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ホーム > 森林・林業白書 > 平成23年度 森林・林業白書(平成24年4月27日公表) > 平成23年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第I章 第3節 復旧・復興に向けた森林・林業・木材産業の取組(2)


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第1部 第I章 第3節 復旧・復興に向けた森林・林業・木材産業の取組(2)

(イ)新たなまちづくりに向けた木材の活用

(a)これまでの動き

(約5万戸の応急仮設住宅を建設) 

東日本大震災では、地震の揺れと津波による建物の全壊・半壊は37万戸を超え、このうち全壊は約13万戸に及んだ(*51)。地震発生直後には、最大約47万人が公民館・学校等の避難所約2千か所に避難して、長期の避難生活を余儀なくされた(*52)。このため、被災者の住まいの確保が喫緊の課題となり、震災直後から、各県で、「災害救助法」に基づく「応急仮設住宅(*53)」の建設が始まった。

応急仮設住宅の建設に当たっては、当初、各県と「災害時における応急仮設住宅の建設に関する協定」(災害協定)を結んでいる社団法人プレハブ建築協会(*54)が、被災各県からの建設要請を受けて、同協会に加盟するメーカーを中心に建設が進められた。平成23(2011)年3月末の時点では、被災3県(岩手県、宮城県及び福島県)から合計約32,800戸の建設要請があり、同4月中旬には、建設要請戸数は約72,000戸にまで増加した。

その後、同4月末に、厚生労働省が、民間賃貸住宅を応急仮設住宅として借り上げて提供した場合も、「災害救助法」が適用され、国庫負担が行われる旨通知したこと等から(いわゆる、「みなし仮設住宅」制度)(*55)、応急仮設住宅の建設要請戸数は、約53,000戸まで減少した(平成24(2012)年2月現在)。このため、一部の住宅メーカーでは、木材を含む応急仮設住宅用資材の在庫を抱えることとなった(*56)。応急仮設住宅の建設は、平成23(2011)10月までに、おおむね終了した。



(*51)警察庁緊急災害警備本部「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害状況と警察措置」(平成24(2012)年2月8日)

(*52)内閣府「避難所生活者・避難所の推移(東日本大震災、阪神・淡路大震災及び中越地震の比較)」

(*53)「災害救助法」第23条第1項第1号に基づき、住宅が全壊、全焼又は流出し、居住する住家がない者であって、自らの資力では住宅を得ることができない者に対して、2年間を限度に、簡単な住宅を仮設し、一時的な居住の安定を図るもの。

(*54)同協会では、昭和50(1975)年に神奈川県と初めて協定を締結。阪神・淡路大震災を契機として各都道府県との締結を進め、平成9(1997)年に全都道府県と協定を締結している(社団法人プレハブ建築協会ホームページ)。

(*55)「東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱について」(平成23(2011)年4月30日付け社援発0430第1号厚生労働省社会・援護局長発岩手県・宮城県・福島県各知事宛て通知)

(*56)平成23(2011)年6月17日付け産経新聞3面、同6月25日付け日刊木材新聞1面。



(応急仮設住宅の約4分の1が木造) 

当初、応急仮設住宅の建設は、各県と災害協定を締結していた社団法人プレハブ建築協会に加盟する大手住宅メーカーを中心に進められ、一部は木造で建設された。

その後、応急仮設住宅の建設要請戸数が当初の想定を超える規模となるとともに、関係者から、被災地域の経済復興のため、地元の建設業者等に応急仮設住宅の建設を発注すべきとの意見が多く出された。このため、被災3県では、地元の建設業者等を対象として、応急仮設住宅の建設事業者を公募することとした。

このうち、岩手県は、平成23(2011)年4月から5月にかけて、県内に本店又は営業所を有する業者を対象として、建設事業候補者を公募した。この結果、21業者が選定され、1,594戸の木造応急仮設住宅が建設された。

宮城県では、県が公募により供給事業者リストを作成した後、市町村に提示し、市町村が業者を選択して発注する方法をとった。この結果、供給事業者リストに掲載された77の業者から5業者が選定され、140戸の木造応急仮設住宅が建設された。

福島県は、同4月(一次募集)及び7月(二次募集)に、県産材と県内企業が活用されるよう、県内に本店を置く建設事業者を対象として、建設事業候補者を公募した。この結果、一次募集では12業者が、二次募集(木造(混構造を含む)に限定)では15業者が選定され、合わせて5,095戸の木造応急仮設住宅が建設された。

これらの結果、今回の震災で建設された応急仮設住宅の約4分の1が木造となった(表I-4)。

このほか、独自の取組として、岩手県住田町(すみたちょう)が、震災発生直後に、同町産のスギ・カラマツを使用した木造仮設住宅110戸を建設し、隣接する陸前高田市(りくぜんたかたし)・大船渡市(おおふなとし)の被災者等に提供した(事例I-5)。

事例I-5 岩手県住田町(すみたちょう)による木造仮設住宅の建設 

岩手県住田町(すみたちょう)では、東日本大震災以前から、町長の発案により、国内外での災害の発生に備え、地元の第三セクターで木造の仮設住宅の設計を進めていた。同町では、東日本大震災の発生から3日後に、町の独自施策として、木造の仮設住宅を建設することを決定した。同町は、主に町内産のスギ・カラマツ(70%以上がFSC認証木材)を原料として、製材所や集成材工場、プレカット工場、大工・工務店等の関係者との連携により、平成23(2011)年5月までに110戸(うち17戸は岩手県が医療関係者向けに借り上げ)の木造仮設住宅を建設した。
建設に当たっては、地元の木材を使用することにより、調達時間の短縮とコストの低減を図るとともに、地元の工務店や大工に発注することにより、被災地での雇用確保を通じて経済の活性化にも貢献することができた。

資料:岩手県住田町 (2011) 現代林業, 2011年7月号:1-6.ほか。


(木造復興住宅の整備を推進) 

応急仮設住宅の存続期間は、「建築基準法」上、最長2年3か月とされている(*57)ことから、応急仮設住宅からの退去後に、被災者の落ち着き先となる「復興住宅(災害公営住宅)」等の整備を早急に進めることが必要となっている(*58)。「東日本大震災からの復興の基本方針」では、「津波の危険性がない地域では、災害公営住宅等の木造での整備を促進する」こととされており、今後、木造復興住宅の整備を進めることが求められている(事例I-6)。

地域材を活用した木造復興住宅の建設に向けて、平成23(2011)年9月から、国土交通省、林野庁及び独立行政法人住宅金融支援機構のオブザーバー参加の下、社団法人宮城県建築士事務所協会を事務局として、被災3県と関係団体等からなる「地域型復興住宅三県(岩手・宮城・福島)官民連携連絡会議」が開催された。同会議では、同12月に、木造復興住宅のモデル的な設計と生産システムに関するガイドラインを策定した(*59)。今後、同ガイドラインの活用等により、被災地域における木造復興住宅の建設が進むことが期待される。

事例I-6 新潟県中越地震における「中山間地型復興住宅」の開発・供給 

平成16(2004)年10月23日に発生した新潟県中越地震では、長岡市(ながおかし)山古志(やまこし)地域(旧山古志村(やまこしむら))で土砂崩れや宅地の崩壊等が相次ぎ、全住宅747棟のうち、44%に当たる328棟が全壊するなど、甚大な被害が発生した。このため同地域の全住民が地域外への避難を余儀なくされた。
長岡市(ながおかし)では、被災者が住宅を再建して地域に戻ることができるよう、住宅の専門家や地域の住宅生産者、行政による検討委員会を開催して、「中山間地型復興住宅」を開発した。開発に当たっては、「山古志らしさ」、「雪と上手に付き合う」、「地域循環型」、「コスト負担の削減」、「安全で快適に長く住み続けられる」をコンセプトとして、地域の伝統的民家を継承した外観デザイン、越後スギの活用など、様々な工夫が加えられた。
復興住宅の建設に当たっては再建者・設計者・施工者の組織化が図られ、公営住宅を含む57戸の山古志(やまこし)らしい住まいが整備された。

資料:地域住宅計画推進協議会 (2008) 第3回地域住宅計画賞「長岡市山古志地域における『中山間地型復興住宅』」.



(*57)「建築基準法」第85条第3項及び第4項。

(*58)ただし、東日本大震災については、「平成二十三年度東北地方太平洋沖地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」により、「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」第7条が適用され、市町村長等の許可により、応急仮設住宅の存続期間を1年を超えない期間ごとに延長することが可能となっている。

(*59)地域型復興住宅三県(岩手・宮城・福島)官民連携連絡会議 (2012) 地域型復興住宅 設計と生産システムガイドライン.



(b)分析

(広域的な木材供給体制の整備が必要) 

今回の震災では、100万戸を超える住宅が全壊・半壊・一部破損・床上浸水等の被害を受けるとともに、多数の公共施設等が被災した。これら住宅・施設を再建するためには、全半壊した住宅のみで考えても、500万m3を超える追加的な木材が必要となると考えられる(*60)。

しかしながら、東北地方では、地震・津波により多くの木材加工施設が被災し、依然として操業を停止している施設や廃業した者もあるなど、木材の供給体制は被災前の水準まで回復していない。また、東北地方6県における震災前(平成22(2010)年)の素材生産量は428万m3であり、今後5年程度で住宅の再建に取り組むとしても、東北地方のみで追加的な需要を全て賄うことは難しい。

したがって、復興に必要な木材を安定的に供給できるよう、全国規模で木材供給体制の強化を図ることが必要である。



(*60)木造住宅における木材使用量は床面積1m2当たり0.20m3程度。平均的な住宅(120m2)であれば、一戸当たりの木材使用量は約24m3(「平成23年版森林・林業白書」15ページを参照)。



(地元業者が地域材を用いた応急仮設住宅を積極的に供給) 

これまで、災害に対応した応急仮設住宅のほとんどは、各都道府県と社団法人プレハブ建築協会との協定により、軽量鉄骨のプレハブ造により供給されてきた。これに対して、木造による応急仮設住宅は、平成3(1991)年の「雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)噴火災害」、平成16(2004)年の「新潟県中越地震」等の際に、一部で供給されるにとどまっていた(*61)。地域材を用いた応急仮設住宅の供給は、コスト面・工期面で困難と考えられていたが、今回の震災では、各県の公募に応じた地元業者が、地域材を用いた仮設住宅の供給に積極的に取り組み、コスト面・工期面での不安は解消された。

地域材を用いた応急仮設住宅の中には、スギ材を中心に柱や土台に溝を掘って厚板をはめ込む「板倉構法(いたくらこうほう)」による住宅(*62)や、一般社団法人日本ログハウス協会東北支部によるログハウス(*63)、高齢者でも歩きやすくするため、各棟の間に木製デッキを整備したもの(*64)等、工夫を凝らして地域材を活用する事例が多く見られた(*65)。

これまで、一部の応急仮設住宅に対しては、夏暑く冬寒い、隙間風で寒い、雨漏り・結露が発生する、隣家の音が気になるなどの評価が与えられていた(*66)。これに対して、新潟県中越地震の際に建築された木造の応急仮設住宅では、結露や滴り水は発生せず、断熱性に優れていることが確認されている(*67)。

今回の震災における応急仮設住宅の供給実績を踏まえて、一般社団法人工務店サポートセンターと全国建設労働組合総連合会は、平成23(2011)年9月に、各都道府県と災害協定を締結することにより、大規模災害後、速やかに木造応急仮設住宅を供給することを目的として、「一般社団法人全国木造建設事業協会」(全木協)を設立した(*68)。同協会では、平成24(2012)年3月までに、徳島県、高知県、宮崎県、愛知県及び埼玉県の5県とそれぞれ災害協定を締結した。今後、順次、全都道府県と災害協定を締結することを目指している。

このような中、奈良県では、平成23(2011)年9月に発生した台風第12号の被害からの復旧に当たって、114戸の応急仮設住宅が建設され、このうち、57戸は地域材による木造住宅で建設された(*69)。



(*61)中村昇 (2011a) 木材情報, 2011年8月号: 1月10日; 木村悟隆 (2006) 新潟県中越地震被害報告書: 154-163.

(*62)安藤邦廣 (2011) 森林技術, 2011年10月号: 2-7.

(*63)日本林業調査会 (2011) 林政ニュース, No.417: 13月16日; 中村昇 (2011b) 木材情報, 2011年9月号: 1-10.

(*64)後藤純 (2011) 淡青, No.25: 42-43.

(*65)はりゅうウッドスタジオ (2012) 木造仮設住宅群ー3.11からはじまったある建築の記録. ポット出版. も参照。

(*66)室崎益輝 (1994) 地域安全学会論文報告集(4): 39月49日; 神戸弁護士会 (1997) 阪神・淡路大震災と応急仮設住宅−調査報告と提言; 木村悟隆 (2006); 中村昇 (2011a)ほか。

(*67)木村悟隆 (2006)

(*68)坂口岳 (2011) 木材情報, 2011年10月号: 1-6.

(*69)奈良県「台風12号の被害による応急仮設住宅の建設について」(平成23(2011)年10月7日付けホームページ記事)



(津波による建物の被害は浸水深2m以下で大幅に低下) 

国土交通省によると、今回の津波の浸水区域における全ての建物の被災状況を確認した結果、被災建物数は約22万棟、うち全壊(流失を含む)は約12万棟であった。浸水深と被災状況の全般的な傾向としては、浸水深2m前後で被災状況に大きな差があり、浸水深2m以下の場合には、建物が全壊となる割合は大幅に低下することが分かった。具体的には、浸水深が1.5〜2mでは全壊の割合は34%であるのに対して、浸水深2〜2.5mでは72%であり、2倍以上の差があった(図I-12)(*70)。建物の構造別に浸水深と被災状況の関係をみると、木造の建物は全般的な傾向と同様の傾向を示した(*71)。

また、1階部分を鉄筋コンクリートの柱のみからなる駐車場等(ピロティ)にして、2階部分以上を木造で建築した住宅では、津波の抵抗を受け流すことにより、住宅部分の被害を免れた事例が確認されている(*72)。



(*70)国土交通省プレスリリース「東日本大震災による被災現況調査結果について(第1次報告)」(平成23(2011)年8月4日付け)

(*71)国土交通省プレスリリース「東日本大震災による被災現況調査結果(第2次報告)」(平成23(2011)年10月4日付け)

(*72)田中礼治 (2011) 建築技術, No.740: 160-168.



(木造建築物の地震による被害は軽微) 

今回の震災では、地震の揺れ自体による木造建築物の被害は比較的軽微であった。震度7から震度6弱を記録した宮城県栗原市(くりはらし)や白石市(しろいしし)では、振動による被害は、老朽化した建物を除いて比較的軽微であり、目立った被害は、瓦の落下と土蔵の壁の剥落であった(*73)。屋根瓦の被害や外壁仕上げ材の剥落や損傷といった軽微な被害は、関東地方から東北地方に至る広い範囲で多数見られた(*74)。



(*73)財団法人日本住宅・木材技術センター (2011) 住宅と木材, 2011年7月号: 14-29.

(*74)社団法人日本建築学会 (2011) 2011年東北地方太平洋沖地震災害調査速報: 575.



(木造住宅の耐震性が向上) 

木造住宅の耐震性は、平成7(1995)年に発生した「阪神・淡路大震災」で大きな問題となった。同震災では、住宅の全壊約10万戸、半壊約11万戸の被害が発生した。木造住宅については、土葺(つちぶ)き瓦や土塗り壁等を用いた在来工法の古い住宅に被害が多く、ツーバイフォー工法の住宅、プレハブ工法の住宅及び「建築基準法」の「新耐震基準」(昭和56(1981)年施行)に適合した住宅では、被害が少なかった(*75)。その後の住宅の再建に当たっては、大手住宅メーカーが積極的に受注活動を行ったこともあり、木造住宅に占めるツーバイフォー工法とプレハブ工法のシェアが上昇する一方、在来工法のシェアは低下した(*76)。

阪神・淡路大震災における被害を受けて、平成12(2000)年に「建築基準法施行令」が改正され、木造住宅の基礎の仕様や筋交(すじか)い接合部の仕様等、同震災の被害調査で指摘された箇所への対策が告示で明確化された。また、施工に当たっても、構造用合板等面材の多用、集成材や人工乾燥材への移行、根太(ねだ)の代わりに厚物合板で構造強度を確保する工法の普及、接合部への金物使用の増加等の変化がみられるようになった(*77)。

これらの変化により、阪神・淡路大震災以降、木造住宅の耐震性は大きく向上しており、今回の震災でも、地震の揺れ自体により大破した木造住宅は、ほとんどが現行の新耐震基準を満たさない古い年代に建築されたものであった(*78)。



(*75)国土庁 (1995) 平成5年度において防災に関してとった措置の概況−阪神・淡路大震災等に関してとった措置の概況: 12.

(*76)財団法人日本木材総合情報センター (1995) 平成7年度阪神・淡路大震災の住宅復興計画と木材需給等調査(平成8年3月).

(*77)大橋好光 (2004) 建築防災, 2004年1月: 21-25.

(*78)板垣直行 (2011) 建築技術, No.740: 132-139.



(共振現象が発生せず) 

地震波は、様々な周期や振幅の波から構成され、建物は、それぞれの高さ等に応じた特定の周期(固有周期)の地震波に対して揺れやすいという性質を有している(共振現象)。2階建ての木造住宅の場合、固有周期は1〜2秒程度と考えられている。

阪神・淡路大震災では、地震動に周期1〜2秒の成分が多く含まれていたことから、木造住宅の被害が多数発生した。これに対して、今回の震災では、地震動に周期1〜2秒の成分が少なかったこともあり、木造住宅の被害は小規模にとどまったと考えられている(図I-13)(*79)。



(*79)五十田博 (2011) 木材工業, Vol.66 (11): 482-487.



(c)課題 

以上の分析を踏まえると、今後、新たなまちづくりに向けた木材の活用を進めるためには、以下の課題に取り組むことが必要である。


(1)復興住宅の需要に対応できる木材供給体制の整備

復興住宅の整備に当たっては、政府の復興方針を踏まえて、木造での整備を進めることが求められている。しかしながら、これらの復興住宅の整備に必要となる木材は、東北地方における既存の木材供給体制では十分に供給できないとみられている。

このため、復興住宅の整備に必要な木材を確実に供給できるよう、東北地方のみならず、全国において、平成23(2011)年度第3次補正予算で積み増し延長された「森林整備加速化・林業再生基金」の活用等により、「森林・林業再生プラン」の実現に向けた各種取組を加速させて、木材供給体制の強化を図ることが必要である。

(2)地域材を活用した応急仮設住宅の開発・即応供給体制の整備

今回の震災では、応急仮設住宅の多くはプレハブ住宅として供給されたが、地域材による応急仮設住宅も相当数供給された。

今回の実績を踏まえて、今後、大きな災害が発生した際に、居住性の優れた木造応急仮設住宅を早急に供給できる体制を整備することが重要である。特に、被災地域の経済復興のためには、地域材を活用することが求められる。

したがって、将来における災害の備えとして、地域材を活用した低コストで優れた居住性を有する応急仮設住宅のモデルを開発するとともに、災害発生時の即応供給体制を整備することが必要である。

(3)木造住宅の耐震性に関する普及啓発

今回の震災では、阪神・淡路大震災以降、耐震診断や耐震改修に対する意識が高まり、木造住宅の耐震化の促進が図られてきたこと、今回の地震動には木造住宅の固有周期よりも短い周期の成分が多く、共振現象が発生しなかったことから、地震の揺れによる木造住宅の被害は比較的軽微であった。

木造住宅は、優れた居住性を有するのみならず、施工基準の明確化や施工技術の変化により耐震性が向上していることから、今後、木造住宅の更なる普及を図る際には、その耐震性について十分に説明を行うことが重要である。

(4)公共建築物の木造化・内装木質化の更なる推進

平成22(2010)年に、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、「公共建築物については可能な限り木造化・内装木質化を図る」との考え方の下、国が整備する低層の公共建築物は原則として全て木造化を図るなど、公共建築物の木造化・内装木質化に向けて、様々な取組が進められている。

今回の津波被害では、木造公共建築物も大きな被害を受けたが、大断面集成材を使った一部の木造建築物で倒壊を免れたものがあるなど、木造建築物が相応の構造強度を有することを示す事例もみられた(*80)。

今後も、津波の危険性を考慮して特別な構造とする必要がある場合を除き、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の趣旨を踏まえて、公共建築物の木造化・内装木質化を引き続き進めることが必要である。



(*80)財団法人日本住宅・木材技術センター (2011) 住宅と木材, 2011年7月号: 14-29.



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代表:03-3502-8111(内線6061)
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