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ホーム > 森林・林業白書 > 平成22年度 森林・林業白書(平成23年4月26日公表) > 平成22年度 森林・林業白書 全文(HTML版) > 第1部 第III章 第1節 多様で健全な森林の整備(6)


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第1部 第III章 第1節 多様で健全な森林の整備(6)

(6)国民参加の森林づくり等の推進 

(ア)ボランティアや企業による森林づくり活動 

地球温暖化を始めとする環境問題に対する関心の高まりを受けて、各地で、森林の整備・保全活動に直接参加する国民が増加している。

森林づくりに関わる活動を実施しているボランティア団体の数は、平成9(1997)年度の277団体から平成21(2009)年度には2,677団体となり、着実に増加している(図III-8)。各団体の活動目的としては、「里山林等身近な森林の整備保全」や「環境教育」を挙げる団体が多い(*12)。

また、近年、地球温暖化対策や生物多様性保全への関心が高まる中、CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、企業による森林の整備・保全活動が増加している。企業による森林づくり活動の実施箇所は、平成16(2004)年度の493か所から平成21(2009)年度の1,124か所へと大幅に増加している(図III-9)。活動内容としては、森林所有者との協定締結による、社員、顧客、地域住民、NPO(民間非営利組織)等が連携した森林づくり、基金や財団の設立によるNPO活動への支援、企業の自己所有森林の活用等の取組がみられる。

このように、森林ボランティア団体や企業が地域と連携して森林づくり活動に取り組むことは、地域の活性化につながるとともに、森林の整備・保全を進める上で有効である。林野庁では、企業やNPO等多様な主体による森林づくり活動の促進に向けて、「全国植樹祭」を始めとする緑化行事の開催、企業に対して森林づくり活動への参加を呼びかける「企業の森づくりフェア」の開催、企業やNPO等に対する活動フィールドの紹介等への支援を行っている(事例III-2)。

事例III-2 企業の森づくりフェアを開催

社団法人国土緑化推進機構と美しい森林づくり全国推進会議は、平成22(2010)年10月に名古屋で、同年12月に東京で「企業の森づくりフェア」を開催した。同フェアでは、多くの企業が森づくり活動に関心を抱き、新たな取組へと繋げることを目的として、社会貢献を企業のマーケティング活動に積極的に結び付ける「コーズ・リレイテッド・マーケティング」の最新動向や企業の森づくりの事例紹介等を行った。
 同フェアには、両会場合わせて、約170社・団体等から環境・CSR担当者を中心とする約355人が参加して、企業の森づくりに関する活発な情報交換が行われた。


(*12)林野庁「森林づくり活動アンケート」(平成22(2010)年9月公表)



(イ)「緑の募金」による森林づくり活動への支援 

「緑の募金」は、「緑の募金による森林整備等の推進に関する法律(緑の募金法)」(平成7(1995)年施行)に基づき、森林整備等の推進に用いることを目的として行う寄附金の募集である。「緑の募金」は、昭和25(1950)年に、「緑の羽根募金」として、戦後の荒廃した国土を緑化することを目的に始まった。現在では、緑の募金法に基づき、社団法人国土緑化推進機構と各都道府県の緑化推進委員会を実施主体として、春、秋の年2回、各家庭に募金を呼びかける「家庭募金」、各職場の代表者等を通じた「職場募金」、企業が直接募金を行う「企業募金」、街頭での「街頭募金」等が行われている。平成21(2009)年には、総額約25億円の募金が寄せられている(図III-10)。

寄せられた募金は、(1)水源林の植林や里山の手入れ等、市民生活にとって重要な森林の整備・保全、(2)苗木配布や植樹祭開催、森林ボランティアの指導者育成等の緑化推進、(3)熱帯林の再生や砂漠化防止等の国際協力等、幅広い森林づくり活動を支援するために活用されている。


(ウ)「美しい森林づくり推進国民運動」の展開 

「美しい森林づくり推進国民運動」は、京都議定書目標達成計画に定められた森林吸収量の目標達成や生物多様性保全等の国民のニーズに応えた森林の形成を目指し、間伐の遅れの解消や100年先を見据えた多様な森林づくりを推進する民間主導の国民運動である。同運動は、平成19(2007)年に始まり、平成22(2010)年には4年目を迎えている。

「美しい森林づくり全国推進会議」は、経済団体、教育団体、環境団体、NPO等99団体により構成され、同運動の拡大に取り組んでいる。同会議では、平成22(2010)年6月に、子どもたちによる森林づくりを支えるパートナーシップをテーマに「第4回美しい『森林づくり全国推進会議』」を開催し、平成23(2011)年2月には、「『美しい森林づくり』企業・NPO等交流フォーラム」を開催した。

また、同運動の一層の拡大・浸透を図るため、社団法人国土緑化推進機構では、平成20(2008)年12月から「フォレスト・サポーターズ」の登録を開始した。「フォレスト・サポーターズ」は、森づくりのための行動に参加・協力する国民や企業等が登録するもので、平成23(2011)年3月末時点の登録数は約3万5千件となっている(事例III-3)。

事例III-3 「フォレスト・サポーターズ」の取組が展開

社団法人日本野球機構は、平成20(2008)年に、地球温暖化防止活動の一環として、「グリーンベースボールプロジェクト」をスタートさせ、試合時間の短縮による消費電力の削減や植樹活動に取り組んでいる。
 同機構は、平成22(2010)年3月に、「フォレスト・サポーターズ」に登録するとともに、新潟県や北海道内の4町と「プロ野球の森」の協定を結んだ。「プロ野球の森」では、スポーツと森づくりを通じた都市と山村の交流を目的に、次世代へ向けた環境活動として植樹活動に取り組んでいる。


(エ)地方公共団体による独自課税 

都道府県では、森林の整備を主な目的として、独自の課税制度を導入する取組が増加している。平成15(2003)年度に高知県が初めて森林環境税を導入して以降、平成22(2010)年度までに30県が同様の制度を導入している。平成23(2011)年度には宮城県が導入する予定となっているなど、他の都道府県等においても導入が検討されている(表III-6)。

独自課税を導入した県の多くは5年間の措置としている。平成21(2009)年度までに8県が第1期を終えたが、8県全てが独自課税を5年間延長した。独自課税の課税方式は、県民税に上乗せするもので、大部分の県では、個人の場合は定額を、法人の場合は定率を上乗せしている。

導入済みの30県における平成22(2010)年度の独自課税の使途をみると、全県が森林整備事業を実施しているほか、26県が普及啓発事業を、23県が森林環境教育を、22県がボランティア支援事業を実施している。また、14県で、公募により、地域住民やボランティア団体等が自ら企画・実践する森林づくり活動を支援する事業を実施している(表III-5)。

独自課税を導入する過程では、県民の理解を得るため、独自課税の意義に関する説明会が開催されており、導入後も、独自課税による財源を活用して、森林・林業に関する普及啓発活動が実施されている(事例III-4、5)。

このような取組が更に広がることにより、地域における森林の整備・保全が進むとともに、森林の有する多面的機能の重要性に対する理解の向上や森林の整備・保全を社会全体で支える意識の醸成につながることが期待される。

事例III-4 シンボルマークを活用した独自課税の推進

鹿児島県は、森林環境の保全及び森林を全ての県民で守り育てる意識の醸成を図ることを目的に、平成17(2005)年に「森林環境税」を導入した。この税収を財源として、手入れの遅れた森林における間伐等の実施や荒廃竹林の整備、森林・林業の学習・体験活動、県産材を用いた木造施設整備等への支援等を行っている。平成22(2010)年9月には、森林環境税を活用した事業を広く周知するため、一般公募によりシンボルマークを決定した。同県では、このシンボルマークをポスターやリーフレット等の広報活動に利用して、「県民参加の森林づくり」の推進に役立てている。

事例III-5 独自課税を活用した森林づくりの情報発信

岩手県といわての森林づくり県民税事業評価委員会は、平成23(2011)年1月に、盛岡市で「いわての森林づくりフォーラム2010」を開催した。同フォーラムでは、平成18(2006)年度に制度が創設された「いわての森林づくり県民税」による森林環境保全の活動等の紹介や県民参加の森林づくりについてパネルディスカッションが行われた。
 このような情報発信により、県民の森林との関わり方や今後の森林づくりのあり方について、県民の理解が深まることが期待される。


(オ)森林の癒し効果の活用 

近年、高齢化の進行や健康への関心の高まりに伴い、森林浴等による森林空間の利用が進むとともに、森林が人の心身にもたらすリフレッシュ効果に対する期待や関心が高まっている。

従来から、森林の様々な要素が心身に癒し効果をもたらすことは経験的に知られてきたが、近年では、森林浴が人にもたらす生理的効果について研究が進められている。その結果、森林は都市よりもリラックス効果をもたらすことや森林浴により人の免疫機能が活性化することが科学的に解明されている(図III-11、12)。

これらの科学的データを基に、森林の癒し効果を客観的に評価して、健康増進に活用する取組が各地で行われており、それぞれの地域の特色を活かしたプログラムやツアーの提供が行われている(事例III-6)。

事例III-6 森林の癒し効果を活用して地域を活性化(高知県檮原町)

高知県檮原町では、愛媛県との県境に接した標高750〜900mに位置する町有林において、森林浴に適した散策コースと周辺の森林の整備を行い、森林の癒し効果を活用した地域の活性化に取り組んでいる。散策コースは、明治維新の時に土佐藩を脱藩した志士が伊予へ駆け抜けたと言われる道で、周辺には広葉樹、湿地、ススキの草地等があり、四季を通じて多様な景観を楽しめるものとなっている。
 平成22(2010)年4月には、東京都に本社があるY社、Z社、N社の社員を中心としたボランティア220名が参加して、コース周辺の森林を整備した。また、檮原町は、全長約2kmのコースの一部にヒノキのチップを敷き詰めて、大人2人が並んで歩けるように幅員を2.5m以上に整備した。
 同年11月には、地元幼稚園の園児が同コースを訪れ、落ち葉を使ったアートづくり等の森での遊びを体験した。
 整備された散策コースは、森林の癒し効果や歴史的な特色を活かすことにより、企業による社員の保健・研修等の場や都市住民等のストレス軽減の場として利用されることが期待される。


(カ)森林環境教育の推進 

森林・林業に対する国民の理解と関心を深めることは、森林を社会全体で支えるという気運を醸成するとともに、環境負荷の少ない循環型社会の構築にもつながるものである。しかしながら、現代社会では、日常生活の中で森林と関わる機会や林業の作業を体験・学習する機会が少なくなっている。

このような中、子どもたちを始めとする人々が、植林、間伐、炭焼き、自然観察等の幅広い体験活動等を通じて、森林・林業について学習する「森林環境教育」の取組が進められている(事例III-7)。

森林環境教育の取組例としては、「学校林」、「森の子くらぶ」、「緑の少年団」等の活動が挙げられる。

「学校林」は、全国約3千校の学校が保有する身近な森林・林業体験活動の場であり、保育作業等の森林保全管理活動等により、児童・生徒の自然に関する科学知識の学習や社会に貢献する情操豊かな人間性の形成等に活用されている。

また、「森の子くらぶ」は、「県民の森」や国有林野等を活動場所として、主に小中学生とその保護者を対象に森林と地域の生活や文化との関わりについて課外学習等を行う活動で、平成21(2009)年度には年間延べ39万4千人が参加して体験学習等を実施している。

さらに、「緑の少年団」は、森林における学習やボランティア活動等を通じて青少年を育成することを目的とする活動で、平成22(2010)年には約4千団体、約32万8千人が森林体験活動等を実施している。

また、平成20(2008)年度から、農林水産省、文部科学省及び総務省の連携により、小学生が農山漁村で長期の宿泊体験活動を行う「子ども農山漁村交流プロジェクト」が開始され、同プロジェクトの中でも、間伐や植林等の森林・林業体験活動が行われている。

事例III-7 森林環境教育の新たな取組

森林環境教育映像祭実行委員会は、平成22(2010)年8月に、学校法人東京農業大学で「第1回森林環境教育映像祭」を開催した。同映像祭は、優れた森・林・木や森林ボランティアに関わる教育用・指導用等の映像教材を顕彰して、森林環境教育全般への一層の普及・活用と森林環境教育教材を充実・発展させることを目的にしている。同映像祭には、短編部門(10〜20分)と長編部門(21〜50分)の両部門合わせて25作品の応募があり、10作品の入選が発表された。


(キ)里山林の再生 

里山林は、国民にとって最も身近な自然環境であり、かつては、生活物資であった薪炭材生産のため、循環利用を通じた整備が行われ、広葉樹を主体とした生物多様性に富んだ森林が維持されてきた。今日では、薪炭林としての利用が行われなくなった結果、多くの里山林が放置され、植生の遷移(生物多様性の変化)が進むとともに、竹の繁茂等の問題が発生している。

このため、林野庁では、地域の住民を含む多様な主体との連携により、新たな里山資源の利活用と組み合わせながら、森林体験学習の場として里山林を再生する取組を普及するとともに、森林環境教育のための施設等の整備を支援している。


お問い合わせ先

林政部企画課
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219
FAX:03-3593-9564

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