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ホーム > 森林・林業白書 > 平成22年度 森林・林業白書(平成23年4月26日公表) > 平成22年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第V章 第2節 木材産業の動向(2)


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第1部 第V章 第2節 木材産業の動向(2)

(2)国産材利用拡大に向けた取組

(国産材を取り巻く状況は大きく変化) 

我が国の人工林では、戦後植林されたスギ・ヒノキを中心に利用可能な資源が充実しつつあり、10年後には50年生以上の齢級が人工林面積の6割を超えると見込まれるなど資源量が増加している。また、今後は、資源の成熟化、長伐期化により大径材の生産が増加することが見込まれる。

需要面では、木材加工技術の向上や外材をめぐる状況の変化等により、国内製材工場や合板工場では国産材への原料転換が加速している。また、各地で大規模な国産材専門の製材工場や合板工場が建設されるなど、国産材を取り巻く状況は大きく変化している。


(流通体制の効率化) 

国産材を扱う製材工場は中・小規模のものが多く、国産材の流通も、小規模かつ分散的で多段階を経る構造であることから、コストの低減が進んでいない。このため、木材産業の流通部門においては、原木が安定的に供給される仕組みづくりと、需要者ニーズに的確かつ迅速に対応できるような製品流通の効率化・低コスト化が求められている。

原木流通においては、素材生産業者や森林組合が主体となって供給量を取りまとめ、製材工場や合板工場との協定により原木を直送し流通の効率化を図る取組もみられる。流通の過程では、原木の長さや径級、材質、曲がり等に応じて仕分けを行い、それぞれの原木が適切な用途に用いられるようにすることが重要である。

また、製品流通においては、大規模な製材工場を中心として、大手住宅メーカーとの直接契約により商流と物流を分離し、製品をプレカット工場に直送し流通の効率化を図る動きもみられる。


(多様なビジネスモデルの構築) 

国産材を取り巻く状況が変化する中、国産材の需要を伸ばすためには、住宅メーカー等のニーズに対応した乾燥度合い、寸法安定性、強度等を有する品質・性能の明確な木材製品や、今後供給の増加が見込まれる間伐材や大径材等に対応した木材製品の加工・流通体制を整えることが必要である。

このような中、大規模工場では、乾燥施設や強度測定施設を導入して、乾燥度合いや強度を表示した製品を安定供給できる体制の整備が進められている。また、原木の調達・乾燥・仕上げや、木材製品の販売等について、地域の中核工場と中小製材工場が連携・協業化することにより、グループとして多様な製品を揃えて安定供給を図る取組もみられる。

さらに、地域の中小規模の製材工場を中心として、森林所有者・工務店等の川上と川下の関係者が連携することによって、消費者ニーズに対応した特色ある家づくりを行う取組(「顔の見える木材での家づくり」)もみられ、グループ数や供給戸数は増加傾向にある(*38)。


(*38)関係者の連携による家づくりについては、第I章 (16-17ページ) を参照。



(新生産システム等の取組が進展) 

林野庁では、平成16(2004)年度から、曲がり材や間伐材等を使用して集成材や合板を低コストかつ大ロットで安定的に供給する「新流通・加工システム」の整備に取り組んできた。この結果、国産材を利用した合板等の効率的な生産システムが確立されてきた。このような動きを背景に、最近では、合板原料として国産材を使用する大規模な合板工場を整備する取組もみられる(事例V−3)。

また、平成18(2006)年度から、国産材の利用拡大を図るとともに森林所有者の収益性を向上させる仕組みを構築するため、林業と木材産業が連携した「新生産システム」の取組が進められている。「新生産システム」は、施業の集約化、安定的な原木供給、生産・流通・加工の各段階でのコストダウン、住宅メーカー等のニーズに応じた最適な流通・加工体制の構築等の取組を川上から川下までが一体となって集中的に実施するものであり、全国11か所のモデル地域で取組が進められている。モデル地域では、品質・性能の確かな製品の安定的供給を図るため、年間原木消費量が数万m3規模の製材施設や木材乾燥機等の整備が進められた(図V−23、事例V−4)。

これらの取組により、モデル地域における地域材の利用量は、事業実施前の平成17(2005)年度の132万m3から平成21(2009)年度の164万m3へと増加した。また、素材生産者と製材工場間の原木の安定供給に関する協定に基づく直送方式を採る事例も増えており、原木の安定供給と流通コストの削減が進んでいる。

林野庁では、今後、モデル地域で得られた知見を踏まえて、製材工場や合板工場等の大規模需要者に安定的に原木を供給する体制づくりを全国へ展開していく方針である。

事例V-3 国産材を使用する合板工場の整備

大手合板メーカーや岐阜県森林組合連合会等で構成されるM協同組合は、岐阜県中津川市において、合板原料として国産材を100%使用する大規模な合板工場を整備した。同工場は、国内で初めて山間部で整備される大規模合板工場であり、これまで林内に放置されていた低質材の有効利用につながることが期待されている。同工場は、平成23(2011)年4月から本格稼働を開始しており、年間約9万5千〜10万m3の原木を使用して、約250〜300万枚の構造用合板を生産する予定である。

事例V-4 「新生産システム」による需要者ニーズへの対応

岐阜県、愛知県及び三重県の3県にまたがる「中日本圏域モデル地域」では、ヒノキ製材を主体とするN社(三重県松坂市)への原木安定供給体制の構築を主な目的として、「新生産システム」により、丸太の直送による中間コストの削減や資源量の把握等に取り組んでいる。
 N社では、国産材製材品に対する大規模な需要に対応するため、平成21(2009)年に新工場を建設して、柱材のみならず、垂木や間柱等の羽柄材を含めた多品種の製材品を生産する体制を整備している。また、近隣の製材工場と連携して、邸宅一棟に必要な各種部材をまとめて供給する邸別受注等、需要者のニーズに応じたきめ細かな対応を行っている。


(「森林・林業再生プラン」に基づく国産材の加工・流通・利用体制の改革) 

国産材の利用は、「森林と木材利用のサイクル」(植える→育てる→使う→植える)の維持により、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させることにつながるとともに、山元への収益の還元により、健全な森林の育成と地域の活性化につながるものである。このため、森林を伐採して木材として利用し、その利益を森林に再投資することを可能とする、国産材の加工・流通・利用体制を構築することが喫緊の課題となっている。

このような中、平成21(2009)年12月に策定された「森林・林業再生プラン」では、森林資源の活用に向けて、国内の加工・流通構造の改革や木材利用の拡大に関する具体的な対策を検討することとされた。

平成22(2010)年11月に報告された「森林・林業再生プラン」推進に当たっての具体的な対策に関する最終とりまとめ「森林・林業の再生に向けた改革の姿」では、今後、木材の加工・流通部門において、大規模物流に対応するための中間土場や大型トレーラーの活用、素材から製品までの各段階を含めた商流のコーディネート、乾燥材やJAS製品など品質・性能の確かな製品の供給促進、大工、工務店、設計者等木造建築に関する人材育成等の対策を講じることを提言している。

また、木材利用部門においては、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に即した木材利用の拡大、石炭火力発電所における石炭と間伐材の混合利用の促進、「木づかい運動」による国産材製品に対する国民理解の醸成、環境貢献度の「見える化」による国産材の差別化等の対策を講じることを提言している(図V−24)(*39)。

林野庁では、同とりまとめを受けて、我が国の木材の加工・流通・利用体制の改革に取り組むこととしている(*40)。



(*39)木材の需要拡大については、第I章参照。

(*40)「森林・林業再生プラン」については、トピックス(2-3ページ)を参照。



お問い合わせ先

林政部企画課
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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