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ホーム > 森林・林業白書 > 平成23年度 森林・林業白書(平成24年4月27日公表) > 平成23年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第IV章 第1節 林業の動向(3)


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第1部 第IV章 第1節 林業の動向(3)

(3)林業事業体の動向

(林業事業体は森林施業の主体) 

我が国における森林施業の主体は、林家、森林組合、素材生産業者等の3つに大別される。このうち、森林組合と素材生産業者等(併せて「林業事業体」という。)は、森林所有者等からの委託又は立木の購入によって、造林・伐採等の林内作業を担っている。

「2010年世界農林業センサス」によると、森林組合は、全国における植林、下刈、間伐の受託面積のうち、5割以上を実施しており、我が国の森林整備の中心的な担い手となっている。間伐の受託面積のうち素材生産業者等の会社の占める割合をみると、「2005年世界農林業センサス」では、18%であったのに対して、「2010年世界農林業センサス」では33%に上昇している。これは、主伐の事業量が減る中で、素材生産を主体とする会社が、増加している間伐で事業量の確保を図っているためと考えられる。また、素材生産業者等の会社は、主伐の約7割を実施しており、素材生産の中心的な担い手となっている(図IV-11)。


(森林組合の合併) 

森林組合は、「森林組合法」に基づく森林所有者の協同組織で、組合員である森林所有者に対する経営指導、森林施業の受託、林産物の生産・販売・加工等を行っている(図IV-12)。平成21(2009)年度末現在、全国の組合員数は約157万人(法人を含む。)で、組合員が所有する森林の面積は民有林(都道府県有林を除く。)面積の約3分の2を占めている(*9)。

林野庁では、森林組合の経営基盤を強化する観点から、森林組合の合併を積極的に推進してきた。森林組合の数は、最も多かった昭和29(1954)年度の5,289から、平成21(2009)年度末には692まで減少している。

森林組合が実施する事業のうち、新植・保育の面積はほぼ横ばいで推移している。また、素材生産量は増加傾向にあったが、平成21(2009)年度は、世界的な金融危機による景気悪化に伴う国内需要の減少により、前年比93%の323万m3となっている(図IV-13)。新植・保育については、依頼者の半数が個人等であり、公社等と地方自治体がそれぞれ2割程度を占めている。素材生産については、依頼者の84%が組合員を含む個人となっている(図IV-14)。

なお、森林組合の雇用労働者数は、これまで減少傾向にあったが、平成21(2009)年は増加した。平成21(2009)年度末時点における森林組合の雇用労働者数は、前年より4%増加して約2万7千人(1組合当たり平均39人程度)となった(図IV-15)。



(*9)林野庁「平成21年度森林組合統計」



(幅広い森林組合の役割) 

平成22(2010)年に農林水産省が実施した「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」によると、伐採業者や森林組合に期待する役割について、林業者(*10)のモニターの30%が「作業のみならず、森林に係る計画策定から管理経営までを引き受けること」、29%が「植付や間伐等の個々の作業を引き受けること」、22%が「長期にわたり、各種の作業を一括して引き受けること」と回答している(図IV-16)。

森林所有者の高齢化や経営意欲の減退等により、森林の個々の作業や管理・経営までを委任したいとする森林所有者が多くなっている。このような中、森林組合には、地域の森林管理の主体として、造林・保育等の作業の受託から「森林経営計画」等の策定に至るまで幅広い役割を担うことが期待されている。

このような森林組合に対する期待から、平成22(2010)年11月に報告された「森林・林業再生プラン(*11)」推進に当たっての具体的な対策に関する最終とりまとめ「森林・林業の再生に向けた改革の姿」では、森林組合の最優先の業務を施業集約化・合意形成や「森林経営計画」の作成とした上で、地域の持続的な森林経営の担い手とするよう、森林組合の改革を進めるべきと提言された。

森林組合系統では、平成22(2010)年10月に開催された「全国森林組合大会」において、運動方針の中に、提案型集約化施業と「森林経営計画」の作成を最優先の業務として、全ての組合員所有森林の集約化を目指すこと等を位置付けた。

これを踏まえて、森林組合系統では、職員による「森林施業プランナー育成研修」への参加促進、提案型集約化施業を実施するための基本的な体制を外部機関が評価する「実践体制基礎評価」の取得、集約化の情報提供等を行う座談会の開催等、施業の集約化に向けた取組を進めている。

また、平成23(2011)年8月に、林野庁は、森林組合において、組合員に対する透明性の高い経営を確保するため、都道府県と森林組合系統に対して、森林組合の決算書類等の改正に係る通知を発出した(*12)。さらに、平成24(2012)2月には、都道府県等に対して、組合員活動に重点をおいた業務運営を行うよう、森林組合における国や地方公共団体等公的機関の利用に係る指導通知を発出した(*13)。



(*10)この調査での「林業者」とは、原則として、2005年農林業センサスで把握された林業経営体のうち、保有山林面積が20ha以上で、かつ保有山林からの林産物の販売活動を行っている林家の経営者。

(*11)「森林・林業再生プラン」については、トピックス(2月3日ページ)、第III章(75ページ)を参照。

(*12)「「森林組合、森林組合連合会及び生産森林組合の決算関係書類様式等の制定について」の一部改正について」(平成23(2011)年8月24日付け23林政経第80号林野庁長官通知)

(*13)「森林組合法第9条第9項に係る森林組合の指導について」(平成24(2012)年2月29日付け23林政経第329号林野庁長官通知)



(林業事業体の育成が課題) 

「2010年世界農林業センサス」によると、平成21(2009)年に受託もしくは立木買いにより素材生産を行った林業経営体は、3,399経営体となっている。このうち個人経営体が51%を占め、森林組合は15%、その他会社等の法人組織は26%となっている。

素材生産規模別の経営体数をみると、「1,000m3未満」の経営体数が54%を占めている。他方、「1万m3以上」の経営体は、経営体数では8%を占めるにすぎないが、素材生産量の55%を占めている(図IV-17)。素材生産の労働生産性は、事業規模が大きい経営体ほど高く、規模が小さい経営体は、機械化も進まず、生産性が低いものが多い(図IV-18)。

「森林・林業の再生に向けた改革の姿」では、林業事業体が継続的に事業を営めるようにするためには、事業量や森林所有者等からの信頼を確保することが不可欠であり、林業事業体の事業実行能力、社会的信用、人事管理能力等を総合的に向上させるための新たな仕組みや手法を構築する必要があると提言された。あわせて、林業事業体間の競争が働く仕組み(イコールフッティング)を構築することによって、林業事業体の育成につなげるとともに、森林整備の仕事の質を確保しつつ低コスト化を促す必要があると提言された。

これらの提言を受けて、林野庁では、フォレストマネージャー等の人材育成のための研修の実施や研修修了者の登録制度の創設、イコールフッティングの確保に向けた森林関連情報の提供及び整備に関する通知の発出(*14)、事業の計画量が流域や市町村単位で明確になる仕組み、林業事業体の登録・評価の仕組みの導入等(*15)、林業事業体の育成に向けた取組を進めている。



(*14)「森林の経営の受委託等の促進に関する情報の提供及び整備について」(平成24(2012)年3月30日付け23林整計第339号林野庁長官通知)

(*15)「林業事業体に関する情報の登録・公表について」(平成24(2012)年2月28日付け23林政経第312号林野庁長官通知)
「林業事業体に関する登録情報の活用ガイドラインについて」(平成24(2012)年2月28日付け23林整整第844号林野庁長官通知)
「森林整備事業に係る林業事業体の成績評定要領例について」(平成24(2012)年3月30日付け23林整整第974号林野庁長官通知)



(女性やNPO等による取組が展開) 

近年、女性が中心となって、林業に関する情報を発信する取組が広がっている。例えば、林業に関心を有する女子学生や女性社会人が林業を盛り上げる「林業女子会」の結成が全国で広がっている。また、都道府県の女性林業技術職員によるネットワークづくりも進められている(事例IV-1、2)。

このほか、林業従事者と森林ボランティアの中間的な役割を担うNPOが、自伐林家と連携して、小規模所有者の森林の整備を促進する取組や、一般の出資者から資金を募って森林整備を支援する取組もみられる(事例IV-3)。

事例IV-1 「林業女子会」のネットワークが広がる 

「林業女子会」のネットワークが広がる 林業女子会@静岡のメンバー 林業女子会@岐阜のメンバー

女性に林業を身近に感じてもらうため、女性向け林業体験イベントの開催等に取り組む「林業女子会」の活動が広がりをみせている。
平成22(2010)年7月に、京都府で「林業女子会@京都」が初めて設立された後、平成23(2011)年6月には、静岡県で、女子が林業を産業として応援する「林業女子会@静岡」が、同8月には、岐阜県で「多くの人に林業の魅力を伝える」をテーマに「林業女子会@岐阜」が設立された。
林業界に女性目線からの新しい風を吹き込む「林業女子会」の活動は、地元メディアに取り上げられるなど、注目度は高い。林業女子のネットワークは、「林業女子会」相互の交流や新たな「林業女子会」の設立等により、少しずつ広がりをみせており、林業の活性化に貢献することが期待される。

事例IV-2 全国の女性林業技術職員によるネットワーク 

全国の女性林業技術職員によるネットワーク 森林フォーラムの様子 森林セラピー体験の様子

平成5(1993)年3月に、林野庁主催の研修で出会った3名の女性林業技術職員が意気投合し、全国の都道府県で働く女性林業技術職員に呼びかけて、「豊かな森林づくりのためのレディースネットワーク・21」を設立した。
同会では、豊かな森林づくりと皆が明るく楽しく暮らせる農山村の実現のための「アイデアの発信基地」を目指して、「女性森林フォーラム」の開催、「林業女子会」等他団体とのコラボイベントの企画、インターネットを利用した情報発信等の活動を行っている。
平成23(2011)年11月には、山口市において、「森林セラピーによるメンタルヘルスケア」をテーマとする「全国女性森林フォーラムin山口」を開催した。同フォーラムには、会員や公募による一般参加者計65名が参加した。
同会では、林業に関わる女性職員のネットワークを構築して、情報発信を行ってきた。今後も、女性の視点を活かして、活動の幅を広げ、森林・林業振興に貢献することが期待される。

事例IV-3 「木の駅プロジェクト」による間伐材の販売 

岐阜県恵那市(えなし)の「笠周(りっしゅう)地域木の駅実行委員会」では、平成21(2009)年から、地元住民が軽トラック等で間伐材を搬出して、「モリ券(地域通貨)」に換える「木の駅プロジェクト」を実施している。
同プロジェクトでは、地域に集荷場所となる「木の駅」を設置することにより、近くに木材市場やペレット工場等がなくても、地元住民の力によって間伐材を収集することが可能となった。地元住民は間伐材を運び込むことで6,000円/トン相当の「モリ券」を得ることができ、「木の駅」に集められた間伐材はチップ工場や市内の温泉施設等などに運ばれて利用されている。
「木の駅プロジェクト」は、鳥取県智頭町(ちづちょう)、愛知県豊田市(とよたし)、岐阜県大垣市(おおがきし)、高知県嶺北(れいほく)地方にも広がりをみせている。

資料:「木の駅プロジェクト」ホームページ


(2012年は「国際協同組合年」) 

「協同組合」とは、農林漁業者、中小商工業者又は消費者等が、その事業や生活の改善を図るために、協同して経済活動等を行う組織であり、森林・林業分野の協同組合としては、森林組合が組織されている。

国連は、2009年12月に、2012年を「国際協同組合年(International Year of Co-operatives: IYC)」とすることを宣言した。「国際協同組合年」の目的は、(1)協同組合についての社会的認知度を高めること、(2)協同組合の設立や発展を促進すること、(3)協同組合の設立や発展につながる政策を定めるよう政府や関係機関に働きかけること等とされている。「国際協同組合年」のスローガンは、「協同組合がよりよい社会を築きます(Co-operative enterprises build a better world)」とされた。

我が国では、平成22(2010)年8月に、森林組合を始めとする国内の各種協同組合やNPO等の非営利・協同の団体等が幅広く連帯して、協同組合を更に発展させる取組を行うべく、「2012国際協同組合年全国実行委員会」が設立された。同委員会には、全国森林組合連合会が参加している。今後、同委員会では、記念イベントの開催や広報活動に取り組むこととしている。


お問い合わせ先

林政部企画課年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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