English

このサイトの使い方

サイトマップ

ホーム > 森林・林業白書 > 平成22年度 森林・林業白書(平成23年4月26日公表) > 平成22年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第IV章 第1節 林業の現状と課題(4)<


ここから本文です。

第1部 第IV章 第1節 林業の現状と課題(4)

(4)林業労働力の動向

(林業就業者の動向) 

森林の施業は、主に山村で林業に就業する「林業労働者」が担っている。国勢調査によると、林業就業者の数は長期的に減少傾向で推移しており、平成17(2005)年には4万7千人にまで減少している。

林業就業者数の減少の原因は、木材価格の下落により林業の採算性が悪化する中、森林所有者の経営意欲の低下により林業生産活動が停滞していること、伐採量の減少と森林資源の成熟が進む中で、人手を要する植付や下刈等の造林作業の事業量が減少してきたこと等によると考えられる。

また、林業の高齢化率(65歳以上の就業者の割合)は26%で、全産業平均の9%に比べて高い水準にある(図IV−18)。一方で、35歳未満の若年者の割合をみると、全産業で低下傾向にあるのに対して、林業では平成2(1990)年以降上昇傾向で推移しており、平成17(2005)年の若年者率は13%となっている(図IV−19)。一部の地域では、若年者の新規就業により、労働力の高齢化に歯止めがかかり、林業労働者数が増加傾向にある(事例IV−3)。

事例IV-3 北海道では林業労働者が増加

平成22(2010)年8月に北海道が公表した「平成21年度林業労働実態調査」によると、道内の林業労働者数は平成17(2005)年度を底にして増加傾向にある。北海道では、その要因として、森林吸収源対策により、植林や間伐等の森林整備が推進されていることを挙げている。
 また、39歳以下の若年者の比率が過去10年間でほぼ倍増(14%→26%)しており、林業労働者の若返りも進んでいる。


(「緑の雇用」により新規就業者が増加) 

林業就業者の高齢化の進行を受け、若者を中心とした新規就業者の確保・育成が喫緊の課題となっている。このため、林野庁では、平成15(2003)年度から、林業への就業に意欲を有する若者に対して、林業に必要な基本的技術の習得を支援する「緑の雇用」事業を実施しており、平成21(2009)年度までの7年間で、約1万人が新たに林業に就業した。

林業への新規就業者数は、「緑の雇用」事業の開始前は、年間平均約2千人であったが、事業の開始後は約3千4百人に増加している。平成16(2004)年から平成18(2006)年にかけては、他産業での雇用情勢の改善に伴い、新規就業者数の減少がみられたものの、平成19(2007)年からは、増加傾向で推移している。平成21(2009)年度には、前年比18%増の3,964人となった(図IV−20)。これらの林業への新規就業者の大半は、他産業からの転職者が占めている。

新規就業者の増加の背景には、森林吸収源対策の間伐事業量が増加することが見込まれるため林業事業体が採用者数を増やしていることや、自然の中での労働や健康的な暮らしを求める自然回帰志向が高まっていること、さらには、雇用情勢が悪化する中、林業が雇用の受皿として期待されていること等があると考えられる。


(厳しい就業環境) 

林業作業のうち、植付・下刈等の造林作業は季節性があるため、特定の季節に多くの労働者を必要とする。近年では、造林作業等の減少により、造林事業の多くを担ってきた森林組合で、季節雇用の労働者が大きく減少している。この結果、通年で働く専業的な雇用労働者の占める割合が相対的に増加しており、社会保険が適用される者の割合が上昇している(図IV−21)。

一方、雇用形態をみると、月給制の雇用が増えているものの、林業は悪天候の場合に作業を中止せざるを得ず、事業日数が天候に大きく影響を受けることから、依然として日給制の雇用が大勢を占めている(図IV−22)。

また、林業労働では、高性能林業機械の導入や作業道等の路網整備が進展したことにより、かつてに比べて、林業労働者の労働負荷が軽減している。特に、ハーベスタ、プロセッサ、フォワーダ等の高性能林業機械の普及により、造材・集運材作業において、安全な労働環境が整備されつつある。

しかしながら、林業における労働災害の発生率を示す「死傷年千人率」は、伐木作業中の死傷災害が依然として多く発生していること等から、他産業に比べて高止まりしている。平成21(2009)年の死傷年千人率は30.0で、全産業平均の15倍と高い水準にある(図IV−23)。平成21(2009)年に発生した林業の死亡災害の発生状況をみると、年齢別では50歳以上が74%、作業別では伐木作業中での災害が49%となっている(図IV−24)。


(林業労働者の定着に向けた取組を促進) 

このような厳しい就業環境にある中、林業への新規就業者の中には、安定的な所得の確保や事業体の経営状況等に不安を持つ者も少なくない(図IV−25)。林業労働者が抱える様々な不安を解消しなければ、既存労働力の流出も懸念される状況にある。

このため、林野庁では、平成22(2010)年に、林業労働者が林業に定着するための方策を取りまとめた「林業労働力の確保の促進に関する基本方針」の見直しを行った。

新たな基本方針では、事業主によるOJT(*7)やOFF-JT(*8)の計画的な実施、研修カリキュラムの作成、能力に応じた労働者の昇進・昇格モデルの提示、段階的かつ体系的な研修等により、林業労働者のキャリア形成を支援することとしている。

このような見直しを踏まえ、平成23(2011)年度からは、「緑の雇用」現場技能者育成対策により、段階的かつ体系的な研修カリキュラムに基づき、引き続き、新規就業者に対する3年間の研修を行うとともに、新たに、現場管理責任者に対する研修、複数の現場管理責任者を統括する者への研修を行うこととしている。

このほか、林業労働力を継続的に確保するためには、健康で安全な職場づくりも不可欠である。このため、労働災害の防止に向けて、林業事業体に対する安全指導の徹底、作業現場への巡回指導、実践的な現地実習の強化、安全作業のための器具等の開発・改良等の労働安全衛生対策の徹底が図られている。

コラム 「世界伐木チャンピオンシップ(WLC)」に日本から初出場

平成22(2010)年9月にクロアチアで開催された「世界伐木チャンピオンシップ(WLC)」に、我が国から初めて、「チーム青森」(4選手)が出場した。WLCは林業界のオリンピックで、昭和45(1970)年に第1回大会が開催され、今年で29回目を数える(現在は2年ごとに開催)。1チームは4名(うち1名は24歳未満)から成り、プロの部と24歳未満の部がある。競技種目は、(1)伐倒競技、(2)ソーチェーン脱着競技、(3)丸太輪切り競技、(4)接地丸太輪切り競技、(5)枝払競技、(6)丸太輪切りリレーの6種類で、速さや正確さ、チェーンソーの安全な取扱いを競い、総合点で世界一を決める。
 今大会には30か国から31チーム122名が参加し、競技結果は、団体部門(プロの部)では、1位オーストリア、2位イタリア、3位エストニア、個人(24歳未満の部)では、1位ノルウェー、2位ドイツ、3位スイスであった。チーム青森は、善戦したものの、団体部門では31チーム中27位、個人の最高位は93人中64位であった。


(*7)日常の業務を通じて必要な知識・技能又は技術を身に付けさせる教育訓練。

(*8)日常の業務から離れて講義を受ける等により必要な知識・技能又は技術を身に付けさせる教育訓練。



お問い合わせ先

林政部企画課
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

ページトップへ


アクセス・地図