石狩森林管理署は、北海道石狩振興局管内(札幌市、石狩市、江別市、北広島市、恵庭市、千歳市、当別町、新篠津村)と後志総合振興局管内の一部(小樽市、余市町、仁木町、古平町、積丹町、赤井川村)にかかる7市5町2村の国有林野21万2千ヘクタールを管理経営しています。
単独署としては全国最大規模の広大な森林を管理しており、管内には21森林事務所があります。
管内には、支笏・洞爺国立公園、ニセコ積丹小樽海岸国定公園、暑寒別天売焼尻国定公園、漁岳周辺森林生態系保護地域、支笏・無意根緑の回廊等に指定された貴重な自然環境や優れた自然景観を有した森林が多いほか、道立自然公園、天然記念物となっている野幌、藻岩山周辺等の自然環境に優れ多くの人々に親しまれている都市近郊林も有しています。
また、豊平川上流部の森林については、札幌市の水源地として、千歳川および漁川流域の森林は近郊都市圏の水源地としてそれぞれ重要な役割を担っています。管轄区域内には道内人口の約4割の道民が居住しています。
これだけ広大な森林を適切に管理経営していく上においても、地域の関係行政機関、関係団体、地域住民等との連携はとても重要になっています。

野幌自然休養林(江別市ほか) 藻岩山から円山及び札幌市街地
平成16年の台風18号は石狩署管内の支笏湖周辺の国有林に特に甚大な風倒木被害を与えました。
その被害地の復興に当たる一つの取組として、市民・企業・行政による「協働の森づくり」が企画され、100ヘクタールの大地に10万本の植樹を行い豊かな森林を蘇らせることを目的に、セブンーイレブンみどりの基金と当署で協定を締結しました。
これにより「森林の育て親」として、のべ8千人にのぼる市民参加型での植樹や下刈りが行われました。現在も「森林の育て親」による活動が続けられています。
この取組が契機となり、その後、様々な団体、企業、学校が風倒被害地の復興等に参画いただくようになりました。

風倒木被害の様子(千歳市) 支笏湖周辺での復興の森づくり(千歳市)
民有林・国有林が森林整備共同施業団地を設定
積丹町には、保護水面河川に指定されている余別川(上流域が国有林)があり、通年動植物の採取・捕獲が禁止されているため、北海道の中でも極めて底生生物の量が多く自然環境に優れた河川となっています。
この余別川周辺の開発が規制され、橋が架けられないために林道等の整備ができずに町有林で森林整備が遅れていました。
一方、別の地区では、町有林の作業道を利用しなければ、国有林の森林整備が十分にできない状況になっていました。
石狩署、積丹町、札幌水源林事務所の関係者で協議した結果、平成20年度に余別地区を含む3つの団地を民有林・国有林が森林整備共同施業団地(約1千ヘクタール)として設定し3者で協定を締結して、連携した作業道等の路網の整備や林道等の共同利用を相互に図って団地内の森林整備に積極的に取り組むことにしました。この取り組みにより、国有林側から道を開設することで、余別川を渡河できず、森林整備が遅れていた町有林の団地にも、今年度から作業道の開設工事が始まることになりました。
この取り組みのきっかけになったのは、「清流余別川の自然を守らなければならない」という話題からでした。

清流 余別川(写真提供 積丹町) 共同施業団地内の作業道(積丹町)
地域住民のみなさんとともに連携・協働して防風保安林の維持管理を推進
新篠津村は、ほとんどが農地となっている道内でも有数の穀倉地帯です。村内の森林率はわずかに2.5%(約2百ヘクタールでほとんどが防風林)しかなく、国有林もわずかに37ヘクタールしかありません。
その国有林はすべて防風保安林となっています。
村にとってはそのわずかな防風林そのものが森林であり、春や秋に季節の山菜や野生生物の生育・生息地であり、また、国有防風林に挟まれた地区がその防風効果により農産物の収量が高いなど、防風林は四季を通じて恩恵をもたらしてくれる貴重な森林となっています。
平成20年度に石狩署と新篠津村は、地域住民のみなさんとともに連携・協働して防風保安林の維持管理を推進していくこととして、「国有防風保安林管理協定」を締結し、防風林のパトロール、不法投棄によるゴミの収集、道路や農地の障害となる危険木や枝払いの処理などを実施することになりました。
昨年の秋には地元自治会の協力を得て、台風などで疎林になっている箇所への植樹活動を行い、今年も6月に地元のみなさんの協力により植樹を行い防風林の保全活動に取り組んでいます。
このような取り組みのきっかけになったのは、「防風林が農地とくらしを守っている」という話題からでした。

防風保安林(新篠津村) 植樹活動に参加した新篠津村のみなさん
ここに掲げた事例はごくわずかな一例で、このほか様々な関係機関や団体等と連携・協働した取り組みを行っており、また協力をいただいており、関係者の皆様には感謝申し上げるしだいです。
今年も、これまで種々関わりがあった団体が、無意根山周辺植物群落保護林の保全等のために、保護林周辺の情報提供を今後継続的に協力していただけるという話が進んでいます。

無意根山周辺植物群落保護林(大蛇ヶ原湿原:札幌市)
国有林は国民共通の財産です。札幌市の水道水の98%は豊平川がまかなっており、豊平川の水は上流の2つのダム(豊平峡ダム・定山渓ダム)に蓄えられていますが、札幌市の水道水の82%がこのダムからの供給によるもので、その集水区域はほとんどが国有林となっているなど、管内の森林はそれぞれ重要な役割を果たしています。
その森林を当署として適切に保全・整備していくためにも、地域の課題やニーズを的確に把握しつつ、地域に関わる様々な関係機関や住民の皆様との連携をとりながら、今後も適切な管理経営に努めていきたいと考えます。