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A1
樹木も含め植物は、光合成により二酸化炭素を吸収し酸素を放出する一方で、私たち人間と同じように生きていくための呼吸もしていて、逆に酸素を吸収し二酸化炭素を放出しています。ただし、光合成に使われる二酸化炭素量は呼吸から出る二酸化炭素量よりも多いので、差し引きすると吸収していることになります。成長期の若い森林では、樹木は二酸化炭素をどんどん吸収して大きくなります。これに対して、成熟した森林になると、吸収量に対する呼吸量がだんだん多くなり、差し引きの吸収能力は低下していきます。

A2
我が国の森林は2,500万haもの広大な面積を有しており、どれだけの二酸化炭素を吸収・蓄積しているかを直接調べることは困難です。このため、森林吸収量は以下の計算方法を使って推定しています。
吸収量(炭素トン/年)=幹の体積の増加量(m3/年)×容積密度(トン/m3)×拡大係数×炭素含有率
幹の体積(幹材積と言います)も全国の森林すべてを直接調べることはできないので、樹木の種類と林齢がわかれば平均的な幹材積を調べることができる「収穫表」を利用して計算しています。
容積密度は、体積を重さに変える係数で、樹木の種類ごとに異なります。拡大係数は、幹材積を枝・葉・根を含めた樹木全体の体積にするための係数で、これも樹木の種類、林齢によって異なります。炭素含有率は、樹木の重さのうち炭素が占める重さの割合で、すべての樹木で0.5としています。

BEF:地上部バイオマス(幹・枝・葉)と幹バイオマスとの比率
R:地上部バイオマスに対する地下部バイオマス(根)の比率
D:容積密度(トン/m3)
拡大係数=BEF×(1+R)


A3
Q2の算定方法に準じて、幹の直径や木の高さ(樹高)、混み具合(1ha当たりの本数)などの情報を基にして、吸収量を推定する方法が考えられます。
具体的には、林内にあるすべての樹木の胸高直径と樹高を測定し、これを基にそれぞれの樹木の幹材積を推定して、2つの時点の間の増加量を推定すれば、Q2の計算式を使って吸収量の推定を行うことができます。スギやヒノキの人工造林地のように、樹種と樹齢が揃っている森林であれば、「収穫表」を利用することが可能です。
おおまかな吸収量の目安としては、地域や樹種によって異なりますが、スギであれば1年間に1~3炭素トン/ha程度、広葉樹であれば1年間に1炭素トン/ha前後だと考えられます。(独立行政法人森林総合研究所のHPもご覧ください。http://ss.ffpri.affrc.go.jp/research/ryoiki/new/22climate/new22-2.html)
注:樹木は根本付近では不規則な形になっていることが多いので、直径は胸の高さ(地上1.2m)で測定します。この直径のことを胸高直径といいます。
A4
新規植林とは、過去50年間森林ではなかった土地に植林することです。
A5
再植林とは、1989年12月31日時点で森林ではなかった土地に植林することです。
A6
森林減少とは、1989年12月31日時点で森林だった土地を、1990年1月1日以降に他の土地利用に転用することです。
Q7 森林経営(Forest Management)とは何ですか
A7
森林経営とは、1989年12月31日時点で森林だった土地で、1990年1月1日以降にその森林を適切な状態に保つために人為的な活動(林齢に応じた森林の整備や保全など)を行うことをいいます。
Q8 京都議定書に基づく森林吸収量はどのように算定するのですか
A8
我が国の森林全体の吸収量は、Q2に述べた方法で算定されますが、京都議定書に基づき森林吸収量として報告するためには、この吸収量のうちどのくらいの量が森林経営が行われている森林によるものなのかを特定しなければなりません。森林経営対象森林の森林吸収量だけを直接計算することはできませんので、基本的には、森林経営対象森林が占める面積割合を全森林の吸収量に掛けることによって計算しています。
Q9 森林経営が行われている森林はどのように調べているのですか
A9
育成林については、1990年1月1日以降に森林を適切な状態に保つための人為的な活動が行われたかどうかを調べる必要があります。しかし、毎年、全国の森林すべてで確認することはできません。
このため、すべての森林を調べる代わりに、全国の森林からいくつかの森林を無作為に抜き出して調査し、それらの森林のうちで森林経営の対象となる森林がどのくらいの割合を占めるかを毎年調べています。統計学上、十分な数の森林を調べれば、正確な割合に近い数値が得られますので、全国の森林吸収量の推定が可能となります。
天然生林については、保安林など保護・保全されている森林を帳簿上で特定することができますので、これらの面積をもとに森林経営対象森林の面積を計算しています。
Q10 京都議定書の削減約束が達成できなかった場合はどうなりますか
A10
第1約束期間に我が国に割り当てられた排出量を超えてしまった場合には、(ア)第2約束期間に割り当てられる排出量が本来の量よりも超過した排出量の1.3倍だけさらに低い量となる、(イ)割当排出量を遵守するための行動計画を作成しなければならない、(ウ)排出量取引への参加が禁止される、という3つの罰則が科せられることになっています。
A11
(独)森林総合研究所で行われた研究によると、過去に間伐された森林とまったく間伐しなかった森林を同じ林齢で比較した場合、間伐した森林では、林内に残ってさらに成長を続けた樹木と間伐された樹木を合わせた森林バイオマス(幹、枝葉、根の合計重量)が、間伐しなかった森林の樹木の森林バイオマスより多い傾向があったとの報告があります。このことから、最終的な吸収量は間伐をして間伐材を生産した方がより大きくなると考えられます。(間伐した樹木は、そのままではやがて腐朽して二酸化炭素として大気中に放出されますので、単に間伐するだけではなく、間伐材として利用する必要があります。)
関連情報:間伐は人工林のバイオマス成長を促すのか?((独)森林総合研究所HP) [PDF:223KB]
A12
京都議定書のルールでは、育成林では適正に手入れされている森林の吸収量だけが削減目標の達成に利用することが許されています。しかし、これまでの水準の森林整備を続けた場合には、十分な面積の森林を手入れすることができず、第1約束期間に認められる森林吸収量は目標の1,300万炭素トン(年平均)から110万炭素トン程度が不足すると推定されたところです。
目標を達成するためには、さらに多くの森林が「森林経営」の対象となるように手入れをしていく必要があります。我が国の育成林は、その多くが間伐の必要な林齢にありますので、森林経営対象森林の面積を効率的に増やすためには、間伐を推進することが最も適当であるといえます。