現された排出削減・吸収量(クレジット)の購入等により相殺(オフセット)することである(事例III−2)。

政府は、平成20(2008)年11月から平成24(2012)年度末まで、カーボン・オフセットの信頼性を高め、その取組を広めることを目的として、国内の排出削減・吸収プロジェクトによる温室効果ガスの排出削減・吸収量の認証やクレジットの発行・管理等を行う「オフセット・クレジット(J-VER(ジェイバー))制度」を実施した。

「オフセット・クレジット(J-VER)制度」は、排出削減・吸収プロジェクトを行う事業者等が、「オフセット・クレジット(J-VER)認証委員会」の審議を受けたプロジェクト計画書を登録した上で実施するプロジェクトについて、同委員会が排出削減・吸収量の認証とクレジットの発行を行う仕組みである(*17)。

同制度では、対象となる温室効果ガス排出削減・吸収活動プロジェクトの種類が、あらかじめ「方法論リスト(*18)」として定められ、森林分野では、化石燃料から木質バイオマスへの燃料転換等の「木質バイオマス利用」と間伐等の「森林経営活動」が定められた。

平成24(2012)年12月現在、「J-VER制度」により、170件のプロジェクトについて約33.7万CO2トンのクレジットが認証されている。このうち、森林分野は115件、約32万CO2トンで、認証されたクレジット量の大部分を占めている。

方法論別では、森林経営活動が94件(クレジット量:約30.1万CO2トン)、木質バイオマス利用が21件(同:約1.9万CO2トン)であり、森林経営活動の割合が大きい。森林経営活動の内訳をみると、「間伐促進型プロジェクト」が84件、「持続可能な森林経営促進型プロジェクト(*19)」が10件であった。また、木質バイオマス利用の内訳をみると、「化石燃料から木質バイオマス等へのボイラー燃料代替」が15件、「木質ペレットストーブや薪ストーブの使用」が6件であった(資料III−7)。

特に、森林経営活動では、県有林における取組が進んでおり、平成24(2012)年12月時点で、15道県が各道県有林を対象とするプロジェクトを実施している。県有林で認証を受けたクレジットの量は3.7万CO2トンであり、森林経営活動による認証量全体の約12%を占めている(事例III−3)。

事例III-2 林業機械が排出する二酸化炭素をオフセット 

事例III-2

九州の林業会社1社と林業機械メーカー2社は、平成24(2012)年度に、林業により経済と環境の両立に貢献することを目的として、「九州の森林カーボン・オフセット推進協議会」(大分県日田市)を設立した。同協議会は、平成24(2012)年9月から、ハーベスタが排出する二酸化炭素のオフセットに取り組んでいる。
同協議会では、加盟する林業機械メーカーが販売するハーベスタの年間二酸化炭素排出量に相当する約15トンの「オフセット・クレジット(J-VER)」を購入して、排出量をオフセットしている。オフセットされたハーベスタの使用により、素材生産業者等のイメージアップにつながることが期待される。

資料:環境省プレスリリース「平成24年度地方発カーボン・オフセット認証取得支援の採択結果(第2次募集分)及び第3次募集の実施について(お知らせ)」(平成24(2012)年9月27日付け):資料1-3.


資料III-7

データ(エクセル:33KB)

事例III-3 コーディネーターを活用したクレジットの普及 

事例III-3

鳥取県は、平成22(2010)年度までの4年間に県有林で実施した間伐(67ha)による二酸化炭素吸収量1,033トンに対して、「オフセット・クレジット(J-VER)」の認証を受けた。
同県は、平成22(2010)年12月に、認証されたクレジットの販売を促進するため、「鳥取県J-VER地域コーディネーター制度」を開始した。現在、地方銀行2行が「コーディネーター」として登録され、県内の事業者等に対するカーボン・オフセットの提案やクレジットの購入に関心を有する地元企業等の県への紹介を行っている。
平成24(2012)年2月までに、全販売量763CO2トンの約8割に当たる594CO2トンのクレジットを同制度により販売することができた。

資料:環境省「カーボン・オフセット活用ガイドブック2012」(平成24(2012)年6月):54-57.


(*17)同制度によるクレジットは、「国内クレジット制度」とは違い、「京都議定書目標達成計画」に基づく「自主行動計画」の達成に活用することはできない。

(*18)本制度で対象となる温室効果ガスの排出削減・吸収プロジェクト種類のリスト。プロジェクト種類ごとに、プロジェクト事業者が申請に際して満たすべき要求事項である「適格性基準」が定められている。

(*19)「持続可能な森林経営促進型プロジェクト」とは、持続的な森林経営の対象地であることを証明するため、「森林施業計画」又は「森林経営計画」の認定を受けていること等を満たす植栽、間伐、主伐。


 

(新たなクレジット制度の創設) 

「国内クレジット制度」と「J-VER制度」は、「京都議定書」第1約束期間の最終年度となる平成24(2012)年度で終了することから、農林水産省、経済産業省及び環境省は、今後のクレジット制度について検討するため、平成24(2012)年4月から有識者による「新クレジット制度の在り方に関する検討会」を開催した。同検討会は、平成24(2012)年8月に「新クレジット制度の在り方について」を取りまとめ、両制度を統合すべきなどの方向性を示した(*20)。同取りまとめでは、新たな制度の実施期間は平成32(2020)年度までとすること、クレジットの活用先は「自主行動計画」の目標達成やCSR活動、カーボン・オフセットなど、現行どおり維持されるようにすること、必要な移行措置を用意することなどが提言された。

これを踏まえて、新制度の運営に必要な規定等について検討が行われ、同4月から、「J−クレジット制度」が開始される。


(*20)新クレジット制度の在り方に関する検討会「新クレジット制度の在り方について」(平成24(2012)年8月)


 

(多様な主体によるカーボン・オフセットの取組) 

森林による二酸化炭素吸収の役割に対する関心の高まりを受けて、政府主導の取組に加え、多様な主体によるカーボン・オフセットの取組が進められている。

例えば、都市部の自治体が、森林を有する地方の自治体と森林整備に関する協定を結び、自治体間でカーボン・オフセットを行う取組が行われている。この取組では、都市部の自治体が、地方の自治体における間伐等の費用を負担することにより、間伐等を行った森林における二酸化炭素吸収量を自らの二酸化炭素排出削減目標の達成に活用している(事例III−4)。

このほか、民間団体でも、一定の基準に基づいて、森林の管理・経営レベルや生物多様性の保全レベルとともに、森林の二酸化炭素吸収量を審査・認定する取組が行われている。この取組で認定された森林の二酸化炭素吸収量は、クレジット化されて取引の対象となり、購入者が自主的なカーボン・オフセットに使用することが想定されている。

事例III-4 都市部と地方の自治体が森林整備協定によりカーボン・オフセット 

事例III-4

東京都千代田区は、平成32(2020)年までに平成2(1990)年比でCO2排出量を25%削減することを目標として、二酸化炭素の排出削減に取り組んでいる。同区は、平成24(2012)年6月に、岐阜県高山市との間で、相互が連携して間伐等の森林整備を行う協定を締結した。
同協定では、千代田区が高山市での森林整備に必要な経費の一部を負担することより、毎年度10haの間伐等を10年間実施して、森林整備による二酸化炭素吸収量を同区の二酸化炭素排出量とオフセットすることとしている。
今後10年間、毎年10haの間伐等を継続した場合、高山市の森林は、4,290トンの二酸化炭素を吸収することが見込まれ、同区の一般家庭約1,130世帯が1年間に排出する二酸化炭素をオフセットすることが可能となる。

資料:千代田区プレスリリース「平成24年6月21日 高山市と森林整備事業について協定締結」(平成24(2012)年6月21日付け)

 

 

お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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